第45回(H22) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題96~100】

 

96.統合失調症で予後良好に関連する因子はどれか。

1.陰性症状
2.急性の発症
3.早い発症年齢
4.神経学的症状
5.統合失調症の家族歴

解答2

解説

 統合失調症の予後予測因子は、早期治療と治療の継続性である。

予後良好な因子

遅い発症年齢・急性発症・社会的、性的、職業的に良好な病前の生活歴・気分障害症状(特にうつ病性障害)・既婚・気分障害の家族歴・良好な支援組織・陽性症状

予後不良な因子

早い発症年齢・潜行性の発症・社会的、性的、職業的に乏しい病前の生活歴・引きこもり、自閉的な行動・未婚、離婚、または死別・統合失調症の家族歴・乏しい支援組織・陰性症状・周産期外傷の病歴・3年間寛解なし・多数回の再発・暴行歴

1.× 陰性症状が強いと予後不良である。ちなみに、陰性症状は、通常みられるべき精神機能が低下あるいは欠損した状態(感情平板化、自発性低下、思考の貧困化など)のことをいう。一方、陽性症状とは、精神機能が過多に発現した状態(幻覚、妄想、緊張病症状)のことをいう。陽性症状の方が薬物反応はよく、予後良好といえる。
2.〇 正しい。急性の発症(緊張病型)は、予後良好に関連する。一方、発症・経過が緩徐な統合失調症(解体型)は予後が悪い。ちなみに、緊張型は20歳前後で発症し、緊張性興奮と緊張性昏迷を繰り返すが、症状がほぼ消退する間欠期があり、慢性の経過はとらない。
3.× 早い発症年齢(解体型)は予後不良である。解体型(破瓜型)は、思春期に発症し、徐々に発症・進行していく。陰性症状が主で、思考障害が著しい。
4.× 神経学的症状が強いと予後不良である。神経学的症状や脳の構造異常が併存する場合は予後が悪い。
5.× 統合失調症の家族歴があると予後不良である。特に、家族の中で重い陰性症状を持つものがいるとさらに予後が悪いといわれている。

 

 

 

 

 

97.認知症で記銘力低下と関連して出現する妄想はどれか。

1.被毒妄想
2.心気妄想
3.罪業妄想
4.憑きもの妄想
5.もの盗られ妄想

解答5

解説
1.× 被毒妄想は、統合失調症にみられる。被毒妄想とは、誰かが毒を盛ったに違いないという妄想である。
2.× 心気妄想は、うつ病にみられる。心気妄想は、自分は何らかの重い病気であると思い込んでしまう妄想のことをいう。
3.× 罪業妄想は、うつ病にみられる。罪業妄想は、自分が取り返しのつかない罪を犯してしまった、自分は罪深い存在であると思い込む妄想である。
4.× 憑きもの妄想は、統合失調症でみられる。憑きもの妄想とは、動物や神仏、悪魔などが自分に憑き、自分の言動はそれらの意思によってなされていると考える妄想である。
5.〇 正しい。もの盗られ妄想は、認知症(アルツハイマー型)でみられる。 もの盗られ妄想とは、物をある場所にしまったことを忘れ、誰かが盗んでしまったと考える妄想である。記銘力の低下から、物の置き場を忘れてしまい、物がなくなったと誤解することから生じると考えられる。

うつ病にみられる主な微小妄想

①貧困妄想:お金がない、自分は貧乏だと思い込む妄想。
②心気妄想:自分が病気にかかっているのではないかと強く思い込む妄想。
③罪業妄想:自分が取り返しのつかない罪を犯してしまった、自分は罪深い存在であると思い込む妄想。

 

 

 

 

 

98.うつ病でみられる症状はどれか。2つ選べ。

1.自閉
2.幻視
3.妄想
4.昏迷
5.途絶

解答3.4

解説

うつ病にみられる主な微小妄想

①貧困妄想:お金がない、自分は貧乏だと思い込む妄想。
②心気妄想:自分が病気にかかっているのではないかと強く思い込む妄想。
③罪業妄想:自分が取り返しのつかない罪を犯してしまった、自分は罪深い存在であると思い込む妄想。

1.× 自閉は、自閉症統合失調症でみられる。自閉とは、他人との接触をきらい自分だけの世界に閉じこもる病的な精神状態のことをいう。
2.× 幻視は、主にレビー小体型認知症などでみられる。他にも、せん妄、もうろう状態一部の薬物中毒、てんかん発作時などでみられる。
3.〇 正しい。妄想はうつ病でみられる。うつ病では、微小妄想(①貧困妄想、②心気妄想、③罪業妄想)がみられる。
4.〇 正しい。昏迷は、うつ病でもみられる。昏迷とは、反応がなく、激しい物理的な刺激によってのみ覚醒させることができる状態である。うつ病性昏迷、緊張病性昏迷、ヒステリー性昏迷など、いくつかの疾患でみられる。
5.× 途絶は、統合失調症でみられる。途絶とは、一定の意志傾向とそれに相反する傾向が対立し、そのために行動が停止してしまうが、すぐにもとの状態に戻る。ちなみに、意志の発動が弱まった状態(制止)は、うつ病でみられる。

 

 

 

 

 

99.てんかん発作にみられて、失神にみられないのはどれか。

1.意識消失
2.脳波異常
3.前駆症状
4.低血圧
5.健忘

解答2

解説

MEMO

てんかん:大脳皮質における神経細胞の異常な興奮により、反復する発作(てんかん発作)を主徴とする慢性の脳疾患である。

失神:突然起こる短時間の意識の消失と運動機能消失(すなわち倒れること)である。原因として、血圧が異常に低下するなどの理由で、脳全体の血流が一時的に低下するために引き起こされる。低血圧、神経性、心臓性、脳血管性がある。

1.〇 意識消失は、失神にもみられる。てんかん発作は、①単純部分発作の場合には意識消失はないが、全般発作発作と複雑部分発作は意識障害(自動症)を伴う。
2.× 脳波異常は、てんかん発作にみられて、失神にみられない。脳波はてんかんの診断に必須である。一方、失神とは、突然起こる短時間の意識の消失と運動機能消失(すなわち倒れること)である。原因として、血圧が異常に低下するなどの理由で、脳全体の血流が一時的に低下するために引き起こされる。低血圧、神経性、心臓性、脳血管性がある。
3.〇 前駆症状は、失神にもみられる。前駆症状(ぜんくしょうじょう)とは、ある病気の前触れとして現れる症状である。起立性低血圧による失神の前駆症状として、眼前暗黒感が生じる。一方、てんかん(強直間代発作)による前駆症状として、数時間前に、頭痛や不安・焦燥がみられる場合もある。
4.〇 低血圧(起立性低血圧)は、失神にみられる。一方、てんかん発作に低血圧は関連しない。
5.〇 健忘は、失神にもみられる。なぜなら、意識障害の期間の追想は不可能であるため。

 

 

 

 

 

100.薬剤とその典型的副作用との組合せで正しいのはどれか。

1.抗うつ薬:不安発作
2.抗不安薬:脱力
3.抗精神病薬:幻覚
4.抗てんかん薬:錐体外路症状
5.Parkinson病治療薬:無月経

解答2

解説
1.× 抗うつ薬に、不安発作はみられない。(三環系)抗うつ薬の副作用は、①自律神経症状(口渇、便秘、排尿困難など)、②循環器系症状(血圧低下、頻脈、めまい、起立性低血圧など)、③中枢神経症状(眠気など)である。抗コリン作用による起こる。近年では、SSRIやSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)などが用いられるようになっている。
2.〇 正しい。抗不安薬は、脱力である。不安を取り除くため、リラックス(筋弛緩=脱力)が起こる。他の作用として、睡眠作用(眠気)、抗けいれん作用(ふるえ)がある。また、抗不安薬は依存が形成されやすい。
3.× 抗精神病薬に、幻覚はみられず、むしろ抗幻覚作用は主作用である。ドーパミン受容体を遮断する抗精神病薬の副作用は、錐体外路症状(パーキンソン症状、 アカシジア、 ジストニア、ジスキネジアなど)がみられる。
4.× 抗てんかん薬に、錐体外路症状はみられない。抗てんかん薬の副作用は、眠気、眩暈、小脳失調などである。
5.× Parkinson病治療薬に、無月経はみられない。Parkinson病治療薬の副作用は、消化器症状、せん妄、ジスキネジアなどである。

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