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86.骨折と合併しやすい神経麻痺との組合せで正しいのはどれか。
1.上腕骨骨幹部骨折:腋窩神経麻痺
2.上腕骨顆上骨折:正中神経麻痺
3.橈骨遠位端骨折:橈骨神経麻痺
4.大腿骨骨幹部骨折:大腿神経麻痺
5.脛骨骨幹部骨折:脛骨神経麻痺
解答2
解説
1.× 上腕骨骨幹部骨折は、「腋窩神経麻痺」ではなく橈骨神経麻痺を合併しやすい。ちなみに、腋窩神経麻痺は、上腕骨近位部骨折で合併しやすい。
2.〇 正しい。上腕骨顆上骨折は、正中神経麻痺を合併しやすい。他にも、橈骨神経麻痺・尺骨神経麻痺も生じやすい。
3.× 橈骨遠位端骨折は、「橈骨神経麻痺」ではなく正中神経麻痺を合併しやすい。正中神経は前腕では橈骨前面に沿って通る。
4.× 大腿骨骨幹部骨折は、神経麻痺自体は起こりにくい。大腿神経は、大腿骨頸部の高さで大腿四頭筋の各筋に分岐する。
5.× 脛骨骨幹部骨折は、神経麻痺自体は起こりにくい。坐骨神経より分岐する脛骨神経は、膝窩より下腿三頭筋の深層を通過する。
87.慢性的な使い過ぎで起こるスポーツ障害はどれか。
1.頸椎捻挫
2.肩鎖関節脱臼
3.上前腸骨棘剥離骨折
4.腰椎分離症
5.アキレス腱断裂
解答4
解説
1.× 頸椎捻挫は、首に一定の力が生じて生じる怪我で、首から背中、後頭部、肩部など広い範囲に痛みや違和感を生じる。 追突事故などの交通事故や転倒などで、首が短時間に前後に振られることで生じることが多い。頸椎に付着する靭帯が急激に伸張されたときに生じる軟部組織の損傷である。
2.× 肩鎖関節脱臼は、肩を下にして転倒した時(柔道などのスポーツ)に、烏口鎖骨靭帯や肩鎖靭帯が断裂することによって生じる。
3.× 上前腸骨棘剥離骨折は、青少年が急激な筋肉の収縮を伴う運動(ダッシュ、 ジャンプ、ボールをキックするなど)を行った際に生じる。大腿筋膜張筋や縫工筋に引っ張られておこる。
4.〇 正しい。腰椎分離症(腰椎分離すべり症)は、慢性的な使い過ぎで起こるスポーツ障害である。腰椎分離症とは、腰部の繰り返しのスポーツ動作によるストレスで起こる関節突起間部の疲労骨折である。慢性的な使いすぎで起こる骨折を疲労骨折といい、 スポーツでは脛骨や腓骨に骨折を見ることが多い。日本人男性の約8%にみられ、また成長期のスポーツ選手の腰痛の原因の30~40%を占める。L5に好発し、腰部から殿部の痛みと圧痛・叩打痛がみられる。椎弓と呼ばれる腰椎の後方部分が分離した状態のことを指す。歩行時に下肢痛やしびれなどの症状が出現する。また、Kemp徴候(他動的な後側屈による放散痛)がみられる。
5.× アキレス腱断裂は、下腿三頭筋に急激な収縮力が起こった時(テニスや短距離のスタートなど瞬発力を要する動作)に過剰に伸展されてアキレス腱が断裂する。
腰椎分離症とは、腰部の繰り返しのスポーツ動作によるストレスで起こる関節突起間部の疲労骨折である。日本人男性の約8%にみられ、また成長期のスポーツ選手の腰痛の原因の30~40%を占める。L5に好発し、腰部から殿部の痛みと圧痛・叩打痛がみられる。椎弓と呼ばれる腰椎の後方部分が分離した状態のことを指す。歩行時に下肢痛やしびれなどの症状が出現する。また、Kemp徴候(他動的な後側屈による放散痛)がみられる。
88.強直性脊椎炎で正しいのはどれか。
1.20歳代の女性に好発する。
2.急性発作で発病する。
3.血沈は正常である。
4.虹彩毛様体炎を伴う。
5.四肢の関節は障害されない。
解答4
解説
強直性脊椎炎は、リウマチ類縁疾患として、脊椎や近位の関節を侵す原因不明の炎症性疾患である。痛みを主症状とし、脊椎や仙腸関節の炎症が主体となる慢性炎症性疾患である。疼痛は腰痛や殿部痛から始まり、次第に広がっていく。10歳代の若年男性に多く、ぶどう膜炎(虹彩毛様体炎)、竹様脊椎といった症状も特徴である。
1.× 20歳代の「女性」ではなく男性に好発する。若年層 (10~20歳代)に多く、男女比(5~9:1)である。
2.× 「急性発作」ではなく、慢性的に発病する。3か月以上持続する腰痛とこわばり(脊椎や仙腸関節の炎症)がある。
3.× 血沈(赤血球沈降速度)は、「正常」ではなく亢進する。なぜなら、炎症性疾患のため。ちなみに、リウマトイド因子は陰性である。血沈(赤血球沈降速度)とは、赤血球が試薬内を沈んでいく速度のことである。
4.〇 正しい。虹彩毛様体炎を伴う。他にも、大動脈弁閉鎖不全症、クローン病、潰瘍性大腸炎などを伴う。
5.× 四肢の関節も障害される。脊椎や仙腸関節、四肢では特に股関節、肩関節などの大関節が病変となる。
潰瘍性大腸炎とは、主に大腸の粘膜を侵し、再燃と寛解を繰り返す慢性のびまん性炎症性腸疾患である。症状として、繰り返す粘血便・下痢・腹痛・発熱・体重減少などがみられる。したがって、潰瘍性大腸炎の食事は、易消化性で高エネルギー、高タンパク、低脂肪、低残渣食を基本とする。原因不明であるが、遺伝的因子と環境因子が複雑に絡み合って発症に関与していると考えられている。
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【PT/OT/共通】強直性脊椎炎についての問題「まとめ・解説」
89.熱傷で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.Ⅲ度熱傷は真皮層までの損傷をいう。
2.四肢関節部位は特殊部位と呼ばれる。
3.瘢痕形成の予防として圧迫と伸張とが用いられる。
4.手の熱傷では手内筋プラスポジションとなりやすい。
5.小児の熱傷面積を算出する場合は9の法則を用いる。
解答2.3
解説
Ⅰ度:【深さ】表皮【症状】発赤、熱感、軽度の腫脹と疼痛、水泡形成(ー)【治癒】数日間、瘢痕とはならない。
Ⅱ度:【深さ】真皮浅層(SDB)【症状】強い疼痛、腫脹、水泡形成(水泡底は赤色)【治癒】1~2週間、瘢痕再生する。
Ⅱ度:【深さ】真皮深層(DDB)【症状】水泡形成(水泡底は白色、もしくは破壊)、知覚は鈍麻【治癒】3~4週間、瘢痕残す、感染併発でⅢ度に移行。
Ⅲ度:【深さ】皮下組織【症状】疼痛(ー)、白く乾燥、炭化水泡形成はない【治癒】一か月以上、小さいものは瘢痕治癒、植皮が必要。
1.× Ⅲ度熱傷は、「真皮層」ではなく皮下組織までの損傷をいう。ちなみに、真皮層までの損傷はⅡ度である。
2.〇 正しい。四肢関節部位は特殊部位と呼ばれる。四肢関節部位(顔面や頸部含める)や陰部(肛門)は、特殊部位と呼ばれ熱傷が治りにくい部位である。障害も残りやすい。
3.〇 正しい。瘢痕形成の予防として圧迫と伸張とが用いられる。そうすることで熱傷後の瘢痕形成を予防する。
4.× 手の熱傷では、「手内筋プラスポジション」ではなく、手内筋マイナスポジション(母指内転位、MP過伸展、 PIP・DIP関節屈曲位)となりやすい。
5.× 小児の熱傷面積を算出する場合は、「9」ではなく5の法則を用いる。ちなみに、成人に9の法則を用いる。熱傷面積の算定は深度とともに重症度の基準となる。
参考にどうぞ↓
90.優位半球損傷に特徴的な症状はどれか。
1.検者が示した指先への注視運動ができずに視点も定まらない。
2.損傷した脳の反対側から呼びかけても顔面を向けられない。
3.検者が出したジャンケンのチョキの模倣動作ができない。
4.裏返しになった衣服を正しく着ることができない。
5.閉眼したまま提舌を20秒以上持続できない。
解答3
解説
1.× 検者が示した指先への注視運動ができずに視点も定まらない(視覚性視覚失調)は、劣位半球損傷で角回や後頭葉の外郭、緑上回、上側頭葉が病巣といわれている。
2.× 損傷した脳の反対側から呼びかけても顔面を向けられない(半側空間無視)は、劣位半球損傷で頭頂葉が病巣である。
3.〇 正しい。検者が出したジャンケンのチョキの模倣動作ができない(観念運動失行)は、優位半球損傷に特徴的な症状である。病変は、左頭頂葉~前頭葉である。
4.× 裏返しになった衣服を正しく着ることができない(着衣失行)は、劣位半球損傷で頭頂葉が病巣である。
5.× 閉眼したまま提舌を20秒以上持続できない(運動維持困難)は、劣位半球損傷で生じる。