【共通問題のみ】呼吸器疾患(ADL・生理)についての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

MEMO

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目次 非表示

PT専門

45回 午前39

39.呼吸器疾患の理学療法の目的で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.呼吸数の増加
2.吸気の緩徐化
3.腹式呼吸の促通
4.呼吸補助筋の活用
5.全身のリラクセーション

解答3.5

解説
1.× 呼吸数は、「増加」ではなく減少する。1回換気量を増加させ、胸郭の可動性を維持していく。そのために、腹式呼吸や吸気の緩徐化(口すぼめ呼吸)を練習する。
2.× 「吸気」ではなく呼気の緩徐化(口すぼめ呼吸)を練習する。緩徐化とは、ゆるやかで静かなさま、 動作などがゆっくりしているさまのことをいう。
3.〇 正しい。腹式呼吸の促通を行っていく。横隔膜の活動補助、呼吸補助筋群の活動抑制が目的となる。特に慢性閉塞性肺疾患は、気道の閉塞を伴うため、短時間に息を吐くことができない。
4.× 呼吸補助筋は、「活用」ではなく抑制する。なぜなら、呼吸補助筋優位の呼吸(努力性の呼吸)を長時間行うと、常時エネルギーを使い体力低下を招くため。したがって、呼吸補助筋群の活動を抑制し、強制吸気を抑制する。
5.〇 正しい。全身のリラクセーションを行っていく。なぜなら、呼吸補助筋や全身の筋肉の緊張緩和のため。

 

 

 

52回 午後39

39 慢性閉塞性肺疾患のADL動作で最も息切れが生じやすいのはどれか。

1.食事
2.排尿
3.歯磨き
4.洗髪
5.ズボンの着脱

解答:

解説

(図引用:「息切れを増強させる4つの動作のイラスト(慢性呼吸器疾患)」看護roo!看護師イラスト集様HPより)

血中酸素飽和度が低下しやすい日常生活動作

① 排便(息を止めるため、呼吸のコントロールを行う)
② 肩まで湯船につかる(胸部が圧迫されるため、動作環境や方法を工夫する)
③ 洗髪、上衣更衣、洗体など(上肢を使うため、上肢挙上は片腕のみで、呼吸のコントロールを行う。)
④ズボンや靴下を履く(体を前屈して行うため、動作のスピードや方法を調整する。)

※入浴の生活指導:息切れがある場合は全身入浴を控え、半身浴やシャンプーハットを使用したシャワーなどで対応する。入浴中は酸素吸入を行わない場合が多いため、入浴時間は短めにする。

1.3.× 食事/歯磨きなど、呼吸が止まる(換気の減少)動作は、血中酸素飽和度は低下し息切れが起こる可能性もあるが、選択肢の中により息切れしやすい動作が含まれる。
2.× 排尿より排便の方が息切れをきたしやすい。排尿では、力んだりする動作は少ないため。一方、排便は、力んだり、呼吸が止まる(換気の減少)時が含まれる。
4.〇 正しい。洗髪が最も息切れをきたしやすい。なぜなら、洗髪は上肢を挙上して行うため負荷も大きく、胸郭の動きも制限されるため。さらに、反復動作のため血中酸素飽和度が低下して息切れを生じやすい。
5.× ズボンの着脱は、息切れをきたしやすい動作であるが、上衣の更衣の方が息切れをきたしやすい。ズボンの着脱と洗髪とを比較した場合、洗髪の方が手を上げる動作が含まれる分、息切れを伴いやすい。

慢性呼吸不全患者の日常生活における注意点
  1. 上肢挙上は片腕のみで行う。
  2. 呼吸のコントロールを行う。
  3. 動作のスピードや方法を調整する。
  4. 動作環境の工夫などを考慮する。

 

 

 

 

58回 午前18

18.78歳の男性。COPDによるⅡ型呼吸不全,安静時および運動時に1L/分の在宅酸素療法を導入している。
 理学療法士による患者指導として正しいのはどれか。

1.上肢の挙上動作を反復して行うように指導する。
2.吸気時間を延長するために口すぼめ呼吸を指導する。
3.呼吸困難に応じて酸素流量を増量するように指導する。
4.体調や呼吸器症状の日誌への記録をもとに生活指導を行う。
5.主に心理的なリラックスを得るためにリラクセーションを指導する。

解答

解説

本症例のポイント

・78歳の男性。
COPDによるⅡ型呼吸不全
・安静時/運動時:1L/分の在宅酸素療法を導入中。
→酸素療法とは、室内空気より高い濃度の酸素を投与することである。したがって、在宅酸素療法とは、酸素療法を自宅で実施することをさす。適応として、慢性呼吸不全や慢性心不全により体内の酸素濃度が低下している人に対して行われる。慢性閉塞性肺疾患(COPD)の最大の原因は喫煙であり、喫煙者の約20%がCOPDを発症する。慢性閉塞性肺疾患とは、以前には慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称である。他の特徴として、肺の過膨張、両側肺野の透過性亢進、横隔膜低位、横隔膜の平低化、滴状心などの特徴が認められる。進行性・不可逆性の閉塞性換気障害による症状が現れる。
増加:残気量・残気率・肺コンプライアンス・全肺気量・PaCO2
減少:一秒率・一秒量・肺活量・肺拡散能・PaO2

(※図引用:「息切れを増強させる4つの動作のイラスト(慢性呼吸器疾患)」看護roo!看護師イラスト集)

1.× 上肢の挙上動作を反復して行うように指導する必要はない。むしろ、上肢の挙上動作は息切れを増強させる動作であるため控える必要がある。なぜなら、腕を上げる動作は、胸郭の動きが制限され、息苦しくなりやすいため。やむを得ず行う必要がある場合は、息を吐きながらゆっくりと動作を行うよう指導する。
2.× 「吸気時間」ではなく呼気時間を延長するために口すぼめ呼吸を指導する。口すぼめ呼吸とは、呼気時に口をすぼめて抵抗を与えることにより気道内圧を高め、これにより末梢気管支の閉塞を防いで肺胞中の空気を出しやすくする方法である。鼻から息を吸い、呼気は吸気時の2倍以上の時間をかけて口をすぼめてゆっくりと息を吐くため、呼吸数は減少する。
3.× 呼吸困難に応じて酸素流量を増量するように指導する必要はない。むしろ、独断で酸素流量を変更しないように指導する。なぜなら、多すぎる酸素はかえって身体に害を及ぼすことがあるため。高濃度の酸素を投与し、抗酸化防御機構の処理能力を上回る活性酸素が発生すると、気道や肺が障害される「酸素中毒」が起こるおそれがある。酸素中毒の症状とし、トンネルの中から出口を見たように視野が狭くなり(トンネル・ビジョン)、耳鳴り、吐き気、部分的な筋肉のけいれん(特に顔面)、気分の 変調、めまいなどが起こる。したがって、必ず医師の判断と指示が必要となる。
4.〇 正しい。体調や呼吸器症状の日誌への記録をもとに生活指導を行う。なぜなら、慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,気道感染や大気汚染などによる増悪を引き起こしやすく、一度増悪を起こすと繰り返す可能性が高いため。増悪予防のため、長期在宅での治療計画による自己管理能力が必要である。自己管理能力の向上のため、日誌の記録はその一助となる。
5.× 主に「心理的なリラックスを得るため」ではなく、呼吸困難感の改善のためにリラクセーションを指導する。リラクセーションを実施することで、呼吸困難感の改善、胸郭や肩甲帯の可動域の改善がみられる。

呼吸不全の種類

【呼吸不全の定義】PaO2≦60Torrである。

ここから、Ⅰ型呼吸不全かⅡ型呼吸不全か決定する。

【Ⅰ型呼吸不全の場合】PaCO2≦45Torr

【Ⅱ型呼吸不全の場合】PaCO2>45Torr

 

 

OT専門

46回 午前33

33 慢性閉塞性肺疾患患者の入浴指導で適切なのはどれか。

1.両手で髪を洗う。
2.上肢は素早く洗う。
3.長い洗体タオルを使う。
4.座面の低い椅子に腰掛ける。
5.洗面器は床に置いて使用する。

解答

解説

慢性呼吸器疾患患者の入浴中のADL指導

酸素飽和度が低下しやすく息切れを呈しやすい動作の制限。

(前かがみの姿勢や両上肢の挙上、反復する動作、肩まで湯船につかるなど)

1.× 「両手」ではなく「片手」で髪を洗う。なぜなら、両手を挙上し、腰を前屈したポジションが最も呼吸困難を招きやすいため。
2.× 上肢は、「素早く」ではなく「ゆっくり」洗う。なぜなら、素早く洗うと呼吸困難感が伴いやすいため。また、吸気の妨げにならないように、呼気の時に動作を行う。
3.〇 正しい。長い洗体タオルを使う。なぜなら、短いタオルよりも長いタオルを使った方が呼吸苦は少ないため。ほかにも、短い洗体タオルだと上肢の運動が制限されるが、長い洗体タオルだと上肢をあまり動かさなくても洗うことができる。
4.× 「座面の低い椅子」ではなく、「ある程度高い椅子」に腰掛ける。なぜなら、座面の低い椅子は、前傾姿勢になりやすく呼吸苦が生じやすいため。
5.× 洗面器は、床に置かずに「洗顔できる高さに置いて」使用する。なぜなら、洗顔できる高さに置くことで、前傾姿勢にならずに顔を洗え、呼吸に負担がかかりにくいため。

 

 

 

46回 午後21

21 呼吸器疾患の患者が安全に実施できる活動として正しいのはどれか。2つ選べ。

1.木彫
2.切り絵
3.ビーズ手芸
4.木工鋸引き
5.アンデルセン手芸

解答2・3

解説
1.4.× 木彫/木工鋸引きは、呼吸器疾患患者に不向きである。なぜなら、細かい木の屑が飛び散り、呼吸器系に刺激となるため。木彫とは、木を彫刻刀やのみで削り、置物や箱など様々な物を作る作業である。また、木工鋸引きとは、鋸で木などをひき切ることである。
2~3.〇 正しい。切り絵/ビーズ手芸は、呼吸器疾患の患者が安全に実施できる活動である。
5.× アンデルセン手芸は、呼吸器疾患患者に不向きである。なぜなら、刺激臭の強い塗装液を塗り、呼吸器系に刺激となるため。ちなみに、アンデルセン手芸は、広告や古新聞・雑誌を用い、かごや小物入れ、アクセサリーなどを作ることである。

 

 

 

47回 午後36

36 慢性呼吸不全患者の在宅ADL・IADL指導で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.整髪は、両手で結う。
2.洗髪では、吸気のときに洗う。
3.上衣は、前開き服を選択する。
4.排便では、息を止めて腹圧をかける。
5.物干しは、さおを肩の高さに下ろして洗濯物をかける。

解答3・5

解説

(図引用:「息切れを増強させる4つの動作のイラスト(慢性呼吸器疾患)」看護roo!看護師イラスト集様HPより)

血中酸素飽和度が低下しやすい日常生活動作

① 排便(息を止めるため、呼吸のコントロールを行う)
② 肩まで湯船につかる(胸部が圧迫されるため、動作環境や方法を工夫する)
③ 洗髪、上衣更衣、洗体など(上肢を使うため、上肢挙上は片腕のみで、呼吸のコントロールを行う。)
④ズボンや靴下を履く(体を前屈して行うため、動作のスピードや方法を調整する。)

※入浴の生活指導:息切れがある場合は全身入浴を控え、半身浴やシャンプーハットを使用したシャワーなどで対応する。入浴中は酸素吸入を行わない場合が多いため、入浴時間は短めにする。

1.× 整髪は、「両手」ではなく「片手」で結う。なぜなら、両手で行うと胸郭の動きを制限し、呼吸苦が増してしまうため。
2.× 洗髪では、「吸気」ではなく「呼気」のときに洗う。呼吸法としては、①腹式呼吸、②口すぼめ呼吸を行う。
3.5.〇 正しい。上衣は前開き服を選択する/物干しはさおを肩の高さに下ろして洗濯物をかける。なぜなら、上肢をあげる動作を伴わないため。つまり、呼吸の乱れが少なく行える。
4.× 排便では、「息を止めて」ではなく「ゆっくりとした呼気」で腹圧をかけながら行う。排便に限らず息を止める動作は、呼吸苦が増すため指導しない。

 

 

48回 午後35

35 呼吸器疾患患者へのADL指導で正しいのはどれか。

1.食事動作:食事台を高くする。
2.歯磨き動作:肩関節外転位の姿勢を保つ。
3.上衣の更衣動作:前開きよりもかぶり型の衣服を選択する。
4.下肢の洗体動作:長柄のブラシを使用する。
5.洗髪動作:前かがみで洗う。

解答4

解説

(図引用:「息切れを増強させる4つの動作のイラスト(慢性呼吸器疾患)」看護roo!看護師イラスト集様HPより)

血中酸素飽和度が低下しやすい日常生活動作

① 排便(息を止めるため、呼吸のコントロールを行う)
② 肩まで湯船につかる(胸部が圧迫されるため、動作環境や方法を工夫する)
③ 洗髪、上衣更衣、洗体など(上肢を使うため、上肢挙上は片腕のみで、呼吸のコントロールを行う。)
④ズボンや靴下を履く(体を前屈して行うため、動作のスピードや方法を調整する。)

※入浴の生活指導:息切れがある場合は全身入浴を控え、半身浴やシャンプーハットを使用したシャワーなどで対応する。入浴中は酸素吸入を行わない場合が多いため、入浴時間は短めにする。

1.× 食事動作は、食事台を高くする必要はない。なぜなら、食事台を高くすることで上肢が挙上するため。
2.× 歯磨き動作は、肩関節外転位の姿勢を保つ必要はない。むしろ、肩関節外転位に保つ姿勢は、上肢挙上のため避けるべきである。
3.× である。上衣の更衣動作は、かぶり型よりも前開きの衣服を選択する。なぜなら、かぶり型の衣服は、両上肢を挙上して着なければならないため。
4.〇 正しい。下肢の洗体動作は、長柄のブラシを使用する。なぜなら、下肢、特に足部を洗う動作は前かがみで行うため。長柄ブラシの使用によって、前かがみ動作を軽減することができる。
5.× 洗髪動作は、前かがみで洗うのではなく、頭を左右に傾けて片方ずつ洗う。なぜなら、洗髪は、両上肢を挙上して行う動作であり、さらに前かがみで行うことで腹部が圧迫され、呼吸苦を感じやすくなるため。

 

 

 

52回 午後10

10 68歳の男性。慢性呼吸器疾患。「最近、入浴すると息切れがする」との訴えがある。
 入浴指導として正しいのはどれか。

1. 片手で髪を洗う。
2. 首まで湯につかる。
3. 短いタオルで背中を洗う。
4. 吸気に合わせて動作を行う。
5. 長座位で膝を立てて足を洗う。

解答1

解説

血中酸素飽和度が低下しやすい日常生活動作

①排便(息を止めるため、呼吸のコントロールを行う)
②肩まで湯船につかる(胸部が圧迫されるため、動作環境や方法を工夫する)
③洗髪、上衣更衣、洗体など(上肢を使うため、上肢挙上は片腕のみで、呼吸のコントロールを行う。)
④ズボンや靴下を履く(体を前屈して行うため、動作のスピードや方法を調整する。)
※入浴の生活指導:息切れがある場合は全身入浴を控え、半身浴やシャンプーハットを使用したシャワーなどで対応する。入浴中は酸素吸入を行わない場合が多いため、入浴時間は短めにする。

1.〇 正しい。片手で髪を洗う。洗髪は息切れを呈しやすい動作(両上肢を挙上して行い、さらに前かがみで行うことで胸腹部が圧迫される)である。そのため、頭を左右に傾けて、片側ずつ洗うように指導する。
2.× 「首まで湯につかる」のではなく、半身浴するよう指導する。なぜなら、水圧により胸部が圧迫されるため。また、体温の上昇をきたすことで酸素飽和度が低下しやすい。
3.× 「短いタオル」ではなく、長いタオル背中を洗うのは不適切である。なぜなら、短いタオルよりも長いタオルで洗う方が、上肢をあまり動かさなくても洗うことができ、結果的に呼吸苦が少なく済むため。ただし、どれぐらいから長いタオルになるのか基準は定かではない。
4.× 「吸気」ではなく呼気に合わせて動作を行う。吸気の妨げにならないように、呼気の時に動作を行う。
5.× 長座位で膝を立てて足を洗うのは不適切である。なぜなら、胸腹部の圧迫となるためである。そのため、長柄ブラシ等の使用で前かがみ動作を軽減させると良い。

 

 

 

53回 午前37

37 慢性閉塞性肺疾患の患者に対する指導として正しいのはどれか。

1.低脂肪食がいい。
2.下肢の運動を行う。
3.洗髪動作は両手で行う。
4.発症後は禁煙の必要は無い。
5.インフルエンザワクチンは勧めない。

解答2

解説

 呼吸器疾患患者は、身体を動かすことで血中の酸素飽和度が低下しやすい。特に前かがみの姿勢(和式トイレ・足を洗う)上肢の挙上(洗髪・更衣)反復する動作(拭き掃除)息を止めて力む動作(排便・重量物を持つ)などは、酸素飽和度が低下し呼吸苦を呈しやすいため避けるべきである。

1.× 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者は、呼吸にエネルギーを消費するので栄養障害に陥りやすい。そのため高エネルギー高蛋白食が基本である。
2.〇 正しい。下肢の運動を行う。筋力トレーニング、持久力トレーニングなどの運動療法により、運動耐容能の改善を図ることができる。呼吸補助筋が上肢の運動に参加するため、下肢よりも上肢を使用する場面でより呼吸困難感を訴えやすいことから、下肢の筋力トレーニングで運動効率の改善骨格筋代謝レベルの改善を目指す。
3.× 洗髪動作は、「両手」ではなく片手ずつ行う。両上肢の挙上は酸素飽和度の低下を招きやすいためである。
4~5.× 発症後は禁煙の必要は無い/インフルエンザワクチンは勧めないのは適切ではない。禁煙やインフルエンザワクチンの接種は、COPDの予防や進行の抑制に有用であるため、病期や症状の程度にかかわらずすべての患者に推奨される。

(図引用:「息切れを増強させる4つの動作のイラスト(慢性呼吸器疾患)」看護roo!看護師イラスト集様HPより)

 

 

54回 午後36

36 慢性閉塞性肺疾患患者のADLで息切れを軽減させるための指導として適切なのはどれか。

1. 洗髪は両手で行う。
2. 靴下の着脱は床に座り行う。
3. ズボンの着脱は立位で行う。
4. 和式トイレを洋式トイレに変更する。
5. 前開きシャツをかぶり型シャツに変更する。

解答

解説

(図引用:「息切れを増強させる4つの動作のイラスト(慢性呼吸器疾患)」看護roo!看護師イラスト集様HPより)

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者は、血中の酸素施和度が低下しやすい。安静時には症状がなくても、労作により呼吸困難が出現する。動作時に少しでも呼吸困難を軽減するような指導が必要になる。

1.× 洗髪は、「両手」ではなく、頭を左右に傾けて片手で行う。
2.× 靴下の着脱は、「床に座る」のではなく椅子に座り、腹部を圧迫しないよう足を組んで行う。
3.× ズボンの着脱は、「立位」ではなく安定した椅子に座って行う。
4.〇 正しい。和式トイレを洋式トイレに変更する。和式トイレでは腹部が圧迫されるため、毛中酸素飽和度が下がりやすい。そのため、洋式トイレの方が望ましい。
5.× 逆である。かぶり型シャツを前開きシャツに変更する。かぶり型シャツでは、上肢を挙上するので血中酸素飽和度が低下する原因となる。

 

 

 

55回 午前31

31 呼吸器疾患で正しいのはどれか。

1. 肺線維症は閉塞性肺疾患である。
2. 気管支拡張症では乾性咳嗽がみられる。
3. 気管支喘息の発作時は1秒率が低下する。
4. 過換気症候群では呼吸性アシドーシスになる。
5. CO2ナルコーシスは低CO2血症によって生じる。

解答3

解説

呼吸器疾患

閉塞性肺疾患(閉塞で呼気が障害されている)ので、1秒率が低下する。

拘束性肺疾患(肺の動きが悪くなっている)の1秒率は正常であるが、肺活量が減少する。

過換気症候群は、血中炭酸ガスが減少する結果、血液はアルカリ性となる。低Ca血症のため、四肢の硬直、痙攣、手足の先のしびれ、意識消失がみられることがあるが、通常は生命維持に影響がみられることはない。

1.× 肺線維症は、「閉塞性肺疾患」ではなく拘束性肺疾患である。肺線維症は、肺の線維化により肺が広がりにくくなる状態である。
2.× 気管支拡張症は、「乾性咳嗽」ではなく湿性咳嗽がみられる。気管支拡張症は、気管支が炎症などにより非可逆的に拡張した状態である。咳嗽(湿性咳嗽)と喀痰が主症状である。
3.〇 正しい。気管支喘息の発作時は1秒率が低下する。なぜなら、気管支喘息は、気道の慢性炎症による気道狭窄を示す閉塞性換気障害であるため。
4.× 過換気症候群は、「呼吸性アシドーシス」ではなく呼吸性アルカローシスになる。なぜなら、過換気症候群は、発作的に肺胞過換気状態と呼吸困難を生じるため。
5.× CO2ナルコーシスは、「低CO2血症」ではなくCO2の蓄積によりPaCO2が上昇する。

CO<sub>2</sub>ナルコーシスとは?

慢性閉塞性肺疾患の患者は、慢性的に血中CO2濃度が上昇しており、体内のCO2濃度を感知する中枢化学受容体での感受性が鈍くなっている。したがって、普段の呼吸運動は低酸素を感知している酸素の受容体(末梢化学受容体)からの刺激によって起こっている。しかし、高濃度の酸素を投与されると酸素の受容体は体内に酸素が十分にあると判断し、呼吸中枢を抑制して呼吸運動が減弱する。その結果、体内に高度のCO2蓄積が起こり、意識障害などの中枢神経症状が起こる。

(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)

主な疾患

混合性換気障害:肺気腫など
拘束性換気障害:肺結核、肺線維症など
閉塞性換気障害:気管支喘息、気管支拡張症など

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56回 午後2

2 60歳の男性。COPDが進行し在宅酸素療法が導入された。酸素流量は労作時2L/分である。
 入浴動作の指導で正しいのはどれか。

1. 洗髪を片手で行う。
2. 動作を素早く行う。
3. 浴槽に肩まで浸かる。
4. 洗い場の椅子の座面を低くする。
5. 入浴中は経鼻カニューレを外す。

解答1

解説

(図引用:「息切れを増強させる4つの動作のイラスト(慢性呼吸器疾患)」看護roo!看護師イラスト集様HPより)

血中酸素飽和度が低下しやすい日常生活動作

① 排便(息を止めるため、呼吸のコントロールを行う)
② 肩まで湯船につかる(胸部が圧迫されるため、動作環境や方法を工夫する)
③ 洗髪、上衣更衣、洗体など(上肢を使うため、上肢挙上は片腕のみで、呼吸のコントロールを行う。)
④ズボンや靴下を履く(体を前屈して行うため、動作のスピードや方法を調整する。)

※入浴の生活指導:息切れがある場合は全身入浴を控え、半身浴やシャンプーハットを使用したシャワーなどで対応する。入浴中は酸素吸入を行わない場合が多いため、入浴時間は短めにする。

1.〇 正しい。洗髪を片手で行う。なぜなら、同時に両手の上肢挙上をすると血中酸素飽和度の低下を招きやすいため。
2.× 動作を「素早く」行う必要はない。なぜなら、素早く行うことで呼吸が止まりやすくなったり、血中酸素飽和度の低下を招きやすくなったりするため。呼吸状態に合わせて、休息を入れつつ動作のスピードや方法を個々に合わせて調整する慢性閉塞性肺疾患患者は安静時には呼吸困難が無くとも、労作に伴って急に強い呼吸困難が出現することが特徴である。これは在宅酸素療法で酸素吸入を行っていても同様であり、 作業療法を行う際はその内容を分割して呼吸困難の出現に注意を払う。
3.× 浴槽には、「肩まで」浸かるのはなく、半身浴が望ましい。なぜなら、浴槽に肩まで浸かることで、体温上昇や水圧による呼吸運動の妨げになるため。また、ややぬるめの湯温で長時間(15分以上)の入浴は避ける。
4.× 洗い場の椅子の座面は、「低く」ではなく適度な高さとする。なぜなら、胸腹部の圧迫(横隔膜の可動域制限)が起こり、呼吸苦が生じやすいため。座面は胸腹部が圧迫されない程度に高くして、長柄ブラシなどの使用で前かがみ動作を軽減させる。
5.× 入浴中は、「経鼻カニューレを外す」必要はなく、入浴中も酸素吸入を継続する。なぜなら、入浴の運動強度は中等度と強いため。ちなみに、経鼻カニューレとは、酸素を吸入するための管状の道具で、両側の鼻孔に向けた短いチューブの先端から酸素が流れるしくみになっているものである。洗うこともできるが、酸素を送る器械に装着する際は、十分に水分を切るように注意する。

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【OT/共通】呼吸(生理・運動など)についての問題「まとめ・解説」

 

 

58回 午前9

9 70歳の男性。診断名はCOPD。mMRC息切れスケールはグレード4、画像所見では肺の過膨張が指摘されている。在宅酸素療法が導入されていたが、感冒を契機に入院し、入院1週後に作業療法が開始となった。酸素安静時1L/分、労作時2L/分で、開始時(安静時)のバイタルサインは心拍数86/分、呼吸数22/分、SPO2:94%、修正Borg Scale2であった。
 作業療法で最も適切なのはどれか。

1.食事は一度に多めに摂取するように指導する。
2.IADL指導はパンフレットのみで行う。
3.心拍数が110/分になったら中止する。
4.ADL訓練はSPO2:85%以上で行う。
5.洗体動作は呼気に合わせて行う。

解答

解説

本症例のポイント

・70歳の男性(COPD)。
・mMRC息切れスケール:グレード4
・画像所見:肺の過膨張。
・在宅酸素療法が導入。
感冒を契機に入院。
・入院1週後:作業療法開始。
・開始時:心拍数86/分、呼吸数22/分、SPO2:94%、修正Borg Scale2。
→慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、以前には慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称である。他の特徴として、肺の過膨張、両側肺野の透過性亢進、横隔膜低位、横隔膜の平低化、滴状心などの特徴が認められる。進行性・不可逆性の閉塞性換気障害による症状が現れる。

【血中酸素飽和度が低下しやすい日常生活動作】
①排便(息を止めるため、呼吸のコントロールを行う)
②肩まで湯船につかる(胸部が圧迫されるため、動作環境や方法を工夫する)
③洗髪、上衣更衣、洗体など(上肢を使うため、上肢挙上は片腕のみで、呼吸のコントロールを行う。)
④ズボンや靴下を履く(体を前屈して行うため、動作のスピードや方法を調整する。)

※入浴の生活指導:息切れがある場合は全身入浴を控え、半身浴やシャンプーハットを使用したシャワーなどで対応する。入浴中は酸素吸入を行わない場合が多いため、入浴時間は短めにする。

(図引用:「息切れを増強させる4つの動作のイラスト(慢性呼吸器疾患)」看護roo!看護師イラスト集)

1.× 食事は、「一度に多め」ではなくこまめに摂取するように指導する。なぜなら、食事中は、食事中は前かがみになり、飲み込む時は息を止め、疲労しやすいため。また、食後に呼吸困難を与える原因として、満腹になると横隔膜が圧迫され息苦しくなることがあげられる。1回の食事量を減らし、食事回数を増やす。
2.× あえて、IADL指導はパンフレットのみで行う必要はない。むしろ、IADL(手段的日常生活動作)は、買い物、洗濯、電話、服薬管理などの道具を用いる複雑な動作であるため、その人の環境やニーズ、状態の把握を行い、安全に行えるように生活指導する必要がある。
3.× 心拍数は、「110/分」ではなく140/分になったら中止する。ちなみに、リハビリテーションの中止基準において、「いったんリハを中止し,回復を待って再開」できる基準として、脈拍が 120/分を越えた場合があげられている。いずれにせよ、110/分は中止する基準とはいえない。
4.× ADL訓練は、「SPO2:85%以上」ではなくSPO2:90%以上で行う。なぜなら、リハビリテーションの中止基準において、「積極的なリハを実施しない場合」で安静時酸素飽和度(SpO2)90%以下と記載されている。
5.〇 正しい。洗体動作は呼気に合わせて行う。洗体動作に限らず、息をこらえるような動作(着衣・排便など)でも息を吐きながらゆっくりと動作を行うよう指導する。

リハビリテーションの中止基準

1. 積極的なリハを実施しない場合
[1] 安静時脈拍 40/分以下または 120/分以上
[2] 安静時収縮期血圧 70mmHg 以下または 200mmHg 以上
[3] 安静時拡張期血圧 120mmHg 以上
[4] 労作性狭心症の方
[5] 心房細動のある方で著しい徐脈または頻脈がある場合
[6] 心筋梗塞発症直後で循環動態が不良な場合
[7] 著しい不整脈がある場合
[8] 安静時胸痛がある場合
[9] リハ実施前にすでに動悸・息切れ・胸痛のある場合
[10] 座位でめまい,冷や汗,嘔気などがある場合
[11] 安静時体温が 38 度以上
[12] 安静時酸素飽和度(SpO2)90%以下

2. 途中でリハを中止する場合
[1] 中等度以上の呼吸困難,めまい,嘔気,狭心痛,頭痛,強い疲労感などが出現した場合
[2] 脈拍が 140/分を超えた場合
[3] 運動時収縮期血圧が 40mmHg 以上,または拡張期血圧が 20mmHg 以上上昇した場合
[4] 頻呼吸(30 回/分以上),息切れが出現した場合
[5] 運動により不整脈が増加した場合
[6] 徐脈が出現した場合
[7] 意識状態の悪化

3. いったんリハを中止し,回復を待って再開
[1] 脈拍数が運動前の 30%を超えた場合。ただし,2 分間の安静で 10%以下に戻らないときは以後のリハを中止するか,または極めて軽労作のものに切り替える
[2] 脈拍が 120/分を越えた場合
[3] 1 分間 10 回以上の期外収縮が出現した場合
[4] 軽い動悸,息切れが出現した場合

 

 

共通問題

45回 午前93

93.呼吸器疾患で正しいのはどれか。

1.間質性肺炎は湿性咳嗽が多い。
2.気管支拡張症は血痰が出ることは少ない。
3.肺気腫は初期からチアノーゼが出やすい。
4.過換気症候群はバチ指を呈しやすい。
5.睡眠時無呼吸症候群は急に眠気に襲われることが多い。

解答5

解説

1.× 間質性肺炎は、「湿性咳嗽」ではなく乾性咳嗽が多い。なぜなら、間質性肺炎は、肺の線維化によって肺が広がりにくくなる拘束性肺疾患であるため。ちなみに、湿性咳嗽は気管支拡張症や慢性気管支炎に多い。
2.× 気管支拡張症は血痰が出ることは、「少ない」のではなく多い。なぜなら、気管支拡張症は、副鼻腔炎を合併することもあるため。気管支拡張症は、気管支が非可逆的に拡張し、周囲に慢性炎症を伴うものである。他の特徴として、①起床時に多い咳、②多量の痰(膿性~血性)、③喀血などが主な症状である。
3.× 肺気腫は、初期からチアノーゼが出やすいとはいえず進行すると出現する。肺気腫は、「終末細気管支より末梢の気腔が異常に拡大し、肺胞壁の破壊を伴うが、明らかな線維化は認められない状態」と定義される。つまり、閉塞性の障害であり、まずは主に呼気の障害が起こる。
4.× 過換気症候群は、バチ指を呈しやすいとはいえない。バチ指は、慢性に経過する心疾患肺疾患あるいは肝疾患などで見られる。これらの基礎疾患がなくとも先天性に変形していることもある。過換気症候群とは、器質的障害が認められないのにストレスや緊張、不安などの心理的要因等により発作的に肺胞過換気状態を生じ、呼吸性アルカローシスに基づく臨床症状を呈する病態をいう。
5.〇 正しい。睡眠時無呼吸症候群は、急に眠気に襲われることが多い。睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠時に無呼吸が繰り返され、睡眠の分断化、睡眠の減少により日中過度の眠気などを伴う病態である。

気管支拡張症とは?

異物を排除して感染予防に重要な呼吸器系の線毛の機能が低下するため感染が生じ易くなり、その結果、副鼻腔炎と気管支拡張症を生じる。また、線毛と関連して精子の鞭毛の異常を伴う。

 

 

47回 午後94

94 呼吸器疾患で正しいのはどれか。

1.肺線維症は閉塞性肺疾患である。
2.気管支拡張症では乾性咳嗽がみられる。
3.気管支喘息の発作時は1秒率が低下する。
4.過換気症候群では呼吸性アシドーシスになる。
5.CO2ナルコーシスは低CO2血症によって生じる。

解答3

解説

呼吸器疾患

閉塞性肺疾患(閉塞で呼気が障害されている)ので、1秒率が低下する。

拘束性肺疾患(肺の動きが悪くなっている)の1秒率は正常であるが、肺活量が減少する。

過換気症候群は、血中炭酸ガスが減少する結果、血液はアルカリ性となる。低Ca血症のため、四肢の硬直、痙攣、手足の先のしびれ、意識消失がみられることがあるが、通常は生命維持に影響がみられることはない。

1.× 肺線維症は、「閉塞性肺疾患」ではなく拘束性肺疾患である。肺線維症は、肺の線維化により肺は広がりにくくなる状態である。
2.× 気管支拡張症では、「乾性咳嗽」ではなく湿性咳嗽がみられる。気管支拡張症は、気管支が炎症などにより非可逆的に拡張した状態である。咳嗽(湿性咳嗽)と喀痰が主症状である。
3.〇 正しい。気管支喘息の発作時は1秒率が低下する。なぜなら、気管支喘息は、気道の慢性炎症による気道狭窄を示す閉塞性換気障害であるため。
4.× 過換気症候群は、「呼吸性アシドーシス」ではなく、呼吸性アルカローシスになる。なぜなら、過換気症候群は、発作的に肺胞過換気状態と呼吸困難を生じるため。
5.× CO2ナルコーシスは、「低CO2血症」ではなく、CO2の蓄積によりPaCO2が上昇し生じる。

CO2ナルコーシスとは?

慢性閉塞性肺疾患の患者は、慢性的に血中CO2濃度が上昇しており、体内のCO2濃度を感知する中枢化学受容体での感受性が鈍くなっている。したがって、普段の呼吸運動は低酸素を感知している酸素の受容体(末梢化学受容体)からの刺激によって起こっている。しかし、高濃度の酸素を投与されると酸素の受容体は体内に酸素が十分にあると判断し、呼吸中枢を抑制して呼吸運動が減弱する。その結果、体内に高度のCO2蓄積が起こり、意識障害などの中枢神経症状が起こる。

(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)

主な疾患

混合性換気障害:肺気腫など
拘束性換気障害:肺結核、肺線維症など
閉塞性換気障害:気管支喘息、気管支拡張症など

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