【共通のみ】てんかんについての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

MEMO

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【OT専門のみ】てんかんについての問題「まとめ・解説」

46回 午後99

99.光刺激で発作が誘発されるのはどれか。

1.欠神てんかん
2.側頭葉てんかん
3.ミオクロニーてんかん
4.West(ウェスト)症候群
5.Lennox-Gastaut(レンノックス・ガストー)症候群

解答3

解説
1.× 欠神てんかん(アブサンス)は、過呼吸により誘発されやすい。5~10秒程度の意識消失で、脳波上は典型的な3Hzの棘徐波複合を認める。学童期に発症することが多く好発年齢は5~8歳である。ちなみに、女児に多い。
2.× 側頭葉てんかんは、睡眠で誘発されやすい。複雑部分発作においては、側頭葉に限局する棘徐波複合脳波が認められる。好発年齢は学童期~成人である。
3.〇 正しい。ミオクロニーてんかんは、光刺激で発作が誘発される。若年性ミオクロニーは、突然全身あるいは四肢や体幹の一部にけいれんが起こるもので、発作時も意識は保たれる。好発年齢は、1~10歳である。
4.× West(ウェスト)症候群(点頭てんかん)は、原因不明の器質的脳障害に伴うことがある。発作間欠期の脳波で50~60%にはhypsarrhythmia (ヒプスアリスミア:高度の律動異常)を示す。他にも、眼球上転や頭部前屈が反復、下肢屈曲、四肢・体幹が屈曲するような痙攣発作が起こる。好発年齢は、乳幼児(4~12か月)である。
5.× Lennox-Gastaut(レンノックス・ガストー)症候群は、West(ウェスト)症候群(点頭てんかん)より移行して起こる。発作は難治性で頻発し、重積状態をきたしやすい。好発年齢は、幼児期(3~5歳)である。

 

 

47回 午後99

99 学童期に発症することが多いのはどれか。

1.欠神てんかん
2.熱性けいれん
3.側頭葉てんかん
4.West 症候群
5.Lennox-Gastaut 症候群

解答1

解説
1.〇 正しい。欠神てんかんは、学童期に発症することが多い。好発年齢は5~8歳である。ちなみに、女児に多い。
2.× 熱性けいれんの好発年齢は6か月~6歳(特に1~2歳)である。
3.× 側頭葉てんかんの好発年齢は学童期~成人である。
4.× West 症候群の好発年齢は、乳幼児(4~12か月)である。
5.× Lennox-Gastaut 症候群の好発年齢は、幼児期(3~5歳)である。

 

 

 

49回 午後97

97 欠神発作について正しいのはどれか。

1. 知的障害を伴う。
2. チアノーゼを伴う。
3. 学童期の発症が多い。
4. 部分発作に分類される。
5. けいれんは一側上肢から全身に広がる。

解答3

解説

欠神発作(小発作)の特徴

①全般発作(大脳の両側にまたがる広い範囲で過剰な興奮が起こることで発生する発作)の症候性てんかん(明らかな脳の病変が認められる)
②けいれんを伴わない。
③意識が短時間(5~10秒)消失する
④学童期(特に5~15歳)の女児に好発するが、成長とともに軽快する。

1.× 知的障害を伴うのは、West症候群(ウエスト症候群)、Lennox-Gastaut症候群(レノックス・ガストー症候群)である。
2.× チアノーゼを伴うのは、大発作(強直間代発作)である。ただし、呼吸筋にけいれんを場合である。
3.〇 正しい。学童期の発症が多い。特に5~15歳の女児に好発する。
4.× 「部分発作」ではなく全般発作に分類される。
5.× けいれんは一側上肢から全身に広がるのは、Jacksonてんかん(ジャクソンてんかん)である。欠神発作(小発作)にはけいれんは伴わない。

 

 

 

50回 午前100

100 12歳の女児。寝不足の朝、突然に顔面や上肢にぴくつきが生じて物を落とす。
このときに意識消失はない。脳波で光過敏性を認める。
 考えられるのはどれか。

1. 覚醒時大発作てんかん
2. 若年性ミオクロニーてんかん
3. 小児欠神てんかん
4. 側頭葉てんかん
5. Lennox-Gastaut症候群

解答2

解説

1.× 覚醒時大発作てんかん(強直間代発作)は、呼吸停止眼球上転咬舌などの症状が起こるため不適切である。
2.〇 正しい。若年性ミオクロニーてんかんである。若年性ミオクロニーは、突然全身あるいは四肢や体幹の一部にけいれんが起こるもので、1~10歳が好発年齢である。意識は保たれ、光刺激で誘発されやすい。
3.× 小児欠神てんかんは、過呼吸により誘発されやすい。
4.× 側頭葉てんかんの発作中の意識記憶は欠如している。
5.× Lennox-Gastaut症候群(レノックス・ガストー症候群)は、3~5歳で発症し、急に四肢が硬くなり脱力発作が起こる。

 

 

51回 午前98

98 笑いなどの強い情動で突然に筋緊張が低下し脱力する。
 このような症状がみられるのはどれか。

1. 欠神てんかん
2. 側頭葉てんかん
3. ナルコレプシー
4. 血管迷走神経失神
5. Jackson型てんかん

解答3

解説

 問題文の「笑いなどの強い情動で突然に筋緊張が低下し脱力する」症状は、情動脱力発作(カタプレキシー)のことである。激しい情動を契機にレム睡眠の時と同様の「筋トーヌスの低下」が起こり、立位が保てずしゃがみ込んでしまう。なかでも喜びや幸福感、愛情といった「陽性の情動」によって引き起こされやすい。

 

1.× 欠神てんかんは、小児期の女児に多くみられるてんかん発作である。特徴は、突然の意識消失数秒後の回復を特徴とし、脳波では3Hz棘徐波複合がみられる。
2.× 側頭葉てんかんは、単純部分発作複雑部分発作、二次性全般化のいずれかが起こる。症例の多くは、複雑部分発作で、30秒~5分の自動症の発作があり、発作中の行動の記憶がない。自動症としては、口部自動症(口をもぐもぐさせる)や行動性自動症(手足を動かしたり、徘徊する)がみられる。
3.〇 正しい。ナルコレプシーとは、日中に突然起こる強い眠気が特徴の脳疾患(睡眠障害)である。怒りや笑いなどの感情が誘因となって起こる情動脱力発作(カタプレキシー)が出現することが多い。入眠時はレム睡眠となるため、入眠時の金縛り(意識はあるが抗重力筋の活動が著しく低下するため動けない)、睡眠の断片化による中途覚醒やリアルな悪夢のためうなされることも多い。
4.× 血管迷走神経失神は、若年者に多く、原因としては注射前後、長時間の直立不動、過度の緊張などがあり、失神前に悪心・ふらつき・発汗を呈する。失神の原因として最も頻度が高い。
5.× Jackson型てんかん(Jackson発作)は、一次運動野(中心前回)に始まったてんかん発作が隣接部位に進展・波及し、手→腕→肩などと痙攣が移動する。

 

 

 

52回 午後89

89 てんかんについて正しいのはどれか。

1. 半数以上が遺伝性である。
2. 睡眠不足は発作の誘因である。
3. 年齢とともに発症率が減少する。
4. 成人では症候性よりも特発性が多い。
5. 発作の持続時間は後遺障害と相関しない。

解答:2

解説

1.✖ 半数以上が、「遺伝性」ではなく症候性である。
2.〇 正しい。てんかん発作は、睡眠不足のほかにアルコール過労で発作の誘因である。
3.✖ てんかんは、年齢とともに発症率が減少するとは限らない。生後2歳までの間と、思春期に最も多く出現する。
4.✖ 逆である。成人では症候性の方が多い。
5.✖ 発作の持続時間と後遺障害は相関する。例として、全身性強直間代発作が5分続けばてんかん重積状態と診断して治療を始め、30分持続すれば後遺障害を生じる可能性がある。また、部分発作や欠神発作重積では10分以上続けば治療を開始し、1時間以上持続すれば後遺障害を遺す可能性が高い。

発作の誘因

①睡眠不足、②疲労、③発熱、④飲酒、⑤低血糖、⑥生活環境の変化

 

 

 

52回 午後99

99 てんかんについて正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 単純部分発作は意識障害がみられる。
2. 欠神発作は過換気によって誘発される。
3. 特発性てんかんは脳の器質的病変が特定できる。
4. 複雑部分発作は側頭葉てんかんに多くみられる。
5. 全般発作は発作開始時にてんかん放電が大脳半球の片側にとどまっている。

解答:2,4

解説

1.✖ 単純部分発作は意識障害がみられない。意識障害を伴うものは複雑部分発作である。
2.〇 正しい。欠神発作は過換気によって誘発され、脳波上に持続的な3Hzの棘徐波複合が出現する。
3.✖ 脳の器質的病変が特定できるのは、「特発性(原発性)てんかん」ではなく続発性全般発作である。ちなみに、特発性(原発性)てんかんの多くの病因は不明である。
4.〇 正しい。複雑部分発作は、側頭葉てんかんに多くみられる。単純部分発作もみられる。
5.✖ 全般発作は発作開始時にてんかん放電が、「大脳半球の片側」ではなく脳全体で起こる。つまり、全般発作は両側大脳半球が同時に過剰放電して始まる。部分発作が、発作開始時にてんかん放電が大脳半球の片側にとどまっている。

 

53回 午前96

96.高齢初発てんかんについて正しいのはどれか。

1.特発性てんかんが多い。
2.患者数は減少傾向にある。
3.部分発作を呈することが多い。
4.てんかん重積状態に至ることはない。
5.抗てんかん薬が無効であることが多い。

解答:3


解説

 高齢(65歳以上)発症てんかんの有病率は1~2%であり、高齢化社会とともに増加傾向である。

1.× 「特発性てんかん」ではなく、側頭葉てんかん(脳卒中や神経変性疾患などが原因である症候性てんかん)が最も多い(約7割)。
2.× 患者数は、「減少傾向」ではなく増加傾向にある。
3.〇 正しい。部分発作を呈することが多い。脳の器質的病変を原因とする。
4.× てんかん重積状態に至る。てんかん重積状態とは、てんかん発作が30分以上続くか、発作が断続してその間意識がない場合をいう。側頭葉てんかんは、発作中の行動を忘れる。約30%がてんかん重積状態をきたす。
5.× 抗てんかん薬が効果的である。成人の側頭葉てんかんの80%は、薬で発作を抑えることが可能である。

 

 

 

 

 

54回 午後97

97. てんかんで正しいのはどれか。

1. 常にけいれんを伴う。
2. 発症率は30歳代が70歳代よりも高い。
3. West症候群の発症のピークは3~5歳である。
4. 高齢発症の症候性てんかんの原因疾患としては脳血管障害が最も多い。
5. てんかんによる突然死のリスクは、強直間代発作よりも欠神発作の方が高い。

解答

解説
てんかんには、大きく分け部分性てんかん全般性てんかんがある。そのなかにもいくつかに分けられるので、ひとつひとつ覚えておく。

1. ×:種類によっては(例えば、欠神発作や複雑部分発作)は、けいれんを伴わないものもある。
2. ×:てんかんの好発年齢は、小児期~思春期および老年期(60歳以降)である。
3. ×:West症候群(点頭てんかん)の発症のピークは、「3~5歳」ではなく乳幼児(4か月~12か月)である。3~5歳がピークなのはレノックス症候群である。
4. 〇:正しい。高齢発症の症候性てんかんの原因疾患としては脳血管障害が最も多い。ちなみに、症候性てんかんの約7割が側頭葉転換である。
5. ×:逆である。てんかんによる突然死のリスクは、欠神発作より強直間代発作の方が高い。強直間代発作の症状として、呼吸停止し眼球上転、咬舌、転倒による外傷がある。一方、欠神発作では突然意識が減損し活動を中断するが、すぐに元の状態に戻る特徴を持つ。

 

 

55回 午前96

96 てんかんで正しいのはどれか。

1.遺伝素因はない。
2.意識障害が必発する。
3.高齢発症は稀である。
4.病因は特発性と症候性に分けられる。
5.我が国の患者は約10万人と推定されている。

解答
解説
1.× 遺伝素因はないとは言いにくい。てんかん患者の子孫から生まれてくる子は、健常者から生まれてくる子よりてんかん有病率が高いというデータもある。
2.× 意識障害は、必発ではない。焦点発作や自律神経発作などは意識障害をともなわないてんかん(単純部分発作)もある。
3.× 高齢発症は稀であるとはいえない。てんかんの好発年齢は、小児期~思春期および老年期(60歳以降)である。
4.〇 正しい。病因は、①特発性(原発性:原因が不明)と、②症候性(続発性:原因が特定している)に分けられる。症候性の原因には、脳の先天奇形、脳腫瘍、脳血管障害、神経変性疾患などがあげられる。
5.× 我が国の患者は、「約10万人」ではなく、約100万人(有病率0.5~1%)と推定されている。

 

 

 

55回 午後100

100 てんかんに伴う精神症状として適切でないのはどれか。

1.粘着性
2.爆発性
3.疾病利得
4.不機嫌状態
5.もうろう状態

解答
解説

てんかんに関連した精神症状

 発作が起こる前に怒りっぽくなるなどの症状や、発作の症状として精神症状があらわれることがある。精神症状の多くは複雑部分発作の際にみられる。さらに、発作後に不安感や興奮状態などがみられることもある。

【てんかんに関連した精神症状】
・意識障害:意識が変わる(意識変容)、もうろうとする、意識が混濁する。
・感情障害:不機嫌になる、怒りっぽくなる(爆発性)。
・性格変化:まわりくどくなる(迂遠、冗漫)、しつこくなる(粘着性)。
・精神病様状態:幻覚がみえる、妄想てきになる。
・行動異常:無意味な動作を繰り返す(自動症)、異常な行動、暴力的、犯罪。

1~2.4~5.× 粘着性(些細なことに固執すること)・爆発性(易刺激的、易怒的、攻撃的と同義)・不機嫌状態(易刺激性、抑うつなどの症状が一定期間持続すること)・もうろう状態は、てんかんに伴う精神症状として適切である。
3.〇 正しい。疾病利得は解離性(転換性)障害にみられる。 

 

 

 

 

56回 午後97

97 てんかん患者が複雑部分発作を起こして部屋を歩き回った際の対応として正しいのはどれか。

1.体をゆする。
2.大声をかける。
3.一緒に移動する。
4.割り箸を噛ませる。
5.室内に一人きりにする。

解答

解説

複雑部分発作の発作中

自動症:発作中は意識が消失し、口をもぐもぐしたり、徘徊したり、その場に適応しない異常行動を生ずる。

発作中の行動は危険なもの以外は無理に抑制せず、周囲に危険物があれば取り除き、意識が回復するまで一定の距離を保って見守るのが良い。

1.× 発作中は、体をゆすったり押さえつけたりしても効果ない。むしろ、患者に怪我を与えてしまうことがあるため行わないほうが良い。
2.× 発作中は、大声をかけたり名前を呼んだりしても効果ない
3.〇 正しい。一緒に移動して、周囲の危険物に注意して体を打撲しないようにする。発作後、患者自身が発作前にいた場所と違うところにいることで発作を自覚する(健忘を伴う)ため、一緒に移動し発作後に必要に応じて声をかける。
4.× 発作中に口の中に物を入れてはいけない。割り箸などの硬い物を噛ませると口の中を傷つけたり歯が折れたり、嘔吐を誘発するため危険である。嘔吐後の誤嚥性肺炎となったケースもある。
5.× 室内に一人きりにするのは危険であるため、本人の安全に注意して見守る

 

 

57回 午前96

96 てんかん発作で意識障害を伴わないのはどれか。

1.間代発作
2.強直発作
3.欠神発作
4.Jackson発作
5.非定型欠神発作

解答

解説

1.× 間代発作は意識障害を伴う。てんかん発作の全般発作に分類される間代発作は「ガクンガクンとした一定リズムのけいれんが特徴である。
2.× 強直発作は意識障害を伴う。てんかん発作の全般発作に分類される間代発作は強直発作「突然意識を失い、全身が硬く突っ張る」のが特徴である。
3.× 欠神発作は意識障害を伴う。てんかん発作の全般発作に分類される欠神発作は、「突然の動作停止、数秒間ボートする」のが特徴である。虚空(こくう:何もない空間)を注視する。
4.〇 正しい。Jackson発作は意識障害を伴わない。Jacksonてんかん(ジャクソンてんかん)は、部分性単純発作に分類され、焦点運動発作が身体の一部に起こり、これが大脳隣接部分に次々に波及して身体部位に発作が進行していく。予後は比較的良好で、知能は正常である。
5.× 非定型欠神発作は意識障害を伴う。非定型欠神発作は、Lennox-Gastaut症候群(レノックス・ガストー症候群)などのことをいう。Lennox-Gastaut症候群(レノックス・ガストー症候群)は、3~5歳で発症し、急に四肢が硬くなり脱力発作が起こる。知的障害を伴う。

欠神発作の分類

欠神発作は、①定型欠神と②非定型欠神に分類される。非定型欠神は、脳全体に全般性に現れる棘徐波に一致して意識消失を主体とする発作症状がみられるという点では定型欠神と同じだが、発作の始まりや終わりが定型欠神ほどはっきりしなくて、なんとなく始まり、なんとなく終わるということがほとんどである。脳波上も定型欠神のものより遅い1.5~2.5サイクルの棘徐波が認められる。定型欠神は、脳に障害がない患者さんに多くみられるが、非定型欠神はLennox-Gastaut症候群(レノックス・ガストー症候群)など脳に障害のある患者さんによくみられる発作である。

 

 

 

 

58回 午前98

98.欠神発作で正しいのはどれか。

1.心因性である。
2.高齢で発症する。
3.発作後に入眠する。
4.過呼吸で誘発される。
5.周囲の人に気付かれやすい。

解答

解説

欠神発作とは?

欠神発作は、①定型欠神と②非定型欠神に分類される。非定型欠神は、脳全体に全般性に現れる棘徐波に一致して意識消失を主体とする発作症状がみられるという点では定型欠神と同じだが、発作の始まりや終わりが定型欠神ほどはっきりしなくて、なんとなく始まり、なんとなく終わるということがほとんどである。脳波上も定型欠神のものより遅い1.5~2.5サイクルの棘徐波が認められる。定型欠神は、脳に障害がない患者さんに多くみられるが、非定型欠神はLennox-Gastaut症候群(レノックス・ガストー症候群)など脳に障害のある患者さんによくみられる発作である。

1.× 心因性であるおこるのは、「てんかん」ではなく心因性非てんかん性発作(いわゆる偽発作)である。欠神発作の原因は、てんかんのような脳の機能異常である。
2.× 発症するのは、「高齢」ではなく小児期(出生から思春期)である。
3.× 発作後に入眠することもあるのは、「欠神発作」ではなく強直間代けいれん発作である。強直間代けいれん発作は、十数秒間の全身性の強直期(体幹・四肢を伸展する強直発作)に続いて、数十秒持続する間代期(四肢を激しく動かす間代発作)が出現し、この間は意識が消失する。発作後は、数分間のもうろう状態を示し、その後睡眠に移行することもある。対応として、無理に発作を抑えつけないようにすることが重要である。また、重積状態では意識は消失し、呼吸機能が低下するおそれがあるので、まずはバイタルサインを確認するべきである。ちなみに、欠神発作もまれに発作後に入眠することもある。
4.〇 正しい。過呼吸で誘発される。欠神発作は両側大脳半球が同時に過剰興奮を起こすてんかんである。その発作は突然の意識消失を主徴とし、諸行動の中断、空虚な凝視、短時間の眼球上転などからなる。発作は突然はじまり数秒から約30秒間持続し、突然収束する。脳波では発作中に 3Hz 棘徐波複合を認め、過呼吸によって誘発される。欠神発作の診断と治療効果の判定には脳波検査で過呼吸賦活を行うことが有効である(※引用:「欠神発作における過呼吸賦活について」愛知医科大学病院様HPより)。
5.× 周囲の人に気付かれ「やすい」のではなく「にくい」。なぜなら、欠神発作は数秒気を失う程度であるため。手足が硬直したり、倒れるというような目に見えて派手な動きが見られないため、周りの人からは発作が起きていることを気付かれにくい。虚空(こくう:何もない空間を注視する)ことや、突然に会話を停止することがみられる。

 

 

59回 午前98

98 ミオクロニー発作で正しいのはどれか。

1.意識消失を伴うことが多い。
2.高齢で発症することが多い。
3.数分間持続する。
4.光刺激で誘発される。
5.片側性である。

解答

解説

てんかん発作とは?

てんかん発作は、大脳皮質における神経細胞の異常な興奮によって痙攣などの症状が出現する。発作型を大きく大別すると①部分発作(脳の一部分が過剰興奮して始まる)と、②全般発作(両側大脳半球が同時に過剰放電する)に分けられる。作業療法の場面では、意識消失・けいえん・無目的な行動(自動症)に注意する。

1.× 意識消失を「伴わない」。全般発作は、特発性全般発作(①強直間代発作、②欠神発作、③ミオクロニー発作)と続発性全般発作(①点頭てんかん、②レノックス症候群)などがみられる。そのうち、①強直間代発作、②欠神発作は意識消失をきたすが、③ミオクロニー発作は意識消失を伴わない。ミオクロニー脱力発作ともいい、突然全身あるいは一部の筋の収縮が起こるもので、意識障害は伴わないのが特徴である。
2.× 「高齢」ではなく青年で発症することが多い。好発年齢70~80%の方が12歳~18歳に発症し、やや女性に多いと報告されている。
3.× 「数分」ではなく数秒間(短時間)持続する。ミオクロニー発作とは、きわめて短時間に一つの筋、あるいはいくつかの筋群に攣縮が生じるものをいう。
4.〇 正しい。光刺激で誘発される。ほかにも、誘発因子として睡眠不足、早朝覚醒、過度の精神的ストレス、アルコール多飲などがあげられる。
5.× 「片側性」ではなく両側性である。ミオクロニー発作の症状として、両手が急にびくっと動く発作である。両側同時に、また左右対称性に起こり、箸や茶わん、スマホなどを投げ出してしまう場合もある。

 

 

 

59回 午後84

84 抗てんかん薬の副作用で最も頻度の低いのはどれか。

1.傾眠
2.複視
3.めまい
4.肝機能障害
5.末梢神経障害

解答

解説

抗てんかん薬とは?

てんかん発作は、大脳の神経細胞の過剰な電気的興奮と、その興奮が広がることによって起こる。抗てんかん薬はこの「興奮系」を抑えるタイプと、興奮の広がりを抑える「抑制系」の働きを強めるタイプがある。したがって、種類が多い。薬剤によっては、消化器症状や小脳失調など多彩な症状を示す。おおむね脳の興奮を抑える作用を持つので、副作用は眠気・頭痛・めまい・ふらつきなどである。また、薬効は中枢神経に留まることも少なく、他の臓器に影響を与えることもあり、それが心伝導系の障害や肝機能障害などを引き起こす。これは長期間の服用になればなるほど出やすく、肝機能の低下だけでなく、白血球減少や脱毛なども引き起こすこともある。

1.3.〇 傾眠/めまい/複視(眼振、嘔吐など)、抗てんかん薬の急性的な副作用である。なぜなら、一般的な抗てんかん薬は、脳の興奮を抑える作用を持つため。大脳以外にも小脳にも作用をきたすことがあり、神経系への抑制による副作用として、眼振、複視、眠気、嘔気、食欲低下、小脳性運動失調、精神症状などきたすこともある。
4.〇 肝機能障害は、抗てんかん薬の長期的な副作用である。なぜなら、薬効は中枢神経に留まることも少なく、他の臓器に影響を与えることもあるため。例えば、エトスクシミドでは、消化器症状の副作用が服用開始数日以内に起こることが多く、小児では20%~33%の割合でおこるといわれている(※参考:「抗てんかん薬の副作用とは?」てんかん情報センターより)。
5.× 末梢神経障害は、抗てんかん薬の副作用で最も頻度の低い。作用はの興奮の抑制であるため、末梢神経より中枢神経への副作用の頻度のほうが多い。ちなみに、末梢神経障害は、主に①運動障害、②感覚障害、③自律神経障害などの症状で、原因として、糖尿病や多発性硬化症などの疾患、外傷、感染、がん化学療法の副作用として起こることが多い。

 

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