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※問題の引用:厚生労働省より
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【OT専門のみ】心電図についての問題「まとめ・解説」
45回 午前2
2.心電図を下図に示す。
不整脈として考えられるのはどれか。
1.二段脈
2.房室ブロック
3.右脚ブロック
4.上室性期外収縮
5.多源性心室期外収縮
解答5
解説
①P波(−)、幅広いQRS波を認める。
②通常のQRS波よりも早期に出現を認める。
③波形の異なるQRSが複数見られる。
→多源性心室期外収縮を疑う。
1.× 二段脈とは、心室性期外収縮が1つおきに出現する場合(洞調律や上室性調律と心室性期外収縮が交互に出現すること)をいう。ちなみに、2つおきに出現する場合を三段脈と呼ぶ。原因として、狭心症や心筋梗塞、弁膜症、心筋症などの心疾患や心不全をはじめとして、ストレスや疲労、カフェイン・アルコールの摂取、加齢など様々なものがある。ジギタリス中毒に伴う。
2.× 房室ブロックは、心房から心室への伝導障害をいう。第1度〜第3度に分類される。
3.× 右脚ブロックは、右室の興奮開始と終了は、左室より遅れ QRS波は幅広く変形する。
4.× 上室性期外収縮は、洞結節の興奮よりも早期に心房から興奮が出現する不整脈である。つまり、先行するP波と本来より早いQRS波が特徴である。
5.〇 正しい。多源性心室期外収縮が起こっている。心電図より、P波が欠落し、通常のQRS波よりも早期に出現し幅広く、かつ変形したQRS波を認める。これより、心室性期外収縮であると考えられる。多源性とは複数の異所中枢から出た期外収縮のことであり心室性期外収縮の形が2種類以上認められた場合にこのように呼ぶ。Lownの分類(心室性期外収縮の重症度評価)において、Grade3:多源性(期外収縮波形の種類が複数あるもの)以上の場合は、直ちに医師に連絡し、適切な指示を受ける必要がある。なぜなら、突然死の原因となる可能性が高いため。
房室ブロックは、心房から心室への伝導障害をいう。第1度〜第3度に分類される。
・1度房室ブロック:心房から心室への伝導時間が延長するが、P波とQRS波の数や形は変わらない。
・2度房室ブロック
①ウェンケンバッハ型(モビッツⅠ型):PR間隔が徐々に延長してQRSが脱落する。
②モビッツⅡ型:心房から心室への伝導が突然途絶える。P波の後のQRSが突然脱落する。
・3度房室ブロック:心房からの刺激が途絶え、P波とQRSが無関係に生じるようになる。
Grade0:心室性期外収縮なし
Grade1:散発性(1個/分または30個/時間未満)
Grade2:散発性(1個/分または30個/時間以上)
Grade3:多源性(期外収縮波形の種類が複数あるもの)
Grad4a:2連発
Grade4b:3連発以上
Grade5:短い連結期(R on T現象)
46回 午後5
5.心電図を示す。
考えられる不整脈はどれか。
1.心房細動
2.心室頻拍
3.房室ブロック
4.心室性期外収縮
5.発作性上室性頻拍
解答1
解説
①P波:消失(f波あり:不規則で小刻みな基線のゆれ)
②QPSの間隔:不規則
1.〇 正しい。心房細動は、心原性脳塞栓症の原因として最も多い不整脈である。心房細動は、心臓がこまかく震えている状態である。血栓ができやすいため脳塞栓の原因となり最多である。心房細動の特徴として、心房の興奮が形・大きさともに不規則であり、基線が揺れている(f波)。心房が正常に収縮しないためにP波が消失し、QRS波が不規則である。
2.× 心室頻拍は、心室の興奮が頻繁となっている状態である。特徴は、①脈拍数は上昇(心室性期外収縮が3回以上続く)、②幅広いQRS波が規則正しく出現、③RR間隔は狭くなる。
3.× 房室ブロックは、心房刺激が心室に伝わりにくくなった状態である。
4.× 心室性期外収縮は、P波は認められず、幅広い変形したQRS波が見られる。
5.× 発作性上室性頻拍は、規則正しい幅R-R間で、狭い幅のQRS波が連続して見られ、150/分ほどの頻脈となる。
47回 午前17
17 心電図を(下図)に示す。
STの上昇がみられるのはどれか。
1.Ⅰ誘導
2.Ⅲ誘導
3.aVL誘導
4.V2誘導
5.V6誘導
解答2
解説
今回設問で提示された心電図は、第Ⅰ誘導、第Ⅱ誘導、第Ⅲ誘導、aVR誘導、aVL誘導、aVF誘導である。
第Ⅰ誘導:左室の側壁を見ている。つまり、主に右室側から心臓を見る誘導である。
第Ⅱ誘導:心臓を心尖部から見ている。 つまり、右室と左室前壁側から心臓を見る誘導である。
第Ⅲ誘導:右室側面と左室下壁を見ている。つまり、心室中隔と左室前壁から心臓を見る誘導である。
aVR誘導:右肩から心臓を見る誘導である。逆転した波形が見られる。
aVL誘導:左肩から心臓を見る誘導である。
aVF誘導:心臓を、ほぼ真下から見ている。
第Ⅱ誘導が四肢誘導で、波形が最も明瞭に描かれ、一般的によく見る心電図の波形となる。
1.3~5.× Ⅰ誘導/aVL誘導/V2誘導/V6誘導は正常である。
2.〇 正しい。Ⅲ誘導のほかにも、Ⅱ、aVFに軽度のST上昇がみられる。心臓の下壁梗塞が考えられる。
48回 午後4
4 心電図(下図)を別に示す。
異常の原因となっている部位はどれか。
1.心房
2.洞結節
3.ヒス束
4.房室結節
5.プルキンエ線維
解答4
解説
本症例の心電図は、P波とQRS波の出現するタイミングのずれ(PR間隔が徐々に延長)がみられる。また、P波の一部がその前のT波に被っている。最後に、心室興奮を示すQRS波が脱落し、これを繰り返しているため、2度房室ブロック(ウェルニッケ型:モビッツⅠ型)である。
1.× 心房の興奮(P波)の出現は正常である。一定にP波が出ていることが読み取れる。
2.× 洞結節は正常であり、心房への伝導(P波)は正常である。
3.× ヒス束は正常であり、心室へ興奮(QRS波)は伝わっている。ヒス束が異常である場合、PR間隔の延長はなく、突然P波の後のQRS波が脱落する『モビッツ型Ⅱ度房室ブロック』が起こる。
4.〇 正しい。房室結節が異常の原因となっている。心房から心室の伝導(PR間隔)が延長しており、ついには心室への興奮(QRS波)が脱落している。
5.× プルキンエ線維は、心臓全体の心室内膜下に至り、心室心筋に刺激を伝導する。心室の興奮(QRS波)自体は正常である。
(※看護roo!様「看護師イラスト集」より)
49回 午前19
19 運動中のモニター心電図を下図に示す。
心拍数が75/分以上100/分未満であるものはどれか。
1. ①
2. ②
3. ③
4. ④
5. ⑤
解答4
解説
心電図の記録用紙の紙送り速度は25mm/秒である。つまり、1メモリ0.04秒である。心拍数が「75/分以上100/分未満」=R間隔が「0.6秒以上0.8秒未満」=「15メモリ以上20メモリ未満」であるものとなる。
1. × ①のR波間隔は約10メモリ(0.4秒)であり、1分間の心拍数は150/分となる。
2. × ②のR波間隔は約30メモリ(1.2秒)であり、1分間の心拍数は50/分となる。
3. × ③のR波間隔は約25メモリ(1.0秒)であり、1分間の心拍数は60/分となる。
4. 〇 正しい。④のR波間隔は約17メモリ(0.68秒)であり、1分間の心拍数は88/分となる。
5. × ⑤のR波間隔は約43メモリ(1.72秒)であり、1分間の心拍数は35/分となる。
49回 午後19
19 運動中に得られたモニター心電図を下図に示す。
多源性の心室期外収縮(Lownの重症度分類グレード3)はどれか。
1. ①
2. ②
3. ③
4. ④
5. ⑤
解答4
解説
1.× ①は、心室粗動である。心室粗動とは、P波がなく、心室内の興奮が無秩序に行われている状態をいう。致命的な不整脈であり、心室粗動は心室細動に比べ規則正しい大きな波形が現れる心室頻拍から移行するので心室頻拍をみたら放置してはならない。心室頻拍とは、P波はなく、幅広く変形したQRSのRR間隔が等しく出現している状態で、心室性期外収縮3連発以上のものをいう。P波は見えない例が多く、心臓ポンプ作用が低下し、心拍出量が減少する。
2.× ②は、心室性期外収縮(Lown分類グレード2)である。なぜなら、P波はなく、幅広く変形したQRSが約20回/分出現しているため。
3.× ③は、心室性期外収縮(Lown分類グレード4b)である。なぜなら、P波はなく、幅広く変形したQRSが3連発出現しているため。
4.〇 正しい。④は、多源性の心室期外収縮(Lown分類グレード3)である。なぜなら、P波はなく、幅広く変形したQRSである心室性期外収縮が2種類みられる。
5.× ⑤は、心室性期外収縮(Lown分類グレード1)である。なぜなら、P波はなく、幅広く変形したQRSであるため。
grade0:心室性期外収縮無し
grade1:散発性(1個/分または30個/時間未満)
grade2:散発性(1個/分または30個/時間以上)
grade3:多源性(期外収縮波形の種類が複数あるもの)
grade4a:2連発
grade4b:3連発
grade5:短い連結期(R on T現象)
50回 午後15
15 肢誘導における心電図(下図)を別に示す。
正しいのはどれか。
1. 心房細動
2. 心房粗動
3. Ⅱ度房室ブロック
4. 心室期外収縮
5. 心室頻拍
解答4
解説
今回設問で提示された心電図は、第Ⅰ誘導、第Ⅱ誘導、第Ⅲ誘導、第aVR誘導、第aVL誘導、第aVF誘導である。
第Ⅰ誘導:左室の側壁を見ている。つまり、主に右室側から心臓を見る誘導である。
第Ⅱ誘導:心臓を心尖部から見ている。 つまり、右室と左室前壁側から心臓を見る誘導である。
第Ⅲ誘導:右室側面と左室下壁を見ている。つまり、心室中隔と左室前壁から心臓を見る誘導である。
aVR誘導:右肩から心臓を見る誘導である。逆転した波形が見られる。
aVL誘導:左肩から心臓を見る誘導である。
aVF誘導:心臓を、ほぼ真下から見ている。
第Ⅱ誘導が四肢誘導で、波形が最も明瞭に描かれ、一般的によく見る心電図の波形となる。
先行P波を欠く、幅広いQRS波が通常より早期に出現している。
1.× 心房細動は、P波は見られず、f波(心房の細かなふるえが基線の揺れとして記録されたもの)が出現する。またR-R間隔は不定である。
2.× 心房粗動は、P波は見られず、F波(ノコギリ状)が出現する。
3.× Ⅱ度房室ブロックの特徴として、心房から心室への伝導が突然途絶える。そのため、P波の後のQRS波が突然脱落する(QRS波の脱落)。
4.〇 正しい。心室期外収縮は、洞結節以外の部位の興奮が司令塔となり、一連の心筋の興奮を起こす不整脈である。心室性期外収縮の心電図では、P波は認められず、幅広い変形したQRS波が見られる。
5.× 心室頻拍は、心室性期外収縮が3回以上続くものであり、QRSの幅が広くなるのが特徴である。
51回 午前12
12 65歳の女性。慢性心不全。自宅でめまいと失神発作とを認めたため来院した。来院時の心電図を下図に示す。
この患者にみられるのはどれか。
1. 洞性頻脈
2. 心室頻拍
3. 心室期外収縮
4. Ⅰ度房室ブロック
5. Ⅲ度房室ブロック
解答5
解説
P波の後のQRS波の関連性がなく、両者がそれぞれに独立したリズムで出現している。心房・心室リズムは各々整であるが、連携がばらばらの状態であるため、PR間隔が不規則である。よって、選択肢5.Ⅲ度房室ブロックが正しい。本症例の場合、P波は等間隔であるが、QRS波が等間隔ではない。この場合でもⅢ度房室ブロックと呼んでいいのか?もしくは筆者の心電図の読み方が違うのか分かる方、ご教授いただければ幸いです。
1.× 洞性頻脈は、洞結節の興奮頻度が上昇している状態である。洞性頻脈の特徴は、洞調律である状態は保たれており、P波に続いてQRS波・T波が見られ、かつ幅も正常である。心拍数は100/分以上となる。
2.× 心室頻拍は、心室の興奮が頻繁となっている状態である。心室頻拍の特徴は、房室結節を通らない興奮のため、幅の広いQRS波が連続して認められる。心室頻拍の場合も、ほうっておくと心室細動に移行して、意識がなくなって突然死を起こすことがある。除細動の適応である。また、基礎心疾患を伴う場合は、植え込み型除細動器(ICD)の適応となる。
3.× 心室期外収縮は、洞結節以外の部位の興奮が司令塔となり、一連の心筋の興奮を起こす不整脈である。心室性期外収縮の心電図では、P波は認められず、幅広い変形したQRS波が見られる。
4.× Ⅰ度房室ブロックの特徴として、RR間隔の延長(0.28秒)がある。一般的に治療を要さないことが多い。
52回 午後14
14 75歳の男性。冠動脈バイパス術後。病棟での運動療法中に胸部不快感を生じた。そのときのモニター心電図を下図に示す。
この患者にみられるのはどれか。
1. 心房細動
2. 洞性徐脈
3. WPW症候群
4. 心室性期外収縮
5. Ⅱ度房室ブロック
解答:1
解説
心電図の読解の問題は、①P波の有無、②R-R間隔が一定か、③QRSの幅の広さ、の3点を読む。
1.〇 正しい。心房細動である。特徴として、心房の興奮が形・大きさともに不規則であり、基線が揺れている(f波)。心房が正常に収縮しないためにP波が消失し、QRS波が不規則なことより心房細動ということが読み取れる。
2.✖ 洞性徐脈の特徴として、洞結節からの興奮が緩徐となっている状態である。
3.✖ WPW症候群は、正常な刺激伝導系以外に心房と心室を連結する伝導路が存在することにより、心室の早期興奮が生じるものであり、しばしば発作性の不整脈を生じる。心電図の特徴として、緩やかに立ち上がった後に急峻なR波。この緩やかな部分をデルタ波であり、WPW症候群の特徴的所見である。他にも、PQ間隔短縮、幅広いQRS波を認める。
4.✖ 心室性期外収縮の特徴として、本来の洞結節からの興奮より早く心室で興奮が開始する。つまり、P波を伴わない幅広く変形したQRS波が洞調律と関係ない部分でみられる。
5.✖ Ⅱ度房室ブロックの特徴として、心房から心室への伝導が突然途絶える状態である。そのため、P波の後のQRS波が突然脱落する(QRS波の脱落)。
53回 午前2
2.心電図を下図に示す。
心電図と所見の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
1. ①:心房細動
2. ②:洞性徐脈
3. ③:心室性期外収縮
4. ④:心房性期外収縮
5. ⑤:発作性上室性頻拍
解答:3,4
解説
1.× ①は、発作性上室性頻拍である。突然脈拍が速くなり、しばらく続いたあとに突然止まるという症状である。torsade de pointed(多形性心室頻拍)とQT延長症候群が起こっているのが特徴としてみられる。心房細動の特徴として、心房の興奮が形・大きさともに不規則であり、基線が揺れている(f波)。心房が正常に収縮しないためにP波が消失し、QRS波が不規則である。
2.× ②「洞性徐脈」ではなく心房細動である。正常P波消失とR-R間隔が不整であるのが特徴。詳しくは、心房の興奮が形・大きさともに不規則であり、基線が揺れている(f波)。心房が正常に収縮しないためにP波が消失し、QRS波が不規則なことより心房細動ということが読み取れる。
3.〇 正しい。③心室性期外収縮である。本来の洞結節からの興奮より早く、心室で興奮が開始する。P波が認められず、QRS波が幅広となっているのが特徴である。本症例は、2番、6番目の波形が③心室性期外収縮にあたる。
4.〇 正しい。④心房性期外収縮である。本来の洞結節からの興奮より早く、心房内で興奮が開始する。本来より早く形の整ったQRS波が出るのが特徴である。
5.× ⑤「発作性上室性頻拍」ではなく第3度完全房室ブロックである。心房からの伝導が途絶え、P波とQRS波が無関係となっているのが特徴である。ちなみに、発作性上室性頻拍は、規則正しい幅R-R間で、狭い幅のQRS波が連続して見られ、150/分ほどの頻脈となる。
54回 午後18
18. 60歳の女性。心不全。運動療法中に心室性期外収縮が確認された。この時の心電図を下図に示す。
この心室期外収縮について正しいのはどれか。
1. 3段脈である。
2. P波がみられる。
3. Lownの分類4bである。
4. QRS幅は0.12秒未満である。
5. 洞調律よりも早く出現する心室興奮である。
解答5
解説
心室性期外収縮とは、本来の洞結節からの興奮より早く、心室で興奮が開始していることをいう。つまり、P波が認められず、幅広い変形したQRS波がみられる。
1. ×:3段脈ではない。3段脈とは、3拍に1回の割合で期外収縮を繰り返す状態のことをいう。図は5拍に1度期外収縮を繰り返している。
2. ×:P波はみられない。P波は洞結節の興奮である。心室性期外収縮とは、本来の洞結節からの興奮より早く、心室で興奮が開始している状態であるためP波はみられない。
3. ×:Lownの分類「4b」ではなく2である。Lownの分類(ろーんぶんるい)とは、心室性期外収縮の重症度分類のことをいう。Grade1~4a/4bあり、5までの全6段階ある。4bとは、3連発以上起こっていることをいう。本症例は、散発性(1個/分または30個/時間以上)である。
4. ×:QRS幅は0.12秒「未満」ではなく以上である。横軸1㎜は、0.04秒に相当する。QRS幅は0.12秒未満であれば3メモリ未満であるが、5メモリ程度の幅広い変形したQRSが観察できる。
5. 〇:正しい。洞調律よりも早く出現する心室興奮である。心室性期外収縮とは、本来の洞結節からの興奮より早く、心室で興奮が開始していることをいう。
・Grade0:心室性期外収縮なし
・Grade1:散発性(1個/分または30個/時間未満)
・Grade2:散発性(1個/分または30個/時間以上)
・Grade3:多源性(期外収縮波形の種類が複数あるもの)
・Grad4a:2連発
・Grade4b:3連発以上
・Grade5:短い連結期(R on T現象)
55回 午前2
2 心電図(下図)を別に示す。
この心電図の所見で正しいのはどれか。
1.心房細動
2.洞性徐脈
3.心室性期外収縮
4.心房性期外収縮
5. Ⅰ度房室ブロック
解答4
解説
1.× 心房細動では、P波は見られず、f波(心房の細かなふるえが基線の揺れとして記録されたもの)が出現する。またRR間隔は不定である。図の特徴とは一致しない。
2.× 洞性徐脈の特徴として、洞結節からの興奮が緩徐となっている状態。図の特徴とは一致しない。
3.× 心室性期外収縮の特徴として、本来の洞結節からの興奮より早く心室で興奮が開始する(RR間隔が不定)。図の特徴とは一致しない。
4.〇 正しい。心房性期外収縮とは、本来の洞結節からの興奮より早く、心房内で興奮が開始し、本来より早く形の整ったQRS波が出るのが特徴である。図の特徴と一致する。
5. × 房室ブロックは、心房刺激が心室に伝わりにくくなった状態で、障害の程度によって第1度から第3度までの3段階にわけることができる。Ⅰ度房室ブロックの特徴として、RR間隔の延長(0.28秒)がある。図の特徴とは一致しない。
56回 午前2
2 心電図を下図に示す。
心室性期外収縮はどれか。
1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤
解答2
解説
①洞性不整脈
②房室ブロック
③脚ブロック
④期外収縮
⑤細動・粗動
期外収縮は、①上室性(心房性と結節性)期外収縮と、②心室性期外収縮に分けられる。上室性か心室性を見分けるヒントはQRSを見れば分かり、QRSが幅広く変形しているなら心室性の期外収縮である。
1.× ①は、Ⅱ型洞不全症候群である。洞結節からの興奮が突然途絶えてしまう状態である。①洞調律は整であるが、P波の消失に引き続くQRS波の脱落が起こっている。
2.〇 正しい。②は、心室性期外収縮である。心室性期外収縮とは、本来の洞結節からの興奮より早く、心室で興奮が開始していることをいう。つまり、P波が認められず、幅広い変形したQRS波がみられる。
3.× ③は、心房細動である。心房細動の特徴として、心房の興奮が形・大きさともに不規則であり、基線が揺れている(f波)。心房が正常に収縮しないためにP波が消失し、QRS波が不規則である。また、心房細動は、心原性脳塞栓症の原因として最も多い不整脈である。
4.× ④は、心室頻拍である。なぜなら、P波はなく幅広く変形したQPSのRR間隔が等しく出現しているため。
5.× ⑤は、75bpmであり正常洞調律である。
57回 午前3
3 心電図を下に示す。
心房粗動はどれか。
1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤
解答1
解説
1.〇 正しい。①は心房粗動である。心房粗動の特徴は、①規則正しいRR間隔、②幅の狭いQRS波、③P波の代わりに規則正しい心房粗動波(F波)が認められる。
2.× ②は心房細動である。心房細動の特徴として、心房の興奮が形・大きさともに不規則であり、基線が揺れている(f波)。心房が正常に収縮しないためにP波が消失し、QRS波が不規則である。心房細動は、心原性脳塞栓症の原因として最も多い不整脈である。
3.× ③は心拍数75bpmの正常洞調律である。正常洞調律の特徴として、洞結節で発生した信号が、正常に刺激伝導系として伝達され、P・QRS・T波が規則正しく出現し、これが一定のリズムで繰り返されている。
4.× ④は心室性期外収縮である。心室性期外収縮の特徴として、P波の消失、幅が広く形の異なるQRSを認める。図は3連発であり、Lown分類Grade4b(3連発以上、心室頻拍VT)に相当するため、すぐに医師に連絡し適切な指示を仰ぐ必要がある。
5.× ⑤は心房性期外収縮である。心房性期外収縮の特徴として、本来の洞結節の興奮より早く、心房内及び房室接合部付近での刺激が発生するため、本来のリズムより早期にP波が出現し、その後に続くQRS波は幅が狭い。
Grade0:心室性期外収縮なし
Grade1:散発性(1個/分または30個/時間未満)
Grade2:散発性(1個/分または30個/時間以上)
Grade3:多源性(期外収縮波形の種類が複数あるもの)
Grad4a:2連発
Grade4b:3連発以上
Grade5:短い連結期(R on T現象)
57回 午後11
11 治療前後の心電図を下に示す。
治療の作用として正しいのはどれか。
1.不応期の短縮
2.心収縮力の増強
3.房室間の伝導の抑制
4.洞房結節の脱分極促通
5.心室筋の活動電位持続時間の延長
解答5
解説
QT時間は心電図のQRSの始まりからT波の終わりまでの時間で、これは心室筋の活動電位持続時間に相当する。この活動電位持続時間が延長すると心筋は電気的に不安定になり、心室期外収縮やTorsades de Pointes[トルサード・(ド・)ポワント](以下TdP)と呼ばれる重症不整脈が出やすくなる。TdPはQRS波の振幅と周期長が1拍ごとに変化し、基線の周囲をねじれながら振動するように見える心室頻拍で、眼前暗黒感や失神、ときに心室細動に移行して突然死を招くこともある。
1.× 不応期は、短縮ではなく延長している。心筋には、脱分極を生じている間は、そこに新たな刺激を加えても反応を示さない特性がある。この期間を不応期という。不応期には、①絶対的不応期と②相対的不応期がある。R-Tの頂点を絶対不応期といい、絶対不応期は、いかなる強い刺激を与えても反応しない時期である。T波の頂点からT波の終わりまでを相対不応期といい、相対不応期は、比較的強い刺激である場合には反応する。
2.× 心収縮力は、増強ではなく低下している。Q波からT波の終わりまでの時間をQT時間というが、①心臓の収縮力の低下や、②薬剤などの影響などによってQT時間が延長することがある。
3.× 房室間の伝導は、抑制ではなく変化ない。房室間の伝導は、心電図のPR間隔に該当する。房室間の伝導が抑制された場合は、PR間隔が延長される。
4.× 洞房結節の脱分極は、促通ではなく抑制している。洞房結節の脱分極は、心電図のP波に該当する。治療後の心電図は、QT時間の延長が生じており、相対的に洞房結節の脱分極(P波)の回数は減っている。
5. 〇 正しい。心室筋の活動電位持続時間の延長は、治療の作用で心電図から読み取れる。抗不整脈薬や抗うつ薬などの副作用としてQT時間の延長が生じる。そのほかにも、①低カリウム血症、②低カルシウム血症、③低マグネシウム血漿、④心筋虚血、⑤QT延長症候群などで起こる。QT時間の延長は致死的不整脈の原因となることもあるため、注意が必要である。
58回 午後2
2.心電図波形を下に示す。
特徴として正しいのはどれか。
1.洞調律である。
2.持続頻拍である。
3.ST上昇を認める。
4.心室期外収縮を認める。
5.Ⅲ度房室ブロックである。
解答4
解説
1.× 洞調律とはいえない。洞調律とは、一般的には特に心臓に異常がない場合のことを指す。洞調律は心房と心室が正常に連動して規則正しいリズムで心臓が動いていることを示す結果である。
2.× 持続頻拍とはいえない。心室頻拍とは、何かしらの原因により心室が通常よりも早いペースで規則的な興奮をする不整脈で、心房からの規則正しい電気活動とは無関係に起こる。心室頻拍が 30 秒以上持続するものを持続性心室頻拍、それより短時間で自然停止するものを非持続性心室頻拍と心拍数や持続時間などに応じて症状や危険性が異なる。基準値として、心拍数120回/分以上(正常範囲:60~100回/分)をさす。
3.× ST上昇は認められない。心電図のSTとは、S波の終りからT波の始まりまでの部分のことである。心室の全体が興奮状態となって、興奮からの回復が始まるまでの部分である。ST上昇、異常Q波、冠性T波がみられている場合は、心筋梗塞を疑う。心筋梗塞では、T波の増高が最も早くみられ、時間の経過と共に【ST上昇→異常Q波→冠性T波】がみられるようになる。ちなみに、異常Q波とは、幅が0.04秒以上、または、Q波の深さがR波の高さの1/4であることを指す。また、冠性T波とは、急性心筋梗塞を発症してから1~4週後に認められる左右対称性の陰性T波である。発作時、安静時ともにT波は陽性となる。
4.〇 正しい。心室期外収縮を認める。心室性期外収縮とは、本来の洞結節からの興奮より早く、心室で興奮が開始していることをいう。つまり、P波が認められず、幅広い変形したQRS波がみられる。
5.× Ⅲ度房室ブロックとはいえない。房室ブロックは、心房まで伝わった心臓収縮のための正常な電気刺激が心室にうまく伝わらず、全身に血液を送る心室のリズムが遅くなったり、停止したりする状態である。房室ブロックは、その重症度によってⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度房室ブロックに分けられる。P波の後のQRS波の関連性がなく、両者がそれぞれに独立したリズムで出現している。
房室ブロックは、心房から心室への伝導障害をいう。第1度〜第3度に分類される。
・1度房室ブロック:心房から心室への伝導時間が延長するが、P波とQRS波の数や形は変わらない。
・2度房室ブロック
①ウェンケンバッハ型(モビッツⅠ型):PR間隔が徐々に延長してQRSが脱落する。
②モビッツⅡ型:心房から心室への伝導が突然途絶える。P波の後のQRSが突然脱落する。
・3度房室ブロック:心房からの刺激が途絶え、P波とQRSが無関係に生じるようになる。
(※看護roo!様「看護師イラスト集」より)
急性心筋梗塞とは、冠状動脈内に血栓が形成され、動脈を閉塞し心筋が壊死することである。リスクファクターとして、①高血圧、②喫煙、③糖尿病、④脂質代謝異常などである。ちなみに、労作性狭心症とは、心臓に栄養を送る血管である冠動脈の一部が動脈硬化によって75%以上狭窄し、血流の流れが悪くなってしまう状態である。症状として、胸痛発作の頻度(数回/周以下)、持続時間(数分以内)、強度などが一定であることや、一定以上の運動や動作によって発作が出現する。その4大危険因子は、「①喫煙、②脂質異常症、③糖尿病、④高血圧」である。そのほかにも、加齢・肥満・家族歴・メタボリックシンドロームなどがある。
59回 午後16
16 心電図を下に示す。
考えられるのはどれか。
1.心房細動
2.心房粗動
3.房室ブロック
4.心室細動
5.心室期外収縮
解答5
解説
房室ブロックは、心房から心室への伝導障害をいう。第1度〜第3度に分類される。
・1度房室ブロック:心房から心室への伝導時間が延長するが、P波とQRS波の数や形は変わらない。
・2度房室ブロック
①ウェンケンバッハ型(モビッツⅠ型):PR間隔が徐々に延長してQRSが脱落する。
②モビッツⅡ型:心房から心室への伝導が突然途絶える。P波の後のQRSが突然脱落する。
・3度房室ブロック:心房からの刺激が途絶え、P波とQRSが無関係に生じるようになる。
1.× 心房細動とは、心臓がこまかく震えている状態である。血栓ができやすいため脳塞栓の原因となり最多である。心房細動の特徴として、心房の興奮が形・大きさともに不規則であり、基線が揺れている(f波)。心房が正常に収縮しないためにP波が消失し、QRS波が不規則である。
2.× 心房粗動の特徴は、①規則正しいRR間隔、②幅の狭いQRS波、③P波の代わりに規則正しい心房粗動波(F波)が認められる。
3.× 房室ブロックとは、洞結節からの電気信号が房室まで伝わらない状態で、程度に応じてペースメーカーの植え込みが必要である。
4.× 心室細動とは、脈のかたちが一定ではなく不規則で、心室がけいれんを起こし1分間の脈拍数が300など数えられないくらい速くなった状態である。心室頻拍は血圧が保たれ、すぐには意識を失わないこともあるが、心室細動になると、発症から5~10秒で意識がなくなって失神し、その状態が続くとそのまま亡くなることが多い。心室頻拍の場合も、ほうっておくと心室細動に移行して、意識がなくなって突然死を起こすことがある。除細動の適応である。また、基礎心疾患を伴う場合は、植え込み型除細動器(ICD)の適応となる。
5.〇 正しい。心室期外収縮を認める。心室期外収縮とは、本来の洞結節からの興奮より早く、心室で興奮が開始していることをいう。つまり、P波が認められず、幅広い変形したQRS波がみられる。
(※看護roo!様「看護師イラスト集」より)
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