【PT専門のみ】脊髄損傷についての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

MEMO

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【OT/共通】脊髄損傷についての問題「まとめ・解説」

 

45回 午後13

13.長下肢装具を装着した脊髄損傷者の立ち上がりの行程を図に示す。
 この動作が可能な最も高位の機能残存レベルはどれか。

1.T4
2.T8
3.T12
4.L2
5.L4

解答3

解説

本症例のポイント

①車いす使用(実用レベル)。
②長下肢装具を装着した状態で立ち上がりが可能。
③ロフストランド杖を用いて歩行する(練習レベル)。
※骨盤帯を使用していない。

1~2.× T4/T8は、長下肢装具+ロフストランド杖での歩行困難である。なぜなら、体幹筋の筋力が不十分により歩行するには骨盤帯を使用する必要があるため。
3.〇 正しい。T12が図の動作が可能な最も高位の機能残存レベルである。長下肢装具+ロフストランド杖での歩行は、補助的(練習)レベルにとどまるが可能である。長下肢装具+松葉杖での歩行は安定して可能となる。
4.× L2の場合、長下肢装具+ロフストランド杖での歩行は実用レベルで可能である。車椅子も不必要となる
5.× L4は、短下肢装具での歩行が自立する。

 

 

 

 

45回 午後14

14.完全脊髄損傷(第12胸髄節まで機能残存)患者で、臥床時に褥瘡を好発しやすい部位はどれか。2つ選べ。

解答1.5

解説

褥瘡とは?

 褥瘡とは、局所の持続的な圧迫により組織に虚血が生じて発生する皮膚・皮下組織の損傷のことである。仙骨部、大転子部、足関節外果、踵部などの骨の突出している場所に好発する。頚髄完全損傷では、自分で除圧できないこと、感覚障害を合併していることより、褥瘡が生じやすい。

1.〇 正しい。仙骨部は臥床時に褥瘡ができやすい。
2~4.× 大腿後面/膝窩部/下腿後面は、仙骨部・踵骨に比べ、好発部位ではない
5.〇 正しい。踵骨は臥床時に褥瘡ができやすい。

 

 

 

45回 午後34

34.脊髄損傷の機能残存レベルと実用性のある筋との組合せで適切なのはどれか。2つ選べ。

1.C4:棘上筋
2.C6:橈側手根伸筋
3.C7:尺側手根屈筋
4.L2:大腿二頭筋
5.L3:大腿四頭筋

解答2.5

解説
1.× 棘上筋は、「C4」ではなくC5である。
2.〇 正しい。橈側手根伸筋はC6である。
3.× 尺側手根屈筋は、「C7」ではなくC8~T1である。
4.× 大腿二頭筋は、「L2」ではなくL5~S2である。
5.〇 正しい。大腿四頭筋はL3である。

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45回 午後47

47.脊髄損傷(第7頸髄節まで機能残存)患者で自立が最も困難な項目はどれか。

1.車椅子のキャスター上げ
2.車椅子で5cmの段差昇降
3.床面から車椅子への乗り移り
4.ベッドから車椅子までの側方移乗
5.車椅子の積み下ろしを伴う自動車の利用

解答3

解説

第7頸髄節までの残存

主な動作筋は、上腕二頭筋と橈側手根屈筋である。移動は車椅子駆動で、自動車の運転も可能となる。プッシュアップとベッドの側方移動が可能となり、車椅子にて日常生活のほとんどが自立まで至る。

1~2.〇 車椅子のキャスター上げ/車椅子で5cmの段差昇降は、瞬間的に持ち上げることはできる。したがって、車椅子で5cmの段差昇降は可能である。キャスター上げを保持するためには、手指屈筋群が機能する第8頸髄節以下の機能が必要になる。
3.× 床面から車椅子への乗り移りは、第8頸髄節以下の機能が必要になる。第7頸髄節までの残存は、プッシュアップは可能にはなるものの、プッシュアップで殿部を40cm程度後方に体幹を安定させ、全身を引き上げる強い上肢の筋力まで至らない。
4.〇 ベッドから車椅子までの側方移乗は、第7頸髄節の残存で可能である
5.〇 車椅子の積み下ろしを伴う自動車の利用は、第7頸髄節の残存で可能である。また、自動車の運転が可能である。

 

 

 

 

46回 午前13

13.頸髄損傷者(第6頸髄節まで機能残存)にできない動作はどれか。

解答5

解説

第6頸髄節まで機能残存

第6頸髄節まで機能残存レベルでは、手関節背屈が可能である。したがって、手関節背屈による把持作用をテノデーシスアクション(腱固定作用)が可能である。

1〜2.× 第6頸髄節まで機能残存にできる動作である。なぜなら、手関節の背屈の機能は残存するため。
3.× 第6頸髄節まで機能残存にできる動作である。なぜなら、肩関節外転(三角筋の機能:C5)は保たれるため。ちなみに、ブラシは、手指の動きは必要ではなく、頭に押し付けている動作(肩関節外転)で可能である。
4.× 第6頸髄節まで機能残存にできる動作である。なぜなら、手関節背屈による把持作用をテノデーシスアクション(腱固定作用)が可能であるため。
5.〇 正しい。第6頸髄節まで機能残存できない動作である。なぜなら、手指の屈曲の運動は、第8頸髄節まで機能残存で可能であるため。

 

 

 

 

46回 午後17

17.頸髄損傷者がとる動作で肘伸展筋力を必要とするのはどれか。

1.起き上がり
2.弾性回内装具での駆動
3.身体の後方移動
4.身体の前方移動
5.ベッドへの移乗

解答1

解説

ポイント

「肘伸展筋力が必要」ということは、つまり「C6の機能残存レベル」で行える動作を選択する。
C6機能残存レベルは、【主な動作筋】大胸筋、橈側手根屈筋、【運動機能】肩関節内転、手関節背屈、【移動】車椅子駆動(実用レベル)、【自立度】中等度介助(寝返り、上肢装具などを使って書字可能、更衣は一部介助)である。C6機能残存レベルのプッシュアップは、肩関節外旋位・肘関節伸展位・手指屈曲位にて骨性ロックを使用し、不完全なレベルであることが多い。

1.〇 正しい。図のような起き上がりは、肘関節伸展筋力を必要である。ちなみに、C6残存レベルでの起き上がり動作は、紐などを前腕に引っ掛けて、肩・肘関節屈曲、手関節背屈運動で代償して行う。
2.× 弾性回内装具での駆動は、肘関節伸展筋力は不必要である。C6機能残存レベルの車椅子駆動は、実用レベルである。肩・肘関節屈曲筋を用いて車いすを駆動できる。
3.× 身体の後方移動は、肘関節伸展筋力は不必要である。身体の後方移動を含めた車椅子上での位置の修正は、車椅子のフレームに手をかけ(図では握っているように見えるが)、左右に体重を移動しながら回旋し、殿部を移動させることができる。
4.× 身体の前方移動は、肘関節伸展筋力は不必要である。身体の前方移動は、主に車椅子上での除圧に用いられることが多い。腕の振りを利用して、肩関節外旋位で肩関節屈曲・外転させれば、肘を屈曲することなく、上体を反り返ることが可能である。
5.× ベッドへの移乗(前方移動のトランスファー)は、肘関節伸展筋力は不必要である。C6機能残存レベルで可能である。このとき、ハムストリングスの十分な柔軟性が確保してないと、膝関節が完全に伸展せず踵がマットレスに食い込んで移動が十分できなくなる。

 

 

46回 午後35

34.Zancolliの四肢麻痺上肢機能分類C6B3で機能しないのはどれか。

1.円回内筋
2.上腕二頭筋
3.尺側手根伸筋
4.橈側手根屈筋
5.長橈側手根伸筋

解答3

解説


1.〇 円回内筋はC6B2で機能する。
2.〇 上腕二頭筋はC5Aで機能する。
3.× 尺側手根伸筋はC6B3で機能しない。C7で機能する。
4.〇 橈側手根屈筋はC6B3で機能する。
5.〇 長橈側手根伸筋はC6Aで機能する。

 

 

 

 

46回 午後35

35.脊髄損傷の機能残存レベルと知覚障害との組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。(不適切問題:解なし)

1.T5:乳頭以下の痛覚脱失
2.T10:剣状突起以下の痛覚脱失
3.T12:臍部以下の痛覚脱失
4.L2:鼠径部以下の痛覚脱失
5.S2:会陰部サドル型痛覚脱失

解答 なし(採点除外)
理由:選択肢に誤りがあり正解が得られないため。

解説

(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)

1.× 乳頭以下の痛覚脱失は、「T5」ではなくT4である。
2.× 剣状突起以下の痛覚脱失は、「T10」ではなくT5である。ちなみに、T10では臍レベルである。
3.× 臍部以下の痛覚脱失は、「T12」ではなくT10である。ちなみに、T12は鼠径部レベルである。
4.× 鼠径部以下の痛覚脱失は、「L2」ではなくT12である。ちなみに、L2は大腿部レベルである。
5.× 会陰部サドル型痛覚脱失は、「S2」ではなくS3である。ちなみに、S2は大腿後面レベルである。

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47回 午前39

39 頸髄完全損傷患者(第5頸髄節まで機能残存)で自立可能なのはどれか。2つ選べ。

1.自助具を用いた歯磨き
2.自助具を用いた自己導尿
3.ベッド柵を用いた起き上がり
4.トランスファーボードを用いた横移乗
5.ジョイスティックによる電動車椅子操作

解答1/5

解説

第5頸髄節まで機能残存

肘関節の屈曲・回外は可能である。
したがって、自助具を用いた食事動作やスリング使用により体位変換が可能である。

1.5.〇 正しい。自助具を用いた歯磨き/ジョイスティックによる電動車椅子操作は可能である。
2.× 自助具を用いた自己導尿は、男性の場合C6レベル、 女性の場合C8レベルで可能である。
3.× ベッド柵を用いた起き上がりは、C6レベルで可能である。
4.× トランスファーボードを用いた横移乗は、C7レベルで可能である。プッシュアップ動作が必要となる。

 

 

 

47回 午後38

38 脊髄完全損傷の機能残存レベルと到達可能なADLの組合せで誤っているのはどれか。

1.C3:下顎による電動車椅子の操作
2.C7:自助具なしでの書字
3.T1:プッシュアップ動作
4.T6:床から車椅子への移乗
5.L2:長下肢装具とクラッチとを用いての歩行

解答2

解説
1.〇 C3は、下顎による電動車椅子の操作が可能である。主な動作筋は胸鎖乳突筋で、頭部の前屈や回転は行える。
2.× C7は、自助具なしでの書字は行えないが、自助具(万能カフなど)を使用すれば書字可能である。C7は、手指の運動が不十分である。上腕三頭筋や橈骨手根屈筋が働き、車椅子にて日常生活のほとんどが自立する。
3.〇 T1は、プッシュアップ動作が可能である。プッシュアップ動作はC7で獲得可能となる。なぜなら、C7は上腕三頭筋や橈骨手根屈筋が働き、車椅子にて日常生活のほとんどが自立するため。
4.〇 T6は、床から車椅子への移乗が可能である。T6は、握力を含めた上肢の動きに加え、上部体幹の安定性も獲得できている。車椅子を使用するが介助ほとんど不要で日常生活を送ることができる。
5.〇 L2は、長下肢装具とクラッチとを用いての歩行が可能である。L2は、大腿四頭筋の機能は不十分であるが、腸腰筋を利用して骨盤帯の挙上が行える。長下肢装具を使用した立位保持は、股関節伸展位(腸骨大腿帯でロック)であるが、長下肢装具と両松葉杖で交互歩行練習を実施していく。

 

 

47回 午後40

40 脊髄損傷患者(第10胸髄節まで機能残存)の家屋改造について適切でないのはどれか。

1.ドアの開口部は90 cmとする。
2.スロープの勾配は1/6とする。
3.車椅子の回転スペースは直径150 cmとする。
4.便座の高さは車椅子のシートの高さに合わせる。
5.電灯のスイッチは床から90〜100 cmの高さにする。

解答2

解説

第10胸髄節機能残存レベル

車椅子での実用的な生活(ほとんど介助は不要)が可能である。握力は保たれ、上部体幹の安定性が獲得できている。弱いながらも骨盤帯の挙上が可能になってくるレベルである。したがって、車椅子の使用を前提とした家屋改造を考える。

1.〇 正しい。ドアの開口部は90cmとする。ちなみに、一般的な車椅子の幅員は、62~63cmである。+15cmを目安に幅員を確保する。
2.× スロープの勾配は、「1/6」ではなく1/12~1/15とする。1/6は勾配がきつすぎる。
3.〇 正しい。車椅子の回転スペースは、直径150cmとする。ちなみに、車椅子と人とのすれ違いには140cm、車椅子同士のすれ違いには180cm必要となる。
4.〇 正しい。便座の高さは、車椅子のシートの高さに合わせる。なぜなら、便座と車椅子のシートの高さに合わせることで、上下の重心移動が少なくなり、移乗がより安全に楽に行えると考えられるため。ただし、多少段差があっても移乗可能と考えられる。
5.〇 正しい。電灯のスイッチは、床から90〜100cmの高さにする。車椅子からも手の届く高さとする。ちなみに、健常者の電灯のスイッチの高さは、110~120cmである。

車椅子の通行幅

数値:【建築物移動等円滑化基準】(建築物移動等円滑化誘導基準)
玄関出入口の幅:【80cm】(120cm)
居室などの出入口:【80cm】(90cm)
廊下幅:【120cm】(180cm)※車椅子同士のすれちがいには180cm
スロープ幅:【120cm】(150cm)
スロープ勾配:【1/12以下】(1/12以下、屋外は1/15)
通路の幅:【120cm】(180cm)
出入口の幅:【80cm】(90cm)
かごの奥行:【135cm】(135cm)
かごの幅(一定の建物の場合):【140cm】(160cm)
乗降ロビー:【150cm】(180cm)

(※参考:「バリアフリー法」国土交通省HPより)
(※参考:「主要寸法の基本的な考え方」国土交通省様HPより)

 

 

 

 

48回 午前17

17 頸髄損傷(第6頸髄節まで機能残存)患者に対する車椅子上の動作指導の方法で誤っているのはどれか。

1.車椅子上での位置の修正
2.車椅子とベッド間の移乗
3.車椅子上での位置の修正
4.足をベッドに上げる
5.車椅子上での除圧

解答4

解説

(※引用:Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)

本症例のポイント

第6頸髄節まで機能残存レベルでは、手関節背屈が可能である。したがって、手関節背屈による把持作用をテノデーシスアクション(腱固定作用)が可能である。肩関節の動作は保たれ、肘関節は屈曲のみ可能で、上腕三頭筋による肘関節伸展動作はできない。トランスファーボードの利用などにより移乗ができ更衣・整容・食事も自助具を使用し自立可能である。ちなみに、肘関節伸展可能には第7頸髄節の残存が必要である。したがって、本症例は、肘関節伸展でのプッシュアップ動作ができない状態での除圧・移乗方法を選択する。

1.〇 正しい。車椅子上での位置の修正は、フレームに手をかけて、左右に体重を移動しながら回旋すれば可能である。
2.〇 正しい。車椅子とベッド間の移乗は、前方アプローチにて両側の肩関節伸展・肘関節伸展位でロックし、ハンドリムを押しながら、体幹を前屈し、肩甲帯周囲筋を利用することで可能である。 
3.〇 正しい。車椅子上での位置の修正は、上腕をグリップにかけて、上体を傾けることで可能である。
4.× 足をベッドに上げることは、第6頸髄節までの機能残存レベルでは困難である。第6頸髄機能残存患者は、ベッド側の下肢(右下肢)をベッドに乗せたい場合、反対側の上肢(左上肢)は、車椅子のグリップ部分にかけて体幹を安定・固定させ肘関節屈筋を使って下肢を持ち上げる。設問の図は、第7頸髄機能残存患者が行うことができる。
5.〇 正しい。車椅子上での除圧は、肩外旋位で肩屈曲・外転させながら上体を反り返えるように行う。

 

 

48回 午前34

34 脊髄完全損傷の機能残存レベルと到達可能なADLの組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.C4:ジョイスティック付電動車椅子走行
2.C5:ズボンの着脱
3.C7:自助具を用いての整容動作
4.T1:自動車への移乗
5.T10:短下肢装具を用いての歩行

解答3/4

解説

1.× C4は、「ジョイスティック付電動車椅子走行」ではなくチン(顎)コントロールとなる。ジョイスティック付電動車椅子走行は、C5である。
2.× ズボンの着脱は、「C5」ではなくC 6 B 3である。なぜなら、ズボンの着脱操作では、効果的な側方つまみや強い握り動作が必要となるため。
3.〇 正しい。C7は、自助具を用いての整容動作が可能である。
4.〇 正しい。T1は、自動車への移乗が可能である。
5.× 短下肢装具を用いての歩行は、「T10」ではなくL3である。

 

 

 

48回 午後17

17 脊髄完全損傷患者の移乗動作を図に示す。
 この動作の獲得を目標とする機能残存レベルの上限で正しいのはどれか。

1.C5
2.C6
3.C7
4.T1
5.T10

解答3

解説

 図は、車椅子からベッドへの側方移乗である。肘関節が屈曲位でありながらも、それに抗する上腕三頭筋の筋力が必要である。

第7頸髄節までの残存

主な動作筋は、上腕二頭筋と橈側手根屈筋である。移動は車椅子駆動で、自動車の運転も可能となる。プッシュアップとベッドの側方移動が可能となり、車椅子にて日常生活のほとんどが自立まで至る。

1.× C5の主な動作筋は、三角筋、上腕二頭筋である。移動は、ハンドリムに要工夫が必要であるが、平地での車椅子駆動可能である。
2.× C6の主な動作筋は、大胸筋、橈側手根伸筋である。移動は、実用的な車椅子移動が可能である。
3.〇 正しい。C7の主な動作筋は、上腕三頭筋、橈側手根屈筋である。車椅子駆動、移乗動作、自動車運転可能なレベルまで目指せる。
4.× T1の主な動作筋は指の屈筋群、手内在筋である。車椅子にて大部分の日常生活動作が自立する。
5.× T10は、ほとんど介助が必要なくなる。

(※引用:Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)

 

 

 

48回 午後34

34 頸髄損傷(第5頸髄まで機能残存)患者が獲得できる機能で正しいのはどれか。

1.自己導尿ができる。
2.ズボンの着脱ができる。
3.自助具なしで食事摂取ができる。
4.ノブ付ハンドリムの車椅子を操作できる。
5.トランスファーボードを使ってベッドから車椅子へ移乗できる。

解答4

解説

(※引用:Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)

C5残存レベル

C5残存レベルの主な動作筋は、三角筋、上腕二頭筋で、肩関節:屈伸・外転・内外旋、肘関節:屈曲、回外が可能となる。移動はハンドリムに工夫は必要だが、平地での車椅子駆動が可能となる。

1.× 自己導尿ができるのは、C7である。なぜなら、自己導尿にはつまみ動作を要求されるため。
2.× ズボンの着脱ができるのは、C 6 B 3である。なぜなら、ズボンの着脱操作では、効果的な側方つまみや強い握り動作が必要となるため。
3.× 自助具なしで食事摂取ができるのは、C7である。C5は、上肢支持装置(PSB/BFO)とユニバーサルカフつきスプーンなどの自助具使用にて食事動作一部可能である。
4.〇 正しい。ノブ付ハンドリムの車椅子を操作できる。C5の移動は、ハンドリムに工夫は必要だが、平地での車椅子駆動が可能となる。
5.× トランスファーボードを使って、ベッドから車椅子へ移乗できる(前方移乗、側方移乗)のは、C6である。

 

 

48回 午後35

35 頸髄損傷患者で正常可動域以上の可動性の獲得が望まれるのはどれか。

1.肘関節伸展位での肩関節伸展
2.手関節背屈位での肘関節伸展
3.頸部屈曲位での体幹屈曲
4.膝伸展位での股関節屈曲
5.膝屈曲位での足関節底屈

解答4

解説

 頚髄損傷患者では、長坐位でのバランスが大切になる。さらに長坐位での更衣動作や床上移乗動作での股関節柔軟性が必要になる。具体的な筋は、ハムストリングスの伸張性が必要である。

 

1.× 肘関節伸展位での肩関節伸展は、正常可動域範囲内でも問題ない。長坐位で体幹後傾するため上肢での支持動作でできた方が望ましいが、正常可動域以上の獲得は練習しないことが多い。
2.× 手関節背屈位での肘関節伸展は、正常可動域範囲内でも問題ない。プッシュアップ動作で必要となるが、正常可動域以上の獲得は練習しないことが多い。
3.× 頸部屈曲位での体幹屈曲は、正常可動域範囲内でも問題ない。シャツ等のかぶり動作で必要となるが、正常可動域以上の獲得は練習しないことが多い。
4.〇 正しい。膝伸展位での股関節屈曲である。長坐位の保持、ズボンやソックスなどの更衣動作、床上移動・移乗動作などのADL獲得のため、正常可動域範囲では不十分で長坐位でつま先に手が届く、長坐位で膝が頭につく程度の柔軟性が必要である。ハムストリングスの伸張を行う必要がある。
5.× 膝屈曲位での足関節底屈は、正常可動域範囲内でも問題ない。車椅子などでフットプレートに安定させるため必要となるが、正常可動域以上の獲得は練習しないことが多い。

 

 

49回 午前12

12 24歳の男性。バイクに乗っていて乗用車と衝突し救急搬送された。頸椎脱臼骨折の診断で手術を受けた。 
 MMTの結果を表に示す。機能残存レベルはどれか。

1. C5
2. C6
3. C7
4. C8
5. T1

解答2

解説

本症例のポイント

・24歳の男性(頸椎脱臼骨折
・バイクに乗っていて乗用車と衝突し受傷。
・手術を受けた。
→ASIAによる運動の残存機能レベルの決定は、MMT3以上ある最も低い髄節を、機能残存レベルとする。本症例は、C6橈側手根伸筋がMMT5であり、C7レベルの上腕三頭筋がMMT2であることから、機能残存レベルはC6である。

1. × C5のkey musclesは、肘関節屈筋(上腕二頭筋)である。本症例は、C6の橈側手根伸筋がMMT5であるため不適切である。
2. 〇 正しい。C6のkey musclesは、手関節背屈筋(橈側手根伸筋)である。本症例は、C6橈側手根伸筋がMMT5であり、C7レベルの上腕三頭筋がMMT2であることから、機能残存レベルはC6である。
3. × C7のkey musclesは、肘関節伸筋(上腕三頭筋)である。本症例は、C7の上腕三頭筋がMMT2であるため不適切である。
4. × C8のkey musclesは、手指屈筋(深指屈筋)である。
5. × T1のkey musclesは、手指外転筋(小指外転筋)である。

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49回 午前29

29 第5腰髄節まで機能残存している二分脊椎患児に最もみられやすいのはどれか。

1. 股関節脱臼
2. 反張膝
3. 踵足変形
4. 尖足変形
5. 扁平足変形

解答3

解説

1.× 股関節脱臼は、第3、4腰髄節機能残存レベルでみられやすい。
2.× 反張膝は、第4腰髄節機能残存レベルでみられやすい。
3.〇 正しい。踵足変形は、 第5腰髄節機能残存レベルでみられる。第5腰髄節機能残存レベルは、前脛骨筋は機能が残存するが下腿三頭筋は機能しにくい。したがって、足部は背屈位をとりやすくなり踵足変形が生じる。
4.× 尖足変形は、第3腰髄節機能残存レベルより高位でみられやすい。
5.× 扁平足変形は、ダウン症児にみられやすい。

 

 

49回 午後12

12 56歳の男性。数年前から頸椎椎間板ヘルニアを指摘されていた。昨日、自宅で転倒して突然に麻痺を呈した。頸髄損傷と診断され、主な損傷部位以下の機能はASIA機能障害尺度でBである。頸椎MRIを下図に示す。
 正しいのはどれか。


1. 横隔膜の麻痺がある。
2. 肩をすくめることができる。
3. スプーンを握り食事ができる。
4. 棚の上の物をとることができる。
5. 頸部を回旋することができない。

解答2

解説

本症例のポイント

・56歳の男性(頸椎椎間板ヘルニア)
・昨日、自宅で転倒、突然に麻痺を呈した。
・頸髄損傷(損傷部位以下の機能:ASIA機能障害尺度B(不全麻痺):S4~5を含む神経学的レベルより下位に知覚機能のみ残存。
・頸椎MRI:C6レベルの頚髄圧迫
→本症例は、C6レベルの頚髄圧迫の不全麻痺と考えられる。C6機能残存レベルは、【主な動作筋】大胸筋、橈側手根屈筋、【運動機能】肩関節内転、手関節背屈、【移動】車椅子駆動(実用レベル)、【自立度】中等度介助(寝返り、上肢装具などを使って書字可能、更衣は一部介助)である。C6機能残存レベルのプッシュアップは、肩関節外旋位・肘関節伸展位・手指屈曲位にて骨性ロックを使用し、不完全なレベルであることが多い。

(※引用:Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)

1.× 横隔膜の麻痺は、C3~5の髄節レベルである。そのため、本症例は横隔膜の麻痺は起こらない。
2.〇 正しい。肩をすくめること(肩甲帯挙上)ができるのは、C5の髄節レベルであるため行える。
3.× スプーンを握り食事ができるのは、C8機能残存レベル(手指屈筋レベル)が必要である。
4.× 棚の上の物をとることができるのは、C7機能残存レベル(肘伸展レベル)が必要である。
5.× 頸部を回旋(胸鎖乳突筋)は、C2~3の髄節レベルである。そのため、本症例は頸部を回旋することができる。

ASIAの機能障害尺度の運動障害

A(完全麻痺):S4~5の知覚・運動ともに完全麻痺。
B(不全麻痺):S4~5を含む神経学的レベルより下位に知覚機能のみ残存。
C(不全麻痺):神経学的レベルより下位に運動機能は残存しているが、主要筋群の半分以上が筋力3未満。
D(不全麻痺):神経学的レベルより下位に運動機能は残存しており、主要筋群の少なくとも半分以上が筋力3以上。
E(正常):運動、知覚ともに正常。

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【PT専門のみ】ASIAについての問題「まとめ・解説」

 

 

 

49回 午後16

16 22歳の男性。身長170cm、体重70kg。外傷性頸髄損傷後6か月経過。MMTは、肘関節屈曲5、肘関節伸展2 、手関節屈曲1、手関節伸展4、手内筋0、下肢0。ベッドへの移乗が自立したので、屋内で使用する車椅子を検討した。
 車椅子作製上の留意点で適切なのはどれか。 2つ選べ。

1. 背もたれの高さを肘台と同じ高さにする。
2. 駆動輪の車軸を標準よりも前方に移動する。
3. 14インチの駆動輪を使用する。
4. トグル式ブレーキを使用する。
5. 足台をスイングアウト式にする。

解答4/5

解説

(※引用:Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)

本症例のポイント

・22歳の男性(外傷性頸髄損傷後6か月経過)
・身長170cm、体重70kg。
・MMT:肘関節屈曲5、肘関節伸展2 、手関節屈曲1、手関節伸展4、手内筋0、下肢0。
・ベッドへの移乗:自立
・屋内で使用する車椅子を検討。
→MMTの結果から、本症例はC6機能残存レベル(Zancolliの分類ではC6BⅠ~Ⅱ)である。肩・肘関節屈曲筋を用いて車いすを駆動でき実用的な車椅子駆動のほか、前方アプローチでの移乗動作が可能になる。C6機能残存レベルは、【主な動作筋】大胸筋、撓側手根屈筋、【運動機能】肩関節内転、手関節背屈、【移動】車椅子駆動(実用レベル)、【自立度】中等度介助(寝返り、上肢装具などを使って書字可能、更衣は一部介助)である。C6機能残存レベルのプッシュアップは、肩関節外旋位・肘関節伸展位・手指屈曲位にて骨性ロックを使用し、不完全なレベルであることが多い。

1.× 背もたれの高さを肘台と同じ高さにする必要はない。第6頚髄節残存レベル(Zancolliの分類ではC6BⅠ~Ⅱ)は、実用的な車椅子駆動が可能である。そのため、肩甲骨下縁から2~3cmほど低い位置に設定されることが多く、肘台よりは高く設定する。
2.× 駆動輪の車軸を標準よりも前方に移動する必要はない。そもそも駆動輪の車軸を標準より前方にするのは、キャスター上げをしやすくするためである。したがって、キャスター上げが可能となるのは、手指の機能が温存される第8頚髄節残存レベルからである。
3.× 「14インチ」ではなく自走式車椅子では22インチ24インチの駆動輪が使用されることが多い。14インチは、いわゆる介助用車椅子であり、押手部分に介助用ブレーキがある。
4.〇 正しい。トグル式ブレーキを使用する。なぜなら、本症例は、実用的な車椅子駆動が可能であるため。車椅子のブレーキには、①トグル式ブレーキと②介助用ブレーキがある。①トルグ式ブレーキは、一般的な駆動輪の隣にあるブレーキのことで軽い力で操作できる。②介助用ブレーキは押手部分にあり、介助者が操作する。
5.〇 正しい。足台をスイングアウト式にする。なぜなら、本症例は、前方アプローチでの移乗動作が可能であるため。ベッドへ直角移乗を行うときに,車椅子がベッドにより近づけるように足台をスイングアウト式にする。

 

 

 

50回 午前9

9 25歳の女性。交通事故で頸椎脱臼骨折を受傷した。脊髄ショック期は脱したと考えられる。MMTで、肘屈曲は徒手抵抗に抗する運動が可能であったが、手関節背屈は抗重力位での保持が困難であった。肛門の随意的収縮は不能で、肛門周囲の感覚も脱失していた。
 目標とする動作で適切なのはどれか。

1. 起き上がり
2. 自動車運転
3. 側方移乗
4. 電動車椅子操作
5. トイレ移乗

解答1

解説

本症例のポイント

・25歳の女性(交通事故で頸椎脱臼骨折)
・脊髄ショック期は脱した。
・MMT:肘屈曲は徒手抵抗に抗する運動が可能手関節背屈は抗重力位での保持困難
・肛門:随意的収縮不能、肛門周囲は感覚脱失。
→まず、本症例の残存機能レベルを考える。本症例は、①肘屈曲は徒手抵抗に抗する運動が可能(C5レベル残存)、②手関節背屈は抗重力位で保持困難(C6レベル障害)なことから、C5レベル残存と考えられる。C5レベルの主な動作筋は三角筋・上腕二頭筋であり、移動は、ハンドリムに工夫が必要だが、車椅子駆動可能である。また、自立度は重度介助で自助具による食事動作、スリング使用により体位変換が可能である。以上のことから目標とする動作を選択する。

1.〇 正しい。起き上がりである。三角筋と上腕二頭筋をトレーニングすることで、起き上がり動作の獲得を目標とする。
2.× 自動車運転は、C6レベルの機能残存が必要である。ハンドル旋回装置や手動装置を利用することで、自動車の運転が可能になる。
3,5.× 側方移乗/トイレ移乗は、C7レベルの機能残存が必要である.
4.× 電動車椅子操作は、C5レベルまで機能が残存していれば、上肢を使ってジョイスティックによる電動車椅子の操作が可能である。現時点で可能な動作であり、問題文の「目標とする動作」とはならないため不適切である。

(※引用:Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)

 

 

50回 午後10

10 26歳の男性。仕事中の事故によって頸髄損傷を生じた。S4、5領域の運動機能と感覚機能とは完全に喪失していた。徒手筋力テストの結果を表に示す。
 到達可能と予測される動作はどれか。


1. 更衣
2. 自己導尿
3. プッシュアップ動作
4. 自助具を用いた食事動作
5. ベッドから車椅子への移乗動作

解答4

解説

(※引用:Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)

本症例のポイント

・26歳の男性(頸髄損傷)
・S4、5領域:運動機能と感覚機能完全喪失。
・上腕二頭筋の機能が保たれており(MMT3以上)
→本症例は、C5機能残存レベルの頚髄損傷が疑われる。主な動作筋は、三角筋、上腕二頭筋で、肩関節:屈伸・外転・内外旋、肘関節:屈曲、回外が可能となる。移動はハンドリムに工夫は必要だが、平地での車椅子駆動が可能となる。

1.× 更衣は、C6機能残存レベルで一部自立が可能である。
2.× 自己導尿は、男性の場合C6機能残存レベル、女性の場合C8機能残存レベルで可能となる。
3~5.× プッシュアップ動作/ベッドから車椅子への移乗動作は、C7機能残存レベルで可能となる。
4.〇 正しい。自助具を用いた食事動作は、C5機能残存レベル(装具やスプリングバランサーの装着、自助具の使用など)で食事動作の獲得が可能である。

 

 

 

50回 午後31

31 脊髄完全損傷者の機能残存レベルと日常生活動作の到達レベルの組合せで正しいのはどれか。

1. 第4頸髄節 — 手動での車椅子操作
2. 第5頸髄節 — 更衣動作の自立
3. 第6頸髄節 — 寝返りの自立
4. 第7頸髄節 — 介助によるトイレへの移乗
5. 第8頸髄節 — 介助による起き上がり

解答3

解説

1.× 第4頸髄節は、下顎などを用いて電動車いすを操作する必要がある。手動での車椅子操作(ハンドリムに工夫が必要)は、第5頸髄節である。
2.× 第5頸髄節は、更衣動作に全介助~要介助レベルである。第6頸髄節で一部介助で行えるようになる。
3.〇 正しい。第6頸髄節は、寝返りを自立で行える。
4.× 第7頸髄節は、トイレへの移乗を「介助」ではなく自立して行える。プッシュアップ動作が可能であり、トイレの側方移乗が自立して可能である。
5.× 第8頸髄節は、起き上がりを「介助」ではなく自立して行える。車椅子にてほとんどの日常生活が自立する。

 

 

 

 

51回 午前33

33 脊髄損傷患者(第5頸髄節まで機能残存)が可能な動作はどれか。2つ選べ。

1. 肩関節外転
2. 肘関節伸展
3. 前腕回外
4. 手関節背屈
5. 指伸展

解答1/3

解説

 第5頚髄節まで機能が残存していることから、主な残存筋は三角筋・上腕二頭筋・上腕筋である。運動機能は、肩関節屈曲・外転・伸展・内旋・外旋、肘関節屈曲・前腕回外である。移動は車椅子駆動可能(平地:ハンドリムに要工夫)であり、自立度は重度介助レベルである。よって、選択肢1.3肩関節外転/前腕回外が正しい。

2.× 肘関節伸展は、第7頚髄節まで機能が残存(上腕三頭筋)している必要がある。
4.× 手関節背屈は、第6頚髄節まで機能が残存(長橈側手根伸筋)している。
5.× 指伸展は、第7頚髄節まで機能が残存(総指伸筋)している。

(※引用:Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)

 

 

53回 午前10

10.4歳の男児。顕在性二分脊椎症による脊髄髄膜瘤の術後。立位の様子を図に示す。短い距離であれば独歩可能である。
 予測される機能残存レベルの上限で正しいのはどれか。

1.L2
2.L3
3.L4
4.L5
5.S1

解答:3

解説

本症例のポイント

・4歳の男児(顕在性二分脊椎症による脊髄髄膜瘤の術後)
・立位:両短下肢装具使用
・歩行:短い距離であれば独歩可能。
→本症例は、両短下肢装具使用にて短い距離であれば独歩可能である。

二分脊椎とは、神経管閉鎖障害のうち腰仙部の脊髄・脊椎・皮膚などにみられる先天奇形であり、特に脊髄髄膜瘤では約90%に水頭症、ほぼ前例にChiariⅡ型奇形(小脳扁桃、小脳中部下部、延髄、第4脳室が大孔を通って頸椎管内へ下降変位したもの。第2頚髄を越えて陥入することが多い)を合併する。二分脊椎症には①開放性(表面からはっきりわかるもの)と②潜在性(わかりにくいもの)がある。前者には脊髄披裂あるいは脊髄髄膜瘤などが含まれる。

1.× L2までの残存では、長下肢装具+松葉杖(両ロフストランド杖)が必要で大振り歩行である。なぜなら、腸腰筋が残存しているため。
2.× L3までの残存では、短下肢装具+松葉杖が必要で大振り歩行である。なぜなら、大腿四頭筋が残存しているため。
3.〇 正しい。L4までの残存では、短下肢装具で実用歩行が可能である。短下肢装具は、足関節の筋力低下に対して用いられることが多い。
4~5.× L5~S1までの残存では、補助具なしで実用歩行可能である。しかし、L5までの残存では、前脛骨筋は機能するが下腿三頭筋は機能しにくいため、踵足変形となりやすい。踵足は、足のつま先が宙に浮いた状態で、踵だけが接地し、直立と歩行を行う。

 

 

 

 

54回 午後11-12

次の文により11、12の問いに答えよ。
 頚髄損傷者の立ち上がり動作を図に示す。

11. Zancolliの四肢麻痺上肢機能分類における機能残存レベルはどれか。

1. C5A
2. C5B
3. C6A
4. C6BⅡ
5. C7A

解答

解説

C6残存レベルでの起き上がり方法

C6残存レベルでの起き上がり方法は主に3種類あり、
①モノにつかまって起き上がる方法、
②「くの字」に体幹を屈曲してから起きる方法、
一側ずつ肘伸展位でロックして起き上がる方法がある。

C6BⅠでの起き上がり動作は、柵を用いたベッド上での起き上がりでないと行えない。
C6BⅡでの起き上がり動作は、支持物のない状態では一側ずつ肘伸展位でロックして起き上がる方法で可能となる。
C7Aでの起き上がり動作は、肘関節伸展・手指伸展が可能となり、一側ずつ肘伸展位でロックして起き上がる必要はない。

よって、解答は、選択肢4. C6BⅡである。

 

ちなみに、他の選択肢の解説をする。
1.× C5Aでは、1人での起き上がりはできない。
2~3.× C5B/C6Aでは、ベッド柵や紐を利用した起き上がりが可能なケースがある。

 

 

 

 

 

 

次の文により11、12の問いに答えよ。
 頚髄損傷者の立ち上がり動作を図に示す。

12. この患者において機能していると推測される筋はどれか。

1. 円回内筋
2. 深指屈筋
3. 上腕三頭筋
4. 長母指伸筋
5. 尺側手根伸筋

解答

解説
C6BⅡは、基本機能は手関節背屈が可能であるが、BⅡは手関節背屈が強い。円回内筋は作用するが、橈側手根屈筋は作用しない。

つまり、選択肢1. 円回内筋が正解となる。

ちなみに、C6A は、円回内筋、橈側手根屈筋ともに作用しない。
C6BⅢは、円回内筋、橈側手根屈筋、上腕三頭筋と作用する。

2.× 深指屈筋は、C8で機能する。
4.× 長母指伸筋は、C8で機能する。
5.× 尺側手根伸筋は、C7で機能する。

 

 

55回 午前10

10 27歳の男性。脊髄完全損傷(第5胸髄節まで機能残存)。日常生活は車椅子使用にて自立している。設計事務所に勤務しており、長時間のデスクワークを行うことが多い。多忙のため除圧を行う機会が少なくなっている。
 この状況が続いた場合、褥瘡が生じる可能性が最も高い部位はどれか。

1.肩甲部
2.膝窩部
3.仙骨部
4.肘頭部
5.腸骨部

解答
解説

(※引用:Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)

本症例のポイント

・27歳の男性
・脊髄完全損傷(第5胸髄節まで機能残存)。
・日常生活:車椅子使用自立。
長時間デスクワークが多い
・除圧を行う機会減少。
→C5残存レベルの主な動作筋は、三角筋、上腕二頭筋で、肩関節:屈伸・外転・内外旋、肘関節:屈曲、回外が可能となる。移動はハンドリムに工夫は必要だが、平地での車椅子駆動が可能となる。自立度としては、重度介助(①自助具による食事動作可能、②スリング使用により体位変換可能)レベルである。本症例は、長時間デスクワークが多いため、長時間座位で、褥瘡の好発部位を選択する。よって、選択肢3.仙骨部が正しい。

1.× 肩甲部は、背臥位で起こりやすい。 
2.× 膝窩部は、褥瘡自体起こりにくい
4.× 肘頭部は、背臥位で起こりやすい。本症例の場合、上肢が機能するため褥瘡は起こりにくい。
5.× 腸骨部は、側臥位で起こりやすい。

座位での褥瘡好発部位

・仙骨部
・坐骨部
・尾骨部
・足底

 

 

55回 午後18

18 17歳の男子。頚髄損傷。プールに飛び込んだ際に、頭部を底に打ちつけて受傷した。受傷8週後のMMT結果を表に示す。
 機能残存レベルはどれか。

1.C4
2.C5
3.C6
4.C7
5.C8

解答
解説

本症例のポイント

・17歳の男子(頚髄損傷
・表を見ると上腕三頭筋と橈側手根屈筋がMMT2であり、長橈側手根伸筋(手関節背屈)は両上肢ともMMT4以上ある。ASIAによる運動の残存機能レベルの決定は、MMT3以上ある最も低い髄節を機能残存レベルと定義している。したがって、長橈側手根伸筋が機能する髄節を選択する。

1.× C4の主な動作筋は、横隔膜僧帽筋である。具体的なkey musclesは存在しない。
2.× C5のkey musclesは、上腕二頭筋である。表ではMMT4であるが、より下位(C6)の機能が残存しているため不適切である。
3.〇 正しい。C6のkey musclesは、長橈側手根伸筋である。C7である上腕三頭筋がMMT2であるため、機能残存レベルはC6と決定できる。
4.× C7のkey musclesは、上腕三頭筋である。表ではMMT2であるため不適切である。
5.× C8のkey musclesは、手指屈筋である。表に、浅指屈筋・深指屈筋の評価はないため不適切である。

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56回 午後41

41 脊髄完全損傷者の機能残存レベルと実用可能な能力の組合せで正しいのはどれか。

1.第3頚髄節:自発呼吸
2.第5頚髄節:プッシュアップ動作
3.第3胸髄節:自動車への移乗
4.第10胸髄節:両長下肢装具を用いての歩行
5.第12胸髄節:両短下肢装具を用いての歩行

解答

解説
1.× 第3頚髄節(C3)の機能残存とは、C4以下の神経が障害されていることを意味する。C1〜C3の損傷では、頭部の前屈回転は可能であるが、「呼吸筋の完全麻痺」となっており、よって人工呼吸器の使用が必要となる。自発呼吸が行えるのは、第4頚髄節(C4)の機能残存である。
2.× 第5頚髄節の機能残存レベルは、三角筋と上腕二頭筋が残存しており、肩関節運動、肘関節屈伸・回外が可能である。プッシュアップ動作はできないため、平地では車椅子や電動車椅子を使用する。ちなみに、肘の伸展によるプッシュアップ動作は、第7頚髄節(C7)の機能残存である。
3.〇 正しい。第3胸髄節の機能残存レベルでは、上肢が使用できるため、自動車への移乗は可能である
4.× 第10胸髄節の機能残存レベルでは、下肢の麻痺および臍より下部の感覚消失があり、歩行は困難である。両長下肢装具を用いての歩行は、第12胸髄節(T12)の機能残存から行えるが、実用的なレベルは第2腰髄節(L2)の機能残存である。
5.× 第12胸髄節の機能残存レベルでは、下肢の付け根(鼠径部)より下部の麻痺および感覚の消失があり、両短下肢装具を用いての歩行は困難である。長下肢装具とクラッチを使用し歩行を試みるレベルである。ちなみに、両短下肢装具を用いての歩行は、大腿四頭筋が働く第3腰髄節(L3)の機能残存からである。

 

 

57回 午前7

7 28歳の男性。脊髄完全損傷。両側に長下肢装具を使用し、平行内歩行練習を行っている。歩行パターンを図に示す。
 機能残存レベルはどれか。

1.Th1
2.Th6
3.Th12
4.L4
5.S1

解答

解説

本症例のポイント

脊髄完全損傷。
体幹機能が上部・下部ともに残存。
両側に長下肢装具を使用している。
左手→右足→左手→左足の歩行パターン。

1.× Th1機能残存レベルは、手内在筋は機能するが体幹機能を喪失している。立位・歩行練習には上肢支持と共に体幹装具と長下肢装具が必要である。
2.× Th6機能残存レベルは、上部体幹筋が機能する。立位・歩行練習には上肢支持と骨盤帯付長下肢装具が必要である。
3.〇 正しい。Th12機能残存レベルで設問の図のように歩行できる。Th12機能残存レベルは、下部体幹筋が機能する。したがって、立位・歩行練習には長下肢装具と両手支持が必要である。
4.× L4機能残存レベルは、大腿四頭筋が機能し、多少弱いが前脛骨筋も機能する。立位・歩行練習には、短下肢装具と何らかの杖(ロフストランドクラッチ)による歩行が可能となる。
5.× S1機能残存レベルは、下肢装具は不要となり歩行は自立する。

 

 

 

57回 午前15

15 脊髄損傷患者のトランスファーボードを用いたベッドから車椅子への移乗動作を図に示す。
 この動作を獲得目標とする機能残存レベルはどれか。

1.C4
2.C5
3.C6
4.C7
5.C8

解答

解説

本症例のポイント

①トランスファーボードを用いている
②肘関節伸展をロックしていること。
③前方移動である。

 ベッドの側方移乗はC7残存レベルで可能となるが、図をよく観察するとトランスファーボードを使用し、患者も完全肘伸展位でロックした状態で移乗を行っている。したがって、本症例の移乗は、肘伸展筋を使用した純粋な側方移乗ではない。つまり、解答は、選択肢3. C6である。

1~2.× C5以下の機能残存レベルは、移乗には介助が必要である。
3.〇 正しい。C6機能残存レベルでは、上腕三頭筋が機能せず肘伸展位で肘をロックする必要がある。基本的には、前方移乗で行った方が安全に遂行できるが、側方移乗でもトランスファーボードを使用すれば可能である。
4.× C7以上の機能残存レベルは、トランスファーボードを使用せず側方移乗が行える。

トランスファーボード(スライディングボード)とは?

 座った姿勢を保持したままベッドから車椅子に移譲するための福祉用具である。介助者は少ない力で無理なく介助できる。

Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979

 

 

 

57回 午前44

44 脊髄損傷(第7頸髄節まで機能残存)患者で自立が最も困難なのはどれか。

1.自動車の運転
2.車椅子のキャスター上げ
3.車椅子で5cmの段差昇降
4.床面から車椅子への乗り移り
5.ベッドから車椅子までの側方移乗

解答

解説

(Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)

第7頸髄節までの残存

主な動作筋は、上腕二頭筋と橈側手根屈筋である。移動は車椅子駆動で、自動車の運転も可能となる。プッシュアップとベッドの側方移動が可能となり、車椅子にて日常生活のほとんどが自立まで至る。

1.× 自動車の運転は、C6レベルの機能残存が必要である。ハンドル旋回装置や手動装置を利用することで、自動車の運転が可能になる。
2〜3.× 車椅子のキャスター上げ(瞬間的に持ち上げる)/車椅子で5cmの段差昇降は、C7レベルの機能残存が必要である。瞬間的なキャスター上げは、約5cmの段差昇降を可能にする。ちなみに、キャスター上げの保持(持続的なキャスター上げ、キャスターを上げたままの移動)は、手指屈筋群が機能するC8レベル以下の機能が必要になる。
4.〇 正しい。床面から車椅子への乗り移りは、自立が最も困難である。床面から車椅子への乗り移りは、C8レベルの機能残存が必要である。C7レベルまでの残存は、プッシュアップは可能にはなるものの、プッシュアップで殿部を40cm程度後方に体幹を安定させ、全身を引き上げる強い上肢の筋力まで至らない。
5.× ベッドから車椅子までの側方移乗は、C7レベルまでの残存で可能である。

 

 

57回 午後15

15  6歳の女児。顕在性二分脊椎。機能残存レベルは第4腰髄である。
 歩行練習の実施方法で適切なのはどれか。(※不適切問題:解2つ)

1.靴型装具を使用する。
2.短下肢装具と杖を併用する。
3.短下肢装具のみを使用する。
4.長下肢装具と杖を併用する。
5.骨盤帯付き長下肢装具と歩行器を併用する。

解答2・3(※複数の選択肢を正解として採点する)
理由:複数の正解があるため。

解説

本症例のポイント

・6歳の女児。
・顕在性二分脊椎。
・機能残存レベル:第4腰髄。
(Sharrardの分類:第Ⅲ群(L3〜4レベル)長下肢装具または短下肢装具による杖歩行可能。股関節外転、足関節背屈が可能)

1.× 靴型装具を使用するのは、第Ⅴ群(S1〜2レベル)である。ちなみに、第Ⅴ群(S1〜2レベル)は、ほとんど装具が不要で自立歩行可能である。足関節の安定性が低い。
2.〇 正しい。短下肢装具と杖を併用するのは本症例の歩行練習である。なぜなら、第Ⅲ群(L3〜4レベル)では、長下肢装具(L3)または短下肢装具(L4)による杖歩行可能であるため。実用的なレベルまで獲得できれば、訓練レベルで選択肢3.短下肢装具のみを使用しての歩行練習も行う。
3.〇 正しい。短下肢装具のみを使用するのは本症例の歩行練習である。第Ⅳ群(L5レベル)では、短下肢装具による自立歩行可能で、装具なしでも歩行可能である。本症例は、機能残存レベルは第4腰髄であるが、訓練レベルで行う。
4.× 長下肢装具と杖を併用するのは、第Ⅲ群のL3レベルである。本症例は、機能残存レベルは第4腰髄であるため現時点で獲得できているものと考える。
5.× 骨盤帯付き長下肢装具と歩行器を併用するのは、第Ⅰ群(Th12レベル)である。

Sharrard(シェラード)の分類

第Ⅰ群(胸髄レベル):車椅子を使用している。下肢を自分で動かすことはできない。
第Ⅱ群(L1〜2レベル):車椅子と杖歩行を併用している。股関節屈曲・内転、膝関節伸展が可能。
第Ⅲ群(L3〜4レベル):長下肢装具(L3)または短下肢装具(L4)による杖歩行可能。股関節外転、足関節背屈が可能。
第Ⅳ群(L5レベル):短下肢装具による自立歩行可能。装具なしでも歩行可能。股関節伸展、足関節底屈が可能。
第Ⅴ群(S1〜2レベル):ほとんど装具が不要で自立歩行可能。足関節の安定性が低い。
第Ⅵ群(S3レベル):ほとんど運動麻痺はなく、健常児とほぼ同様の歩行。

 

 

 

 

58回 午前11

11.頚髄損傷者の起き上がり動作を図に示す。
 Zancolliの四肢麻痺上肢機能分類における最も上位の機能残存レベルはどれか。

1.C5A
2.C5B
3.C6A
4.C6BⅡ
5.C7A

解答

解説

 

C6残存レベルでの起き上がり方法

C6残存レベルでの起き上がり方法は主に3種類あり、
①モノにつかまって起き上がる方法、
②「くの字」に体幹を屈曲してから起きる方法、
一側ずつ肘伸展位でロックして起き上がる方法がある。

C6BⅠでの起き上がり動作は、柵を用いたベッド上での起き上がりでないと行えない。
C6BⅡでの起き上がり動作は、支持物のない状態では一側ずつ肘伸展位でロックして起き上がる方法で可能となる。
C7Aでの起き上がり動作は、肘関節伸展・手指伸展が可能となり、一側ずつ肘伸展位でロックして起き上がる必要はない。

よって、解答は、選択肢4. C6BⅡである。

 

ちなみに、他の選択肢の解説をする。
1.× C5Aでは、1人での起き上がりはできない。
2~3.× C5B/C6Aでは、ベッド柵や紐を利用した起き上がりが可能なケースがある。

 

(※引用:Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)

 

 

 

 

58回 午後29

29.脊髄損傷者(完全麻痺)が両側の短下肢装具と杖によって安全に屋外歩行が可能となる最も上位の機能残存レベルはどれか。

1.Th6
2.Th10
3.L2
4.L4
5.S1

解答

解説

Sharrard(シェラード)の分類

第Ⅰ群(胸髄レベル):車椅子を使用している。下肢を自分で動かすことはできない。
第Ⅱ群(L1〜2レベル):車椅子と杖歩行を併用している。股関節屈曲・内転、膝関節伸展が可能。
第Ⅲ群(L3〜4レベル):長下肢装具(L3)または短下肢装具(L4)による杖歩行可能。股関節外転、足関節背屈が可能。
第Ⅳ群(L5レベル):短下肢装具による自立歩行可能。装具なしでも歩行可能。股関節伸展、足関節底屈が可能。
第Ⅴ群(S1〜2レベル):ほとんど装具が不要で自立歩行可能。足関節の安定性が低い。
第Ⅵ群(S3レベル):ほとんど運動麻痺はなく、健常児とほぼ同様の歩行。

1〜2.× Th6/Th10は、Sharrard(シェラード)の分類の第Ⅰ群(胸髄レベル)である。下肢を自分で動かすことはできないため、車椅子を使用する必要がある。
3.× L2は、Sharrard(シェラード)の分類の第Ⅱ群である。股関節屈曲・内転、膝関節伸展が可能となるため、車椅子と杖歩行を併用している。
4.〇 正しい。L4は、両側の短下肢装具と杖によって安全に屋外歩行が可能となる。L4(L3〜4レベル)は、Sharrard(シェラード)の分類の第Ⅲ群である。股関節外転、足関節背屈が可能となるため、長下肢装具(L3)または短下肢装具(L4)による杖歩行可能となる。
5.× S1は、Sharrard(シェラード)の分類の第Ⅴ群である。足関節の安定性が低いが、ほとんど装具が不要で自立歩行可能である。

 

 

59回 午後13

13 20歳の男性。脊髄損傷。プッシュアップ動作を図に示す。
 この動作が獲得可能な最も高位の機能残存レベルはどれか。

1.C4
2.C5
3.C6
4.C7
5.C8

解答

解説

本症例のプッシュアップ動作は、肩関節外旋位(肘関節ロック:骨性ロック)した状態で行っている。したがって、選択肢3.C6が獲得可能な最も高位の機能残存レベルである。

1.× C4の機能残存レベルは、四肢を動かすことはできない。
2.× C5の機能残存レベルは、三角筋と上腕二頭筋が残存しており、肩関節運動、肘関節屈伸・回外が可能である。プッシュアップ動作はできないため、平地では車椅子や電動車椅子を使用する。
3.〇 正しい。C6の機能残存レベルは、【主な動作筋】大胸筋、橈側手根屈筋、【運動機能】肩関節内転、手関節背屈、【移動】車椅子駆動(実用レベル)、【自立度】中等度介助(寝返り、上肢装具などを使って書字可能、更衣は一部介助)である。したがって、C6機能残存レベルのプッシュアップは、肩関節外旋位・肘関節伸展位・手指屈曲位にて骨性ロックを使用し、不完全なレベルであることが多い。
4.× C7/C8の機能残存レベルは、骨性ロックを使用しなくてもプッシュアップ動作が可能である。なぜなら、上腕三頭筋の筋力が十分であるため。

(※引用:Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)

 

 

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