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※問題の引用:厚生労働省より
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【共通問題のみ】頸動脈小体(頸動脈洞反射、呼吸生理)についての問題「まとめ・解説」
OT専門
55回 午前31
31 呼吸器疾患で正しいのはどれか。
1. 肺線維症は閉塞性肺疾患である。
2. 気管支拡張症では乾性咳嗽がみられる。
3. 気管支喘息の発作時は1秒率が低下する。
4. 過換気症候群では呼吸性アシドーシスになる。
5. CO2ナルコーシスは低CO2血症によって生じる。
解答3
解説
閉塞性肺疾患(閉塞で呼気が障害されている)ので、1秒率が低下する。
拘束性肺疾患(肺の動きが悪くなっている)の1秒率は正常であるが、肺活量が減少する。
過換気症候群は、血中炭酸ガスが減少する結果、血液はアルカリ性となる。低Ca血症のため、四肢の硬直、痙攣、手足の先のしびれ、意識消失がみられることがあるが、通常は生命維持に影響がみられることはない。
1.× 肺線維症は、「閉塞性肺疾患」ではなく拘束性肺疾患である。肺線維症は、肺の線維化により肺が広がりにくくなる状態である。
2.× 気管支拡張症は、「乾性咳嗽」ではなく湿性咳嗽がみられる。気管支拡張症は、気管支が炎症などにより非可逆的に拡張した状態である。咳嗽(湿性咳嗽)と喀痰が主症状である。
3.〇 正しい。気管支喘息の発作時は1秒率が低下する。なぜなら、気管支喘息は、気道の慢性炎症による気道狭窄を示す閉塞性換気障害であるため。
4.× 過換気症候群は、「呼吸性アシドーシス」ではなく呼吸性アルカローシスになる。なぜなら、過換気症候群は、発作的に肺胞過換気状態と呼吸困難を生じるため。
5.× CO2ナルコーシスは、「低CO2血症」ではなくCO2の蓄積によりPaCO2が上昇する。
慢性閉塞性肺疾患の患者は、慢性的に血中CO2濃度が上昇しており、体内のCO2濃度を感知する中枢化学受容体での感受性が鈍くなっている。したがって、普段の呼吸運動は低酸素を感知している酸素の受容体(末梢化学受容体)からの刺激によって起こっている。しかし、高濃度の酸素を投与されると酸素の受容体は体内に酸素が十分にあると判断し、呼吸中枢を抑制して呼吸運動が減弱する。その結果、体内に高度のCO2蓄積が起こり、意識障害などの中枢神経症状が起こる。
56回 午後2
2 60歳の男性。COPDが進行し在宅酸素療法が導入された。酸素流量は労作時2L/分である。
入浴動作の指導で正しいのはどれか。
1. 洗髪を片手で行う。
2. 動作を素早く行う。
3. 浴槽に肩まで浸かる。
4. 洗い場の椅子の座面を低くする。
5. 入浴中は経鼻カニューレを外す。
解答1
解説
(図引用:「息切れを増強させる4つの動作のイラスト(慢性呼吸器疾患)」看護roo!看護師イラスト集様HPより)
① 排便(息を止めるため、呼吸のコントロールを行う)
② 肩まで湯船につかる(胸部が圧迫されるため、動作環境や方法を工夫する)
③ 洗髪、上衣更衣、洗体など(上肢を使うため、上肢挙上は片腕のみで、呼吸のコントロールを行う。)
④ズボンや靴下を履く(体を前屈して行うため、動作のスピードや方法を調整する。)
※入浴の生活指導:息切れがある場合は全身入浴を控え、半身浴やシャンプーハットを使用したシャワーなどで対応する。入浴中は酸素吸入を行わない場合が多いため、入浴時間は短めにする。
1.〇 正しい。洗髪を片手で行う。なぜなら、同時に両手の上肢挙上をすると血中酸素飽和度の低下を招きやすいため。
2.× 動作を「素早く」行う必要はない。なぜなら、素早く行うことで呼吸が止まりやすくなったり、血中酸素飽和度の低下を招きやすくなったりするため。呼吸状態に合わせて、休息を入れつつ動作のスピードや方法を個々に合わせて調整する慢性閉塞性肺疾患患者は安静時には呼吸困難が無くとも、労作に伴って急に強い呼吸困難が出現することが特徴である。これは在宅酸素療法で酸素吸入を行っていても同様であり、 作業療法を行う際はその内容を分割して呼吸困難の出現に注意を払う。
3.× 浴槽には、「肩まで」浸かるのはなく、半身浴が望ましい。なぜなら、浴槽に肩まで浸かることで、体温上昇や水圧による呼吸運動の妨げになるため。また、ややぬるめの湯温で長時間(15分以上)の入浴は避ける。
4.× 洗い場の椅子の座面は、「低く」ではなく適度な高さとする。なぜなら、胸腹部の圧迫(横隔膜の可動域制限)が起こり、呼吸苦が生じやすいため。座面は胸腹部が圧迫されない程度に高くして、長柄ブラシなどの使用で前かがみ動作を軽減させる。
5.× 入浴中は、「経鼻カニューレを外す」必要はなく、入浴中も酸素吸入を継続する。なぜなら、入浴の運動強度は中等度と強いため。ちなみに、経鼻カニューレとは、酸素を吸入するための管状の道具で、両側の鼻孔に向けた短いチューブの先端から酸素が流れるしくみになっているものである。洗うこともできるが、酸素を送る器械に装着する際は、十分に水分を切るように注意する。
58回 午後9
9 68歳の男性急性心筋梗塞のため14日間入院し退院後2か月が経過した。心臓リハビリテーションのために実施した検査場面を図に示す。
測定項目に含まれないのはどれか。
1.血圧
2.肺活量
3.1回換気量
4.運動負荷量
5.酸素摂取量
解答2
解説
エルゴメータ負荷試験とは、検査用の自転車を漕ぎ、ペダルに抵抗をつけることにより心臓に負荷をかける検査である。時間とともに徐々にペダルを重くし、負荷を増やしていきながら運動前、運動中、運動後の心電図を比べる。労作性狭心症や運動によって誘発される不整脈の精査に有効である。また、運動中の心拍数や血圧の変動もみることができる。(※参考:「エルゴメータ負荷試験」岡山大学様HPより)
1.〇 血圧は、検査項目に含まれる。運動前、運動中、運動後も心電図と血圧を測定できる。一般的に、運動負荷が増加すると、心拍出量が増大し、血圧が上昇する。
2.× 肺活量は、測定項目に含まれない。なぜなら、負荷に応じて肺活量に変化はみられないため。肺活量とは、[最大吸気量 + 予備呼気量]のことをいう。つまり、限界まで吸い、限界まで吐いたときの空気の量である。
3.〇 1回換気量は、検査項目に含まれる。なぜなら、運動により呼吸回数や1回換気量が増加するため。1回換気量を測定することで、運動負荷に対する呼吸器系の反応を評価できる。ちなみに、一回換気量とは、一回の呼吸運動(呼気と吸気)で気道・肺に出入りするガスの量のことを指す。単位はmL。1回換気量のうち、ガス交換が可能な領域(呼吸細気管支と肺胞)を出入りする分が「有効換気量(350mL)」であり、ガス交換が行われない領域(鼻腔・口腔・気管・気管支・終末細気管支)を出入りする分は、「死腔換気量(150mL)」である。したがって、有効換気量+死腔換気量で健康な成人の1回換気量を求めることができる。
4.〇 運動負荷量は、検査項目に含まれる。エルゴメータ負荷試験は、時間とともに徐々にペダルを重くし、負荷を増やしていきながら運動前、運動中、運動後の心電図を比べる。
5.〇 酸素摂取量は、検査項目に含まれる。酸素摂取量は、肺からの酸素の取り込み、心臓などの循環機能などが影響する。
(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)
59回 午後27
27 呼吸機能で正しいのはどれか。
1.横隔膜の支配髄節は第3頸髄節である。
2.安静時の吸気は斜角筋の収縮が作用する。
3.安静時の呼気は腹直筋の弛緩が作用する。
4.副交感神経が優位になると分泌物が増加する。
5.呼吸補助筋の麻痺により閉塞性換気障害が生じる。
解答4
解説
横隔膜とは、胸郭と腹郭を分ける筋膜性の膜であり、縦郭の境界をなしている。他にも、横隔膜の役割は、呼吸に関与する。
横隔膜の【起始】胸郭下口の全周で、腰椎部、肋骨部、胸骨部の3部からなる。①腰椎部は、内側脚:第1~4腰椎体、外側脚:内側弓状靭帯と外側弓状靭帯、②肋骨部は、第7~12肋軟骨(肋骨弓部)の内面、③胸骨部は、剣状突起。一部は腹横筋腱膜の内面、【停止】腱中心、【作用】その収縮によって円蓋を下げ、胸腔を広げる(吸息)、【支配神経】横隔神経と副横隔神経(30~40%で欠如)である。
1.× 横隔膜の支配髄節は、「第3頸髄節」ではなく第4頸髄節である。支配神経は、横隔神経と副横隔神経:C3~C5,(C6)である。C4が主で、C3、C5が補助枝となる。副横隔神経は、30~40%で欠如している。
2.× 安静時の吸気は、「斜角筋」ではなく横隔膜・外肋間筋の収縮が作用する。ちなみに、斜角筋の収縮は、努力吸気に寄与する。
3.× 安静時の呼気は、腹直筋の弛緩が作用「しない」。なぜなら、安静呼気において、呼気筋は関与しないため。
4.〇 正しい。副交感神経が優位になると分泌物が増加する。副交感神経が優位になると、気管(特に気管支以下の細い部分)は細く、気道分泌物は多くなる傾向がある。したがって、呼吸器症状(咳や息苦しさ)は深夜から明け方に悪くなりやすい。
5.× 呼吸補助筋の麻痺により「閉塞性換気障害」ではなく拘束性換気障害が生じる。拘束性換気障害とは、肺胞壁が肥厚して肺の弾力がなくなることで、肺の容積が小さくなり充分に拡張しない病態である。主に、肺結核、肺線維症などがあげられる。ちなみに、閉塞性換気障害とは、気道が狭くなり、息を吐き出しにくくなる障害のことである。主に、気管支喘息、気管支拡張症などが該当する。
①安静吸気:横隔膜・外肋間筋。
②安静呼気:呼気筋は関与しない。
③努力吸気:呼吸補助筋(僧帽筋、胸鎖乳突筋・斜角筋・大胸筋・小胸筋・肋骨挙筋など)が関与。
④努力呼気:内肋間筋・腹横筋・腹直筋が関与。
共通問題
45回 午前73
73.呼気の補助筋で図中の矢印の方向へ胸郭を引き下げるのはどれか。
1.腹直筋
2.大腰筋
3.腰方形筋
4.内腹斜筋
5.外腹斜筋
解答4
解説
①安静吸気:横隔膜・外肋間筋。
②安静呼気:呼気筋は関与しない。
③努力吸気:呼吸補助筋(僧帽筋、胸鎖乳突筋・斜角筋・大胸筋・小胸筋・肋骨挙筋など)が関与。
④努力呼気:内肋間筋・腹横筋・腹直筋が関与。
1.× 腹直筋の作用は、胸郭の前部を引き下げまたは骨盤の前部を引き上げ、また脊柱を前方に曲げる。ちなみに、【起始】恥骨結合と恥骨結節との間、【停止】第5~第7肋軟骨、剣状突起の前面である。
2.× 大腰筋の作用は、股関節屈曲。ちなみに、【起始】第12胸椎~第4腰椎の椎体と椎間円板、すべての腰椎の肋骨突起、第12肋骨、【停止】大腿骨の小転子である。
3.× 腰方形筋の作用は、腰椎を同側に曲げる。両側が働けば腰椎を後ろへ曲げる(腰を反らす)。ちなみに、【起始】腸骨稜と腸腰靭帯、腰椎肋骨突起、【停止】第12肋骨、腰椎肋骨突起である。
4.〇 正しい。内腹斜筋は、呼気の補助筋で図中の矢印の方向へ胸郭を引き下げる。ちなみに、【起始】腰腱膜、腸骨稜前部の中間線および鼠経靭帯の外側部、【停止】腱膜は2枚に分かれて腹直筋鞘の前後両葉に入り白線に終わる(弓状線より下部では前葉のみ)、最後部:第10~12肋骨の下縁である。
5.× 外腹斜筋の作用は、肋骨の引き下げ、脊柱の屈曲、骨盤の引き上げ、また脊柱を同時に曲げ、上体を対側に回す。腹圧を高め、腹式呼吸のとき呼息を行う。ちなみに、【起始】第5(6)~12肋骨の外面、【停止】腱膜は腹直筋鞘の前葉に入って白線に終わる。鼠経靭帯、恥骨稜、最後部:腸骨稜外唇である。
46回 午前73
73.呼気時に働く筋はどれか。
1.横隔膜
2.大胸筋
3.後斜角筋
4.外腹斜筋
5.胸鎖乳突筋
解答4
解説
①安静吸気:横隔膜・外肋間筋。
②安静呼気:呼気筋は関与しない。
③努力吸気:呼吸補助筋(僧帽筋、胸鎖乳突筋・斜角筋・大胸筋・小胸筋・肋骨挙筋など)が関与。
④努力呼気:内肋間筋・腹横筋・腹直筋が関与。
1.× 横隔膜は、安静吸気に働く。
2~3.5.× 大胸筋/後斜角筋/胸鎖乳突筋は、努力吸気に働く。
4.〇 正しい。外腹斜筋は、(努力)呼気時に働く筋である。他にも、内肋間筋・腹横筋・腹直筋が関与する。
47回 午後72
72 努力性呼気時に働く筋はどれか。
1.腹横筋
2.僧帽筋
3.大胸筋
4.小胸筋
5.胸鎖乳突筋
解答1
解説
①安静吸気:横隔膜・外肋間筋。
②安静呼気:呼気筋は関与しない。
③努力吸気:呼吸補助筋(僧帽筋、胸鎖乳突筋・斜角筋・大胸筋・小胸筋・肋骨挙筋など)が関与。
④努力呼気:内肋間筋・腹横筋・腹直筋が関与。
1.〇 正しい。腹横筋は、努力性呼気時に働く筋である。主な作用は、胸郭の前部を引き下げまたは骨盤の前部を引き上げ、また脊柱を前方に曲げる。
2.× 僧帽筋は、努力性吸気時に働く。主な作用は、①上部:肩甲骨と鎖骨の肩峰端を内上方にあげる。②中部:肩甲骨を内側に引く。③下部:肩甲骨を内下方に引き下げると同時にその下角を外側に回旋する。
3.× 大胸筋は、努力性吸気時に働く。主な作用は、肩関節内転・内旋。①鎖骨部:肩甲骨屈曲。②腹部:肩関節下制。(なお、手を壁につけているときのように上肢が固定されているとき、または腕を前にあげて深呼吸するときなどに胸郭を上げて吸息を補助)
4.× 小胸筋は、努力性吸気時に働く。主な作用は、肩甲骨を前下に引く。このとき下角が後内側に回旋する。肩甲骨を固定すると肋骨を引き上げる。
5.× 胸鎖乳突筋は、努力性吸気時に働く。主な作用は、両側が同時に作用すると首をすくめて顎を突き出す。片側が働けば顔面を対側に回す。吸息の補助。
47回 午後94
94 呼吸器疾患で正しいのはどれか。
1.肺線維症は閉塞性肺疾患である。
2.気管支拡張症では乾性咳嗽がみられる。
3.気管支喘息の発作時は1秒率が低下する。
4.過換気症候群では呼吸性アシドーシスになる。
5.CO2ナルコーシスは低CO2血症によって生じる。
解答3
解説
閉塞性肺疾患(閉塞で呼気が障害されている)ので、1秒率が低下する。
拘束性肺疾患(肺の動きが悪くなっている)の1秒率は正常であるが、肺活量が減少する。
過換気症候群は、血中炭酸ガスが減少する結果、血液はアルカリ性となる。低Ca血症のため、四肢の硬直、痙攣、手足の先のしびれ、意識消失がみられることがあるが、通常は生命維持に影響がみられることはない。
1.× 肺線維症は、「閉塞性肺疾患」ではなく拘束性肺疾患である。肺線維症は、肺の線維化により肺は広がりにくくなる状態である。
2.× 気管支拡張症では、「乾性咳嗽」ではなく湿性咳嗽がみられる。気管支拡張症は、気管支が炎症などにより非可逆的に拡張した状態である。咳嗽(湿性咳嗽)と喀痰が主症状である。
3.〇 正しい。気管支喘息の発作時は1秒率が低下する。なぜなら、気管支喘息は、気道の慢性炎症による気道狭窄を示す閉塞性換気障害であるため。
4.× 過換気症候群は、「呼吸性アシドーシス」ではなく、呼吸性アルカローシスになる。なぜなら、過換気症候群は、発作的に肺胞過換気状態と呼吸困難を生じるため。
5.× CO2ナルコーシスは、「低CO2血症」ではなく、CO2の蓄積によりPaCO2が上昇し生じる。
慢性閉塞性肺疾患の患者は、慢性的に血中CO2濃度が上昇しており、体内のCO2濃度を感知する中枢化学受容体での感受性が鈍くなっている。したがって、普段の呼吸運動は低酸素を感知している酸素の受容体(末梢化学受容体)からの刺激によって起こっている。しかし、高濃度の酸素を投与されると酸素の受容体は体内に酸素が十分にあると判断し、呼吸中枢を抑制して呼吸運動が減弱する。その結果、体内に高度のCO2蓄積が起こり、意識障害などの中枢神経症状が起こる。
(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)
混合性換気障害:肺気腫など
拘束性換気障害:肺結核、肺線維症など
閉塞性換気障害:気管支喘息、気管支拡張症など
49回 午前65
65 呼吸運動の促進要因として正しいのはどれか。
1. 気道の拡張
2. 四肢の運動
3. 髄液のpH上昇
4. 動脈血酸素分圧の上昇
5. 肺胞二酸化炭素分圧の低下
解答2
解説
1.× 気道の拡張は、呼吸数を低下する。なぜなら、気道が拡張することにより、多く酸素を取り込むことができるため。
2.〇 正しい。四肢の運動は、呼吸数を促進する。なぜなら、骨格筋の酸素消費量が増加して血中の酸素分圧が低下し、二酸化炭素分圧が上昇するため。
3.× 髄液のpH上昇は、呼吸数を低下する。延髄腹側の化学受容器は、脳脊髄液や脳組織中のpHを感知している。その変化を呼吸中枢に入力している。一方、髄液のpH低下は、脳脊髄液の二酸化炭素分圧の上昇が原因で起こっている。よって、呼吸数増加する。
4.× 動脈血酸素分圧の上昇は、呼吸数を低下する。動脈血酸素分圧の低下は、呼吸数を増加する。
5.× 肺胞二酸化炭素分圧の低下は、呼吸数を低下する。肺胞二酸化炭素分圧の上昇は、呼吸数を増加する。
50回 午後69
69 筋と呼吸運動の組合せで正しいのはどれか。
1. 横隔膜 — 吸気
2. 腹直筋 — 吸気
3. 大胸筋 — 呼気
4. 内肋間筋 — 吸気
5. 胸鎖乳突筋 — 呼気
解答1
解説
1.〇 正しい。横隔膜は、(安静)吸気に作用する。
2.× 腹直筋は、「吸気」ではなく(努力)呼気に作用する。
3.× 大胸筋は、「呼気」ではなく(努力)吸気の補助に作用する。
4.× 内肋間筋は、「吸気」ではなく(努力)呼気に作用する。
5.× 胸鎖乳突筋は、「呼気」ではなく(努力)吸気の補助に作用する。
53回 午後73
73.安静時の呼吸運動で正しいのはどれか。
1.呼気時に腹圧は上昇する。
2.吸気時に横隔膜は下降する。
3.呼気時に外肋間筋は収縮する。
4.吸気時に気道抵抗は上昇する。
5.胸郭下部は前後方向の動きが左右方向より大きい。
解答:2
解説
1.× 呼気時に腹圧は、「上昇」ではなく下降する。呼気時は横隔膜が弛緩し、腹圧は低下し、胸腔内圧は上昇する。
2.〇 正しい。吸気時に横隔膜は下降する。
3.× 呼気時に収縮するのは、「外肋間筋」ではなく内肋間筋である。外肋間筋は、吸気時である。
4.× 「吸気時」ではなく、呼気時に気道抵抗は上昇する。気道抵抗とは、気道を流れる空気の「通りにくさ」を意味し、気道内径の変化を伴う気道障害の指標となる。喘息など閉塞性換気障害のある人では、呼気時の気道抵抗は著明に上昇する。
5.× 逆である。胸郭下部は左右方向の動きが前後方向より大きい。呼吸で上部肋骨がポンプハンドル(上下)、下部肋骨がバケツハンドル(左右)に運動する。
57回 午後69
69 強制吸気時に働くのはどれか。2つ選べ。
1.横隔膜
2.腹直筋
3.肋下筋
4.外肋間筋
5.内腹斜筋
解答1・4
解説
①安静吸気:横隔膜・外肋間筋。
②安静呼気:呼気筋は関与しない。
③努力吸気:呼吸補助筋(僧帽筋、胸鎖乳突筋・斜角筋・大胸筋・小胸筋・肋骨挙筋など)が関与。
④努力呼気:内肋間筋・腹横筋・腹直筋が関与。
1.〇 正しい。横隔膜/外肋間筋は、強制吸気時(安静吸気)に働く。強制吸気とは、治療用噴霧、吸入、呼吸装置や治療用噴霧、吸入、呼吸装置などの分野において活用される。安静吸気が微弱であることがベースであるため、強制吸気時でも安静吸気時に働いている。
2.× 腹直筋は、努力呼気に働く。胸郭の前部を引き下げまたは骨盤の前部を引き上げ、また脊柱を前方に曲げる。
3.× 肋下筋は、内肋間筋に連続して存在し、内肋間筋の後方に存在する。ちなみに、内肋間筋は努力呼気に働く。外肋間筋と反対に肋骨を引き下げて胸郭を狭める(呼息)。
5.× 内腹斜筋は、上体を同側に回す。また、腹圧を高め、腹式呼吸のとき呼息を行う。
58回 午前69
69.肺活量算出に最低限必要な肺気量分画はどれか。2つ選べ。
1.予備吸気量
2.予備呼気量
3.1回換気量
4.全肺気量
5.残気量
解答4・5
解説
(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)
肺活量は、「全肺気量-残気量」で算出される。
1.× 予備吸気量とは、正常1回換気量を超えて吸気可能な最大空気量である。
2.× 予備呼気量とは、安静時呼息位から強制呼息によって呼出できる量のことをいう。
3.× 1回換気量とは、一回の呼吸運動(呼気と吸気)で気道・肺に出入りするガスの量のことを指す。単位はmL。1回換気量のうち、ガス交換が可能な領域(呼吸細気管支と肺胞)を出入りする分が「有効換気量(350mL)」であり、ガス交換が行われない領域(鼻腔・口腔・気管・気管支・終末細気管支)を出入りする分は、「死腔換気量(150mL)」である。したがって、有効換気量+死腔換気量で健康な成人の1回換気量を求めることができる。
4.〇 正しい。全肺気量は、肺活量算出に必要である。全肺気量とは、肺活量と残気量の合計が全肺気量である。
5.〇 正しい。残気量は、肺活量算出に必要である。残気量とは、最大に呼出させた後、なおも肺内に残っている空気量のことをいう。
58回 午後72
72.安静呼吸における吸気時で正しいのはどれか。
1.横隔膜は上昇する。
2.外肋間筋は弛緩する。
3.胸腔内は陽圧になる。
4.腹横筋が主に収縮する。
5.上部胸郭は前上方へ拡張する。
解答5
解説
①安静吸気:横隔膜・外肋間筋。
②安静呼気:呼気筋は関与しない。
③努力吸気:呼吸補助筋(僧帽筋、胸鎖乳突筋・斜角筋・大胸筋・小胸筋・肋骨挙筋など)が関与。
④努力呼気:内肋間筋・腹横筋・腹直筋が関与。
1.× 吸気時の横隔膜は、「上昇」ではなく下降する。横隔膜の作用は、その収縮によって円蓋を下げ、胸腔を広げる(吸息)。横隔膜は下降することで、胸腔の容積が増加する。
2.× 吸気時の外肋間筋は、「弛緩」ではなく収縮する。外肋間筋の【起始】上位肋骨下縁、【停止】下位肋骨上縁、【作用】肋骨を引き上げて胸郭を広げる(吸息)である。
3.× 吸気時の胸腔内は、「陽圧」ではなく陰圧になる。吸気時、横隔膜の収縮(下に引っ張られる状態)と肋間筋の収縮(胸が膨らむ状態)により胸郭が膨らむ。これにより、胸腔内は陰圧となり、それと同時に肺も外側へ引っ張られて膨らむ。 その結果、口や鼻から気道を通り、肺へ空気が送り込まれる。
4.× 腹横筋が主に収縮するのは、「安静呼吸」ではなく努力呼気である。腹横筋の【起始】第7~第12肋骨内面、腰腱膜、腸骨稜前部の内唇、鼠経靭帯の外側部、【停止】腱膜が、弓状線から上では腹直筋鞘後葉に、下では前葉に入って白線に終わる。【作用】腹斜筋とともに腹圧を高める。腹腔の容積を小さくしその内容の排出を促す。また横隔膜を押し上げて呼息を行う。
5.〇 正しい。上部胸郭は前上方へ拡張する。呼吸で上部肋骨がポンプハンドル(上下)、下部肋骨がバケツハンドル(左右)に運動する。
59回 午前64
64 肺拡散能に影響を与えるのはどれか。2つ選べ。
1.ヘモグロビン
2.死腔換気量
3.肺胞表面積
4.気道抵抗
5.残気量
解答1・3
解説
肺拡散能とは、肺胞から肺胞上皮および毛細血管内皮を介して赤血球へガスを運搬する能力を測定するものである。つまり、肺胞から肺胞の毛細血管に酸素などのガスを供給する能力のことである。
【肺拡散能低下の要因】
①肺性因子(例:間質性肺炎や急性呼吸吸促症候群など):肺胞壁が何らかの原因により障害が出て肺胞壁にガスが通過しにくくなる。
②肺外性因子
・心拍出量低下:肺胞に接する血管の血液量が低下し、肺胞のガスが血液内に移動できる量が減少する。
・貧血、喫煙:血管内の大半の酸素はヘモグロビンによって運搬される。したがって、ヘモグロビンが減少すると肺胞から受け取れる酸素量が低下する。
1.〇 正しい。ヘモグロビンは、肺拡散能に影響を与える。なぜなら、血管内の大半の酸素はヘモグロビンによって運搬されるため。ヘモグロビンとは、酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。ヘモグロビンの値が、男性は13g/dl以下、女性は11g/dl以下になると、「貧血」と診断される。
2.× 死腔換気量は、直接的に肺拡散能に影響を与えない。死腔換気量とは、ガス交換が行われない領域(鼻腔・口腔・気管・気管支・終末細気管支)を出入りする分である。
3.〇 正しい。肺胞表面積は、肺拡散能に影響を与える。なぜなら、肺胞の表面積が大きいほど、ガス交換のための面積が増え、酸素と二酸化炭素の交換が効率的に行われるため。逆に、表面積が減少する(例えば肺気腫などの病態によって)と、肺拡散能は低下する。ちなみに、肺胞の表面積は、左右の両肺で約3億個あるといわれる肺胞を広げると約60~70m2(テニスコートの広さ)に相当する。
4.× 気道抵抗は、直接的に肺拡散能に影響を与えない。なぜなら、肺拡散能(肺胞から肺胞の毛細血管のガス交換能力)と気道抵抗は障害されている部位が異なるため。気道抵抗とは、気道を流れる空気の「通りにくさ」を意味し、気道内径の変化を伴う気道障害の指標となる。喘息など閉塞性換気障害のある人では、呼気時の気道抵抗は著明に上昇する。
5.× 残気量は、直接的に肺拡散能に影響を与えない。残気量とは、最大に呼出させた後、なおも肺内に残っている空気量のことをいう。残気量が過度に増加すると、新鮮な空気が肺胞に十分に供給されず、ガス交換の効率が低下する可能性があるように思えるが、空気が十分に供給される/されないにかかわらず、肺拡散能は、肺胞から肺胞の毛細血管のガス交換能力であるため、残気量による肺拡散能は変化ない。くれぐれも肺拡散能は、肺胞から肺胞の毛細血管であることに留意する。
(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)
一回換気量とは、一回の呼吸運動(呼気と吸気)で気道・肺に出入りするガスの量のことを指す。単位はmL。1回換気量のうち、ガス交換が可能な領域(呼吸細気管支と肺胞)を出入りする分が「有効換気量(350mL)」であり、ガス交換が行われない領域(鼻腔・口腔・気管・気管支・終末細気管支)を出入りする分は、「死腔換気量(150mL)」である。したがって、有効換気量+死腔換気量で健康な成人の1回換気量を求めることができる。
59回 午後63
63 呼吸の生理で正しいのはどれか。
1.呼気時に横隔神経の活動電位が生じる。
2.迷走神経が亢進すると気道抵抗は低下する。
3.肺コンプライアンスが増加すると機能的残気量は減少する。
4.pHが上昇すると酸素はヘモグロビンから解離しやすくなる。
5.呼吸商は単位時間あたりの二酸化炭素産生量と酸素消費量の比である。
解答5
解説
1.× 「呼気時」ではなく吸気時に横隔神経の活動電位が生じる。なぜなら、横隔膜は安静吸気に活動するため。横隔膜の支配神経は、横隔神経と副横隔神経(30~40%で欠如)である。横隔神経は、頸神経(C3-C5)の枝から構成されている。
2.× 迷走神経が亢進すると気道抵抗は「低下」ではなく増加する。なぜなら、気道が狭くなるため。血管迷走神経反射とは、様々な刺激により副交感神経の亢進と交感神経の抑制が起きることをいう。主な症状は血圧低下、徐脈が中心で、重度の場合は失神に至る。
3.× 肺コンプライアンスが増加すると、機能的残気量は「減少」ではなく増加する。なぜなら、肺の過膨張により、息が吐きづらく、肺にたくさんの空気が残るため。肺コンプライアンスとは、肺の膨らみやすさの指標である。肺、胸郭にはたえず縮まろうとする性質(弾性)があり、コンプライアンスは弾性の逆数で表される。肺が線維化して固くなる疾患では肺コンプライアンスは低下し、逆に肺の過膨張をきたす肺気腫等の疾患では上昇する。一方、機能的残気量とは、安静時呼気位の後に残っている空気量のことをいう。機能的残気量は、胸郭の弾性収縮力の障害が大きい疾患(肺線維症、胸郭変形、胸膜肥厚)で減少する。
4.× pHが上昇(アルカローシス)すると、酸素はヘモグロビンから解離「しにくくなる」。【酸塩基平衡】血液(体液)のpH:7.40 ± 0.05である。
→pH7.30:酸性に傾いている状態
→pH7.50:アルカリ性に傾いている状態
アシドーシス(酸性):pHが低下している状態。
アルカローシス(アルカリ性):pHが上昇している状態。
5.〇 正しい。呼吸商は、単位時間あたりの二酸化炭素産生量と酸素消費量の比である。呼吸商は、栄養素によって異なり、ブドウ糖が1.0、タンパク質は約0.8、脂質が0.7である。
①安静吸気:横隔膜・外肋間筋。
②安静呼気:呼気筋は関与しない。
③努力吸気:呼吸補助筋(僧帽筋、胸鎖乳突筋・斜角筋・大胸筋・小胸筋・肋骨挙筋など)が関与。
④努力呼気:内肋間筋・腹横筋・腹直筋が関与。