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16 小学3年生の男児。知能検査では全般的な知的発達に遅れは認めない。1年生のころから読み書きに強い困難を抱えている。文章を読む際に流暢に正しく読むことが難しく、音読が極端に遅い。漢字の書き取りも苦手で、黒板の文字の書き写しに時間がかかる。保護者は「家では普通に会話もでき、計算などは問題ない」と話している。
この患児の障害で最も考えられるのはどれか。
1.素行症〈素行障害〉
2.反抗挑発症〈反抗挑戦性障害〉
3.限局性学習症〈限局性学習障害〉
4.脱抑制型対人交流症〈脱抑制性愛着障害〉
5.反応性アタッチメント症〈反応性愛着障害〉
解答3
解説
・小学3年生の男児。
・知能検査:全般的な知的発達に遅れなし。
・1年生:読み書きに強い困難を抱えている。
・文章を読む際に流暢に正しく読むことが難しく、音読が極端に遅い。
・漢字の書き取りも苦手で、黒板の文字の書き写しに時間がかかる。
・保護者は「家では普通に会話もでき、計算などは問題ない」と話している。
→本症例は、限局性学習症〈限局性学習障害〉が疑われる。限局性学習症とは、知的障害などはないが、聞く・話す・読む・計算する・推論するなど、特定の能力の習得と実行に著しい困難を示すものをさす。
1.× 素行症〈素行障害〉(conduct disorder:CD)は、社会的な規範に対する反復的かつ複数の分野にわたる問題行動(例えば、暴力、盗み、器物損壊など、行動面の逸脱)によって規定される疾患概念である。それは、被虐待児に発現の親和性が高く、発達障害の子どもにも同じ傾向があるとされる。
2.× 反抗挑発症〈反抗挑戦性障害〉とは、行為障害(反復し持続する反社会的、攻撃的あるいは反抗的な行動パターン)の基準を満たし、さらに、9~10歳未満の児童に認められ、怒りにもとづいた不服従、反抗、挑戦的行動の持続的様式と表現される児童期の精神障害である。
3.〇 正しい。限局性学習症〈限局性学習障害〉は、この患児の障害で最も考えられる。なぜなら、本児は、全般的な知的発達に遅れはないが、読み書きに限り強い困難が持続しているため(計算などは問題がない)。
・限局性学習症とは、知的障害などはないが、聞く・話す・読む・計算する・推論するなど、特定の能力の習得と実行に著しい困難を示すものをさす。
4.× 脱抑制型対人交流症〈脱抑制性愛着障害〉とは、不適切に過度に見知らぬ人へ接近する対人行動の障害である。例えば、初対面の大人にいきなり抱きつく、親から離れても不安が乏しい、離感が不適切な行動があれば疑われる。
5.× 反応性アタッチメント症〈反応性愛着障害〉とは、虐待やネグレクト(養育拒否)などを受けた子どもが、世話をしてくれる人を警戒して甘えられなかったり、過度に愛想がよく誰にでもなれなれしいなど、対人関係が未熟で障害されている状態をいう。
17 27歳の男性。統合失調症。大学卒業後、アルバイト経験はあるが、短期間での離職を繰り返している。最近、主治医の指示で精神科デイケアに通所し、就労に向けて準備を進めることになった。デイケアでは、作業に関する質問ができず、一方的に他患に話すなどの様子が見られた。
この患者に行うプログラムで最も適切なのはどれか。
1.ACT
2.IPS
3.NEAR
4.SST
5.TEACCH
解答4
解説
・27歳の男性(統合失調症)。
・大学卒業後:アルバイト経験はあるが、短期間での離職を繰り返している。
・最近:主治医の指示で精神科デイケアに通所し、就労に向けて準備を進める。
・デイケア:作業に関する質問ができず、一方的に他患に話すなどの様子が見られた。
→本症例(統合失調症、27歳男性)は、就労に向けて準備期間(維持期)であるが、「作業に関する質問ができない」「一方的に他患に話す」という所見がみられる。これは、就労そのもの以前に、対人場面でのやりとりや社会生活技能に課題があると考えられる。

1.× ACT(assertive community treatment:包括的地域生活支援プログラム)とは、重い精神障害をもった人(入退院を繰り返すなど)であっても、地域社会の中で自分らしい生活を実現・維持できるよう包括的な訪問型支援を中心に提供するケアマネジメントモデルのひとつである。地域社会でうまく生活を継続することができるように多職種が365日・24時間体制で多職種によって構成されたチームにより関わる仕組みである。サービス提供は原則的に無期限である。
2.× IPS(Individual Placement and Support)とは、患者への信頼と可能性を信じることをベースとして、症状の安定度や職業準備性よりも就労意欲を重視し、仕事の中で自分を高め(ストレングス)、最終目的を疾患からの回復(リカバリー)とするものである。つまり、精神障害者の就労を支援するものである。
3.× NEAR(Neuropsychological Educational Approach to Cognitive Remediation:認知矯正療法)とは、統合失調症患者を対象とし、記憶力・集中力・物事の段取りを考えて実行する能力などの認知機能障害の改善を図るためのリハビリテーションである。参加可能基準は、主に7つ挙げられ、①年齢は13歳~65歳、②知的レベルは境界以上、③取りレベルは小学4年生以上、④現時点で物質及びアルコール乱用者ではない、⑤何らかの中毒における解毒から1ヵ月以上経過している、⑥過去3年間に頭部外傷歴がない、⑦セッションの間座っていられる程度に精神症状が安定していることがあげられる。
4.〇 正しい。SSTは、この患者に行うプログラムで最も優先される。なぜなら、本症例の「作業に関する質問ができない」「一方的に他患に話す」という所見は、まさに対人場面での基本的技能不足を示しているため。
・SST<Social Skills Training:社会生活技能訓練>は、社会生活を送るうえでの技能を身につけ、ストレス状況に対処できるようにする集団療法の一つ(認知行動療法の一つ)である。精神科における強力な心理社会的介入方法である。患者が習得すべき行動パターンを治療者(リーダー)が手本として示し、患者がそれを模倣して適応的な行動パターンを学ぶという学習理論に基づいたモデリング(模倣する)という技法が用いられる。
5.× TEACCH(Treatment and Education of Autistic and Related Communication Handicapped Children)は、自閉症患者とその家族、関係者(教師やグループホームなどの支援者)を対象にする包括的プログラムである。自閉症患者の人生を長期的かつ包括的に支援することで、自閉症患者の自立を目指すものである。
18 16歳の女子。中学時にダイエットに成功し周囲に認められたと感じた。その後、進路相談で高い目標設定をして過食嘔吐が増強した。志望校に入学後、るいそうが進行して5月に校内で倒れ、救急搬送された。入院1か月後に身体状態が改善し、作業療法が開始された。作業療法で「気分転換したい」「過食嘔吐をなくしたい」と希望した。
導入時の作業療法のプログラムで最も適切なのはどれか。
1.院外をウォーキングする。
2.集団作業療法から導入する。
3.完成作品の改善点を話し合う。
4.食品の正しい知識を勉強する。
5.アイロンビーズでコースターを作成する。
解答5
解説
・16歳の女子。
・中学時にダイエットに成功し周囲に認められたと感じた。
・その後:進路相談で高い目標設定をして過食嘔吐が増強した。
・志望校に入学後、るいそうが進行して5月に校内で倒れ、救急搬送。
・入院1か月後:身体状態が改善し、作業療法が開始。
・作業療法で「気分転換したい」「過食嘔吐をなくしたい」と希望した。
→本症例は、摂食障害(神経性無食症)が疑われる。摂食障害には、①神経性無食症、②神経性大食症がある。共通して肥満恐怖、自己誘発性嘔吐、下剤・利尿剤の使用抑うつの症状がみられる。作業療法場面での特徴として、過活動、強迫的なこだわり、抑うつ、対人交流の希薄さ、表面的な対応がみられる。患者の性格として、細かい数値へのこだわり(①体重のグラム単位での増減、②この食べ物はあの食べ物より〇カロリー多いなど)がみられる。
【摂食障害の作業療法のポイント】
①ストレス解消、②食べ物以外へ関心を向ける、③自信の回復(自己表出、他者からの共感、自己管理)、④過度の活動をさせない、⑤身体症状、行動化に注意する。
【性格的特徴】
①強情、②負けず嫌い、③執着心が強い、③極端な行動に及びやすい。
1.× 院外をウォーキングする必要はない。なぜなら、摂食障害では、運動へのこだわりや体重減少志向が強いことが多いため。したがって、身体状態が改善した直後に、運動課題(院外をウォーキング)を導入すると、症状を増悪する可能性が高い。
2.× 集団作業療法から導入する必要はない。なぜなら、摂食障害の性格特性において、負けず嫌い(対人比較)や執着心が強いことが多いため。したがって、まずは他者に影響されないよう個別(個人)で、安心して取り組める環境を整える。
3.× 完成作品の改善点を話し合う必要はない。なぜなら、摂食障害の性格特性において、負けず嫌い(対人比較)や執着心が強いことが多いため。
また、本症例の設問文からも「進路相談で高い目標設定」と記載されていることからも、着目するのは「完成作品の改善点」ではなく、「完成作品の現実」である。例えば、「完成した」「集中できた」「少し気持ちが落ち着いた」といった体験を支えるよう支援する。
4.× 食品の正しい知識を勉強する必要はない。なぜなら、摂食障害では、食べ物以外へ関心を向けることが大切であるため。なぜなら、食品や栄養に注意を向ける内容は、かえって食べ物へのとらわれを強める可能性がある。
5.〇 正しい。アイロンビーズでコースターを作成する。なぜなら、この作業は、決められた図案に沿ってビーズを並べる作業で、難易度的にも選択でき(比較的易しい)、食べ物以外へ関心を向け、程よい集中を生むため。また、完成後の実感が得られ、気分転換としても機能しやすい。
19 72歳の女性。元来多趣味で、特にパッチワークの小物作りに熱心であった。半年ほど前から物忘れがひどくなり、日常生活に支障をきたすようになった。最近は、食事もせずに抑うつ的な行動が多くなったため、精神科で入院治療を受けることになった。入院時のHDS-Rは17点であった。入院3週目より食事がとれるようになり作業療法が開始された。
導入時の作業療法で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.作業の全工程をまとめて説明する。
2.休憩の時間管理は作業療法士が行う。
3.パッチワークの小物作りを実施する。
4.複数の作業療法士が交替で担当する。
5.活動中の参加メンバーとの交流を制限する。
解答2・3
解説
・72歳の女性(元来多趣味)。
・特に、パッチワークの小物作りに熱心であった。
・半年ほど前:物忘れがひどくなり、日常生活に支障をきたす。
・最近:食事もせずに抑うつ的な行動が多くなった。
・入院時のHDS-R:17点。
・入院3週目:食事がとれるようになった。
→本症例は、認知面の低下(HDS-R:17点)や抑うつ状態が認められる。認知症やうつ病の導入期の作業療法を選択することが望ましい。

1.× 作業の全工程を「まとめて」ではなく一工程ずつ、短く具体的に説明する。なぜなら、本症例(HDS-R 17点)は、認知機能低下が疑われる水準かつ、抑うつ状態がみられるため。したがって、一度に全工程をまとめて説明すると、理解や記憶が難しく、混乱しやすく、自信の喪失につながりかねない。
2.〇 正しい。休憩の時間管理は、作業療法士が行う。なぜなら、うつ病のかかりやすい人の特徴に「几帳面で完璧主義、責任感が強い人が多い」ことが多いため。したがって、疲労や集中の切り替えを患者自分で適切に調整することが難しく、時として、無理に作業を続けていることもある。作業療法士は、無理をしなくてよいことを伝え、作業療法の導入期の休憩の時間管理は、作業療法士が行うことが望ましい。
3.〇 正しい。パッチワークの小物作りを実施する。なぜなら、本症例の入院前は、「パッチワークの小物作り」に熱心に取り組まれていたため。パッチワークの小物作りは、本症例が、これまで慣れ親しんだ活動で、安全で受身的で非競争的であることからも安心感や意欲を引き出しやすい。つまり、認知面の低下、抑うつ状態に対し、有効と考えられる。
4.× 複数の作業療法士が交替で担当する必要はない。なぜなら、記憶障害により、担当者が変わると覚えず負担となるため。不安や混乱を招きやすい。
5.× 活動中の参加メンバーとの交流を「制限する」より優先されるものが他にある(交流を一律に制限しない)。なぜなら、認知症の作業療法では、安心できる範囲での他者との交流は、意欲や情緒の安定に役立つため。孤立感の軽減や情緒の安定につながる。もちろん、刺激が強すぎる場合や混乱が著しい場合には「調整」が必要である。
抑うつ病とは、脳内の神経伝達物質のアンバランスにより、気分や感情をうまく調節できなくなり、心身の不調が表れる病気である。症状には、眠れない、疲れやすい、体がだるいといった身体的な症状や、自信が持てず、自己評価も低下しがちになる精神的な症状などがある。
かかりやすい:几帳面で完璧主義、責任感が強い人が多い。
うつ病の特徴:意欲低下、精神運動抑制などの症状のため、自己評価が低く、疲労感が強い。
①調子が悪いのは病気のせいであり、治療を行えば必ず改善すること。
②重要事項の判断・決定は先延ばしにする。
③自殺しないように約束してもらうことなど。
【作業基準】
①工程がはっきりしている。
②短期間で完成できる。
③安全で受身的で非競争的である。
④軽い運動(いつでも休憩できる)
【対応】
①気持ちを受け入れる。
②共感的な態度を示す。
③心理的な負担となるため、激励はしない。
④無理をしなくてよいことを伝える。
⑤必ず回復することを繰り返し伝えていく。
⑥静かな場所を提供する。
20 28歳の男性。営業職。上司からのハラスメントでうつ状態になり、退職して1か月の入院治療を受けた。退院後、就労準備を目的とした外来作業療法が指示された。導入時評価では、無気力ながらも対人関係は良好で、高い作業能力が認められるが、就労に対し強い不安を訴えた。
この時点の外来作業療法で優先すべきなのはどれか。
1.再発防止プランの作成
2.社会生活技能訓練への導入
3.就労移行支援事業所への紹介
4.認知リハビリテーションの実施
5.単純な軽作業プログラムへの導入
解答1
解説
・28歳の男性(営業職)。
・上司からのハラスメント:うつ状態。
・退職して1か月の入院治療を受けた。
・外来作業療法が指示:退院後の就労準備を目的。
・導入時評価:無気力ながらも対人関係は良好で、高い作業能力が認められるが、就労に対し強い不安を訴えた。
→本症例は、「対人関係は良好」「作業能力は高い」のに対し、「就労への強い不安」が主問題である。高い作業能力が認められることにも着目すべきである(能力不足や作業内容などが問題ではない)。
1.〇 正しい。再発防止プランの作成が最も優先される。なぜなら、本症例は、就労に対し強い不安を訴えている状態であるため。したがって、作業を増やす(自己肯定感をあげるなど)よりも、再燃の兆候・ストレス対処・相談先・就労時の配慮を整理した具体的な再発防止プランを作ることである。
2.× 社会生活技能訓練への導入より優先度が高いものがほかにある。なぜなら、設問分において「無気力ながらも対人関係は良好である」と記載されているため。就労に対し強い不安に対しアプローチすべきである。
・SST(Social Skills Training:社会生活技能訓練) とは、社会生活を送るうえでの技能を身につけ、ストレス状況に対処できるようにする集団療法の一つである。ストレス-脆弱-処理機能モデルに基づき、患者が環境と好ましい関係を持てるようにすることを目的としている。
3.× 就労移行支援事業所への紹介より優先度が高いものがほかにある(時期尚早)。なぜなら、本症例から就労に対し強い不安の訴えがあるため。その状態で、就労移行支援事業所(外部機関)への紹介を勧めるのは、さらなる不安の助長につながりかねない。
・就労移行支援とは、一般就労などを希望する就業が可能と思われる65歳未満の障害者に対して、知識・能力の向上、実習、職場探しなどを通じ、適性に合った職場への就労が見込まれる障害者を対象としたサービスである。事業所内での作業などを通じた訓練、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援などを実施する。就労移行支援の期限は2年(特例で3年)である。
4.× 認知リハビリテーションの実施は必要ない。なぜなら、本症例は、すでに高い作業能力が認められるため。認知リハビリテーションは、認知機能低下が就労の主な阻害因子であるときに有効である。例えば、本症例の不安が、認知のゆがみからくるものと考えるならば、適応となるのは認知行動療法である。
・認知リハビリテーションは、統合失調症の認知機能障害の改善のために行われることもあり、多くは集団形式で実施される。
・認知行動療法とは、ベックによって精神科臨床に適応された治療法である。例えば、うつ病患者の否定的思考を認知の歪みと考え、その誤りを修正することによって症状の軽快を図る。認知行動療法の中に、系統的脱感作法がある。系統的脱感作法とは、患者に不安を引き起こす刺激を順に挙げてもらい(不安階層表の作成)、最小限の不安をまず想像してもらう。不安が生じなかったら徐々に階層を上げていき、最終的に源泉となる不安が消失する(脱感作)ことを目指す手法である。
5.× 単純な軽作業プログラムへの導入より優先されるものが他にある。なぜなら、本症例は、無気力ながらも高い作業能力が認められるため。うつ症状がある場合は、単純な軽作業プログラムへの導入が優先されるが、本症例は、就労に対し強い不安を訴えていることからも、能力不足や作業内容などが問題ではないと考えられる。

抑うつ病とは、脳内の神経伝達物質のアンバランスにより、気分や感情をうまく調節できなくなり、心身の不調が表れる病気である。症状には、眠れない、疲れやすい、体がだるいといった身体的な症状や、自信が持てず、自己評価も低下しがちになる精神的な症状などがある。
かかりやすい:几帳面で完璧主義、責任感が強い人が多い。
うつ病の特徴:意欲低下、精神運動抑制などの症状のため、自己評価が低く、疲労感が強い。
①調子が悪いのは病気のせいであり、治療を行えば必ず改善すること。
②重要事項の判断・決定は先延ばしにする。
③自殺しないように約束してもらうことなど。
【作業基準】
①工程がはっきりしている。
②短期間で完成できる。
③安全で受身的で非競争的である。
④軽い運動(いつでも休憩できる)
【対応】
①気持ちを受け入れる。
②共感的な態度を示す。
③心理的な負担となるため、激励はしない。
④無理をしなくてよいことを伝える。
⑤必ず回復することを繰り返し伝えていく。
⑥静かな場所を提供する。
