第61回(R8)作業療法士国家試験 解説【午前問題21~25】

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21 介護保険法に基づく介護サービスにおいて、作業療法士の配置が明記されているのはどれか。2つ選べ。

1.グループホーム
2.介護老人保健施設
3.地域密着型通所介護
4.特別養護老人ホーム
5.通所リハビリテーション

解答2・5

解説
1.× グループホームとは、共同生活援助ともいい、『障害者総合支援法』の訓練等給付のひとつであり、ひとりで生活できない障害者が共同生活を行う住居で、相談や日常生活上の援助を受けるものである。主に夜間や休日に精神障害者が共同生活を営む住居で、食事の世話・服薬指導など、相談や日常生活の援助を行う。

2.〇 正しい。介護老人保健施設は、介護保険法に基づく介護サービスにおいて、作業療法士の配置が明記されている。「理学療法士、作業療法士または言語聴覚士」を、利用者100名に対し1名、配置する。
・介護老人保健施設とは、要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護・医学的管理のもと、介護および機能訓練その他必要な医療ならびに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設である。

3.× 地域密着型通所介護は、介護保険法に基づく介護サービスにおいて、作業療法士の配置が明記されている。人員基準は、作業療法士そのものではなく「機能訓練指導員を1名以上」として定められている。※ただし、機能訓練指導員とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師を有する者である。
・地域密着型通所介護とは、要介護者を対象とし、老人デイサービスセンターにおいて、入浴・排泄・食事などの介護支援や機能訓練を行うサービスである。

4.× 特別養護老人ホームとは、高齢者虐待防止法に基づき措置された高齢者が入所する社会福祉施設である。『老人福祉法』で、やむを得ない事由による入所措置の対象施設は、特別養護老人ホーム、短期入所生活介護(ショートステイ)、小規模多機能居宅介護、認知症対応型共同生活介護などとされている。

5.〇 正しい。通所リハビリテーションは、介護保険法に基づく介護サービスにおいて、作業療法士の配置が明記されている。「理学療法士、作業療法士または言語聴覚士」を、利用者100名に対し1名、配置する。
・通所リハビリテーションとは、利用者が老人保健施設・病院・診療所などに通い、日常生活上の支援や、生活機能訓練を受け、可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるようにするものである。

(※参考:「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」e-GOV法令検索様HPより)。

 

 

 

 

 

22 作業療法に関する歴史で誤っているのはどれか。

1.Jean Ayresは感覚統合を考案した。
2.Philippe Pinelは道徳療法を始めた。
3.Adolf Meyerは再建療法を確立させた。
4.高木憲次は肢体不自由児の療育を確立させた。
5.呉秀三は精神科医療における病院開放化を行った。

解答

解説
1.〇 正しい。Jean Ayres(アンナ・ジーン・エアーズ)は、感覚統合を考案した。学習障害や自閉症を含めた発達障害のある子等へのリハビリテーションの一つで、前庭系、体性感覚系での感覚情報処理が重視される。

2.〇 正しい。Philippe Pinel(フィリップ・ピネル)は、道徳療法を始めた。Philippe Pinelは、フランスの精神科医で、人道的精神医学の創始者である。18世紀末に初めて閉鎖病棟から精神病患者を解放した医師として知られる。
・道徳療法とは、様々な課題(作業)への参加、人道的処遇、規則正しい生活などがする事が、人を健康にさせるというものである。

3.× Adolf Meyer(アドルフ・マイヤー)は、スイス生まれの精神科医で、アメリカにおいて精神分析の思想を精神生物学として発展させた。
・再建療法とは、第一次世界大戦後の身体障害兵の社会復帰や機能再建を背景に広がった流れで語られることが多い。

4.〇 正しい。高木憲次(たかぎ のりつぐ)は、肢体不自由児の療育を確立させた。高木憲次は、整形外科医であり、肢体不自由児の父とよばれた。

5.〇 正しい。呉秀三(くれしゅうぞう)は、精神科医療における病院開放化を行った。1901年に欧州留学から帰国した呉秀三は、「我が国の精神病患者には、病気という不幸と我が国に生まれた不幸の、2つの不幸がある」といった意味のことを述べ、当時の日本の精神病患者の処遇の劣悪さを指摘した。隔離拘束が中心であった精神病患者の処遇を解放化に向け、作業を中心とした移導療法を行った。隔離・監置・拘束を一掃し、精神病患者の看護を一新した。人間の尊重・自由・就労を柱に、病者の観念思想を病的世界から現実的なものにむけることを目的として作業をもちいた。

 

 

 

 

 

23 臨床研究に関する倫理指針で正しいのはどれか。

1.個人情報は誰でも閲覧できる。
2.死者に係る情報は対象である。
3.侵襲に薬物投与は含まれない。
4.研究参加中は止めることができない。
5.守秘義務は研究終了後に解除される。

解答

解説

個人情報とは?

個人情報保護法(第2条)

『個人情報』とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名・生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう。

1.× 個人情報は誰でも閲覧できる「ものではない」。研究者等や研究機関の長も含め、個人情報の不適正取得の禁止、安全管理措置、漏えい等への対応、開示請求対応などを含めて法令を遵守しなければならない。

2.〇 正しい。死者に係る情報は、対象である。ガイダンスには、「死者に係る情報を取り扱うものについて準用する」とある。

3.× 侵襲に薬物投与は、「含まれない」のではなく含まれる。「侵襲」の定義に、穿刺・切開・薬物投与・放射線照射・心的外傷に触れる質問等が明示されている。しかも、承認済み医薬品を承認範囲内で研究目的に投与する場合も「薬物投与」に含まれる。

4.× 研究参加中は止めることが「できる」。説明事項として、研究が実施または継続されることに同意した場合でも随時これを撤回できる旨、さらに同意しないことや同意撤回によって不利益な取扱いを受けない旨を示すことが求められている。
・インフォームドコンセントは、「十分な説明を受けたうえでの同意・承諾」を意味する。医療者側から診断結果を伝え、治療法の選択肢を提示し、予想される予後などについて説明したうえで、患者自らが治療方針を選択し、同意のもとで医療を行うことを指す。

5.× 守秘義務は、研究終了後に解除される「ものではない」。なぜなら、研究終了後も保管・廃棄を含めて適切に扱うことが前提であるため。

(参考文献:論文投稿および学会発表におけるプライバシー保護に関する倫理指針より)

 

 

 

 

 

24 革細工で使用する道具はどれか。2つ選べ。

1.切弓
2.整経台
3.モデラ
4.たたら板
5.スーベルカッター

解答3・5

解説

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1.× 切弓は、陶芸で使う道具である(※読み:きりゆみ)。
・切弓とは、ろくろ成形の際に口縁をまっすぐに切ったり、高さをそろえたり、面取りしたりするための陶芸用具である。

2.× 整経台は、織物で使う道具である。
・整経台とは、織物で経糸(たていと)を一定の長さ・順序に整えて準備するための道具である。ちなみに、整経とは、織機にかける前の経糸をそろえる工程のことである。

3.〇 正しい。モデラは、革細工で使用する道具である。
・モデラとは、レザーカービングや浮き彫り、革表面の線や模様の成形・押し広げ・整形に用いる革細工用具である。

4.× たたら板は、陶芸で使う道具である。
・たたら板とは、粘土を一定の厚さの板状にのばす「たたら作り」で使用する陶芸用具である。

5.〇 正しい。スーベルカッターは、革細工で使用する道具である。
・スーベルカッターとは、レザーカービングで革表面に模様線を切り込むための革細工用具である。

(※写真:「クラフト社 スーベルカッター」ヤフーショッピング)

 

 

 

 

 

25 インシデントレポートで正しいのはどれか。

1.部署の管理者が報告する。
2.医師の指示に基づき報告する。
3.スタッフ間の伝達ミスは報告対象である。
4.治療の必要がない事象は報告不要である。
5.当事者が十分に反省していたら報告不要である。

解答

解説

インシデントレポートとは?

インシデントレポートとは、医療現場で事故に繋がりかねないような、ヒヤリとしたり、はっとした出来事に関する報告書のことをいう。作成の目的は、事例を分析して類似するインシデントの再発や医療事故・医療過誤の発生を未然に防止することである。インシデントを直訳すると「出来事・事件・異変」である。一方、その行為によって患者に傷害や不利益を与えてしまった事象を、アクシデントという。なお、インシデントの本来の意味は、偶発的や付随的と解釈される。

【目的】
①事実の確認
②原因の究明
③組織全体で事例を共有・分析し、問題点を抽出する。
④将来の医療事故(アクシデント)の予防、再発の防止。

1.× 「部署の管理者」ではなく当事者または発見者の管理者が報告する。原則として、当事者または発見者が、速やかに上司や医療安全管理者へ報告する。

2.× 医師の指示に基づき報告する「必要はない」。なぜなら、インシデント報告は、医療安全のために現場で起きた事象を速やかに共有し、再発防止につなげる自発的・組織的な仕組みであるため。

3.〇 正しい。スタッフ間の伝達ミスは、報告対象である。なぜなら、医療安全上、連絡漏れや伝達ミスは患者に有害事象を起こしうるため。

4.× 治療の必要がない事象は、報告「必要である」。なぜなら、インシデントレポートは「実害の有無」だけでなく、事故につながりかねないヒヤリ・ハットを把握し、再発防止に役立てるため。
・インシデントレポートとは、医療現場で事故に繋がりかねないような、ヒヤリとしたり、はっとした出来事に関する報告書のことをいう。

5.× 当事者が十分に反省していても、報告は「必要である」。なぜなら、インシデント報告の目的は、「個人の反省確認」ではなく、組織として原因を分析し、再発防止策を作ることであるため。

Heinrichの法則とは?

1930年代、アメリカのハインリッヒ(Heinrich)氏が労災事故の発生確率を調査したもので、「1:29:300の法則」ともいわれる。これは、1件の重症事故の背景には、29件の軽傷の事故と、300件の傷害にいたらない事故(ニアミス)があるという経験則である。また、さらにその背景には、数千、数万の危険な行為が潜んでいたともいう。 つまり、事故の背景には必ず数多くの前触れがあるということである。

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