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11 78歳の男性。18時に突然右上下肢の脱力、呂律困難を自覚し救急搬送された。元々ADLは自立しており、高血圧症に対して通院中であった。19時に病院に到着し、頭部単純CTで明らかな異常所見は見つからなかった。
次に行う頭部画像検査で最も適切なのはどれか。
1.MRI
2.PET
3.SPECT
4.造影CT
5.X線検査
解答1
解説
・78歳の男性(元々:ADL自立、高血圧症)。
・18時:突然右上下肢の脱力、呂律困難を自覚。
・19時:頭部単純CTで明らかな異常所見なし。
→本症例は、典型的な急性の脳血管障害の経過である。発症からまだ約1時間であり、単純CTで異常が見つからなくても脳梗塞を否定できないことに留意する必要がある。したがって、MRIの拡散強調画像(DWI)を用いた検出が必要となる。
1.〇 正しい。MRIが、次に行う頭部画像検査である。なぜなら、急性期脳梗塞では、単純CTで異常が出ない超早期でも、MRIの拡散強調画像(DWI)なら虚血病変を高感度に検出できるため。
【急性期における梗塞巣の確認のしやすさ】
①拡散強調像(DWT):超急性期(発症後1~3時間)
②FLAIR像:発症後3~6時頃
③T2強調像:発症後3~6時頃
④T1強調像の順である。
2.× PET〈positron emission tomography〉とは、陽電子放出断層撮影とも訳され、がん細胞が正常細胞に比べて3~8倍ブドウ糖を取り込む性質を利用した検査である。がん細胞がグルコースを取り込みやすいという代謝上の特徴を利用した検査である。
3.× SPECT(single-photon emission computed tomography:単一光子放射断層撮影装置)は、 放射性医薬品を投与し、体内から放出される単一光子をガンマカメラで多方向から検出して断層画像を作成する核医学検査である。主に脳血流や心筋血流などの機能評価に用いられ、脳梗塞、認知症、てんかん、狭心症や心筋梗塞などの診断補助に役立つ。
4.× 造影CTは、動脈瘤・解離・出血・血栓症などの血管性病変の描出に有用である。造影CTは、血管評価や灌流評価に有用なことはあるものの、単純CT後に「次に行う頭部画像検査として最も適切」という国試の基本問題では、まずMRIが優先される。本症例は、単純CTで明らかな異常なし、しかし急性脳梗塞が強く疑われる、という文脈では、脳実質の急性虚血変化を直接捉えやすいMRIが模範解答になる。
※例えば、血栓回収を見据えて大血管閉塞の有無を急ぎたい施設では、造影CTを追加することがある(普通に王道パターンを覚えよう。紛らわしい選択肢を出すな)。
5.× X線検査とは、極めて低線量のX線を用いて画像を撮影し、病気の診断に役立てる。骨折や肺炎、腸閉塞、マンモグラフィなどで有用である。
12 健常児。図のように四つ這いから座位に戻れるようになった。
この児に観察される姿勢反射はどれか。2つ選べ。

1.自動歩行
2.背屈反応
3.足底把握反射
4.側方パラシュート反応
5.非対称性緊張性頚反射
解答3・4
解説
四つ這いから座位に戻れる健常児
→おおむね8〜10か月ごろの発達段階を想定できる。
1.× 自動歩行は、本児(8〜10か月ごろ)の場合、すでに消失している。
・自動歩行とは、脊髄の原始反射の一つであり、1~2か月前後で消失する。乳児を垂直に保持し足底を床につけ、その後、体を前に倒すとリズムよく足踏みする反射のことである。
2.× 背屈反応は、約10~12か月に発現し、その後継続する。子どもの腋窩を後方から支えて、後方へ体を傾斜させると、足関節が背屈する。姿勢反射の一つで、中枢は大脳皮質レベルとなっている。
3.〇 正しい。足底把握反射が、本児(8〜10か月ごろ)に観察される姿勢反射である。
・足底把握反射とは、足趾把握反射ともいい、新生児の母趾球を検者の母指で圧迫すると、全趾が屈曲する反射である。3ヵ月ごろから弱くなり、9ヵ月ごろ(12ヵ月とするものもある)には消失。
4.〇 正しい。側方パラシュート反応が、本児(8〜10か月ごろ)に観察される姿勢反射である。
・パラシュート反応とは、防御的に四肢を伸展して頭部を保護したり、支持して姿勢を安定させようと働く反応である。抱き上げた子どもの体を支えて下方に落下させる、もしくは座位で前方・側方・後方に倒すと、両手を伸ばし、手を開いて体を支える。下方:6か月、前方:6~7か月、側方:7~8か月、後方:9~10か月で発現し、生涯継続する。
5.× 非対称性緊張性頚反射は、本児(8〜10か月ごろ)の場合、すでに消失している。
・非対称性緊張性頚反射とは、背臥位にした子どもの顔を他動的に一方に回すと、頸部筋の固有感覚受容器の反応により、顔面側の上下肢が伸展し、後頭側の上下肢が屈曲する反射のことである。生後から生後4~6ヵ月までみられる。

13 28歳の男性。2日前に交通事故で受傷し、脊髄損傷と診断されて入院加療が行われている。Key muscleのMMTは両側三角筋5、肘屈筋5、肘伸筋2、手関節背屈筋5、中指末節屈筋0、小指外転筋0、下肢筋は全て0であった。感覚については両側乳頭部まで触覚、痛覚が保たれていたが、それ以下の体幹部、下肢は脱失していた。直腸診では肛門の随意収縮、肛門深部圧、周囲の感覚は消失していた。
この患者のAISはどれか。
1.A
2.B
3.C
4.D
5.E
解答1
解説
・28歳の男性(脊髄損傷)。
・2日前:交通事故で受傷した。
・MMT:両側三角筋5、肘屈筋5、肘伸筋2、手関節背屈筋5、中指末節屈筋0、小指外転筋0、下肢筋は全て0。
・感覚:両側乳頭部まで触覚、痛覚が保たれていたが、それ以下の体幹部、下肢は脱失。
・直腸診:肛門の随意収縮、肛門深部圧、周囲の感覚は消失。
→ASIA(American Spinal Injury Association:米国脊髄損傷協会)の脊髄損傷の神経学的・機能的国際評価法は、運動機能スコアと知覚機能スコアの得点結果から、①神経損傷高位、②機能障害スケール、③臨床症状分類を判断できるように構成されている。
【ASIAの機能障害尺度の運動障害】
A(完全麻痺):S4~5の知覚・運動ともに完全麻痺。
B(不全麻痺):S4~5を含む神経学的レベルより下位に知覚機能のみ残存。
C(不全麻痺):神経学的レベルより下位に運動機能は残存しているが、主要筋群の半分以上が筋力3未満。
D(不全麻痺):神経学的レベルより下位に運動機能は残存しており、主要筋群の少なくとも半分以上が筋力3以上。
E(正常):運動、知覚ともに正常。
1.〇 正しい。Aが本症例のAISである。なぜなら、本症例の直腸診にて、肛門の随意収縮、肛門深部圧、周囲の感覚は消失と評価されているため。
・A(完全麻痺):S4~5の知覚・運動ともに完全麻痺。
2.× B(不全麻痺):S4~5を含む神経学的レベルより下位に知覚機能のみ残存。
3.× C(不全麻痺):神経学的レベルより下位に運動機能は残存しているが、主要筋群の半分以上が筋力3未満。
4.× D(不全麻痺):神経学的レベルより下位に運動機能は残存しており、主要筋群の少なくとも半分以上が筋力3以上。
5.× E(正常):運動、知覚ともに正常。
14 62歳の男性。2型糖尿病の発症から20年が経過している。歩行は自立していた。2か月前から両足部のしびれ感を自覚し、数日前に右足部第1指が暗赤色になっているのに気付き受診した。両下肢に皮膚潰瘍はないが、感覚鈍麻を認めた。
理学療法で最も適切なのはどれか。
1.寒冷療法を行う。
2.前足部の免荷を行う。
3.できるだけ速く歩くことを勧める。
4.右足関節の関節可動域運動は控える。
5.歩行時には左足を右より前に出すよう指導する。
解答2
解説
・62歳の男性(20年間:2型糖尿病、歩行自立)。
・2か月前:両足部のしびれ感を自覚。
・数日前:右足部第1指が暗赤色になっている。
・両下肢に皮膚潰瘍はないが、感覚鈍麻を認めた。
→本症例は、糖尿病性神経障害が疑われる。理学療法ではまず患部の保護と荷重軽減が最優先である。
→糖尿病性神経障害とは、糖尿病に合併する末梢神経障害である。症状は、①眼筋・眼瞼挙筋麻痺、③下肢の腱反射低下、④振動覚障害、しびれなどが特徴である。上肢よりも下肢,近位部よりも遠位部が障害されやすい。感覚障害は、手部や足部に左右対称におこることが多い。
1.× 寒冷療法を行う必要はない。なぜなら、本症例は、糖尿病性神経障害による感覚鈍麻が認められるため。寒冷刺激を加えると、凍傷や皮膚損傷を起こしても気付きにくく、症状悪化の危険がある。
2.〇 正しい。前足部の免荷を行う。なぜなら、本症例の右母趾が暗赤色に変化しているため。これは、足部への過負荷や循環障害を伴う糖尿病足病変の初期所見として疑われ、病変部への圧を減らすことで、悪化を防ぐことが期待できる。
3.× できるだけ速く歩くことを勧める優先度は低い。なぜなら、本症例の右母趾が暗赤色に変化しているため。早く歩くことで、前足部への荷重と負担を増やし、母趾の病変悪化や潰瘍形成の危険を高める。※ただし、一般論として、糖尿病患者に対する運動療法は重要である。本症例のように母趾が暗赤色に変化しているのであれば、母趾に負担のかからない自転車エルゴメーターで、ボルグスケールで『楽である』〜『ややきつい』レベルで実施することが望ましい。
4.× 右足関節の関節可動域運動は控える必要はない。なぜなら、本症例の右母趾が暗赤色に変化しているのであって、足関節の異常はみられないため。
5.× 歩行時には左足を右より前に出すよう指導する必要はない。なぜなら、本症例の右母趾が暗赤色に変化しているため。前足部の免荷を行う。
・「左足を右より前に出す」=大股で歩く=右立脚後期に中足指節関節が伸展(フォアフットロッカーが機能)する→母趾(前足部)に負担がかかる。
15 54歳の男性。6年前に左被殻出血の既往がある。立位時の様子を示す。
下肢痙縮に対するボツリヌス療法の投与筋で適切なのはどれか。

1.後脛骨筋
2.前脛骨筋
3.短腓骨筋
4.長腓骨筋
5.長母指伸筋
解答1
解説
・立位姿勢:左片麻痺後にみられる内反尖足。
→後脛骨筋が痙縮している。したがって、ボツリヌス療法の投与筋といえる。
1.〇 正しい。後脛骨筋が下肢痙縮に対するボツリヌス療法の投与筋である。
・後脛骨筋の【起始】下腿骨間膜の後面上半、下腿骨間膜に接する脛骨と腓骨、【停止】舟状骨粗面、内側、中間、外側楔状骨、立方骨、第2~3中足骨底、【作用】足関節底屈、内返し、【支配神経】脛骨神経である。
2.× 前脛骨筋の【起始】脛骨外側面、下腿骨間膜、【停止】内側楔状骨と第1中足骨の底面、【作用】足関節背屈、内返し、【支配神経】深腓骨神経である。
3.× 短腓骨筋の【起始】腓骨外側面、前下腿筋間中隔、【停止】第5中足骨粗面、【作用】足関節底屈、外返し、【神経】浅腓骨神経である。
4.× 長腓骨筋の【起始】腓骨頭、腓骨体外側面の上半、一部は筋膜と前下腿筋間中隔、【停止】第1,2中足骨底、内側楔状骨、【作用】足関節底屈、外返し、【神経】浅腓骨神経である。
5.× 長母指伸筋の【起始】尺骨体中部背面、前腕骨間膜背面、【停止】母指の末節骨底の背側、【作用】母指の伸展、内転、【支配神経】橈骨神経深枝である。
ボツリヌス療法は、脳・脊髄疾患などによる痙性麻痺に対して有効とされている。ボツリヌス毒素を筋肉内に数か所注射し、筋収縮を抑制する。効果持続は、3~6か月のため、数か月ごとに再投与が必要である。ボツリヌス毒素が神経終末の受容体に結合することで、アセチルコリンの放出を阻害し、アセチルコリンを介した筋収縮および発汗が阻害される。なお、アセチルコリンの合成や貯蔵、神経伝導には影響を及ぼさない特徴を持つ。
(※図引用: