第61回(R8)理学療法士国家試験 解説【午前問題21~25】

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21 深部反射と反射中枢の組合せで正しいのはどれか。

1.上腕二頭筋反射:C3・C4
2.上腕三頭筋反射:C 4・C5
3.腕橈骨筋反射:C 5・C6
4.膝蓋腱反射:T12・L1
5.アキレス腱反射:L3・L4

解答

解説
1.× 上腕二頭筋反射は、「C3・C4」ではなくC5~C6である。
・上腕二頭筋反射の【中枢】C5~C6(筋皮神経)、【検査法】上肢を軽度外転させ、肘をやや屈曲位にして、前腕を回内外中間位にする。上腕二頭筋付着部近くに検者の母指を当て、その上を叩打する。【判定】肘関節屈曲が起これば反射出現(+)。

2.× 上腕三頭筋反射は、「C 4・C5」ではなくC6ー8である。
・上腕三頭筋反射の【中枢】C6ー8(主にC7)、【検査法】腕部をつかみ肘を軽く屈曲位にして、肘頭上部の上腕三頭筋腱部を直接叩打する。【判定】肘関節伸展が起これば反射出現(+)。

3.〇 正しい。腕橈骨筋反射:C 5・C6
・腕橈骨筋反射の【中枢】C5~C6(橈骨神経)、【検査法】手首をつかんで肘を軽く屈曲位にして、前腕を回内外中間位か、やや回内位にし、橈骨下端を直接に叩打する。【判定】肘関節屈曲と前腕の回外運動が起これば反射出現(+)。手指の屈曲は起こっても弱い。

4.× 膝蓋腱反射は、「T12・L1」ではなくL2~L4である。
・膝蓋腱反射の【中枢】L2~L4(大腿神経)、【検査法】背臥位検査:患者を背臥位にし両膝を軽く屈曲し立てる。検者は前腕をその膝の下に入れて下肢を支える。または、一側の下肢を膝立て位にして、その膝の上に他側の膝を乗せる。膝蓋腱部を触知してその腱部を叩打する。【判定】膝関節の伸展が起これば反射出現(+)

5.× アキレス腱反射は、「L3・L4」ではなくS1・2である。
・アキレス腱反射の【中枢】S1・2(脛骨神経)である。【検査法】背臥位検査の他に、①両下肢の股関節を軽度屈曲、外転、外旋位にして、膝関節を軽度屈曲させて両踵をつける。検者は足関節を背屈位にしてアキレス腱部を叩打する方法、②一側下腿の前面に健側下腿をのせ、足関節を背屈位にしてアキレス腱部を叩打する方法がある。【測定】足関節の底屈が起これば反射出現(+)

 

 

 

 

 

22 安静立位姿勢における重心線の通る位置で正しいのはどれか。

1.耳垂の前方
2.肩峰の前方
3.大転子の前方
4.膝蓋骨の前方
5.外果の前方

解答

解説

理想的な重心線

理想的な重心線:①乳様突起(耳垂のやや後方)→②肩峰(肩関節の前方)→③大転子→④膝蓋骨後面(膝関節前部)→⑤外果前方を通る。

1.× 耳垂の「前方」ではなく、後方(乳様突起)を通る。

2.× 肩峰の前方(肩峰)を通る。

3.× 「大転子の前方」ではなく大転子そのものを通る

4.× 膝蓋骨の「前方」ではなく、後方(膝関節前部)を通る。

5.〇 正しい。外果の前方は、安静立位姿勢における重心線が通る。

 

 

 

 

 

23 COPDのADL動作で最も息切れが生じやすいのはどれか。

1.食事
2.洗髪
3.排尿
4.歯磨き
5.ズボンの着脱

解答

解説

(図引用:「息切れを増強させる4つの動作のイラスト(慢性呼吸器疾患)」看護roo!看護師イラスト集)

血中酸素飽和度が低下しやすい日常生活動作

① 排便(息を止めるため、呼吸のコントロールを行う)
② 肩まで湯船につかる(胸部が圧迫されるため、動作環境や方法を工夫する)
③ 洗髪、上衣更衣、洗体など(上肢を使うため、上肢挙上は片腕のみで、呼吸のコントロールを行う。)
④ズボンや靴下を履く(体を前屈して行うため、動作のスピードや方法を調整する。)

※入浴の生活指導:息切れがある場合は全身入浴を控え、半身浴やシャンプーハットを使用したシャワーなどで対応する。入浴中は酸素吸入を行わない場合が多いため、入浴時間は短めにする。

1.× 食事よりも優先されるものが他にある。なぜなら、洗髪ほど「構造的に息切れを誘発する姿勢(上肢挙上しない)」ため。とはいえ、食事の呼吸は、①早食い、②食後の腹部膨満で横隔膜が動きにくい、③会話しながら食べる、などで悪化するため、指導が必要である。

2.〇 正しい。洗髪は、COPDのADL動作で最も息切れが生じやすい。なぜなら、洗髪は、上肢を挙上反復動作するため。上肢を挙上により、呼吸補助筋が「呼吸」より「上肢挙上の保持」に取られる。さらに、浴室は、シャワーによる呼吸の乱れ、温湿度環境や動作の連続性も加わり、呼吸困難が増悪しやすい。

3.× 排尿よりも優先されるものが他にある。なぜなら、洗髪ほど「構造的に息切れを誘発する姿勢(上肢挙上しない)」ため。なお、排尿より排便の方が息切れは生じやすい。これは、前傾姿勢(腹部圧迫)いきみが発生するため。

4.× 歯磨きよりも優先されるものが他にある。なぜなら、洗髪ほど「構造的に息切れを誘発する姿勢(上肢挙上しない)」ため。とはいえ、歯磨きも、反復動作うがいなど必要であるため、呼吸のリズムが乱れやすい動作である。

5.× ズボンの着脱よりも優先されるものが他にある。なぜなら、洗髪ほど「構造的に息切れを誘発する姿勢(上肢挙上しない)」ため。ズボンの着脱と洗髪とを比較した場合、洗髪の方が手を上げる動作が含まれる分、息切れを伴いやすい。とはいえ、ズボンの着脱も、体幹前屈や片脚立位などで換気が苦しくなることがある。

慢性呼吸不全患者の日常生活における注意点

上肢挙上は片腕のみで行う。
呼吸のコントロールを行う。
動作のスピードや方法を調整する。
動作環境の工夫などを考慮する。

類似問題です↓
【共通問題のみ】呼吸器疾患(ADL・生理)についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

24 両側支柱付き長下肢装具の適合判定で正しいのはどれか。

1.外側支柱の高さは大転子である。
2.下腿半月の位置は腓骨頭から5~6cm下である。
3.膝継手の位置は大腿骨顆部の2~3cm下である。
4.足継手の位置は内果と外果の中央を結ぶ線である。
5.大腿下位半月と膝継手の位置は下腿半月と膝継手までの距離と等しい。

解答

解説
1.× 外側支柱の高さは、「大転子」ではなく大転子から2~3cm下方である。

2.× 下腿半月の位置は、腓骨頭から「5~6cm下」ではなく2~3cm下である。

3.× 膝継手の位置は、「大腿骨顆部の2~3cm下」ではなく大腿骨下部の最も幅の厚いところ(内転筋結節と膝関節裂隙の中間点に相当)で床面と並行に合わせる。

4.× 足継手の位置は、「内果と外果の中央を結ぶ線」ではなく外果中央と内果下端を通り、床面と平行となるように合わせる。

5.〇 正しい。大腿下位半月と膝継手の位置は、下腿半月と膝継手までの距離と等しい。つまり、膝継手を挟んで等間隔に位置を決定する。

余談・・・
※大腿「下位(下端)」半月とは記載があるものの、下腿半月は上端か下端か記載がない(大腿が下端で、カフベルトを跨いでいないため、下腿もカフベルトを跨がない上端と言わなくても分かるでしょっていう出題者意図なのか不明…)。とはいえ、第45回(H22) 【午前44】においては、「膝継手から大腿下位半月の下端までと下腿半月の上端までとの距離を同じにする」と、下腿半月の「上端」という記載があったため、あえて「下腿半月」と上端を省いた理由は分からない。

 

 

 

 

 

25 有酸素運動を用いた長期間の運動療法で増加するのはどれか。

1.中性脂肪
2.内臓脂肪
3.HDLコレステロール
4.LDLコレステロール
5.内膜中膜複合体厚〈Intima Media Thickness:IMT〉

解答

解説

有酸素運動の効果

①心肺機能の改善
②骨量減少の予防
③軽症高血圧の改善
④脂質代謝改善
⑤糖代謝改善などである。

1.× 中性脂肪は、有酸素運動を用いた長期間の運動療法で「減少」する。なぜなら、有酸素運動により骨格筋での脂肪酸利用が増えるため。
・中性脂肪とは、食事から摂取した栄養のうち、体内でエネルギーとして使われる脂肪のことである。運動により、エネルギー消費量が増加し、内臓脂肪と皮下脂肪がエネルギー源として利用される。

2.× 内臓脂肪は、有酸素運動を用いた長期間の運動療法で「減少」する。なぜなら、有酸素運動により、エネルギー消費が増え、脂肪が分解されるため。ちなみに、内臓脂肪の機能は、エネルギーの貯蔵庫として機能する。

3.〇 正しい。HDLコレステロール(善玉コレステロール)は、有酸素運動を用いた長期間の運動療法で増加する。なぜなら、運動により脂質代謝が改善し、末梢から肝へのコレステロール逆転送(HDLの役割)が促進されるため。HDLコレステロールは、一般に「動脈硬化を抑える方向」の脂質として扱われる。
・HDLコレステロールとは、善玉コレステロールとも呼び、血管や末梢組織に蓄積した余分なコレステロールを肝臓に運び、最終的には便として排出する役割を担っている。したがって、体内にたまったコレステロールを肝臓に運ぶ清掃車のような役割を担う。

4.× LDLコレステロール(悪玉コレステロール)は、有酸素運動を用いた長期間の運動療法で「減少または改善しうる(平均的な低下幅は大きくない)」。なぜなら、運動により体重・内臓脂肪やインスリン抵抗性が改善し、脂質代謝がよくなるため。
・LDLコレステロール(悪玉コレステロール)とは、全身の末梢血管にコレステロールを運ぶ作用を持つ。肝臓で主に代謝され、140mg/dL以上あると脂質異常症と診断される。

5.× 内膜中膜複合体厚〈Intima Media Thickness:IMT〉は、有酸素運動を用いた長期間の運動療法で減少または改善しうる(変化は小さく、主には進行抑制として現れることが多い)」。内膜中膜複合体厚は、高血圧、脂質異常、肥満、糖代謝異常、喫煙などで増えやすく、禁煙、運動、食事療法でこれらの危険因子を改善すると、動脈硬化の進行を抑える方向に働く。
・内膜中膜複合体厚とは、頸動脈エコーなどで測る動脈壁の厚みで、動脈硬化の指標であり、運動は血圧・脂質・炎症・インスリン抵抗性を改善して動脈硬化の進行を抑える方向に働く。

 

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