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76 急性炎症と比較した場合の慢性炎症の特徴はどれか。2つ選べ。
1.血管の増殖
2.好中球の集積
3.組織の線維化
4.血漿蛋白の浸出
5.血管内皮細胞の損傷
解答1・3
解説
急性炎症の5徴候は、発赤、発熱、腫脹、疼痛、機能障害である。急性は数日程度、亜急性は数週間程度、慢性は数か月から数年以上にわたって起こる現象を指して用いられることが多い。
慢性炎症とは、急性炎症、組織損傷および治癒過程が同時進行している遷延した炎症である。線維化のような長期にわたる病態である。【炎症に対する身体の反応】身体では、炎症を鎮めるため血管の透過性を亢進させて、血中から水分や血漿タンパク質、白血球を炎症の場に導く。急性期に現場に駆けつける細胞は、好中球で、微生物や壊死組織を貧食し排除する。その後、マクロファージもこれに加わる。さらに、肉芽組織・修復・瘢痕化あるいは再生、予防に、リンパ球による免疫反応で備えることになる。しかし、ウイルス感染などでは、リンパ球が急性期から出現することが多い。
1.〇 正しい。血管の増殖は、慢性炎症の特徴である。なぜなら、慢性炎症では、組織の修復過程で栄養や酸素を供給するため。これにより炎症部位に豊富な細胞や栄養素を提供する。
2.× 好中球の集積は、急性炎症の特徴である。なぜなら、急性炎症では、初動の防御細胞として好中球が素早く集まり(好中球浸潤)、病原体や異物を除去するため。一方、慢性炎症では主にリンパ球やマクロファージが優位になる。ちなみに、好中球とは、白血球の中で一番多く、細菌免疫の主役である。マクロファージが好中球に指令し、好中球は活性化・増殖する。末梢血白血球の40~70%を占め、生体内に細菌・真菌が侵入すると、まず好中球が感染部位に遊走し、菌を貧食する。細菌感染による急性炎症で最初に反応する。
3.〇 正しい。組織の線維化は、慢性炎症の特徴である。なぜなら、長期間の炎症状態により、繊維芽細胞の活性化が促され、過剰なコラーゲンの沈着や瘢痕組織の形成が起こるため。一方、急性炎症では刺激物質が除去され、作用物質が分解されるとマクロファージは最終的には死滅するかリンパ管を通って消失するが、慢性炎症に移行した場合はマクロファージの集積は持続し、Tリンパ球と相互に刺激し合う。
4.× 血漿蛋白の浸出は、急性炎症の特徴である。なぜなら、急性炎症では、血管透過性が急激に増大するため。血管透過性が亢進し、血漿成分であるタンパク質に富んだ液体(浸出液)が血管外に滲み出す。
5.× 血管内皮細胞の損傷は、急性炎症の特徴である。なぜなら、急性炎症では、物理的・化学的刺激により内皮細胞が損傷を受けるため。血管透過性が亢進し、血漿成分であるタンパク質に富んだ液体(浸出液)が血管外に滲み出す。
組織内へ微生物が侵入
感染部位の血管拡張による血流増加
感染部位の毛細血管と細静脈の透過性亢進(組織への蛋白拡散と液体浸潤により浮腫発生)
毛細血管と細静脈より好中球と単球が感染部位に遊走。
職作用及び他の機序による微生物の破壊。
組織の修復
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77 良性腫瘍と比較した場合の悪性腫瘍の特徴はどれか。
1.核分裂が少ない。
2.出血は稀である。
3.発育速度が遅い。
4.細胞の異型性が強い。
5.周囲との境界が明瞭である。
解答4
解説
腫瘍とは、体の中にできた細胞のかたまりのことである。悪性腫瘍とは、このような腫瘍のうち、無秩序に増殖しながら周囲にしみ出るように広がったり(浸潤)、体のあちこちに飛び火して新しいかたまりを作ったり(転移)するもののことをいう。一方、良性腫瘍とは、浸潤や転移をせず、周りの組織を押しのけるようにしてゆっくりと増える腫瘍のことをいう。
1.× 核分裂が少ないのは、良性腫瘍の特徴である。悪性腫瘍は急速に細胞分裂を繰り返して増殖する。これは、悪性腫瘍の細胞が遺伝子異常を起こし、本来の細胞周期制御機構が破綻して無秩序に増殖しているためである。
2.× 出血は稀であるのは、良性腫瘍の特徴である。一方、悪性腫瘍は細胞周期制御機構が破綻して無秩序に増殖するため、異常な血管新生が促進され、脆弱な血管網を形成する。そのため、出血しやすくなる。
3.× 発育速度が遅いのは、良性腫瘍の特徴である(上の選択肢の解説参照)。
4.〇 正しい。細胞の異型性が強い。異型性とは、正常細胞と比較して細胞の形態や構造に明らかな違いがみられることである。悪性腫瘍では、病理組織検査において、細胞形態の不均一性、核の大小不同や形態異常、異常な核分裂像などが観察される。
5.× 周囲との境界が明瞭であるのは、良性腫瘍の特徴である。なぜなら、悪性腫瘍は浸潤性が強く、周囲組織に境界なく拡がるため。
78 正しい組合せはどれか。
1.オペラント条件づけ:A.Beck
2.自動思考:J.Kabat-Zinn
3.社会生活技能訓練:R.Liberman
4.動機づけ:I.Pavlov
5.マインドフルネス:W.Miller
解答3
解説
1.× オペラント条件づけ:A.Beck
・条件づけとは、学習理論(パブロフ:I.Pavlovの古典的条件づけや、スキナー:Skinner,B.Fのオペラント条件づけなど)に関連する概念である。
・A.Beck(アーロン・ベック)は、うつ病に対する認知療法(認知行動療法)を発展させた。認知行動療法は、精神症状をもたらす原因となる否定的思考を認知の歪みと捉え、その誤りを修正することによって症状の軽快を図るものである。
2.× 自動思考:J.Kabat-Zinn
・自動思考とは、認知行動療法のひとつで、A.Beck(アーロン・ベック)が提唱した。嫌な場面に直面したときにすぐに浮かんでくるものの見方や考え方である。その偏りや歪みに気づかせて修正させる手法が認知行動療法である。
・J.Kabat-Zinn(ジョン・カバット・ジン)は、人々がストレス、悩み事、痛み、病気に対応する手助けとして、マインドフルネス瞑想を提唱した。
3.〇 正しい。社会生活技能訓練:R.Liberman
R. Liberman(ロバート・リバーマン)は、社会生活技能訓練である。社会生活技能訓練は、認知構想療法の考えが生かされた集団精神療法の例である。生活技能を向上させることによって社会生活の困難を乗り越えようとするものである。
4.× 動機づけ:I.Pavlov
・動機づけ面接法は、ミラー:Miller, W.R.とロルニック:Rollnick, S.によって開発された対人援助理論で、変化に対するその人自身への動機づけとコミットメント(約束)を強めるための協働的な会話スタイルである。相談者が語ってくれる会話を通して、面接者の「正したい反射」を抑え、行動変容に伴う両価性「変わりたい、一方で、変わりたくない」という相談者の気持ちや状況を丁寧に引き出し、禁煙や飲酒など、標的とする行動や変化に関する発言を強化することで、相談者自らが気づき行動に繋がる、というプロセスを支える。
・条件づけとは、学習理論(パブロフ:I.Pavlovの古典的条件づけや、スキナー:Skinner,B.Fのオペラント条件づけなど)に関連する概念である。
5.× マインドフルネス:W.Miller
・マインドフルネス(マインドフルネスストレス低減法:瞑想)とは、意図的に注意を「今この瞬間」の体験に向け、そこで起きていることを評価や判断をせず、手を加えずに観察する方法である。このように意識を現在の体験に集中することによって、心身の緊張が和らぎ、副交感神経が優位になることでリラックス状態が促進される。カバットジン,J.によって提唱された「注意集中」とも言い換えることができ、心の動きに惑わされることなく、刻一刻と変化する内的状態を冷静に観察することである。
・動機づけ面接法は、ミラー:Miller, W.R.とロルニック:Rollnick, S.によって開発された対人援助理論である。
79 「明日朝9時に会議に出席する」と決めた。
翌朝になると会議の予定が思い出せるのはどれか。
1.意味記憶
2.作動記憶
3.展望記憶
4.手続き記憶
5.エピソード記憶
解答3
解説
1.× 意味記憶とは、言語・知識・社会的常識など時間的要素のない記憶を指す。例として「りんごは赤い」「1年は12か月である」といった知識や情報の記憶である。
2.× 作動記憶(ワーキングメモリー、作業記憶)とは、環境から新しく入ってくる短期記憶を保持する過程と、保持された短期記憶の情報と、長期記憶から取り出される情報とを適合して処理する過程の両方に関与している。物事を実行したり考えたりする際に、一時的に情報を蓄えておく記憶のシステムである。いわゆる短期記憶と異なるのは、情報を保持している間に他の情報処理を行うことである。たとえば、電話番号を一時的に覚えてダイヤルする場合に使われる記憶である。
3.〇 正しい。展望記憶が、予定を思い出せる記憶に該当する。展望記憶とは、これからしようとすることに関する未来についての記憶である。「30分後にベルが鳴ったら訓練を終了してください」という記憶に当てはまる。
4.× 手続き記憶とは、スポーツ技能の習得などの記憶である。特徴として、言語的表現が困難な記憶である。いわば「体で覚える」記憶をさす。
5.× エピソード記憶とは、自分の生活史や思い出など、自分の過去の経験を伴う記憶のことである。「高校受験に失敗した」などである。
80 Piagetの発達論で0~2歳ころはどれか。
1.感覚運動期
2.具体的操作期
3.形式的操作期
4.潜在期
5.前操作期
解答1
解説
ピアジェは、子どもの様子を分析することを通じて乳幼児期の認知の発達を「実際の行為を頭の中でイメージし、行為の結果を想像する(操作)」ことができるまでの4つの段階に分けた。
①感覚運動期(0〜2歳頃):対象を見る・触るなど感覚を通じてとらえ、対象をつかんで投げるなど運動的な働きかけを介して認識する時期である。
②前操作期(2歳~7歳頃):急激に言語を獲得することでイメージの思考ができるようになる(表象的思考)。
③具体的操作期年齢(7歳頃~11歳頃):「保存の概念」を理解できるようになる。具体的な対象をみて、ものごとの関係を考えるようになる第一段階(おはじきを用いて足し算を理解するなど)と、あることがらと別のことがらの共通項を推理し、別の角度からの見え方を推測するなど、より抽象的に思考できるようになる第二段階がある。
④形式的操作期(11歳〜):論理的な思考ができるようになるという特徴がある。仮説演繹的思考(仮説に基づいて結論を導くこと)、組合せ思考(あることがらを生じさせる要因の組合せを系統的に調べ見つけること)、計量的な比例概念(ものごとの共変関係を理解できる)などである。
1.〇 正しい。感覚運動期は、0~2歳ころである。
2.× 具体的操作期は、7歳頃~11歳ころである。
3.× 形式的操作期は、11歳以降である。
4.× 潜在期は、Freudの発達論で6~12歳ころである。勉強や交友関係などに集中する時期である。
5.× 前操作期は、2歳~7歳ころである。
・乳児期:口唇期(生後から1歳半ころまで)
授乳により母親から栄養を得ようとする時期。
・幼児期前期:肛門期(1歳半~3歳ころまで)
一定期間我慢し、適切なタイミングで放つ(トイレ獲得)の時期。
・幼児期後期:男根期(エディプス期:3~5歳ころまで)
性を意識し始めた子どもは異性親に関心をもち、同性親を敵視する時期。
・児童期:潜在期(6歳~12歳ころまで)
勉強や交友関係などに集中する時期。
・思春期:性器期(12歳~20歳まで)
第2次性徴を迎え、成熟した性器に関心を持つようになる時期。