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※問題の引用:厚生労働省より
※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。
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PT専門
51回 午後29
29 重症筋無力症で正しいのはどれか。
1. 脱髄性疾患である。
2. 午前中に症状が悪化する。
3. 複視を生じることは稀である。
4. 感染はクリーゼの誘発因子である。
5. 四肢遠位筋の筋力低下を生じやすい。
解答4
解説
1.× 「脱髄性疾患」ではなく、神経筋接合部の障害により起こる。重症筋無力症は、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患である。脱髄性疾患は、Guillain-Barré 症候群や多発性硬化症などがある。
2.× 「午前中」ではなく午後に症状が悪化する。重症筋無力症は、日内変動があり筋収縮や刺激を反復するに従って顕著になる。そのため、午後に症状が強くなる。
3.× 複視を生じることは「稀」ではなく特徴的な症状である。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。
4.〇 正しい。感染はクリーゼの誘発因子である。クリーゼとは、感染を契機に急性増悪し、急激な筋力低下や呼吸困難を呈し、生命の危機的状態になることである。直ちに、気管内挿管・人工呼吸管理を行う。
5.× 「四肢遠位筋」ではなく、近位筋の筋力低下を生じやすい。
重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。直ちに、気管内挿管・人工呼吸管理を行う。
【診断】テンシロンテスト、反復誘発検査、抗ACh受容体抗体測定などが有用である。
【治療】眼筋型と全身型にわかれ、眼筋型はコリンエステラーゼ阻害薬で経過を見る場合もあるが、非有効例にはステロイド療法が選択される。胸腺腫の合併は確認し、胸腺腫合併例は、原則、拡大胸腺摘除術を施行する。難治例や急性増悪時には、血液浄化療法や免疫グロブリン大量療法、ステロイド・パルス療法が併用 される。
(※参考「11 重症筋無力症」厚生労働省HPより)
53回 午前46
46.重症筋無力症のクリーゼについて誤っているのはどれか。
1.嚥下障害を認める。
2.咳嗽機能が低下する。
3.閉塞性換気障害をきたす。
4.発症率は20 %以上である。
5.ステロイドの急激な減量が原因となる。
解答:3
解説
重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。直ちに、気管内挿管・人工呼吸管理を行う。
【診断】テンシロンテスト、反復誘発検査、抗ACh受容体抗体測定などが有用である。
【治療】眼筋型と全身型にわかれ、眼筋型はコリンエステラーゼ阻害 薬で経過を見る場合もあるが、非有効例にはステロイド療法が選択される。胸腺腫の合併は確認し、胸腺腫合併例は、原則、拡大胸腺摘除術を施行する。難治例や急性増悪時には、血液浄化療法や免疫グロブリン大量療法、ステロイド・パルス療法が併用 される。
(※参考「11 重症筋無力症」厚生労働省HPより)
1.〇 正しい。嚥下障害を認める。なぜなら、急激な筋力低下が起こるため。
2.〇 正しい。咳嗽機能が低下する。なぜなら、急激な筋力低下が起こるため。
3.× 「閉塞性換気障害」ではなく、混合性換気障害をきたす。
4.△ 発症率は、20 %以上はなく、10~14.8%である。(参考文献:重症筋無力症ガイドライン2014)ただ、文献によってデータは様々なようである。厚生労働省の正式回答では、解答は選択肢3となっている。選択肢3は、明らかに誤りであるため、そちらが優先した。
5.〇 正しい。ステロイドの急激な減量が原因となる。他の原因として、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどがあげられる。
57回 午後44
44 重症筋無力症で正しいのはどれか。
1.過用に注意して運動は漸増負荷とする。
2.日内変動として午前中に症状が悪化する。
3.低頻度連続刺激の筋電図でwaxing現象がみられる。
4.運動神経末端からのアセチルコリン放出が障害される。
5.クリーゼによる呼吸症状悪化は閉塞性換気障害で起こる。
解答1
解説
重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。
【診断】テンシロンテスト、反復誘発検査、抗ACh受容体抗体測定などが有用である。
【治療】眼筋型と全身型にわかれ、眼筋型はコリンエステラーゼ阻害 薬で経過を見る場合もあるが、非有効例にはステロイド療法が選択される。胸腺腫の合併は確認し、胸腺腫合併例は、原則、拡大胸腺摘除術を施行する。難治例や急性増悪時には、血液浄化療法や免疫グロブリン大量療法、ステロイド・パルス療法が併用 される。
(※参考「11 重症筋無力症」厚生労働省HPより)
1.〇 正しい。過用に注意して運動は漸増負荷とする。易疲労性が強く、反復運動では症状が悪化するため注意が必要である。
2.× 日内変動として、症状が悪化するのは「午前中」ではなく「午後」が多い。
3.× 低頻度連続刺激の筋電図で、「waxing現象」ではなく「waning現象」がみられる。一方で、高頻度刺激ではwaxing現象がみられる。ちなみに、waxing現象とは、四肢筋力の易疲労性を生じ、筋の反復運動により筋力が増強するものである。
4.× 運動神経末端からのアセチルコリン放出は障害されない。アセチルコリンは、副交感神経や運動神経の末端から放出され、神経刺激を伝える神経伝達物質である。重症筋無力症では筋肉の表面にあるアセチルコリン受容体に対する抗体が免疫の異常により作られ、アセチルコリン受容体の結合をブロックしてしまう病気である。神経筋接合部での伝達が障害されると、脳の指令が運動神経から筋肉へうまく伝わらなくなり、筋肉が十分に収縮せず、筋力低下が起きる。
5.× クリーゼによる呼吸症状悪化は、「閉塞性換気障害」で起こるとは一概にいえない。他にも、感染、顔面や頸部の筋力低下、嚥下障害、構音障害による症状によりクリーゼに陥りやすい。ちなみに、クリーゼとは、感染などが契機に急性増悪し、急激な筋力低下や呼吸困難を呈し、生命の危機的状態になることである。したがって、クリーゼによる呼吸症状悪化は、どちらかというと「拘束性換気障害」で起こりやすい。
58回 午後17
17.44歳の女性。3年前に全身型重症筋無力症と診断され、拡大胸腺摘出術を受けた。現在ステロイド内服治療を継続し、定期的にγグロブリン大量静注療法を受けている。
この患者の理学療法で正しいのはどれか。
1.血清CK値を指標に運動量を調整する。
2.筋力増強には過用に注意し漸増負荷で実施する。
3.筋緊張亢進に対してボツリヌス毒素療法を考慮する。
4.クリーゼのときには閉塞性換気障害を念頭に入れる。
5.体温上昇で神経症状が増悪するため環境温に注意する。
解答2
解説
1.× 血清CK値を指標に運動量を調整できない。なぜなら、重症筋無力症は血清CK値が変化しないため。重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。ちなみに、血清クレアチンキナーゼ(血清CK値)上昇は、多発性筋炎にみられる所見である。筋肉に多量に存在する酵素で、筋肉細胞のエネルギー代謝に重要な役割を果たしている。したがって、筋肉に障害があると、血清クレアチンキナーゼ(血清CK値)は高値になる。 他にも、急性心筋梗塞や進行性筋ジストロフィーで高い値になる。
2.〇 正しい。筋力増強には過用に注意し漸増負荷で実施する。なぜなら、重症筋無力症は、易疲労性が強く、反復運動では症状が悪化するため。ちなみに、漸増負荷(ぜんぞうふか)とは、運動やトレーニングなどの際に、徐々に負荷を増やしていくことを指す。具体的には、例えばジョギングをする場合、最初はゆっくりと歩き始め、徐々に速度を上げ、最終的には全力疾走するような形で負荷を増やす。
3.× 筋緊張亢進に対してボツリヌス毒素療法を考慮するのは、「重症筋無力症」ではなく脳卒中などの脳血管障害(痙性麻痺)である。重症筋無力症の主症状は、筋力低下である。ちなみに、ボツリヌス療法とは、ボツリヌス毒素を筋肉内に数か所注射し、筋収縮を抑制するものである。効果持続は、3~6か月のため、数か月ごとに再投与が必要である。ボツリヌス毒素が神経終末の受容体に結合することで、アセチルコリンの放出を阻害し、アセチルコリンを介した筋収縮および発汗が阻害される。なお、アセチルコリンの合成や貯蔵、神経伝導には影響を及ぼさない特徴を持つ。
4.× クリーゼのときには、「閉塞性換気障害」ではなく拘束性換気障害を念頭に入れる。なぜなら、呼吸筋力の麻痺(低下)が起こるため。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。
5.× 体温上昇で神経症状が増悪するため環境温に注意するのは、「重症筋無力症」ではなく多発性硬化症である。多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。直ちに、気管内挿管・人工呼吸管理を行う。
【診断】テンシロンテスト、反復誘発検査、抗ACh受容体抗体測定などが有用である。
【治療】眼筋型と全身型にわかれ、眼筋型はコリンエステラーゼ阻害薬で経過を見る場合もあるが、非有効例にはステロイド療法が選択される。胸腺腫の合併は確認し、胸腺腫合併例は、原則、拡大胸腺摘除術を施行する。難治例や急性増悪時には、血液浄化療法や免疫グロブリン大量療法、ステロイド・パルス療法が併用される。
(※参考「11 重症筋無力症」厚生労働省HPより)
59回 午前44
44 重症筋無力症患者のQMG score〈Quantitative Myasthenia Gravis score〉に含まれる評価はどれか。2つ選べ。
1.意識状態
2.嚥下機能
3.感覚障害
4.眼球運動
5.排尿機能
解答2・4
解説
QMG score(Quantitative Myasthenia Gravis score:定量重症筋無力症スコア)は、重症筋無力症の症状の重さを評価するための尺度である。評価は、患者の筋力(握力)、疲労度、%FVC(努力肺活量/予測肺活量×100)、その他の症状に基づいて行われる。
※図:QMG score(Quantitative Myasthenia Gravis score:定量重症筋無力症スコア)
1.3.5.× 意識状態/感覚障害/排尿機能は、QMG scoreの評価に含まれない。重症筋無力症患者の症状からでもおおむね評価項目が推測できる。
2.〇 正しい。嚥下機能は、重症筋無力症患者のQMG score〈Quantitative Myasthenia Gravis score〉に含まれる評価である。100㏄の水の飲み込みで評価する。
4.〇 正しい。眼球運動は、重症筋無力症患者のQMG score〈Quantitative Myasthenia Gravis score〉に含まれる評価である。右方視、左方視時の複視出現までの時間(秒)で評価する。
重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。
【診断】テンシロンテスト、反復誘発検査、抗ACh受容体抗体測定などが有用である。
【治療】眼筋型と全身型にわかれ、眼筋型はコリンエステラーゼ阻害 薬で経過を見る場合もあるが、非有効例にはステロイド療法が選択される。胸腺腫の合併は確認し、胸腺腫合併例は、原則、拡大胸腺摘除術を施行する。難治例や急性増悪時には、血液浄化療法や免疫グロブリン大量療法、ステロイド・パルス療法が併用 される。
(※参考「11 重症筋無力症」厚生労働省HPより)
OT専門
59回 午後24
24 重症筋無力症で正しいのはどれか。
1.肺小細胞癌を合併する。
2.Parkinson病より患者数が多い。
3.テンシロン試験で症状が改善する。
4.血清クレアチンキナーゼ値が上昇する。
5.誘発筋電図の反復刺激試験で振幅の漸増を認める。
解答3
解説
重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。
【診断】テンシロンテスト、反復誘発検査、抗ACh受容体抗体測定などが有用である。
【治療】眼筋型と全身型にわかれ、眼筋型はコリンエステラーゼ阻害 薬で経過を見る場合もあるが、非有効例にはステロイド療法が選択される。胸腺腫の合併は確認し、胸腺腫合併例は、原則、拡大胸腺摘除術を施行する。難治例や急性増悪時には、血液浄化療法や免疫グロブリン大量療法、ステロイド・パルス療法が併用 される。
(※参考「11 重症筋無力症」厚生労働省HPより)
1.× 肺小細胞癌を合併するのが特徴的なのは、Lambert-Eaton症候群(ランバート・イートン症候群)である。Lambert-Eaton症候群とは、肺小細胞癌を高頻度に合併する傍腫瘍性神経症候群で、神経終末部のアセチルコリン(Ach)の放出障害をその病態の基盤とする神経筋接合部・自律神経疾患である。四肢筋力の易疲労性を生じ、筋の反復運動により筋力が増強する(waxing現象)のがみられる。
2.× Parkinson病より患者数が「多い」ではなく少ない。Parkinson病の患者数は、人口10万人あたり100~150人と推定されており、神経変性疾患の中では最も頻度が高い。一方、重症筋無力症は、10万人あたり5.1人である。
3.〇 正しい。テンシロン試験で症状が改善する。テンシロンは欧米の商品名であり、日本ではアンチレクスという商品名で発売されている。重症筋無力症患者では、長短時間作用型抗ChE薬であるテンシロンの静注により、一過性に筋力が回復する(テンシロン検査)。
4.× 血清クレアチンキナーゼ値が上昇するのが特徴的なのは、多発性筋炎である。血清クレアチンキナーゼとは、筋の損傷が起こると上昇を示す。心筋炎、心外膜炎、進行性筋ジストロフィー、多発性筋炎などにより上昇する。重症筋無力症は、筋の障害ではないため血清クレアチンキナーゼは上昇しない。
5.× 誘発筋電図の反復刺激試験で振幅の漸増を認めるのが特徴的なのは、Lambert-Eaton症候群(ランバート・イートン症候群)である。重症筋無力症の場合、振幅が漸減(waning:ウィニング)する。
多発性筋炎とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。
(※参考:「皮膚筋炎/多発性筋炎」厚生労働省様HPより)
共通問題
45回 午後90
90.神経筋接合部の障害が病態の中心である疾患はどれか。
1.ボツリヌス中毒症
2.筋萎縮性側索硬化症
3.急性散在性脳脊髄炎
4.Guillain-Barré症候群
5.Charcot-Marie-Tooth病
解答1
解説
①重症筋無力症
②ボツリヌス中毒
③ランバート・イートン症候群など。
1.〇 正しい。ボツリヌス中毒症は、神経筋接合部の障害が病態の中心である疾患である。ボツリヌス菌は外毒素を産生し、この外毒素が神経筋接合部や腺組織に作用し、そこでアセチルコリンの放出を阻害することによって、 多彩な臨床症状(口腔乾燥、かすみ目、複視、眼瞼下垂、嚥下困難)を引き起こす。
2.× 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、脊髄の側索と前角の障害である。筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上・下位の運動ニューロンのみが障害される。四大陰性症状は、①他覚的感覚障害、②眼球運動障害、③膀胱直腸障害、④褥瘡である。
3.× 急性散在性脳脊髄炎は、中枢神経の炎症性脱髄疾患である。中枢神経系を散在性に急性かつ単相性に侵す。
4.× Guillain-Barré症候群は、感染後の遅延型アレルギー反応による末梢神経の急性脱髄疾患である。運動麻痺を主症状とし、感覚障害、脳神経麻痺をきたす。症状は1か月で完成し、その後3か月~1年で徐々に近位部から遠位部に向けて回復する。
5.× Charcot-Marie-Tooth病(シャルコー・マリー・トゥース病)は、多発性末梢神経障害を主徴とする遺伝性疾患である。遺伝子異常により、一般的に四肢、特に下肢遠位部の筋力低下と感覚障害を示す疾患である。まれに、四肢近位部優位の筋力低下・筋萎縮を示す例もある。筋肉が緩徐進行性で萎縮し、同部位の感覚が少し鈍くなる。歩行は、下腿の筋萎縮により鶏歩(下垂足)となる。
ハム、 キャビア、小児ではハチミツなどが原因となる。潜伏期は12~36時間で、毒素型食中毒に属し、発熱は通常目立たない。神経毒により末梢神経障害をきたし、球麻痺(発語障害、嚥下障害)、 外眼筋麻痺(複視、眼瞼下垂)、呼吸筋麻痺などをきたす。
48回 午前76
76 重症筋無力症を合併することが多いのはどれか。
1.肺癌
2.乳癌
3.中皮腫
4.胸腺腫
5.食道癌
解答4
解説
重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。
【診断】テンシロンテスト、反復誘発検査、抗ACh受容体抗体測定などが有用である。
【治療】眼筋型と全身型にわかれ、眼筋型はコリンエステラーゼ阻害 薬で経過を見る場合もあるが、非有効例にはステロイド療法が選択される。胸腺腫の合併は確認し、胸腺腫合併例は、原則、拡大胸腺摘除術を施行する。難治例や急性増悪時には、血液浄化療法や免疫グロブリン大量療法、ステロイド・パルス療法が併用 される。
(※参考「11 重症筋無力症」厚生労働省HPより)
1.× 肺癌がみられる神経筋接合部疾患は、「重症筋無力症」ではなく、Lambert-Eaton症候群(ランバート・イートン症候群)である。
2.5.× 重症筋無力症を合併することが多いのは、「乳癌/食道癌」ではなく、胸腺腫である。
3.× 中皮腫は、アスベスト(石綿)の吸入歴のある人にみられやすい。重症筋無力症と直接的な因果関係は薄い。
4.〇 正しい。胸腺腫である。胸腺腫の有無で治療法が変わってくるため非常に大切な合併症である。
48回 午前90
90 重症筋無力症について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.筋電図検査において末梢神経の連続刺激で振幅の増大がみられる。
2.抗アセチルコリン受容体抗体陽性率は10%である。
3.症状の日内変動がある。
4.嚥下障害の合併はない。
5.眼瞼下垂がみられる。
解答3/5
解説
1.× 筋電図検査において末梢神経の連続刺激での検査を疲労試験(反復刺激検査)という。振幅の増大がみられるのは、Lambert-Eaton症候群(ランバート・イートン症候群)である。重症筋無力症の場合、振幅が漸減(waning:ウィニング)する。
2.× 抗アセチルコリン受容体抗体陽性率は、「10%」ではなく80~90%である。抗アセチルコリン受容体は、筋収縮に作用する。
3.〇 正しい。症状の日内変動がある。朝方は症状が軽度であり、夕方になると症状の増悪がみられる。
4.× 嚥下障害の合併がみられる。なぜなら、舌咽頭筋(構音障害・舌筋運動障害)が侵されるため。
5.〇 正しい。眼瞼下垂がみられる。初期症状になることが多い。
49回 午前89
89 重症筋無力症で正しいのはどれか。
1. 女性より男性に多く発症する。
2. 四肢では遠位筋の筋力低下が起きやすい。
3. 夕方にかけて症状は軽快する。
4. 末梢神経の連続刺激で振幅の増大がみられる。
5. コリンエステラーゼ阻害薬が用いられる。
解答5
解説
重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。直ちに、気管内挿管・人工呼吸管理を行う。
【診断】テンシロンテスト、反復誘発検査、抗ACh受容体抗体測定などが有用である。
【治療】眼筋型と全身型にわかれ、眼筋型はコリンエステラーゼ阻害 薬で経過を見る場合もあるが、非有効例にはステロイド療法が選択される。胸腺腫の合併は確認し、胸腺腫合併例は、原則、拡大胸腺摘除術を施行する。難治例や急性増悪時には、血液浄化療法や免疫グロブリン大量療法、ステロイド・パルス療法が併用 される。
(※参考「11 重症筋無力症」厚生労働省HPより)
1.× 男性より女性に多く発症する。男女比(1:2~3)であり、20~40歳の女性に多い。
2.× 四肢では、「遠位筋」ではなく近位筋の筋力低下が起きやすい。ちなみに、上肢の方が下肢より侵されやすい。
3.× 夕方にかけて症状は、「軽快」ではなく増悪する。日内変動が特徴的である。
4.× 末梢神経の連続刺激で振幅の、「増大」ではなく漸減がみられる。電位の振幅の漸減(waning:ウィニング)がみられる。
5.〇 正しい。コリンエステラーゼ阻害薬が用いられる。なぜなら、アセチルコリンの分解を阻止し、受容体への結合確率を高め、神経筋接合部での伝達障害を改善させるため。
52回 午後88
88 重症筋無力症について正しいのはどれか。
1. 起床時に症状が強い。
2. 悪性腫瘍の合併が多い。
3. 自己免疫性疾患である。
4. 女性よりも男性に多い。
5. 40歳以前の発症は稀である。
解答:3
解説
重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。直ちに、気管内挿管・人工呼吸管理を行う。
【診断】テンシロンテスト、反復誘発検査、抗ACh受容体抗体測定などが有用である。
【治療】眼筋型と全身型にわかれ、眼筋型はコリンエステラーゼ阻害 薬で経過を見る場合もあるが、非有効例にはステロイド療法が選択される。胸腺腫の合併は確認し、胸腺腫合併例は、原則、拡大胸腺摘除術を施行する。難治例や急性増悪時には、血液浄化療法や免疫グロブリン大量療法、ステロイド・パルス療法が併用 される。
(※参考「11 重症筋無力症」厚生労働省HPより)
1.✖ 「起床時」ではなく、夕方になると症状(筋力低下、易疲労性)が増悪する。
2.✖ 「悪性腫瘍」ではなく、胸腺腫を合併することが多いが、重症筋無力症患者の約15%である。ちなみに、肺癌の合併がよくみられる神経筋接合部疾患は、Lambert-Eaton症候群(ランバート・イートン症候群)である。
3.〇 正しい。自己免疫性疾患である。
4,5.✖ 20~40歳代の女性、50~60歳代の男性(男:女=1:2)である。
54回 午後91
91. 重症筋無力症で正しいのはどれか。
1. 胸腺の異常を伴うことが多い。
2. Parkinson病より患者数が多い。
3. テンシロン試験で症状が悪化する。
4. 血清クレアチンキナーゼが上昇する。
5. 誘発筋電図の反復刺激試験で振幅の漸増を認める。
解答1
解説
重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。直ちに、気管内挿管・人工呼吸管理を行う。
【診断】テンシロンテスト、反復誘発検査、抗ACh受容体抗体測定などが有用である。
【治療】眼筋型と全身型にわかれ、眼筋型はコリンエステラーゼ阻害 薬で経過を見る場合もあるが、非有効例にはステロイド療法が選択される。胸腺腫の合併は確認し、胸腺腫合併例は、原則、拡大胸腺摘除術を施行する。難治例や急性増悪時には、血液浄化療法や免疫グロブリン大量療法、ステロイド・パルス療法が併用 される。
(※参考「11 重症筋無力症」厚生労働省HPより)
1. 〇:正しい。胸腺の異常(胸腺腫)を伴うことが多い。胸腺腫がなくても全身型の重症筋無力症には拡大胸腺腫摘出術が行われることが多い。
2. ×:Parkinson病の患者数は、人口10万人あたり100~150人と推定されており、神経変性疾患の中では最も頻度が高い。ちなみに、重症筋無力症は、10万人あたり5.1人である。
3. ×:テンシロン試験で症状は、「悪化する」のではなく、回復する。テンシロンは欧米の商品名であり、日本ではアンチレクスという商品名で発売されている。重症筋無力症患者では、長短時間作用型抗ChE薬であるテンシロンの静注により、一過性に筋力が回復する(テンシロン検査)。
4. ×:血清クレアチンキナーゼとは、筋の損傷が起こると上昇を示す。心筋炎、心外膜炎、進行性筋ジストロフィー、多発性筋炎などにより上昇する。重症筋無力症は、筋の障害ではないため血清クレアチンキナーゼは上昇しない。
5. ×:誘発筋電図の反復刺激試験で振幅は、「漸増」ではなく漸減を認める。これをWaning(ウェイニング)現象という。
多発性筋炎とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。
(※参考:「皮膚筋炎/多発性筋炎」厚生労働省様HPより)