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※問題の引用:厚生労働省より
※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。
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50回 午後58回
58 上咽頭後壁の触覚をつかさどる神経はどれか。
1. 舌咽神経
2. 顔面神経
3. 迷走神経
4. 三叉神経
5. 第2頸神経
解答1
解説
1.〇 正しい。舌咽神経は、舌の後1/3の知覚・味覚、咽頭の大部分の感覚(咽頭口から下方のみ迷走神経)を伝える。
2.× 顔面神経は、舌の前2/3の味覚を伝える。
3.× 迷走神経は、運動・感覚・副交感神経を含み、内臓を支配する。咽頭の大部分の感覚は、舌咽神経であるが、咽頭口から下方のみ迷走神経が伝える。
4.× 三叉神経(下顎神経)は、舌の前2/3の知覚を伝える。
5.× 第2頸神経は、①小後頭神経と②大耳介神経からなる。①小後頭神経は、胸鎖乳突筋の後縁に沿って上行し、耳の後方および後頭の皮膚に分布する。②大耳介神経は、ほぼ垂直に上行し、前枝は下顎角から耳介全面にかけて、後枝は耳介後面の皮膚に分布する。
50回 午前59
59 消化器について正しいのはどれか。
1. 胆汁は胆囊で産生される。
2. 膵臓は胃の後方に位置する。
3. 大腸は結腸と直腸からなる。
4. 小腸は十二指腸と回腸からなる。
5. 胃の肛門側の開口部を噴門という。
解答2
解説
1.× 胆汁は、「胆囊」ではなく肝臓で産生される。胆嚢で、貯蔵・濃縮される。
2.〇 正しい。膵臓は、胃の後方(後腹膜臓器)に位置する。
3.× 大腸は、「結腸と直腸から」ではなく、結腸と直腸+盲腸からなる。
4.× 小腸は、「十二指腸と回腸から」ではなく、十二指腸と回腸+空腸からなる。
5.× 胃の肛門側の開口部を「噴門」ではなく幽門という。噴門は胃の口側である。
51回 午前58
58 消化器系について正しいのはどれか。
1. 食道は気管の前方に位置する。
2. 胃体の下端部を胃底という。
3. 十二指腸は粘膜ヒダに富む。
4. 空腸に続いて回腸がある。
5. 横行結腸の右端は下行結腸に連なる。
解答4
解説
1.× 食道は気管の「前方」ではなく後方に位置する。
2.× 胃体の「下端部」ではなく上端部を胃底という。
3.× 粘膜ヒダに富むのは、「十二指腸」ではなく空腸である。
4.〇 正しい。空腸に続いて回腸がある。小腸は、十二指腸→空腸→回腸と連なっている。
5.× 横行結腸の右端は、「下行結腸」ではなく上行結腸に連なる。
(※図引用:「イラスト素材:胃」illustAC様より)
52回 午前66
66 胃液の分泌を促進するのはどれか。2つ選べ。
1. 胃壁の伸展
2. 胃内pHの低下
3. 交感神経の緊張
4. ガストリンの分泌
5. 十二指腸内への酸性内容物の流入
解答:1,4
解説
・頭相:資格や嗅覚刺激、口腔粘膜刺激により、胃液分泌が起きる。
・胃相:幽門洞の粘膜が刺激されることにより、ガストリンが内分泌され、胃液分泌される。
・腸相:十二指腸上部粘膜の消化食べ物により、セクレチンが内分泌されガストリンの分泌を抑制し、また、胃の運動が抑制される。
よって、選択肢1.4. 胃壁の伸展/ガストリンの分泌が正しい。
2. 胃内pHの低下が起こるということは、胃液の量がすでに多いことを示す。胃液の分泌を促進することはない。
3. 交感神経の緊張では、胃液の分泌は促進されない。なぜなら、迷走神経(副交感神経)刺激であるアセチルコリン分泌によって胃液の分泌が促進されるため。
5. 十二指腸内への酸性内容物の流入では、胃液の分泌は促進されない。十二指腸内への酸性内容物の流入すると、セクレチンやGIPの作用により、胃液の分泌が抑制される。
52回 午後58
58 胃の解剖について正しいのはどれか。
1. 胃底は胃の下方をいう。
2. 胃の左縁を小弯という。
3. 食道と胃の境に噴門が位置する。
4. 大弯は肝胃間膜によって肝臓と結合している。
5. 胃酸を分泌する腺は幽門前庭に多くみられる。
解答:3
解説
(※図引用:「イラスト素材:胃」illustAC様より)
1.× 胃底は、胃の「下方」ではなく上方をいう。上方から、胃底部、胃体部、幽門部となる。
2.× 胃の左縁を「小弯」ではなく、大弯という。右縁を小弯という。
3.〇 正しい。食道と胃の境に噴門が位置する。胃の出口を幽門という。
4.× 肝胃間膜と結合しているのは、小弯である。大弯は横行結腸間膜(胃結腸間膜)である。
5.× 胃酸を分泌する腺は、「幽門前庭」ではなく、胃底から胃体部に多くみられる。固有胃腺(胃底腺)という。
53回 午後64
64.胃での栄養素の消化・吸収で正しいのはどれか。
1.ペプシンは脂質を分解する。
2.セクレチンは胃液分泌を促進する。
3.内因子はビクミンB6の吸収に関与する。
4.胃内の停滞時間は糖類より脂肪の方が長い。
5.胃液分泌の増加は食物が胃に到達してから起こる。
解答:4
解説
1.× ペプシンは、「脂質」ではなくタンパク質を分解する。脂質はリパーゼである。
2.× 胃液分泌を促進するのは、「セクレチン」ではなくガストリンである。胃相では、幽門洞の粘膜が刺激されることにより、ガストリンが内分泌され、胃液分泌・ペプシノゲン分泌が起こる。セクレチンは胃液分泌を抑制する。
3.× 内因子は、「ビクミンB6」ではなくビクミンB12の吸収に関与する。
4.〇 正しい。胃内の停滞時間は、糖類より脂肪の方が長い。消化しにくいものほど胃の中に停滞する。油・脂肪は停滞時間が長い。
5.× 胃液分泌の増加は、「食物が胃に到達してから」ではなく、頭相(視覚や嗅覚刺激、口腔粘膜刺激により胃液分泌)で起こる。視覚や嗅覚刺激、口腔粘膜刺激により胃液分泌の増加が始まる。
- 頭相:視覚や嗅覚刺激、口腔粘膜刺激により胃液分泌が起きる。
- 胃相:幽門洞の粘膜が刺激されることにより、ガストリンが内分泌され、胃酸分泌、ペプシノゲン分泌が起きる。
- 腸相:十二指腸上部粘膜の消化食物による刺激により、セクレチンが内分泌されガストリンの分泌を抑制し、また、胃の運動が抑制される。
53回 午後91
91.胃癌について正しいのはどれか。
1.噴門部に好発する。
2.放射線療法が有効である。
3.組織型で最も多いのは腺癌である。
4.我が国では発症率が増加している。
5.我が国の悪性腫瘍による死因の第一位である。
解答:3
解説
1.× 「噴門部」ではなく、幽門部(胃下部)に好発する。
2.× 「放射線療法」ではなく、手術が有効である。放射線治療は、食物等により胃全体が拡張し、胃の一部や病変部が放射線照射範囲からはずれる可能性が高いため、手術が適応されるケースが多い。したがって、胃がんの放射線感受性は低い。
3.〇 正しい。組織型で最も多いのは腺癌である。
4.× 我が国では発症率が、「増加」ではなく低下している。(2013年胃がん1位⇒2016年胃がん3位に。)なぜなら、ピロリ菌除菌薬の進歩、冷凍技術の発達による食塩での貯蔵減少、喫煙の減少などが要因としてあげられるため。
5.× 我が国の悪性腫瘍による死因の第一位は、肺癌である。1位が肺癌、2位が胃癌である。
54回 午前55
55. 消化器の解剖で正しいのはどれか。
1. 胃の筋層は2層の平滑筋からなる。
2. 空腸は回腸より長い。
3. 食道は3か所の狭窄部をもつ。
4. 十二指腸は腸間膜を有する。
5. 内肛門括約筋は横紋筋からなる。
解答3
解説
1. ×:胃の筋層は、「2層から」ではなく、胃体では3層(内斜、中輪、外縦)からなる。胃以外の消化管の筋層は、内輪、外縦の2層構造である。
2. ×:空腸は回腸より短い。空腸の長さは小腸のほぼ2/5に相当する。回腸は空腸に続き3/5相当の長さに相当する。
3. 〇:正しい。食道は3か所の狭窄部をもつ。①咽頭との接合部、②気管支の後ろを通る部位、③横隔膜を抜ける部位である。また、噴門付近(胃との接続部分)と共に、この3箇所の狭窄部は、食道ガンの好発部位である。
4. ×:十二指腸は腸間膜を有していない。腸間膜とは、腸管を腹腔後壁に連絡する膜で、2重の腹膜からなる。小腸では空腸と回腸、大腸では横行結腸・S状結腸にある。
5. ×:内肛門括約筋は、「横紋筋」ではなく、平滑筋からなる。外肛門括約筋は、体性神経支配の横紋筋である。
55回 午前77
77 胃全摘出術後に起こりやすいのはどれか。
1.多血症
2.てんかん
3.血小板減少
4.逆流性食道炎
5.高カルシウム血症
解答4
解説
胃全摘出術後は、胃の機能的喪失や消化管再建などに基づく様々な障害が生じる。しばしば生活支障をきたす可能性があり、対応や治療が必要である。
①小胃症状、②体重減少、③ダンピング現象、④貧血、⑤骨粗鬆症、⑥逆流性食道炎、⑦下痢
よって、選択肢4.逆流性食道炎が正しい。なぜなら、噴門や幽門の機能が失われ、腸液の食堂への逆流が起こりやすくなるため。
1.× 「多血症(赤血球増加症)」ではなく、貧血(鉄欠乏性・巨赤芽球性)が起こりやすくなる。多血症(赤血球増加症)の原因は、遺伝子が関係されているといわれているが、不明とされている。
2.× てんかんになる原因は様々で、①脳の奇形や周産期の異常による、②生まれつきのものから、③脳炎・脳腫瘍など、別の病気が原因によっておこるもの、④交通事故などの大きなケガによるもの、⑤脳卒中によっておこるもの、⑥認知症などの神経が老化することによっておこるものがある。
3.× 血小板減少は、ビタミン12の吸収障害でDNA合成が不良となり生じる。
5.× 「高カルシウム血症」ではなく、低カルシウム血症が起こりやすい。なぜなら、胃酸分泌の低下から脂肪性下痢などによるカルシウムの不溶化、ビタミンDの吸収障害が起こり生じるため。ちなみに、高カルシウム血症の主な原因には副甲状腺機能亢進症、ビタミンD中毒、癌などがある。
55回 午後57
57 胃について正しいのはどれか。
1.幽門は食道に連なる。
2.胃切痕は大弯側にある。
3.胃体の下端部を胃底という。
4.噴門は第一腰椎の右側にある。
5.胃の大弯は大網を介して横行結腸と結合する。
解答5
解説
1.× 幽門は十二指腸に連なり、食道に連なるのは噴門である。
2.× 胃切痕は、「大弯側」ではなく小弯側にある。
3.× 胃体の下端部を「胃底」ではなく前庭部という。胃底とは胃の上方にある。
4.× 噴門は第11胸椎や第7肋骨の位置に、第一腰椎の高さにあるのは幽門である。
5.〇 正しい。胃の大弯は、大網を介して横行結腸と結合する。胃の小弯は小網を介して肝臓と結合する。このように間膜を2種類有するのは胃のみである。
(※図引用:「イラスト素材:胃」illustAC様より)
57回 午前57
57 胃の解剖について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.胃体部に胃底腺がある。
2.食道と胃の境に噴門が位置する。
3.角切痕から近位部が幽門前庭である。
4.胃酸を分泌する腺は胃底部に多くみられる。
5.大弯は肝胃間膜によって肝臓と結合している。
解答1・2
解説
(※図引用:「イラスト素材:胃」illustAC様より)
1.〇 正しい。胃体部に胃底腺がある。胃底腺の分布する領域は、胃底部から胃体部であり、胃全体の2/3を占めている。胃底腺は胃粘膜を構成する外分泌腺の一種であり、胃酸、ペプシノーゲン、粘液を産生する3種類の細胞からなる複合管状腺である。
2.〇 正しい。食道と胃の境に噴門が位置する。ちなみに、幽門は十二指腸に連なる。また、噴門は第11胸椎や第7肋骨の位置に、第一腰椎の高さにあるのは幽門である。
3.× 角切痕から近位部は、幽門前庭ではなく「噴門」がある。遠位から順に幽門、幽門前庭、前庭部、胃角部となる。角切痕は幽門前庭部、胃角部の間に位置しており、近位部は胃角部となる。
4.× 胃酸を分泌する腺は、胃底部ではなく「胃体部」に多くみられる。胃酸は胃の近位3分の2(胃体部)に存在する壁細胞から分泌される。ちなみに、胃酸分泌に至る前として、食物によって引き起こされ、食物が胃の遠位3分の1(前庭部)に存在するガストリン分泌G細胞に対する迷走神経刺激に影響を及ぼす。
5.× 肝胃間膜によって肝臓と結合しているのは、大弯ではなく「小弯」である。ちなみに、大弯は、大網を介して横行結腸と結合する。間膜を2種類有するのは胃のみである。また、肝胃間膜と肝十二指腸間膜は、ともに肝臓の下面から胃(小弯)と十二指腸表面に連続する間膜である。
58回 午前55
55.小網でつながる臓器はどれか。2つ選べ。(※不適切問題:解3つ)
1.胃
2.肝臓
3.十二指腸
4.腎臓
5.膵臓
解答1・2・3(※不適切問題:解3つ)
理由:3つの選択肢が正解であるため、3通りの解答を正解として採点する。
解説
1.〇 正しい。胃/肝臓/十二指腸は、小網でつながる臓器である。小網とは、肝臓の下面を覆う腹膜をいい、胃の凹状表面側、つまり上部(小弯)と十二指腸の始部へと続いている。一方、大網とは、胃の下側から下方へエプロンのように腸の前面に垂れ下がった腹膜である。胃の小弯で前後2葉に分かれて胃の前面と後面を包んだ後、大弯で再び合して再度間膜をつくる。胃の小弯は小網を介して肝臓と結合する。
4.腎臓/膵臓は小網でつながる臓器とはいえない。大網は、大弯から下方に垂れ下がり折れ返って再び上方に向かい横行結腸の表面に付着した後、横行結腸間膜に癒合して後腹壁に達する。小多数の血管が分布し脂肪組織に富む。 腹腔内の液を吸収し、腸と腹壁の間の詰物になるほか、腹腔内の炎症部位などに癒着してその広がりを防ぐ働きがある。