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31 糖尿病の三大合併症による症状はどれか。
1. う歯
2. 血尿
3. 昏睡
4. 失明
5. 吐血
解答4
解説
①神経症状
②網膜症
③腎症
1.5.× う歯/吐血は三大合併症による症状ではない。
2.× 「血尿」ではなく、腎障害により大量の蛋白尿が生じる。
3.× 昏睡は、三大合併症による症状ではない。ただし、インスリンや経口糖尿病薬による治療を行っている糖尿病患者に低血糖症状として生じる。
4.〇 正しい。失明は、三大合併症の一つである網膜症による症状である。高血糖の持続による網膜毛細血管の障害により糖尿病網膜症となり、進行すれば視力障害、失明につながる。
血糖値が低下するとカテコラミン(インスリン拮抗ホルモン)の分泌が上昇し、交感神経刺激症状が出現する。さらに血糖値が低下すると脳・神経細胞の代謝が低下し、中枢神経症状が出現する。頭痛や空腹感などの比較的軽度な症状から始まるが血糖値が低下し続けると昏睡に至る。低血糖症状は、①自律神経症状と②中枢神経症状に分けられる。①自律神経症状は、冷感・顔面蒼白・頻脈・動悸・発汗・手の震え・空腹感などである。②中枢神経症状は、頭痛・集中力低下・視力低下・痙攣・昏睡などである。予防法として、飴や角砂糖などを携帯してもらう。
32 要因と症状の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 血液粘稠度低下:静脈血栓
2. 循環血漿量低下:起立性低血圧
3. 最大酸素摂取量増加:運動耐容能の低下
4. 血清アルブミン値低下:褥瘡
5. 骨への物理的応力増加:骨萎縮
解答2/4
解説
1.× 静脈血栓は、「血液粘稠度低下」ではなく、血液粘稠度上昇で生じる。
2.〇 正しい。起立性低血圧は、循環血漿量低下で生じる。起立性低血圧は、原因として①自律神経障害、②薬剤性、③加齢、④飲酒、⑤出血や脱水などの循環血漿量の低下が挙げられる。ちなみに、循環血漿量の減少とは、手術や外傷、消化管出血、脱水などによって体内の血液が減少することである。
3.× 運動耐容能の低下は、「最大酸素摂取量増加」ではなく、最大酸素摂取量減少で生じる。最大酸素摂取量が増加すると運動耐容能は増加する。
4.〇 正しい。褥瘡は、血清アルブミン値低下で生じる。栄養状態を反映する血清アルブミン値が低下することで膠質浸透圧が下がり、浮腫が生じることで、褥瘡が起こりやすくなる。ちなみに、若い人であっても、ギプスによる長期固定後や睡眠薬の服薬による深い睡眠後などに認められる。年齢に関係なく治療には時間がかかる。
5.× 骨萎縮は、「骨への物理的応力増加」ではなく、骨への物理的応力減少で生じる。なぜなら、リモデリングのバランスが崩れ、骨吸収が優位となるため。
33 ロコモティブシンドローム改善のためのスクワットの方法で正しいのはどれか。
1. 閉眼して行う。
2. 閉脚して行う。
3. 手は体側につける。
4. 膝がつま先よりも前に出ないように曲げる。
5. 膝関節を曲げて殿部を床にできるだけ近づける。
解答4
解説
ロコモティブシンドロームとは、運動器の障害により移動能力が低下し、「要介護」のリスクが高い状態のことである。(提唱:日本整形外科学会)予防策として、片脚立位・スクワットからなる「ロコトレ」を行うよう推奨している。対象者がすでに運動器の障害や身体機能低下を有している場合も多いため、トレーニングの際には、疼痛や転倒などに十分配慮して行う必要がある。
1.× 「閉眼」ではなく開眼して行う。なぜなら、閉眼して行うとふらついたときなどに危険であるため。
2.× 「閉脚」ではなく肩幅程度に開脚して行う。なぜなら、肩幅より少し広めに足を広げて立ち、つま先と膝を並行でそろえることで、膝に負担がかかりにくくスクワットが行えるため。
3.× あえて手は体側につける必要はない。バランスが不安定な方は、手すりなど安定した把持物に手を添えて行うと安全に実施できる。
4.〇 正しい。膝がつま先よりも前に出ないように曲げる。なぜなら、そのように短く説明することで、ある程度正しいフォームで実施することが可能であるため。ただし、厳密には、膝をつま先より前に出すと膝にストレスがかかるという報告に懐疑的な意見も多く、方法によっては膝を少し前に出さないと腰部への負担が大きくなることが指摘されている。※ロコトレでは、万人に分かりやすく、膝がつま先より前に出ないように殿部を後ろに引くように身体を沈めると説明されている。
5.× 膝関節を曲げて殿部を床にできるだけ近づける必要はない。ロコモティブシンドローム改善のためのスクワットとしては、膝に負担がかかり過ぎないよう、膝関節は90°以上曲げないようにすることが望まれる。ただし、スポーツ選手などアクティブな人に対しては、フルスクワットで殿部を床にできるだけ近づける場合もある。
34 ある道具の写真を下図に示す。
この道具を用いて行う高次脳機能障害評価法はどれか。
1. CBS
2. MFT
3. BADS
4. STEF
5. SLTA
解答3
解説
1.× CBS(Catherine Bergego Scale)は、半側空間無視の生活障害の評価スケールである。
2.× MFT(Manual Function Test:脳卒中上肢機能検査)は、「上肢の前方挙上」、「上肢の個方挙上」, 「手掌を後頭部へ」などの項目を得点化し(32点満点)、これを100点満点に換算する。
3.〇 正しい。BADS(Behavioral Assessment of the Dysexecutive Syndrome:遂行機能障害症候群の行動評価)の行為計画検査の項目で、針金やコルクなどを使用する。「このコルクを試験官の外に出してください」と指示する。ちなみに、BADSは、様々な状況下における問題解決能力を、道具やカードを用いた6種類の下位検査と1つの質問紙を用いて検査する。下位検査は0~4点の5段階で点数化し24点満点で評価する。
4.× STEF(Simple Test for Evaluating Hand Function:簡易上肢機能検査)は、上肢の動作能力、特に動きの速さを客観的に、しかも簡単かつ短時間(20~30分)に把握するための評価法である。10種類のテストからなり、それぞれ大きさや形の異なる物品を把持して移動させ、一連の動作に要した時間を計測し、所要時間を決められた点数(1~10点)に当てはめて、右手と左手との差を左右別に合計点数を算出する。また参考値との比較も可能である。
5.× SLTA(Standard Language Test of Aphasia:標準失語症検査)は、成人の失語症の検査である。26項目の下位検査での構成で、「聴く」「話す」「読む」「書く」「計算」について6段階で評価する。
CBS(Catherine Bergego scale)とは、半側空間無視患者の ADL 上での問題点を見つけるための評価である。
①整髪または髭剃りのとき、左側を剃り忘れる。
②左側の袖を通したり、上履きの左側を履いたりするときに困難さを感じる。
③皿の左側の食べ物を食べ忘れる。
④食事の後、口の左側を拭くのを忘れる。
⑤左を向くのに困難さを感じる。
⑥左半身を忘れる。
⑦左側からの音や左側にいる人に注意をすることが困難である。
⑧左側にいる人や物にぶつかる。
⑨よく行く場所やリハビリテーション室で左に曲がるのが困難である。
⑩部屋や風呂場で左側にある所有物を見つけるのが困難である。
※以上の10項目について、【無視なし:0点】【軽度無視(時々):1点】【中等度無視(ほとんど):2点】【重度無視:3点】で評価し、得点が高いほど無視が重度であることを示す。観察評価における各項目の得点の合計が1~10点を軽度の無視、11~20点を中等度の無視、21~30点を重度の無視と評価する。
(原著:Azouvi P, Olivier S, et al.: Behavioral assessment of unilateral neglect: study of the psychometric properties of the Catherine Bergego Scale. Arch Phys Med Rehabil. 2003; 84: 51-57. doi: 10.1053/apmr.2003.50062.)
35 Guillain-Barré症候群で正しいのはどれか。(※不適切問題:採点対象外)
1. 自律神経障害を伴わない。
2. 症状は上肢近位筋から始まる。
3. 上肢の症状は左右非対称である。
4. 先行感染数時間後に症状が現れる。
5. 我が国では脱髄型の方が軸索障害型よりも多い。
解答 なし(採点対象から除外)
理由:選択肢に正解がないため。
解説
Guillain-Barré(ギラン・バレー)症候群は、先行感染による自己免疫的な機序により、炎症性脱髄性ニューロパチーをきたす疾患である。一般的には細菌・ウイルスなどの感染があり、1~3週後に両足の筋力低下(下位運動ニューロン障害)や異常感覚(痺れ)などで発症する。感覚障害も伴うが、運動障害に比べて軽度であることが多く、他覚的な感覚障害は一般に軽度である。初期症状として、歩行障害、両手・腕・両側の顔面筋の筋力低下、複視、嚥下障害などがあり、これらの症状はピークに達するまでは急速に悪化し、時には人工呼吸器が必要になる。症状が軽い場合は自然に回復するが、多くの場合は入院により適切な治療(免疫グロブリン静注療法や血液浄化療法など)を必要とする。症状は6か月から1年程度で寛解することが多い。臨床検査所見として、①髄液所見:蛋白細胞解離(蛋白は高値,細胞数は正常)を示す。②電気生理学的検査:末梢神経伝導検査にて、脱神経所見(伝導ブロック、時間的分散、神経伝導速度の遅延、複合筋活動電位の低下など)がみられる。複合筋活動電位が消失あるいは著明な低下し、早期から脱神経所見を示す症例は、一般に回復が悪く機能的予後も不良である。
(※参考:「重篤副作用疾患別対応マニュアル ギラン・バレー症候群」厚生労働省様HPより)
1.× 自律神経障害を伴う。自律神経障害(頻脈、高血圧、起立性低血圧など)が生じる。
2.× 症状は、「上肢近位筋から」ではなく、下肢遠位から始まる。ちなみに、障害の消失順は出現と逆順で、近位部から遠位部にかけて回復する。
3.× 上肢の症状は、「左右非対称」ではなく左右対称である。遠位・近位両方とも侵される。
4.× 先行感染の「数時間後」ではなく、1~2週間後に症状が現れる。発症の1~3週間前に先行感染(感冒様症状、下痢、腹痛など)がみられ、その後1~2週間で急性に神経症状を来し、弛緩性四肢麻痺や呼吸筋麻痺、脳神経障害がみられる。
5.× 逆である。我が国では、軸索障害型の方が脱髄型よりも多い。