第61回(R8)作業療法士国家試験 解説【午前問題41~45】

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41 うつ病患者が訴えることのある妄想で、最も考えられるのはどれか。

1.「この機械は自分が発明した」
2.「自分は貴族の末商だから偉大である」
3.「知らない人にいつも見張られている」
4.「自分は生きているだけで迷惑をかけている」
5.「自分はいつも他の患者から嫌がらせを受けている」

解答

解説

うつ病にみられる主な微小妄想

①貧困妄想:お金がない、自分は貧乏だと思い込む妄想。
②心気妄想:自分が病気にかかっているのではないかと強く思い込む妄想。
③罪業妄想:自分が取り返しのつかない罪を犯してしまった、自分は罪深い存在であると思い込む妄想。

1~2.× 「この機械は自分が発明した(発明妄想)」「自分は貴族の末商だから偉大である(血統妄想)」という発言は、誇大妄想が該当する。これは、双極症の躁病統合失調症にみられる。
・誇大妄想とは、自分を過大評価する妄想のことである。素晴らしい発明をしたという内容の発明妄想であり、誇大妄想の一つである。ほかにも、血統妄想、恋愛妄想などがある。

3.× 「知らない人にいつも見張られている」という発言は、注察妄想が該当する。統合失調症にみられる。被害妄想に含めて扱われることも多い。

4.〇 正しい。「自分は生きているだけで迷惑をかけている(罪業妄想)」とうつ病患者が訴えることが多い。なぜなら、うつ病では自責感、無価値感、自己卑下が強くなり、それが妄想レベルまで達すると罪業妄想や微小妄想として現れるため。
・罪業妄想とは、自分が取り返しのつかない罪を犯してしまった、自分は罪深い存在であると思い込む妄想である。

5.× 「自分はいつも他の患者から嫌がらせを受けている」という発言は、被害妄想が該当する。
これは、統合失調症にみられる。
・被害妄想とは、他人から被害を受けているという妄想である。

 

 

 

 

 

42 成人期において精神年齢が12歳なのはどれか。(※不適切問題:採点除外、解なし

1.境界知能〈境界レベル〉
2.軽度知的障害
3.中等度知的障害
4.重度知的障害
5.最重度知的障害

解答解なし
理由:問題として不適切であるため。
昔の目安だけで答えるなら、選択肢2. 軽度知的障害が正解。

解説

ICD-10(現在はICD-11)の時代に広く使われていた知的障害(当時の表現では精神遅滞)の重症度説明で、軽度・中等度・重度・最重度に分け、IQの目安に加えて「成人では精神年齢およそ何歳相当」という説明が添えられていた。
【古い目安】
軽度:9〜12歳
中等度:6〜9歳
重度:3〜6歳
最重度:3歳未満

現在(R8)の考え方では、知的障害の重さはIQや精神年齢だけで決めず、その人が日常生活でどれくらい自立できるかという適応機能で判断する。

 

1.× 境界知能〈境界レベル〉とは、知的障害そのものではなく、一般に IQ 70〜84 前後の「境界域」を指す。

2.△ (昔の基準で)軽度知的障害は、成人期において精神年齢が12歳のことをいう。
ICD-10(現在はICD-11)の【古い目安】
軽度:9〜12歳
中等度:6〜9歳
重度:3〜6歳
最重度:3歳未満

3.× 中等度知的障害は、成人期において精神年齢が6〜9歳のことをいう。

4.× 重度知的障害は、成人期において精神年齢が3〜6歳のことをいう。

5.× 最重度知的障害は、成人期において精神年齢が3歳未満のことをいう。

知的障害とは?

知的障害とは、「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の支援を必要とする状態にあるもの」と定義されている。知的障害では、抽象的概念の形成が困難で、言語概念の形成も遅れることが多く、学習障害を呈する。また、左右の協調的運動や微細運動が不得意であり、更衣動作などの身辺作業面に遅れを伴う。原因として、①出生前要因(染色体異常、奇形症候群、先天代謝異常、神経変性疾患、神経筋疾患、内分泌疾患、子宮内感染など)、②周産期要因(胎内環境異常、新生児疾患など)、③出生後要因(外傷、事故、養育環境など)が挙げられる。

 

 

 

 

 

43 BPSD〈Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia〉はどれか。

1.失行
2.失認
3.抑うつ
4.記憶障害
5.見当識障害

解答

解説

(※図引用:「SOMPO笑顔倶楽部」様HPより)

認知症の主な症状

①中核症状:神経細胞の障害で起こる症状
(例:記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、失語・失行など)

②周辺症状:中核症状+(環境要因や身体要因や心理要因)などの相互作用で起こる様々な症状
(例:徘徊、幻覚、異食、せん妄、妄想、不安など)

1~2.4~5.× 失行/失認/記憶障害/見当識障害は、中核症状である。
これらは、認知症の中心となる認知機能低下そのものである。

3.〇 正しい。抑うつは、BPSD(周辺症状)である。
・周辺症状:中核症状+(環境要因や身体要因や心理要因)などの相互作用で起こる様々な症状

MEMO

・失行とは、麻痺や運動機能の障害はないが、意識した動作が正しく行えない状解である。頭頂葉の障害で起こりやすい。

・失認とは、1つまたは複数の感覚で物体を識別する能力が失われる障害である。視覚・聴覚・味覚・嗅覚・体性感覚などその感覚自体の異常がなく、注意や知能といった一般的な精神機能は保たれているが、対象を認知できないことである。

 

 

 

 

 

44 統合失調症の服薬アドヒアランス〈服薬遵守〉を低下させるのはどれか。

1.内服薬の種類を減らす。
2.1日の服薬回数を増やす。
3.治療の目標を患者と話し合う。
4.副作用の出現を確認して対応する。
5.長時間作用型注射製剤〈デポ剤〉を使用する。

解答

解説

MEMO

・アドヒアランスとは、医療現場で患者が治療方針の決定に賛同し、積極的に治療を受けることを意味する言葉である。
・コンプライアンスとは、医療者からの指示を患者が遵守することを指す。似たような言葉であるが、アドヒアランスは、患者が賛同、つまり能動的に治療を受けることを指す。

1.× 内服薬の種類を減らすことは、服薬アドヒアランスを高めやすい。なぜなら、内服薬の種類を減らす(処方内容が単純になる)ほど、患者が理解しやすく、治療が継続しやすくなるため。つまり、アドヒアランスの改善へとつながる。

2.〇 1日の服薬回数を増やすことは、服薬アドヒアランスを低下させる。なぜなら、アドヒアランスは、治療が複雑になるほど下がりやすいため。1日の服薬回数が増えるほど、服薬行動が煩雑になり、飲み忘れや負担感が増える。

3.× 治療の目標を患者と話し合うことは、服薬アドヒアランスを高めやすい。なぜなら、患者が治療の意味や到達目標を理解すると、服薬の必要性を納得しやすくなるため。治療目標(再発予防、就労継続、睡眠安定など)を共有すると、服薬の意味づけができ、受け入れやすくなる。

4.× 副作用の出現を確認して対応することは、服薬アドヒアランスを高めやすい。なぜなら、副作用の出現は、服薬中断の大きな原因であり、それを早期に把握して対処することで継続しやすくなるため。特に、抗精神病薬の副作用(眠気、体重増加、錐体外路症状、アカシジアなど)は、服薬継続の妨げになる。例えば、患者が「足がむずむずしてつらい」と訴えて、早めに副作用を確認し、薬剤調整や対策を行えば継続しやすくなる。

5.× 長時間作用型注射製剤〈デポ剤〉を使用することは、服薬アドヒアランスを高めやすい。なぜなら、長時間作用型注射製剤〈デポ剤〉は、毎日の内服の煩雑さを減らし、一定期間ごとに投与することで服薬管理をしやすくするため。服薬回数を減らせる一方、効果や副作用が長く続く点に注意が必要である。

統合失調症とは?

統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)

 

 

 

 

 

45 うつ病の急性期における治療で正しいのはどれか。

1.心理教育を行う。
2.自殺念慮は話題にしない。
3.レクリエーションに積極的に参加させる。
4.退職などの重要な問題に関する決断を促す。
5.症状が改善したら、抗うつ薬の内服は直ちに中止させる。

解答

解説

うつ病患者に積極的に説明するべき事項

①調子が悪いのは病気のせいであり、治療を行えば必ず改善すること。
②重要事項の判断・決定は先延ばしにする。
③自殺しないように約束してもらうことなど。

1.〇 正しい。心理教育を行う。なぜなら、うつ病の急性期では、患者本人や家族が病気の性質を理解し、適切な休養・治療継続・再発予防につなげることが重要であるため。
・心理教育とは、症状の理解や服薬の必要性の理解など、病識の獲得と治療方法への理解が中心に行われる。

2.× 自殺念慮は、話題に「することが多い」。なぜなら、うつ病の急性期では、自殺リスクの評価が重要であるため。自殺念慮の切迫度は、計画の具体性が高い場合、また実際に準備をしている場合に高いと判断する。
・自殺念慮とは、死にたいと思い、自殺することについて思い巡らす事のことをいう。自殺念慮の切迫度は、計画の具体性が高い場合、また実際に準備をしている場合に高いと判断する。

3.× レクリエーションに積極的に参加させる「必要はない」。むしろ、控えるべきである。なぜなら、積極的に活動を求めると、かえって負担となるため。急性期の基本は、休養である。

4.× 退職などの重要な問題に関する決断を促す「必要はない」。むしろ、控えるべきである。なぜなら、うつ病の急性期では、判断力や思考力が低下し、悲観的・自責的に物事を捉えやすいため。つまり、急性期の決断は、病状に強く影響された偏った判断になりやすい。また、その決断までの考える過程が負担となる。

5.× 症状が改善したら、抗うつ薬の内服は直ちに中止させる「必要はない」。むしろ、内服は継続することがほとんどである。なぜなら、うつ病の症状が改善しても、再燃する可能性があるため。一般的に、再発予防のために、一定期間の維持治療が必要である。

 

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