第61回(R8)作業療法士国家試験 解説【午前問題46~50】

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46 PTSDに対する作業療法で適切なのはどれか。

1.認知行動療法は無効である。
2.外傷体験の直後は詳しく体験を聞き取る。
3.集団の中で体験を語り合うことは避ける。
4.心的外傷体験の一般的な心理反応を説明する。
5.心理的動揺がある程度収まってから心理的応急処置を実施する。

解答

解説

PTSDとは?

心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは、大規模な災害や事故の現場、他人の悲惨な死など、心理的に大きなストレスを受ける状況下に居合わせた場合、1か月以上心的外傷による障害が持続した場合に生じる。典型的な症状として、①感覚や情動の鈍化、②心的外傷を想起するような状況の回避、③再現的で侵入的な回想(フラッシュバック)や悪夢、④過覚醒、⑤驚愕反応の亢進などが認められる。

1.× 認知行動療法は、「無効」ではなく有効である。例えば、トラウマ関連刺激を極端に避け続ける患者に対して、認知の整理や段階的な曝露を含む系統的脱感作法を行うと、回避や過覚醒が軽減することがある。
・認知行動療法とは、ベックによって精神科臨床に適応された治療法である。例えば、うつ病患者の否定的思考を認知の歪みと考え、その誤りを修正することによって症状の軽快を図る。認知行動療法の中に、系統的脱感作法がある。系統的脱感作法とは、患者に不安を引き起こす刺激を順に挙げてもらい(不安階層表の作成)、最小限の不安をまず想像してもらう。不安が生じなかったら徐々に階層を上げていき、最終的に源泉となる不安が消失する(脱感作)ことを目指す手法である。

2.× 外傷体験の直後は、詳しく体験を聞き取る「必要はない」。なぜなら、心的外傷後ストレス障害の症状(フラッシュバック)の悪化につながりかねないため。
・フラッシュバックとは、(心的) 外傷的な出来事に関する苦痛な記憶が侵入的に繰り返し想起される現象である。

3.× 一概に集団の中で体験を語り合うことは避ける「必要はない」。なぜなら、集団により、つながりや人間関係が保たれ、災害直後は精神的な支柱になるため。したがって、「集団の中で語ることを全面的に避ける」のではなく、「無理に詳細を語らせない」対応が望ましい。

4.〇 正しい。心的外傷体験の一般的な心理反応を説明する。心的外傷体験の一般的な心理反応を知ることで、患者が経験していることは多くの人が体験していることであり、治療によって軽減するという希望をもつことができる。

5.× 「心理的動揺がある程度収まってから」ではなく、動揺が認められた場合すぐに心理的応急処置を実施する。
・心理的応急処置とは、災害などが起こった直後から被災者に提供されるもので、安全確保、安心感、基本的ニーズへの対応、支援への橋渡しを目的とする。被災者から必要なことやものを聞いたりして心理的動揺を早期に抑える

サイコロジカルファーストエイドとは?

Sphere(2011)やIASC(2007)によれば、サイコロジカル・ファーストエイドとは、苦しんでいる人、助けが必要かもしれない人に、同じ人間として行う、人道的、支持的な対応のことである。
・実際に役立つケアや支援を提供する、ただし押し付けない。
・ニーズや心配事を確認する。
・生きていく上での基本的ニーズ(食料、水、情報など)を満たす手助けをする。
・話を聞く、ただし話すことを無理強いしない。
・安心させ、心を落ち着けるように手助けする。
・その人が情報やサービス、社会的支援を得るための手助けをする。
・それ以上の危害を受けないように守る。

(※引用:「心理的応急処置サイコロジカルファーストエイド」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

 

47 注意欠如多動症〈注意欠如・多動性障害〉患者に対する支援で、正しいのはどれか。

1.うつ病の併存に注意する。
2.薬物療法は20歳未満の患者には行わない。
3.作業中は、患者との間で作業と無関係な雑談を心がける。
4.1日の予定の優先順位にはこだわらないように説明する。
5.スマートフオンのスケジュール管理機能の使用は禁止する。

解答

解説

注意欠陥多動性障害とは?

注意欠陥多動性障害(ADHD)とは、発達障害の一つであり、脳の発達に偏りが生じ年齢に見合わない①注意欠如、②多動性、③衝動性が見られ、その状態が6ヵ月以上持続したものを指す。その行動によって生活や学業に支障が生じるケースが多い。対人関係面で周囲との軋轢を生じやすく、大人からの叱責や子どもからのいじめにあうことがある。このため、二次障害として、自信喪失、自己嫌悪、自己評価の低下がみられることがある。そのため、患児の行動特徴を周囲が理解し、適切に支援をしていくことが重要である。①まず、行動療法を行う。𠮟責せずに、個別に近い対応で作業を粘り強く支援していく。②改善しない場合は、中枢神経刺激薬による薬物療法を用いる。中枢を刺激して、注意力・集中力を上げる。※依存・乱用防止のため、徐放薬が用いられる。

1.〇 正しい。うつ病の併存に注意する。なぜなら、ADHDの特性(不注意・衝動性・多動性)が原因で「慢性的なストレス」と「自己肯定感の低下(失敗体験の蓄積)」が続くため。ほかにも、遺伝的関連性がある可能性も指摘されている。

2.× 薬物療法は、20歳未満の患者「にも行う」。治療薬について、6歳以上が適応とされ、6歳未満では有効性・安全性が確立していない。

3.× 作業中は、患者との間で作業と無関係な雑談を心がける「必要はない」。むしろ、無関係な雑談は行わない方がよい。なぜなら、注意欠陥多動性障害の症状に、①注意欠如、②多動性、③衝動性が見られるため。無関係な雑談が作業の注意をそらす刺激となる。

4.× 1日の予定の優先順位には、こだわらないように説明する「必要はない」。むしろ、予定の整理と優先順位の明確化が支援となる。なぜなら、注意欠陥多動性障害の症状に、①注意欠如、②多動性、③衝動性が見られるため。多動性・衝動的な行動から、予定の優先順位が先延ばしや脱線が増えやすい。

5.× スマートフオンのスケジュール管理機能の使用は、禁止する「必要はない」。むしろ、注意欠陥多動性障害の症状に、①注意欠如、②多動性、③衝動性が見られるため。スマートフォンの予定表、アラーム、リマインダーは、見通しの保持や忘れ物防止に役立つ。それらに限らず、外部の補助手段を使って予定や注意を管理することで、本人が活動しやすくなる。

 

 

 

 

 

48 就労経験がある60歳の精神障害者で、雇用契約に基づく就労が体力的に厳しい場合に、就労の機会を提供するサービスはどれか。

1.就労定着支援事業
2.就労移行支援事業
3.就労継続支援A型事業
4.就労継続支援B型事業
5.自立訓練事業

解答

解説

本症例のポイント

精神障害者(就労経験がある60歳)
・雇用契約に基づく就労が体力的に厳しい
→本症例は、雇用契約なし(B型)が望ましい。

1.× 就労定着支援事業とは、就労移行支援、就労継続支援などの利用を経て、通常の事業所に新たに雇用され6か月を経過したもので3年が限度である。障害者の就労や、就労に伴って生じている生活面での課題を解決し、長く働き続けられるようにサポートする。就労に伴う環境変化などの課題解決(①生活リズム、②家計や体調の管理など)に向けて、必要な連絡調整や指導・助言などの支援を実施する。

2.× 就労移行支援事業とは、一般就労などを希望する就業が可能と思われる65歳未満の障害者に対して、知識・能力の向上、実習、職場探しなどを通じ、適性に合った職場への就労が見込まれる障害者を対象としたサービスである。事業所内での作業などを通じた訓練、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援などを実施する。就労移行支援の期限は2年(特例で3年)である。

3.× 就労継続支援A型事業とは、通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が可能である者が対象である。期限の設定はない。

4.〇 正しい。就労継続支援B型事業が該当する。
・就労継続支援B型とは、通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労も困難である者が対象である。期限の設定はない。

5.× 自立訓練事業とは、知的障害者・精神障害者に対して、自立した日常生活ができるように訓練や助言をするものである。

障害者総合支援法に基づく障害者の就労支援事業

①就労移行支援事業:利用期間2年
【対象者】一般就労等を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通じ、適性に合った職場への就労等が見込まれる障害者(65歳未満の者)①企業等への就労を希望する者
【サービス内容】一般就労等への移行に向けて、事業所内や企業における作業や実習、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援等を実施。通所によるサービスを原則としつつ、個別支援計画の進捗状況に応じ、職場訪問等によるサービスを組み合わせ。③利用者ごとに、標準期間(24ヶ月)内で利用期間を設定する。

②就労継続支援A型(雇用型):利用期限制限なし
【対象者】就労機会の提供を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上を図ることにより、雇用契約に基づく就労が可能な障害者。(利用開始時、65歳未満の者)
① 就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者
② 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者
③ 企業等を離職した者等就労経験のある者で、現に雇用関係がない者
【サービス内容】通所により、雇用契約に基づく就労の機会を提供するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者について、一般就労への移行に向けて支援。一定の範囲内で障害者以外の雇用が可能。多様な事業形態により、多くの就労機会を確保できるよう、障害者の利用定員10人からの事業実施が可能。

③就労継続支援B型(非雇用型):利用制限なし
【対象者】就労移行支援事業等を利用したが一般企業等の雇用に結びつかない者や、一定年齢に達している者などであって、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される障害者
① 企業等や就労継続支援事業(A型)での就労経験がある者であって、年齢や体力の面で雇用されることが困難となった者
② 就労移行支援事業を利用したが、企業等又は就労継続事業(A型)の雇用に結びつかなかった者
③ ①、②に該当しない者であって、50歳に達している者、又は試行の結果、企業等の雇用、就労移行支援事業や就労継続支援事業(A型)
の利用が困難と判断された者
【サービス内容】
通所により、就労や生産活動の機会を提供(雇用契約は結ばない)するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者は、一般就労等への移行に向けて支援。平均工賃が工賃控除程度の水準(月額3,000円程度)を上回ることを事業者指定の要件とする。事業者は、平均工賃の目標水準を設定し、実績と併せて都道府県知事へ報告、公表。

(引用:「就労移行支援について」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

 

49 精神障害者の就労支援で正しいのはどれか。

1.ジョブコーチから職業紹介を受けることができる。
2.精神障害者の法定雇用率は2%と規定されている。
3.就労継続支援A型事業所は2年の利用期限がある。
4.障害特性に応じた合理的配慮を事業主と検討できる。
5.事業主に対する支援としてジョブガイダンスがある。

解答

解説
1.× 「ジョブコーチ」ではなくハローワークから職業紹介を受けることができる。
・ハローワークとは、就職困難者の支援など地域の総合的雇用サービス機関であり主な業務として、①職業相談、②職業紹介、③求人確保、④事業主に対する助言・窓口業務、⑤就職後の障害者に対する助言・指導などがあげられる。公共職業安定所ともいわれる。
・ジョブコーチとは、障害者が事業所で働くため(就労支援)に、障害者と企業の双方を支援する役割をするもの。障害者が属する社会福祉法人の職員や事業所の社員などが行う。

2.× 精神障害者の法定雇用率は、「2%」ではなく2.7%と規定されている(令和8年現在)。(※参考:「障害者雇用率制度について」厚生労働省様HPより)。

3.× 2年の利用期限があるのは、「就労継続支援A型事業所」ではなく就労移行支援事業である。
・就労移行支援事業:利用期間2年
【対象者】一般就労等を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通じ、適性に合った職場への就労等が見込まれる障害者(65歳未満の者)①企業等への就労を希望する者
【サービス内容】一般就労等への移行に向けて、事業所内や企業における作業や実習、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援等を実施。通所によるサービスを原則としつつ、個別支援計画の進捗状況に応じ、職場訪問等によるサービスを組み合わせ。③利用者ごとに、標準期間(24ヶ月)内で利用期間を設定する。

・就労継続支援A型(雇用型):利用期限制限なし
【対象者】就労機会の提供を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上を図ることにより、雇用契約に基づく就労が可能な障害者。(利用開始時、65歳未満の者)
① 就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者
② 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者
③ 企業等を離職した者等就労経験のある者で、現に雇用関係がない者
【サービス内容】通所により、雇用契約に基づく就労の機会を提供するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者について、一般就労への移行に向けて支援。一定の範囲内で障害者以外の雇用が可能。多様な事業形態により、多くの就労機会を確保できるよう、障害者の利用定員10人からの事業実施が可能。(引用:「就労移行支援について」厚生労働省様HPより)

4.〇 正しい。障害特性に応じた合理的配慮を事業主と検討できる。なぜなら、合理的配慮は、2024年4月より義務化されているため(※参考:「合理的配慮指針」厚生労働省様HPより)。例えば、精神障害者が「口頭指示だけだと抜けやすい」と困っている場合、指示の文書化、休憩の取り方、業務量調整、相談窓口の設定などを事業主と検討できる。
・合理的配慮とは、障害のある方が仕事・社会・教育などを受けるうえで当たる壁を取り除くために本人の意思を尊重しながら調整することである。

5.× 「事業主」ではなく事業主に対する支援として、ジョブガイダンスがある。
・ジョブガイダンスとは、医療機関等の連携施設にハローワーク職員が出向いて、就職活動に関する知識や方法を教えるものである。例えば、雇用管理に関する助言、ジョブコーチの派遣、職務の切り出し支援などである。

 

 

 

 

 

50 質問法のうち開かれた質問はどれか。(※不適切問題:解2つ)

1.「痛みますか」
2.「今日はいかがですか」
3.「お住まいはどこですか」
4.「痛みについて詳しく説明してください」
5.「それは前ですか。後ろですか。全体ですか」

解答2・4
採点上の取り扱い:複数の選択肢を正解として採点する。
理由:複数の正解があるため。

解説

MEMO

open-ended question(開かれた質問)は、5W1HでいうWhen(なぜ)、How(どうやって・どのように)に該当する。したがって、患者が症状や来院理由を自由に話せるため、相手からより多くの情報を引き出したい場面で有効である。

closed-ended question(閉じられた質問)は、5W1Hでいう(When(いつ)、Where(どこで)、 Who(誰が)、What(何を)や、はい/いいえで答えられる限定された質問である。したがって、相手の考えや事実を明確にしたい場面などで有効である。

1.× 「痛みますか」は、閉ざされた質問である。なぜなら、「はい」または「いいえ」で答えられるため。

2.〇 正しい。「今日はいかがですか」は、開かれた質問(※焦点型質問に近い)である。なぜなら、自由に回答できるため。ただし、日常生活(診察室)で、使用される場合、体調について掘り下げて質問として、回答は、「まあまあです」とか「相変わらず頭が痛いです」とか限定される。

3.× 「お住まいはどこですか」は、中立的な質問である。なぜなら、出身地について掘り下げて質問しているため。回答は、「〇〇市です」「△△町です」など、限定された事実情報になりやすい。

4.〇 正しい。「痛みについて詳しく説明してください」は、開かれた質問である。なぜなら、患者が自分の言葉で、痛みの性質、強さ、部位、経過、困りごとなどを自由に説明できるため。

5.× 「それは前ですか。後ろですか。全体ですか」は、閉ざされた質問である。なぜなら、回答の選択肢があらかじめ決められており、相手が自由に答える余地が少ないため。

質問の種類と特徴

・開かれた質問
患者の自由な答えを求める質問
例:「他に気になるところはありますか?」

・閉じられた質問
「はい・いいえ」で答えられる質問
例:「吐き気はありますか?」

・中立的な質問
1つの答えしか求めない質問法
例:「水分はいつからとれていないですか?」

・焦点型質問
1つの事柄を深く掘り下げる質問法
例:「頭痛についてもう少し詳しく教えてください。」

 

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