第61回(R8)作業療法士国家試験 解説【午前問題36~40】

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36 上肢装具と目的の組合せで正しいのはどれか。

1.ウェブスペーサ:母指外転筋短縮予防
2.Thomasスプリント:手関節中問位固定
3.指用ナックルベンダー:PIP関節屈曲補助
4.肘屈曲型アームスリング:肩関節外転位保持
5.フレクサーヒンジ・スプリント:手関節屈曲機能を利用した把持動作

解答

解説
1.× ウェブスペーサは、「母指外転筋」ではなく母指内転筋短縮予防である。
・ウェブスペーサは、母指と示指の間の第一ウェブスペースの確保に用いられる。

2.× Thomasスプリントは、「手関節中問位」ではなく手関節軽度背屈位固定である。
・Thomasスプリント(トーマススプリント)は、橈骨神経麻痺高位型(下垂手)に適応となり、ゴムの弾性を利用して手関節背屈補助をすることで、手関節軽度背屈位としてMP関節と母指の運動を行うものである。

3.〇 正しい。指用ナックルベンダー:PIP関節屈曲補助
・適応はスワンネック変形などの関節リウマチである。

4.× 肘屈曲型アームスリングは、肩関節「外転位保持」ではなく内転位保持である。
・アームスリングとは、①肘関節屈曲型と②肘関節伸展型とに大別される。主に、亜脱臼を予防し、肩関節を良好な位置で保つことで肩関節軟部組織の損傷からくる関節痛を予防するために利用される。

5.× フレクサーヒンジ・スプリント(把持装具)は、「手関節屈曲機能」ではなく手関節背屈機能を利用した把持動作である。
・フレクサーヒンジ・スプリントは、C6頸髄損傷で適応となる。腱固定作用(テノデーシスアクション)を補助する。

 

 

 

 

 

37 多発性硬化症で正しいのはどれか。

1.女性に多い。
2.高体温で症状が改善する。
3.低緯度地域で有病率が高い。
4.Phalenテストが陽性となる。
5.免疫不全状態で発症しやすい。

解答

解説

多発性硬化症とは?

多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

1.〇 正しい。女性に多い。ちなみに、男女比は1:2~3である。多発性硬化症が女性に多い理由はまだ断定されていないが、女性ホルモンやX染色体などの免疫の違いに、喫煙やビタミンD不足などの環境要因が重なり、発症しやすくなるためと考えられている。

2.× 高体温で症状が、「改善」ではなく増悪する。なぜなら、ユートホフ現象がみられるため。ユートホフ現象とは、体温上昇によって症状悪化するものである。したがって、入浴運動には注意が必要である。

3.× 低緯度地域で有病率が、「高い」ではなく低い。なぜなら、高緯度地域での生活や日照時間の低下との関連が指摘されているため。欧米や寒冷地方に比較的多く、アジアやアフリカでは比較的少ない傾向がみられる。

4.× Phalenテストが陽性となるのは、「手根管症候群」である。
・手根管症候群は、正中神経の圧迫によって手指のしびれや感覚低下などの神経障害が生じる。手根管(手関節付近の正中神経)を4~6回殴打すると、支配領域である母指から環指橈側および手背の一部にチクチク感や蟻走感が生じる(Tinel徴候陽性)。Tinel徴候のほか、ダルカン徴候(手根管部を指で圧迫するとしびれ感が増悪する)やファーレン徴候(Phalen徴候:手首を曲げて症状の再現性をみる)も陽性となる場合が多い。

5.× 多発性硬化症の原因は不明とされている。自己免疫不全が発病の原因として有力ではあるが、まだはっきりとは解明されていない。

 

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38 関節リウマチで正しいのはどれか。

1.滑膜細胞が増殖する。
2.渦流浴は禁忌である。
3.家事の実施は午前中が良い。
4.股関節などの大関節に初発する。
5.疼痛に対して装具は使用しない。

解答

解説

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

1.〇 正しい。滑膜細胞が増殖する。関節リウマチでは滑膜に慢性炎症が起こり、滑膜細胞の増殖により、関節破壊が進行する。
・滑膜細胞とは、関節の内側を覆う薄い膜(滑膜)をつくる細胞である。関節液を出して動きを滑らかにし、関節の表面に栄養を届ける役割を担う。

2.× 渦流浴は、「禁忌」ではなく適応である。なぜなら、渦流浴であれば、変形している関節にも、温熱療法が期待できるため。
・渦流浴とは、患部を温水の入った浴槽につけ、浴水による静水圧、温熱効果に加えて、過流、気泡、動水圧によるマッサージ効果を局所に与えるものである。これにより、麻痺した上下肢の血行障害、慢性炎症、関節リウマチ、慢性関節炎による疼痛、筋スパズム・痙性の緩和などを図る。

3.× 家事の実施は、「午前中」ではなく午後が良い。なぜなら、関節リウマチの症状の一つに、朝のこわばりがあるため。したがって、負担のかかる家事や作業は、こわばりが軽減してから行う方が効率的で安全である。
・朝のこわばりとは、朝起きた直後に関節がこわばって動かしにくい状態で、活動により徐々に軽くなる症状のことである。関節リウマチの代表症状である。

4.× 初発は、「股関節などの大関節」ではなく、MP関節や足趾(小関節)が多い。関節リウマチの重要なキーワードとして、「小関節・左右対称・朝のこわばり」である。ちなみに、関節の滑膜を障害する自己免疫性(自分の抗体が自分の滑膜を攻撃する)疾患である。合併症として、間接性肺炎、皮下結節(リウマトイド結節)、シェーグレン症候群(唾液・涙液の減少)が起こる。

5.× 疼痛に対して装具は「使用する」。なぜなら、関節保護の観点のため。手関節手指固定装具(オッペンハイマー型)の適応疾患は、関節リウマチや痙性麻痺手、橈骨神経麻痺の下垂手の際に用いる。オッペンハイマー型の特徴としては、MP関節の伸展補助機能がある。

関節保護の原則とは?

関節リウマチ患者に対する日常生活の指導は、関節保護の原則に基づき行う。関節保護の原則とは、疼痛を増強するものは避けること、安静と活動のバランスを考慮すること、人的・物的な環境を整備することがあげられる。変形の進みやすい向きでの荷重がかからないように手を使う諸動作において、手関節や手指への負担が小さくなるように工夫された自助具が求められる。

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39 筋電義手で正しいのはどれか。

1.小児には使用しない。
2.作業用手先具はない。
3.能動義手に比べ把持力が強い。
4.前腕義手にはハーネスが必要である。
5.前腕義手より上腕義手の症例が多い。

解答

解説

※(写真引用:「筋電義手」Ottobock様HPより)

1.× 小児に「使用する」。小児の筋電義手ものもあり、筋電義手の操作練習は、筋電の検出ができれば、何歳からでも始められる。生後10∼15か月を目安に、筋電義手を作成し装着することが多い。

2.× 作業用手先具は「ある」。なぜなら、筋電義手では、用途に応じてさまざまな手先具が用意され、作業に適した部品へ交換・選択できるため。種類として、常用ハンドタイプ作業用タイプがある。
・義手の手先具とは、末端に取り付ける手やフックなどの部分である。筋電義手では、外観を重視したハンド型だけでなく、実用性を重視した手先具もある。

3.〇 正しい。能動義手に比べ把持力が強い。なぜなら、筋電義手は、モーター駆動で手先具を動かすため。したがって、利用者の肩や体幹の力をワイヤで伝える能動義手より大きな把持力を得やすい。

4.× 前腕義手にはハーネスが必要「ではない」。なぜなら、筋電義手は筋電信号で操作するため(自己懸垂性がある)。能動義手のようにハーネスとケーブルで駆動する構造ではない。
・ハーネスとは、肩や胸にかけるベルト状の装置で、能動義手では体の動きをワイヤに伝えて手先具を開閉するため。

5.× 逆である。筋電義手は、「上腕義手」より「前腕義手」の症例が多い。なぜなら、前腕切断のほうが残存関節や残存筋が活用しやすく、筋電義手の適応・操作訓練も行いやすいため。また、前腕切断では、断端に筋電を取りやすいことも多い。

筋電義手とは?

筋電義手とは、小型バッテリーを前腕支持部外装にはめ込み、筋電装置によって手先具の開閉を行う装具である。

【特徴・適応】
①前腕断端長が10cm以上。
②近接関節の可動減制限がない。
③訓練を理解する知的能力があること。など・・・。

【利点】
①把持力がある。
②見栄えがよい。など・・・。

【欠点】
①金額が高い。
②公的給付制度が不十分。
③重い。
④視覚による操作確認が必要。
⑤訓練できる施設が少ない。など・・・。

 

 

 

 

 

40 心理検査と評価内容の組合せで適切なのはどれか。

1.P-Fスタディ:認知機能
2.Rorschachテスト:自己効力感
3.TAT:認知症介護負担度
4.WCST:自我状態
5.内田・クレペリン精神検査:性格・行動面の特徴

解答

解説
1.× P-Fスタディは、「認知機能」ではなく心理検査である。
・P-Fスタディ(Picture Frustration Study:絵画欲求不満テスト)は、心理検査(性格特性を把握する検査)である。欲求不満の場面の柄を24枚見せて応答する場面を想定して文章を書いてもらう。

2.× Rorschachテストは、「自己効力感」ではなく性格検査である。
・Rorschach テスト(ロールシャッハテスト)は、投影法の性格検査である。10枚の図版(インクのシミ)を被験者に見せて、どのように見えるか答えさせ、そこから患者の知的側面と人格面を調べる。

3.× TATは、「認知症介護負担度」ではなく人格検査である。
・TAT(Thematic Apperception Test:主題統覚検査)は、投影法の人格検査で、多様な受け取り方ができる場面を描いた「30枚の図版と1枚の白紙」から何枚かを見せ、それぞれの物語を作ってもらう。マレーの「欲求圧力埋論(欲求圧力分析法)」を基盤とし、「被検者が葛藤状況をどのように認識し、どのような対処行動を行っているか」といった性格・行動傾向から、バーソナリティを明らかにしていくという特徴を持つ。

4.× WCSTは、「自我状態」ではなく前頭葉認知度試験である。
・WCST(Wisconsin Card Sorting Test:ウィスコンシンカード分類テスト)は、前頭葉の機能を調べる検査であり、主に高次脳機能障害の評価に用いられる。あえて分類すると作業検査法である。4つの色と形が描かれた4枚のカードがあらかじめ並べられていて、被験者が手元にあるカードを分類カテゴリーに従って順次並べていくものである。

5.〇 正しい。内田・クレペリン精神検査:性格・行動面の特徴
・内田クレペリン精神検査は、性格検査・職業適性検査の一種である。被験者に一定時間計算させ続けることで、作業量・集中力・注意力などの作業能力と、性格傾向を知ることができる。

 

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