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31 Down症候群に特徴的な二次障害はどれか。(不適切問題:解3つ)
1.体幹の側弯
2.股関節の脱臼
3.足部の内反変形
4.環軸関節の亜脱臼
5.膝関節の屈曲拘縮
解答1・2・4(複数の選択肢が正解)
理由:設問が不明確で複数の選択肢が正解と考えられるため。
解説
1.〇 正しい。体幹の側弯は、Down症候群に特徴的な二次障害である。なぜなら、Down症候群の約10%程度で起こるため。
2.〇 正しい。股関節の脱臼は、Down症候群に特徴的な二次障害である。なぜなら、Down症候群の約5%程度で起こるため。
3.× 足部は、「内反変形」ではなく扁平足(外反母趾)が起きやすい。ちなみに、扁平足(外反母趾)は、Down症候群の約5%未満で起こる。
4.〇 正しい。環軸関節の亜脱臼は、Down症候群に特徴的な二次障害である。環軸関節の亜脱臼(不安定症)は、環椎が軸椎に対して前方へずれる不安定な状態である。ダウン症に頻度が高いことで知られ、ダウン症では10~30%に環軸椎不安定性があるといわれている。ずれの程度によっては、頸椎の中を通る脊髄が圧迫されたり、損傷することがある。
5.× 膝関節の屈曲拘縮は、Duchenne型筋ジストロフィーにみられやすい。
ダウン症候群(Down症候群)とは、染色体異常が原因で知的障害が起こる病気である。常染色体異常疾患の中で最多である。Down症候群になりうる異常核型は、3種に大別される。①標準トリソミー型:21トリソミー(93%)、②転座型(5%)、③モザイク型(2%)である。発症率は、平均1/1000人である。しかし、35歳女性で1/300人、40歳女性1/100人、45歳女性1/30人と、出産年齢が上がるにつれて確率が高くなる。症状として、①特異な顔貌、②多発奇形、③筋緊張の低下、④成長障害、⑤発達遅滞を特徴とする。また、約半数は、先天性心疾患や消化管疾患などを合併する。特異顔貌として、眼瞼裂斜上・鼻根部平坦・内眼角贅皮・舌の突出などがみられる。
32 アミロイドの沈着がみられるのはどれか。
1.Alzheimer病
2.Huntington病
3.Pick病
4.Wernicke脳症
5.多発性硬化症
解答1
解説
1.〇 正しい。Alzheimer病は、アミロイドの沈着がみられる。アルツハイマー型認知症とは、認知症の中で最も多く、病理学的に大脳の全般的な萎縮、組織学的に老人斑(アミロイドβの蓄積)・神経原線維変化の出現を特徴とする神経変性疾患である。特徴は、①初期から病識が欠如、②著明な人格崩壊、③性格変化、④記銘力低下、⑤記憶障害、⑥見当識障害、⑦語間代、⑧多幸、⑨抑うつ、⑩徘徊、⑩保続などもみられる。Alzheimer型認知症の患者では、現在でもできる動作を続けられるように支援する。ちなみに、休息をとることや記銘力を試すような質問は意味がない。
2.× Huntington病とは、常染色体優性遺伝型式を示す遺伝性の神経変性疾患である。線条体(尾状核・被殻)の変性がみられる。不随意運動(舞踏運動)や認知機能低下、精神症状が特徴である。
3.× Pick病(前頭側頭型認知症)は、Pick体と呼ばれる球状のタウタンパク質の異常凝集が特徴である。病理所見として、前頭葉と側頭葉が特異的に萎縮する特徴を持つ認知症である。脳血流量の低下や脳萎縮により人格変化、精神荒廃が生じ、植物状態におちいることがあり、2~8年で衰弱して死亡することが多い。発症年齢が50~60代と比較的若く、初発症状は人格障害・情緒障害などがみられるが、病期前半でも記憶障害・見当識障害はほとんどみられない。働き盛りの年代で発症することが多いことで、患者さんご本人が「自分は病気である」という自覚がないことが多い。その後、症状が進行するにつれ、性的逸脱行為(見知らぬ異性に道で抱きつくなどの抑制のきかない反社会的な行動)、滞続言語(何を聞いても自分の名前や生年月日など同じ語句を答える)、食行動の異常(毎日同じものを食べ続ける常同行動)などがみられる。治療は、症状を改善したり、進行を防いだりする有効な治療方法はなく、抗精神病薬を処方する対症療法が主に行われている(参考:「前頭側頭型認知症」健康長寿ネット様HPより)。
4.× Wernicke脳症の原因は、「アルコール連続飲酒により食事が取れなくなってビタミンBが欠乏すること」である。Wernicke脳症の症状として、①意識障害、②眼球運動障害、③小脳失調などが挙げられる。
5.× 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)。
33 原発性骨粗鬆症の診断基準に含まれる脆弱性骨折の部位はどれか。
1.椎体
2.上腕骨遠位部
3.橈骨近位部
4.大腿骨遠位部
5.距骨
解答1
解説
(※図引用:「原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年度改訂版)」日本骨代謝学会)
①原発性骨粗鬆症とは、閉経後や高齢者にみられる骨粗鬆症のことである。
②続発性骨粗鬆症とは、結果として二次的な骨量喪失が起こる骨粗鬆症のことをいう。例えば、骨代謝に影響を及ぼすホルモンやサイトカイン異常、不動など骨への力学的負荷の減少、骨構成細胞や物質の異常、全身的および血管障害などの局所的栄養障害などによって起こる。これら骨粗鬆症は原疾患に基づいて発症する続発性骨粗鬆症であるため、原疾患の適切な治療により正常化することが期待しうるが、骨代謝の正常化を期待するには不十分であることが多く、また先天性異常では改善は望めず、多くの症例で骨量喪失に対する治療を要することが多い。
1.〇 正しい。椎体は、原発性骨粗鬆症の診断基準に含まれる脆弱性骨折の部位である。
【原発性骨粗鬆症の診断基準】
1.脆弱性骨折あり
①椎体骨折または大腿骨近位部骨折あり
②その他の脆弱性骨折(※1)があり、骨密度がYAMの80%未満。
※1:その他の脆弱性骨折:軽微な外力によって発生した非外傷性骨折で、骨折部位は肋骨、骨盤(恥骨、坐骨、仙骨を含む)、上腕骨近位部、橈骨遠位端、下腿骨を指す。
2~5.× 上腕骨遠位部/橈骨近位部/大腿骨遠位部/距骨
これらは、原発性骨粗鬆症の診断基準に含まれる脆弱性骨折の部位に該当しない。
脆弱性骨折とは、骨量の減少や骨質の劣化によって骨強度が低下し、軽微な外力によって発生した非外傷性骨折である。 軽微な外力とは、立った姿勢からの転倒かそれ以下の外力をさす。転んで手をついた、重いものを持ち上げた、尻もちをついた、など健康な方では折れないような外力による骨折のことをさす。【高齢者の4大骨折】骨粗鬆症は閉経後の女性に多く、骨の変形や痛み、易骨折性の原因となる。高齢者に多い骨折は①大腿骨頸部骨折、②脊椎圧迫骨折、③橈骨遠位端骨折、④上腕骨頸部骨折などがあり、これらは「高齢者の4大骨折」と呼ばれている。
34 運動軸が1つの関節はどれか。2つ選べ。
1.顎関節
2.距腿関節
3.椎間関節
4.腕橈関節
5.下橈尺関節
解答2・5
解説
1.× 顎関節は、顆状関節(楕円関節)で2軸性である。
2.〇 正しい。距腿関節は、運動軸が1つである。ちなみに、らせん関節に分類される。
3.× 椎間関節は、平面関節で多軸性関節(3軸性)である。
4.× 腕橈関節は、球関節で多軸性関節(3軸性)である。
5.〇 正しい。下橈尺関節は、運動軸が1つである。ちなみに、車軸関節に分類される。
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35 末梢動脈疾患で正しいのはどれか。
1.女性に多い。
2.足関節上腕血圧比が高い。
3.間欠性跛行を呈することはない。
4.閉塞性動脈硬化症の頻度が低い。
5.下肢切断が必要になることがある。
解答5
解説
末梢動脈疾患とは、足(末梢)の動脈が狭くなったり詰まったりして血液の流れが悪くなり、足(末梢)にさまざまな症状を引き起こす病気である。閉塞性動脈硬化症や下肢慢性動脈閉塞症と呼ばれることもある(現在は、その原因に関係なく、国際的に「末梢動脈疾患」に統一された)。バージャー病も末梢動脈疾患に含まれる。
1.× 「女性」ではなく男性に多い(男女比は約2~3:1)。なぜなら、喫煙率の高さや動脈硬化のリスク因子の影響が挙げられるため。男性は女性に比べて喫煙習慣が多く、これが血管を傷つけて動脈硬化を進行させる。また、男性は女性ホルモン(エストロゲン)の保護効果がないため、血管が傷つきやすく、コレステロールや血圧の影響を受けやすい。
2.× 足関節上腕血圧比は、「高い」のではなく低くなる。足関節上腕血圧比(ABI)(Ankle-Brachial-Index)とは、四肢すべての動脈閉塞および開口部の最高の圧力を判別するための方法である。足関節上腕血圧比は両腕と両足首の血圧を測定し比率を計算する検査であり、下肢にできやすい閉塞性動脈硬化症の評価検査となる。足関節上腕血圧比=足首最高血圧/上腕最高血圧で求められ、これが、0.9未満で閉塞性動脈硬化症が疑われる。正常:1~1.29、境界線:0.91~0.99、軽度:0.71~0.90、中程度:0.41~0.7、重度:0.4以下となる。
3.× 間欠性跛行を呈することが多い。なぜなら、血流不足により、歩行時に足の筋肉が十分な酸素を得られず、痛みや疲労を伴って歩行が困難になるため。特に、閉塞性動脈硬化症の場合、①間欠性跛行、②循環不全、③神経症状が認められる。閉塞性動脈硬化症は、手や足の血管の動脈硬化により、狭窄(血管が狭くなる)や閉塞(血管が詰まる)を起こして、血液の流れが悪くなり、手先や足先へ栄養や酸素を十分に送り届けることができなくなる病気である。下肢の慢性虚血による間欠性跛行が発症症状であることが多く、虚血が進行すると壊死に至る。50~70歳代の男性、糖尿病症例に多くみられる。太ももの付け根(大腿動脈)や足の甲(足背動脈)を触診し、脈が触れないことで診断し、確定診断には血管造影検査を行う。
4.× 末梢動脈疾患の中でも閉塞性動脈硬化症は比較的よくみられる疾患である。実際、日本人において65歳以上では約3.4%が閉塞性動脈硬化症を有していると報告されている。また、下肢の閉塞性動脈硬化症がある患者では、高率で他の動脈硬化疾患を合併しており、冠動脈疾患(虚血性心疾患)を約70%、脳血管疾患を約50%の割合で併発するとされている。
5.〇 正しい。下肢切断が必要になることがある。切断の直接原因は、末梢動脈疾患による壊死が73.9%、感染が22.2%、外傷などが3.9%であった(※引用:「6.全体に対する考察 我が国の下肢切断手術の現状を把握」厚生労働科学研究成果データベース)。