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※解答の引用:第60回理学療法士国家試験及び第60回作業療法士国家試験の合格発表について(厚生労働省HPより)
1 Danielsらの徒手筋力テストを図に示す。
対象となる筋はどれか。
1.棘上筋
2.僧帽筋
3.菱形筋
4.肩甲下筋
5.上腕三頭筋
解答4
解説
1.× 棘上筋は、肩関節外転(三角筋中部および棘上筋)であり、段階3~5に場合、座位で測定し、段階2以下は、背臥位で測定する。段階2以下の背臥位で測定する場合、腕は検査台で体の脇に置き、肩関節の回旋は中間位で母子は外側を指す。
2.× 僧帽筋は、上部・中部・下部線維とそれぞれ測定方法が異なる。
・上部(肩関節挙上):段階3~5に場合、座位で測定し、段階2以下は、腹臥位で測定する。段階2以下の腹臥位で測定する場合、頭は検査側と反対側に回旋し、腕は検査台に乗せ「あなたの肩を耳の方に引き寄せる」ように指示する。
・中部と大菱形筋(肩関節内転:引き寄せ):すべての段階は腹臥位で測定できる。検査台の縁に肩を置き、肩関節は90°外転位、肘関節は直角に屈曲し、前腕と手は検査台の外にぶら下げて測定する。
・中部と下部(下制と内転):すべての段階は腹臥位で測定できる。肩関節は頭上約145°の挙上・外転位で、前腕は中間位、母指は天井に向けて指さして測定する。
3.× 菱形筋は、肩関節内転(引き寄せ)と下方回旋であり、段階3~5に場合、腹臥位で測定するが、手部の位置を背の上にのせる(肩関節内転・内旋、肘関節を屈曲)。ちなみに、段階2以下は、座位で測定する。
4.〇 正しい。肩甲下筋(肩関節内旋)が対象となる筋である。これは、患者が座位をとれない場合に用いられる段階3~5のテストである。
5.× 上腕三頭筋は、肘伸展であり、設問の図の開始肢位は同じであるが、運動方向が異なる。段階3~5に場合、腹臥位で測定するが、肩関節90°外転、肘関節90°屈曲、回旋中間位とし、前腕を検査台の縁から外に出し下垂する。ちなみに、段階2以下は、座位で測定する。
参考にどうぞ↓
次の文により、2、3の問いに答えよ。
80歳の男性。間質性肺疾患の急性増悪で入院中。酸素化が不良で気管切開による人工呼吸管理を受けている。肺炎は認めないが血圧変動が大きい。
2 理学療法で最も適切なのはどれか。
1.咳嗽練習
2.歩行練習
3.移乗動作練習
4.関節可動域運動
5.等尺性筋力増強運動
解答4
解説
・80歳の男性。
・入院中:間質性肺疾患の急性増悪。
・酸素化は不良(気管切開による人工呼吸管理)。
・肺炎は認めない。
・血圧変動は大きい。
→本症例の評価結果と該当するリハビリ内容を選択しよう。臨床で不安な場合は必ず主治医の指示を仰ぐべきである。
→間質性肺疾患とは、肺の間質という部分に起こるさまざまな病気の総称である。例えば、原因不明の間質性肺炎(特発性間質性肺炎)、膠原病に伴う間質性肺疾患、過敏性肺炎などがあげられる(※参考:「肺線維症に関する総合情報サイト」)。したがって、間質性肺疾患の原因は多岐にわたるため、原因不明のこともある。
1.× 咳嗽練習より優先されるものが他にある。なぜなら、本症例は肺炎を認めず、むしろ酸素化不良や血圧変動が大きいため(患者の状態の悪化につながる)。ちなみに、咳嗽練習は、気道の分泌物除去や呼吸機能改善に有効な方法である。
2~3.× 歩行練習/移乗動作練習より優先されるものが他にある。なぜなら、本症例は酸素化不良や血圧変動が大きいため。歩行や移乗といった血圧変動がみられやすい体位変換は、主治医との相談・許可が出た状態で行う。基本的に、臨床では「ベッド上」と指示がある。
4.〇 正しい。関節可動域運動を実施する。なぜなら、ベッド上での他動による関節可動域運動は、不動による関節可動域制限や拘縮を防ぐことができるため。また心肺への負担が少なく実行可能である。
5.× 等尺性筋力増強運動より優先されるものが他にある。なぜなら、本症例は血圧変動が大きいため。等尺性運動では、筋肉収縮時に一時的な血圧上昇が起こる。ちなみに、等尺性運動とは、関節を動かさない筋肉の収縮で、筋の長さは一定である特徴を持つ。ギプス固定している間の筋の廃用予防のための筋力トレーニングとして重要である。
次の文により、2、3の問いに答えよ。
80歳の男性。間質性肺疾患の急性増悪で入院中。酸素化が不良で気管切開による人工呼吸管理を受けている。肺炎は認めないが血圧変動が大きい。
3 その後、人工呼吸器を離脱して気管切開孔を閉鎖したが、右肺に気胸を生じ、経鼻酸素療法中である。胸部エックス線写真を下に示す。
この時期の理学療法で最も適切なのはどれか。(※不適切問題:解なし)
1.酸素療法中は床上安静にとどめる。
2.呼吸理学療法手技で気胸側の胸郭を拡張させる。
3.修正Borgスケール9以上の強度で運動療法を行う。
4.呼吸筋力の低下に対して吸気筋トレーニングを行う。
5.呼吸数/一回換気量(f/TV)が150以上であれば筋力増強運動を行う。
解答:解なし(不適切問題)
理由:設問が不明確で正解が得られないため。
解説
・80歳の男性。
・入院中:間質性肺疾患の急性増悪。
・酸素化は不良(気管切開による人工呼吸管理)。
・肺炎は認めない。
・血圧変動は大きい。
・人工呼吸器を離脱して気管切開孔を閉鎖した。
・右肺に気胸を生じ、経鼻酸素療法中。
→本症例の評価結果と該当するリハビリ内容を選択しよう。臨床で不安な場合は必ず主治医の指示を仰ぐべきである。
→気胸とは、胸腔内に空気が貯留して肺が虚脱している病態である。胸部X線検査の特徴として、①透過性亢進、②縮小した虚脱肺、③肋間拡大、④健側への縦隔偏位などがみられる。
1.× 必ずしも、酸素療法中は床上安静にとどめる必要はない。なぜなら、長期臥床(過度な安静)は廃用症候群を招くリスクがあるため。酸素療法中であっても、状態が安定していれば、可能な範囲での早期離床やリハビリが推奨される。
2.× 呼吸理学療法手技で、「気胸側」ではなく健常側の胸郭を拡張させる。むしろ、気胸側の胸郭拡張は、気胸を悪化させる。これは、無理な陽圧がかかり、気胸を起こしている肺が、再度、空気漏れが生じる可能性がある。健常側の胸郭を拡張させることで、健常側の胸郭や肺機能を活用して十分な換気を得ることができる。
3.× 修正Borgスケール「9以上」ではなく「4~5」の強度で運動療法を行う。なぜなら、修正Borgスケール9以上の強度は非常にきつい運動負荷であるため。ちなみに、修正Borg指数とは、自覚的運動強度の指標である。修正Borg指数は、運動したときのきつさを数字と簡単な言葉で表現し、標準化したものである。0~10の数字で表し、0に近づくと楽と感じ、10に近づくときついという解釈になる。4~5が運動の目安となり、7~9が運動の中止基準となる。
4.△ 呼吸筋力の低下に対して吸気筋トレーニングを行う。なぜなら、間質性肺疾患患者に対する吸気筋トレーニングは、呼吸苦の改善につながるため。これは、第59回(R6)理学療法士国家試験【午前問題49】に出題されている。とはいえ、本症例の場合は、気胸の急性期と考えられる。吸気筋トレーニングは、呼吸筋を強化するために吸気時の負荷を与える手法であるが、急性の気胸状態では吸気負荷が胸腔内圧を上昇させ、未治癒の気胸の拡大や空気漏れの悪化リスクを高める可能性がある。したがって、△としたが、分かる方いらしたらコメント欄にて教えてください。
5.× 呼吸数/一回換気量(f/TV)が150以上であれば筋力増強運動を行う優先度は低い。なぜなら、呼吸数/一回換気量(f/TV)が150以上というのは、呼吸が浅く速い状態を示す可能性が高いため。呼吸苦が伴っている可能性が高いため、リハビリテーションは中止することが望ましい。ちなみに、呼吸数/一回換気量(f/TV)は、分単位の呼吸数(f)を、一回換気量(TV:通常はリットル単位)で割ることで求められる。一般的に、健康な成人ではこの値は約25〜40程度とされ、特に人工呼吸器離脱の判断では、105未満が離脱成功の目安とされている。
・成人の呼吸数の正常値は、1分間に12~20回である。リハビリテーションの中止基準の「途中でリハを中止する場合」として、頻呼吸(30 回/分以上),息切れが出現した場合と規定されている。
・一回換気量とは、一回の呼吸運動(呼気と吸気)で気道・肺に出入りするガスの量のことを指す。単位はmL。1回換気量のうち、ガス交換が可能な領域(呼吸細気管支と肺胞)を出入りする分が「有効換気量(350mL)」であり、ガス交換が行われない領域(鼻腔・口腔・気管・気管支・終末細気管支)を出入りする分は、「死腔換気量(150mL)」である。つまり、一回換気量は500mLである。
1. 積極的なリハを実施しない場合
[1] 安静時脈拍 40/分以下または 120/分以上
[2] 安静時収縮期血圧 70mmHg 以下または 200mmHg 以上
[3] 安静時拡張期血圧 120mmHg 以上
[4] 労作性狭心症の方
[5] 心房細動のある方で著しい徐脈または頻脈がある場合
[6] 心筋梗塞発症直後で循環動態が不良な場合
[7] 著しい不整脈がある場合
[8] 安静時胸痛がある場合
[9] リハ実施前にすでに動悸・息切れ・胸痛のある場合
[10] 座位でめまい,冷や汗,嘔気などがある場合
[11] 安静時体温が 38 度以上
[12] 安静時酸素飽和度(SpO2)90%以下
2. 途中でリハを中止する場合
[1] 中等度以上の呼吸困難,めまい,嘔気,狭心痛,頭痛,強い疲労感などが出現した場合
[2] 脈拍が 140/分を超えた場合
[3] 運動時収縮期血圧が 40mmHg 以上,または拡張期血圧が 20mmHg 以上上昇した場合
[4] 頻呼吸(30 回/分以上),息切れが出現した場合
[5] 運動により不整脈が増加した場合
[6] 徐脈が出現した場合
[7] 意識状態の悪化
3. いったんリハを中止し,回復を待って再開
[1] 脈拍数が運動前の 30%を超えた場合。ただし,2 分間の安静で 10%以下に戻らないときは以後のリハを中止するか,または極めて軽労作のものに切り替える
[2] 脈拍が 120/分を越えた場合
[3] 1 分間 10 回以上の期外収縮が出現した場合
[4] 軽い動悸,息切れが出現した場合
4 50歳の男性。身長175cm、体重80kg。日常的な身体活動量を計測したところ、
毎日5METs、30分間の歩行運動を実施していた。
この歩行運動の消費エネルギーはどれか。
1.110kcal
2.160kcal
3.210kcal
4.260kcal
5.310kcal
解答3
解説
消費エネルギー(kcal)=1.05(kcal/kg/h)×体重(kg)×METs数×運動時間(hour)
1~2.4~5.× 110kcal/160kcal/260kcal/310kcalは該当しない。
3.〇 正しい。210kcalが、この歩行運動の消費エネルギーである。
【公式】消費エネルギー(kcal)=1.05(kcal/kg/h)×体重(kg)×METs数×運動時間(hour)
【本症例の場合】
1.05(kcal/kg/h)×80(kg)× 5(METs)× 0.5(hour)
=210(kcal)
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5 65歳の男性。脳出血による弛緩性右片麻痺で肩関節に2横指の亜脱臼がある。
関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準1995年)に従って右肩関節外転の関節可動域検査を行う際に正しいのはどれか。
1.基本軸は体幹である。
2.肘関節屈曲位で計測する。
3.肩甲骨は動かないように固定する。
4.90度以上の外転では前腕を回外させる。
5.上肢の長軸方向に牽引を加えて測定する。
解答4
解説
【参考可動角度】180°
【基本軸】肩峰通る床への垂直線(立位または坐位)
【移動軸】上腕骨
【測定部位及び注意点】体幹の側屈が起こらないように、90°以上になったら前腕を回外することを原則とする。
1.× 基本軸は、「体幹」ではなく肩峰通る床への垂直線である。
2.× 肘関節「屈曲位」ではなく伸展位で計測する。
3.× 肩甲骨は動かないように固定する必要はない。なぜなら、肩甲骨の動きも併せて肩関節外転の測定を行うため。
4.〇 正しい。90度以上の外転では前腕を回外させる。体幹の側屈が起こらないように、90°以上になったら前腕を回外することを原則とする。
5.× 上肢の長軸方向に牽引を加えて測定する必要はない。むしろ、牽引を加えて測定した場合、亜脱臼を助長してしまう。
肩甲上腕リズムは、1944年にInmanらが初めて提唱し、以来様々な研究で検証され、現在においても上腕骨と肩甲骨の運動における基準である。肩関節外転は、肩甲上腕関節のみでは外転90~120°までしかできない。これは肩峰と烏口肩峰靭帯によって阻害されるためである。さらなる外転位を取るには、肩甲骨・鎖骨を動かすことにより可能となる。上腕骨の外転だけでなく、肩甲骨の動きを合わせて肩甲上腕リズムという。90°外転位では、「肩甲骨上方回旋が30° + 肩甲上腕関節外転が60°」となり1:2の関係となる。180°外転位も同様に、「肩甲骨上方回旋が60° + 肩甲上腕関節外転が120°」となり1:2の関係となる。
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