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81 日常生活場面で必要とされる記憶の障害を検出するのに最も適した検査はどれか。
1.HDS-R
2.MMSE
3.RAVLT
4.RBMT
5.WMS-R
解答4
解説
1.× HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)とは、簡便に知能を検査する方法である。見当識、記銘・再生、計算、言語の流暢性の各項目により、30点満点中20点以下を、軽度以上の認知症があるとする。
2.× MMSE(Mini-Mental State Examination)は、認知症の知的・認知機能評価である。内容は、見当識・記銘力・注意と計算・想起・言語・組み立ての各項目があり、30点満点で評価する。26点以下で軽度認知障害の疑いを示し、23点以下では認知障害の可能性が高いことを示す。
3.× RAVLT(Rey Auditory Verbal Learning Test Rey Auditory Verbal Learning Test:レイ聴覚性言語学習検査)は、言語性記憶機能を測る検査である。①意味・関連のない15語よりなる語系列 (リストA) を読み上げる。②直後に呈示頂にかかわらずできる限り多くの単語を口頭で回答させる(即時再生)③次に、これとは異なる15の単語からなるリストBを同様の方法で回答させる。④さらにその後にリストAのうちまだ覚えている単語を口頭で回答させる(遅延再生)。
4.〇 正しい。RBMTは、日常生活場面で必要とされる記憶の障害を検出するのに最も適した検査である。RBMT(Rivermead behavioral memory test:リバーミード行動記憶検査)は、記憶障害の患者が日常的に遭遇する状況を想定して行う記憶障害検査である。1.氏名、2.持ち物、3.約束、4.絵、5.物語(直後・遅延)、6.顔写真、7.道順(直後・遅延)、8.用件、9.見当識で9つの項目である。
5.× WMS-R(ウェクスラー記憶検査)は、見当識障害、視覚性記憶、言語性記憶、論理的記憶、精神統制など様々な角度から測定できる総合的な記憶検査である。
82 フレイルの高齢者の特徴で正しいのはどれか。
1.筋量が増加する。
2.TUG時間が短くなる。
3.長座位前屈距離が短くなる。
4.運動負荷時のBorg指数が低値になる。
5.FBS〈Functional balance scale〉が低値になる。
解答5
解説
フレイルとは、健常な状態と要介護状態(日常生活でサポートが必要な状態)の中間の状態のことをいう。多くは、「健康状態」→「フレイル」→「要介護状態」と経過する。定義:加齢とともに心身の活動(運動機能や認知機能など)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態。
【フレイルの基準】
①体重減少(6か月間で2~3㎏以上)
②易疲労感
③歩行速度の低下
④握力の低下
⑤身体活動量の低下
・3項目以上該当で「フレイル」
・1~2項目該当で「プレフレイル」
1.× 筋量が「増加」ではなく減少する。なぜなら、フレイルの診断基準の一つに、握力の低下があげられるため。
2.× TUG時間が、「短く」ではなく長くなる。なぜなら、フレイルの診断基準の一つに、歩行速度の低下があげられるため。TUG時間は、椅子から3m離れたところにコーンを置き、被験者が椅子から立ち上がりコーンを回って再び椅子に座るまでの時間である。運動器不安定性の指標となっている。
3.× 長座位前屈距離が短くなるとは一概に言えない。なぜなら、長座位前屈距離はハムストリングスや股関節の柔軟性の指標であるため。一般的に加齢とともに柔軟性は低下するが、フレイルの高齢者の特徴には当てはまらない。
4.× 運動負荷時のBorg指数(主観的運動強度)が「低値」ではなく高値になる。なぜなら、数値が高いほど主観的に「きつい」状態を示すため。修正Borg指数は、運動したときのきつさを数字と簡単な言葉で表現し、標準化したもので20段階にて評価する。ちなみに、新Borg指数は10段階で評価し、0~10の数字で表し、0に近づくと楽と感じ、10に近づくときついという解釈になる。4~5が運動の目安となり、7~9が運動の中止基準となる。
5.〇 正しい。FBS〈Functional balance scale〉が低値になる。FBS(Functional Balance Scale)は、高齢者の転倒リスクのスクリーニングや脳卒中患者のバランス機能評価に用いる。Berg Balance Scale<BBS> (=Functional Balance Scale<FBS>)のカットオフ値は、①良好なバランス能力(41~56点)、②許容範囲のバランス能力(21~40点)、③バランス障害あり(0~20点)と評価する。Berg Balance Scale<BBS> (=Functional Balance Scale<FBS>は、14項目を0~4点の5段階で評価 (56点満点)し、得点が高いほどバランス機能良好である。
83 不動による廃用症候群で生じやすい病態はどれか。
1.安静時心拍数の低下
2.間質性肺疾患
3.自律神経過反射
4.深部静脈血栓
5.低カルシウム血症
解答4
解説
廃用症候群とは、病気やケガなどの治療のため、長期間にわたって安静状態を継続することにより、身体能力の大幅な低下や精神状態に悪影響をもたらす症状のこと。関節拘縮や筋萎縮、褥瘡などの局所性症状だけでなく、起立性低血圧や心肺機能の低下、精神症状などの症状も含まれる。一度生じると、回復には多くの時間を要し、寝たきりの最大のリスクとなるため予防が重要である。廃用症候群の進行は速く、特に高齢者はその現象が顕著である。1週間寝たままの状態を続けると、10~15%程度の筋力低下が見られることもある。
1.× 安静時心拍数は、「低下」ではなく増加する。なぜなら、不動による廃用症候群では、動かないため心臓のポンプ機能が低下し、1回あたりの心拍出量が減少するため。したがって、1回心拍出量を代償するため、心拍数の増加で補う。
2.× 間質性肺疾患は、廃用と関連が低い。間質性肺疾患とは、肺の間質という部分に起こるさまざまな病気の総称である。例えば、原因不明の間質性肺炎(特発性間質性肺炎)、膠原病に伴う間質性肺疾患、過敏性肺炎などがあげられる(※参考:「肺線維症に関する総合情報サイト」)。したがって、間質性肺疾患の原因は多岐にわたるため、原因不明のこともある。
3.× 自律神経過反射は、廃用と関連が低い。自律神経過反射は、T5~6以上の脊髄損傷患者において、損傷部以下の臓器からの刺激によって起こる自律神経の異常反射である。内臓神経の抑制が解除されるため、主に骨盤内臓器が緊張する促通刺激が原因となり誘発される。原因は①膀胱刺激、②直腸刺激、③内臓刺激、④皮膚刺激などが挙げられる。生命の危険を伴い合併症を伴う。自律神経過反射の症状は、高血圧、ガンガンする頭痛、顔面紅潮、損傷レベルより上部での発汗、鼻詰まり、吐き気、脈拍60以下の徐脈、損傷レベルより下部の鳥肌である。
4.〇 正しい。深部静脈血栓は、不動による廃用症候群で生じやすい病態である。なぜなら、不動により血流が滞りやすいため。深部静脈血栓症とは、長時間の安静や手術などの血流低下により下肢の静脈に血栓が詰まってしまう病気である。下肢の疼痛、圧痛、熱感などの症状がみられる。ほかのリスク因子として、脱水や肥満、化学療法などがあげられる。
5.× 「低」ではなく高カルシウム血症を呈す。なぜなら、不動による骨量の減少と骨吸収の亢進が起こるため。高カルシウム尿症のほかも、尿路結石が生じやすい(※参考:「廃用症候群」東京保健医療局様HPより)。
84 抗てんかん薬の副作用で最も頻度の低いのはどれか。
1.傾眠
2.複視
3.めまい
4.肝機能障害
5.末梢神経障害
解答5
解説
てんかん発作は、大脳の神経細胞の過剰な電気的興奮と、その興奮が広がることによって起こる。抗てんかん薬はこの「興奮系」を抑えるタイプと、興奮の広がりを抑える「抑制系」の働きを強めるタイプがある。したがって、種類が多い。薬剤によっては、消化器症状や小脳失調など多彩な症状を示す。おおむね脳の興奮を抑える作用を持つので、副作用は眠気・頭痛・めまい・ふらつきなどである。また、薬効は中枢神経に留まることも少なく、他の臓器に影響を与えることもあり、それが心伝導系の障害や肝機能障害などを引き起こす。これは長期間の服用になればなるほど出やすく、肝機能の低下だけでなく、白血球減少や脱毛なども引き起こすこともある。
1.3.〇 傾眠/めまい/複視(眼振、嘔吐など)、抗てんかん薬の急性的な副作用である。なぜなら、一般的な抗てんかん薬は、脳の興奮を抑える作用を持つため。大脳以外にも小脳にも作用をきたすことがあり、神経系への抑制による副作用として、眼振、複視、眠気、嘔気、食欲低下、小脳性運動失調、精神症状などきたすこともある。
4.〇 肝機能障害は、抗てんかん薬の長期的な副作用である。なぜなら、薬効は中枢神経に留まることも少なく、他の臓器に影響を与えることもあるため。例えば、エトスクシミドでは、消化器症状の副作用が服用開始数日以内に起こることが多く、小児では20%~33%の割合でおこるといわれている(※参考:「抗てんかん薬の副作用とは?」てんかん情報センターより)。
5.× 末梢神経障害は、抗てんかん薬の副作用で最も頻度の低い。作用は脳の興奮の抑制であるため、末梢神経より中枢神経への副作用の頻度のほうが多い。ちなみに、末梢神経障害は、主に①運動障害、②感覚障害、③自律神経障害などの症状で、原因として、糖尿病や多発性硬化症などの疾患、外傷、感染、がん化学療法の副作用として起こることが多い。
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【共通のみ】てんかんについての問題「まとめ・解説」
85 Guillain-Barré症候群の診断で有用なのはどれか。
1.CT
2.MRI
3.髄液検査
4.脳波検査
5.血液培養検査
解答3
解説
Guillain-Barré(ギラン・バレー)症候群は、先行感染による自己免疫的な機序により、炎症性脱髄性ニューロパチーをきたす疾患である。一般的には細菌・ウイルスなどの感染があり、1~3週後に両足の筋力低下(下位運動ニューロン障害)や異常感覚(痺れ)などで発症する。感覚障害も伴うが、運動障害に比べて軽度であることが多く、他覚的な感覚障害は一般に軽度である。初期症状として、歩行障害、両手・腕・両側の顔面筋の筋力低下、複視、嚥下障害などがあり、これらの症状はピークに達するまでは急速に悪化し、時には人工呼吸器が必要になる。症状が軽い場合は自然に回復するが、多くの場合は入院により適切な治療(免疫グロブリン静注療法や血液浄化療法など)を必要とする。症状は6か月から1年程度で寛解することが多い。臨床検査所見として、①髄液所見:蛋白細胞解離(蛋白は高値,細胞数は正常)を示す。②電気生理学的検査:末梢神経伝導検査にて、脱神経所見(伝導ブロック、時間的分散、神経伝導速度の遅延、複合筋活動電位の低下など)がみられる。複合筋活動電位が消失あるいは著明な低下し、早期から脱神経所見を示す症例は、一般に回復が悪く機能的予後も不良である。
(※参考:「重篤副作用疾患別対応マニュアル ギラン・バレー症候群」厚生労働省様HPより)
1.× CTとは、エックス線を使用した撮影である。頭部CT検査とは、脳内の腫瘍や出血などの異常の有無や程度が分かる。出血部位は低吸収域(黒)としてうつる。
2.× MRIとは、MRI検査で脳の血管の情報を画像化することである。頭部MRIとは、脳の主要血管の形態診断や、くも膜下出血・脳梗塞等の脳血管障がい、動脈瘤等の脳血管の病変、脳腫瘍等の血行支配の状態等を調べることができる。
3.〇 正しい。髄液検査は、Guillain-Barré症候群の診断で有用である。なぜなら、Guillain-Barré症候群の髄液所見において蛋白細胞解離(蛋白は高値,細胞数は正常)を示すため。髄液検査とは、脳脊髄液を採取する検査である。通常、体を丸めて横向きになり、背骨の間に針を刺し、脊髄腔(骨髄と硬膜の間の空間)に針を進めて5~10ccの脳脊髄液を採取する。髄液の機能として、栄養を補給し老廃物を排除する働きと、脳や神経を保護する役目がある。
4.× 脳波検査とは、頭皮に電極を取り付けて脳の活動状態を調べる検査で、てんかんや脳腫瘍、脳出血などの診断に用いられる。
5.× 血液培養検査とは、生体から採取した血液(検体)について検査する。主に、敗血症が疑われる場合に行われる。敗血症とは、感染症への反応が制御不能に陥ることで生命を脅かす臓器機能障害が生じる臨床症候群である。敗血症性ショックでは、組織灌流が危機的に減少する。肺・腎臓・肝臓をはじめとする急性多臓器不全が起こる場合もある。特に、新生児は免疫学的に未熟であるため重症化しやすく、肺炎や髄膜炎を併発することもある。そのため、早期診断、早期治療が極めて重要である。