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46.1950年代、北欧での知的障害者の人権改善運動の発端となった取り組みはどれか。
1.バリアフリー
2.ノーマライゼーション
3.ユニバーサルデザイン
4.ソーシャルインクルージョン
5.IL(Independent Living)運動
解答2
解説
1.× バリアフリーの始まりは、1974年の国連障害者生活環境専門家会議で、報告書『バリアフリーデザイン』が作成されたことからといわれている。バリアフリーとは、生活の中で不便を感じること、様々な活動をしようとするときに障壁になっているバリアをなくす(フリーにする)ことである。
2.〇 正しい。ノーマライゼーションは、1950年代に北欧での知的障害者の人権改善運動の発端となった取り組みである。1970年代には欧米諸国にも広がり、現在では国際的な規範となっている。ちなみに、ノーマライゼーションとは、「障害者が一般市民と同じ環境で、同じ条件で家庭や地域で共に生活すること」を目指す概念である。障害を持つ人が健常者と共存して「普通の社会生活」営めるように、当該社会から物心両面において改善しようという社会的志向である。
3.× ユニバーサルデザインの始まりは、アメリカの大学で建築などの研究をされていた、ロナルド・メイス教授が1980年代に広めたことといわれている。ユニバーサルデザインとは、障害の有無だけでなく、老若男女・能力・言語の違いを問わず、誰でも利用可能な製品・設計・情報のデザインのことである。【ユニバーサルデザイン7原則】①公平、②柔軟、③簡単、④理解、⑤安全、⑥省力、⑦空間である。
4.× ソーシャルインクルージョンは、1980年代にヨーロッパにおこった政策理念であるといわれている。ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)とは、社会的に弱い立場にある人々をも含め市民ひとりひとり、排除や摩擦、孤独や孤立から援護し、社会の一員として取り込み、支え合う考え方のこと。社会的排除の反対の概念である。この考えは、持続可能な開発目標(SDGs)が大切にしている「誰一人取り残さない」という理念でもある。
5.× IL(Independent Living)運動(自立生活運動)とは、「重度の障害があっても、健常者と同じように自立して、生きていきたい」という障害者の主張を実現するため、障害者の自己決定権の拡大などを目的とした運動である。1960年代にアメリカで始まり、その後世界に広がった。
47.実習中の守秘義務で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.学生用パソコンのウイルス対策ソフトを実習前に最新のものに更新した。
2.患者の経過が記された報告書を同級生にメール添付し送信して相談した。
3.症例報告用のレジュメを実習終了後にシュレッダーで処分した。
4.実習生同士がファミリーレストランで担当症例の検討をした。
5.病院カルテの内容を自身のスマートフォンで撮影した。
解答1・3
解説
守秘義務とは、一定の職業や職務に従事する者や従事していた者または契約の当事者に対して課せられる、職務上知った秘密を守るべきことや、個人情報を開示しないといった義務のことである。
1.〇 正しい。学生用パソコンのウイルス対策ソフトを実習前に最新のものに更新した。なぜなら、更新することでパソコンのハッキング、つまり情報漏洩のリスクが減るため。
2.× 患者の経過が記された報告書を同級生にメール添付し送信して相談した行動は、守秘義務の観点から好ましくない。なぜなら、患者の経過は個人情報にかかわるため。また、メールは情報漏洩のリスクがある。
3.〇 正しい。症例報告用のレジュメを実習終了後にシュレッダーで処分した。なぜなら、シュレッダーによる処分は、患者の個人情報を適切に廃棄することができるため。シュレッダーがない場合は、粉々に破ったり、個人情報保護するスタンプ使用する。
4.× 実習生同士がファミリーレストランで担当症例の検討をした行動は、守秘義務の観点から好ましくない。なぜなら、ファミリーレストランは、公共の場であり、他の客や従業員に聞こえることがあるため。
5.× 病院カルテの内容を自身のスマートフォンで撮影した行動は、守秘義務の観点から好ましくない。なぜなら、病院カルテには、患者の個人情報だけではなく、ログインIDや病院名など予期しない情報も撮影され、漏洩する可能性があるため。実習中だけでなく、勤務中や臨床場面でも、①スマートフォンの充電をしないこと、②USBを使い分けること(病院で使う用)、③パソコンは持ち込まないなど徹底する。
個人情報保護法とは、個人情報の保護に関する法律の略称である。個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とした個人情報の取扱いに関連する日本の法律である。定義(第2条)には、「この法律において『個人情報』とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう」とされている。
個人情報保護に関するコンプライアンスプログラムの要求事項では、センシティブ情報の具体的項目に関して、以下の5項目を挙げている。①思想及び信条に関する事項、②政治的権利の行使に関する事項、③労働者の団体交渉に関する事項、④医療、性に関する事項、⑤犯罪の経歴、人種、民族、社会的身分、門地並びに出生地及び本籍地など社会的差別の原因となる事項である。
48.介護予防事業の基本チェックリスト質問項目でないのはどれか。
1.「転倒に対する不安は大きいですか」
2.「15分くらい続けて歩いていますか」
3.「この一年間に転んだことがありますか」
4.「何もつかまらずに床から立ち上がっていますか」
5.「階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか」
解答4
解説
(※図引用:「表4 基本チェックリスト 」厚生労働省HPより)
1.〇 「転倒に対する不安は大きいですか」は、10つ目の質問項目である。
2.〇 「15分くらい続けて歩いていますか」は、8つ目の質問項目である。
3.〇 「この一年間に転んだことがありますか」は、9つ目の質問項目である。
4.× 「何もつかまらずに床から立ち上がっていますか」は、介護予防事業の基本チェックリスト質問項目でない。7つ目の質問項目に「椅子に座った状態から何もつかまらずにたちあがっていますか」というものがある。
5.〇 「階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか」は、6つ目の質問項目である。
基本チェックリストとは、65歳以上の高齢者が自分の生活や健康状態を振り返り、心身の機能で衰えているところがないかどうかをチェックするためのものである。生活機能の低下のおそれがある高齢者を早期に把握し、介護予防・日常生活支援総合事業へつなげることにより状態悪化を防ぐためのツールである。全25項目の質問で構成されている。
49.理学療法士が行う院内感染対策として適切でないのはどれか。
1.手指衛生
2.感染経路の把握
3.ガウンテクニック
4.院内ガイドラインの遵守
5.感染者の病室の配置管理
解答5
解説
スタンダード・プリコーションとは、感染症の疑いや診断の有無にかかわらず、すべての患者に共通して実施される感染対策で、汗を除くすべての湿性生体物質(血液・体液・分泌物・排泄物・損傷した皮膚・粘膜)を感染源と見なし、対処する予防策である。
【手指衛生の5つのタイミング】
①患者に触れる前( 手指を介して伝播する病原微生物から患者を守るため)
②清潔/無菌操作の前( 患者の体内に微生物が侵入することを防ぐため)
③体液に曝露された可能性のある場合(患者の病原微生物から医療従事者を守るため)
④患者に触れた後(患者の病原微生物から医療従事者と医療環境を守るため)
⑤患者周辺の環境や物品に触れた後(患者の病原微生物から医療従事者と医療環境を守るため)
(※引用:「WHO手指衛生ガイドライン」矢野邦夫より)
1.〇 手指衛生は、理学療法士が行う院内感染対策である。手指衛生とは、手指を衛生的に保つことである。流水と石けんを用いた手洗いと、アルコール手指消毒剤を用いた手指消毒が主な手指衛生の方法である。
2.〇 感染経路の把握は、理学療法士が行う院内感染対策である。感染経路には、①経気道感染、②経胎盤感染、③経産道感染(出産時)などがある。病原体によってそれぞれ感染経路を有しているため感染経路を把握することは必要である。
3.〇 ガウンテクニックは、理学療法士が行う院内感染対策である。ガウンテクニックとは、ガウン(予防衣)の着用により感染を防ぐことである。
4.〇 院内ガイドラインの遵守は、理学療法士が行う院内感染対策である。院内ガイドラインとは、院内感染対策を標準化できるように作成しているものである。
5.× 感染者の病室の配置管理は、院内感染対策として適切でない。なぜなら、一般的に感染者が発生した場合、感染症対策マニュアルが作成されており、病室の配置管理は、病室の状況を看護師など専門職から情報収集をした感染症専門チームや医師が担当することが多い。
感染には、①接触感染、②空気感染、③飛沫感染がある。
①接触感染(例:流行性角結膜炎、疥癬、ノロウイルス感染症など)
(1)直接接触感染:感染者の皮膚粘膜との直接接触による伝播・感染する。
(2)間接接触感染:感染者の微生物で汚染された衣類、周囲の器物、環境などとの接触による伝播・感染する。
②飛沫感染(例:風疹、流行性耳下腺炎、 インフルエンザ、マイコプラズマ、百日咳など)
咳やくしゃみなどに伴って発生する飛沫(粒径5μm以上の粒子)が経気道的にヒトの粘膜に付着し感染する。飛散する範囲は1m以内であることが特徴。
③空気感染(例:結核、水痘、麻疹など)
飛沫核 (粒径5μm未満の粒子に付着した微生物)が長期間空中を浮遊し、これを吸い込むことで感染が伝播・感染する。
(※参考:「医療施設等における感染対策ガイドライン」厚生労働省様HPより)
50.検査と身体状況の組合せで正しいのはどれか。
1.BBS:体格
2.FIM:呼吸機能
3.MMSE:平衡機能
4.NRS:疼痛
5.VAS:認知機能
解答4
解説
1.× BBS(Berg Balance Scale=Functional Balance Scale<FBS>)は、「体格」ではなくバランス機能(平衡機能)である。BBS(Berg Balance Scale=Functional Balance Scale<FBS>)とは、バランス機能を評価するために使用され、23点より他の選択肢に転倒リスクが高いものがある。14項目を0~4点の5段階で評価 (56点満点)し、得点が高いほどバランス機能良好である。カットオフ値は、①良好なバランス能力(41~56点)、②許容範囲のバランス能力(21~40点)、③バランス障害あり(0~20点)と評価する。
2.× FIM(Functional Independence Measure:機能的自立度評価法)は、「呼吸機能」ではなく日常生活動作の指標である。介護負担度の評価を目的として、実際に「しているADL」を評価する。
3.× MMSE(Mini-Mental State Examination:ミニメンタルステート検査)は、「平衡機能」ではなく認知障害(認知症・せん妄・健忘性障害)のスクリーニングとして国際的によく用いられている検査である。内容は、見当識・記銘力・注意と計算・想起・言語・組み立ての各項目があり、30点満点で評価する。26点以下で軽度認知障害の疑いを示し、23点以下では認知障害の可能性が高いことを示す。
4.〇 正しい。NRS(numerical rating scale:数字評価スケール)は、疼痛(強さ)の評価に用いられる。0が痛みなし、10が想像できる最大の痛みとして、 0~10までの11段階に分けて、現在の痛みがどの程度かを指し示すものである。
5.× VAS(visual analogue scale)は、「認知機能」ではなく疼痛(強さ)の評価に用いられる。紙の上に10cmの線を引いて、左端に0(全く痛みなし)、右端に100(今までで一番強い痛み)と書く。患者さんに「あなたの痛みはどれくらいですか?」と質問して、0〜100の間のどのあたりになるのかを指し示してもらうことによって、痛みを評価する。