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1.Danielsらの徒手筋力テストにおける肩甲下筋のテストで正しいのはどれか。
解答3
解説
【起始】肩甲骨肋骨(肩甲下窩)と筋膜内面
【停止】上腕骨前面の小結節、小結節稜上端内側
【作用】肩関節内旋
【支配神経】肩甲下神経:C5,C6
1.× 図は、肩甲骨下制と内転の段階0~2のテストである。主な検査の筋は、僧帽筋(中部と下部線維)、広背筋である。
2.× 図は、肩関節水平内転の段階0~2のテストである。主な検査の筋は、三角筋後部線維である。
3.〇 正しい。肩甲下筋(肩関節内旋)のテストである。ちなみに、段階3のテストで、患者が座位を取れない場合に用いられる。
4.× 図は、肩関節外旋の段階3のテストである。主な検査の筋は、棘下筋、小円筋である。
5.× 図は、広背筋の段階のテストである。患者は検査台から離して、殿部を持ち上げることができれば段階3~5と判断できる。
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【PT専門のみ】MMTについての問題「まとめ・解説」
2.心電図波形を下に示す。
特徴として正しいのはどれか。
1.洞調律である。
2.持続頻拍である。
3.ST上昇を認める。
4.心室期外収縮を認める。
5.Ⅲ度房室ブロックである。
解答4
解説
1.× 洞調律とはいえない。洞調律とは、一般的には特に心臓に異常がない場合のことを指す。洞調律は心房と心室が正常に連動して規則正しいリズムで心臓が動いていることを示す結果である。
2.× 持続頻拍とはいえない。心室頻拍とは、何かしらの原因により心室が通常よりも早いペースで規則的な興奮をする不整脈で、心房からの規則正しい電気活動とは無関係に起こる。心室頻拍が 30 秒以上持続するものを持続性心室頻拍、それより短時間で自然停止するものを非持続性心室頻拍と心拍数や持続時間などに応じて症状や危険性が異なる。基準値として、心拍数120回/分以上(正常範囲:60~100回/分)をさす。
3.× ST上昇は認められない。心電図のSTとは、S波の終りからT波の始まりまでの部分のことである。心室の全体が興奮状態となって、興奮からの回復が始まるまでの部分である。ST上昇、異常Q波、冠性T波がみられている場合は、心筋梗塞を疑う。心筋梗塞では、T波の増高が最も早くみられ、時間の経過と共に【ST上昇→異常Q波→冠性T波】がみられるようになる。ちなみに、異常Q波とは、幅が0.04秒以上、または、Q波の深さがR波の高さの1/4であることを指す。また、冠性T波とは、急性心筋梗塞を発症してから1~4週後に認められる左右対称性の陰性T波である。発作時、安静時ともにT波は陽性となる。
4.〇 正しい。心室期外収縮を認める。心室性期外収縮とは、本来の洞結節からの興奮より早く、心室で興奮が開始していることをいう。つまり、P波が認められず、幅広い変形したQRS波がみられる。
5.× Ⅲ度房室ブロックとはいえない。房室ブロックは、心房まで伝わった心臓収縮のための正常な電気刺激が心室にうまく伝わらず、全身に血液を送る心室のリズムが遅くなったり、停止したりする状態である。房室ブロックは、その重症度によってⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度房室ブロックに分けられる。P波の後のQRS波の関連性がなく、両者がそれぞれに独立したリズムで出現している。
房室ブロックは、心房から心室への伝導障害をいう。第1度〜第3度に分類される。
・1度房室ブロック:心房から心室への伝導時間が延長するが、P波とQRS波の数や形は変わらない。
・2度房室ブロック
①ウェンケンバッハ型(モビッツⅠ型):PR間隔が徐々に延長してQRSが脱落する。
②モビッツⅡ型:心房から心室への伝導が突然途絶える。P波の後のQRSが突然脱落する。
・3度房室ブロック:心房からの刺激が途絶え、P波とQRSが無関係に生じるようになる。
(※看護roo!様「看護師イラスト集」より)
急性心筋梗塞とは、冠状動脈内に血栓が形成され、動脈を閉塞し心筋が壊死することである。リスクファクターとして、①高血圧、②喫煙、③糖尿病、④脂質代謝異常などである。ちなみに、労作性狭心症とは、心臓に栄養を送る血管である冠動脈の一部が動脈硬化によって75%以上狭窄し、血流の流れが悪くなってしまう状態である。症状として、胸痛発作の頻度(数回/周以下)、持続時間(数分以内)、強度などが一定であることや、一定以上の運動や動作によって発作が出現する。その4大危険因子は、「①喫煙、②脂質異常症、③糖尿病、④高血圧」である。そのほかにも、加齢・肥満・家族歴・メタボリックシンドロームなどがある。
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【PT専門のみ】心電図についての問題「まとめ・解説」
3.80歳の男性。胸部CTを下に示す。
この患者で低下が予想されるのはどれか。
1.1秒率
2.残気量
3.気道抵抗
4.全肺気量
5.肺コンプライアンス
解答1
解説
本症例の特徴として、肺気腫を示す隔壁構造が壊れた低吸収域(肺気腫像)が肺野に多数存在している。気腫性変化(肺野の低吸収域)が認められる。したがって、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を疑える。慢性閉塞性肺疾患(COPD)の最大の原因は喫煙であり、喫煙者の約20%がCOPDを発症する。慢性閉塞性肺疾患とは、以前には慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称である。他の特徴として、肺の過膨張、両側肺野の透過性亢進、横隔膜低位、横隔膜の平低化、滴状心などの特徴が認められる。進行性・不可逆性の閉塞性換気障害による症状が現れる。
増加:残気量・残気率・肺コンプライアンス・全肺気量・PaCO2
減少:一秒率・一秒量・肺活量・肺拡散能・PaO2
1.〇 正しい。1秒率の低下が予想される。なぜなら、慢性閉塞性肺疾患(COPD)は気道が狭くなるため。1秒率とは、息を努力して吐き出したときに呼出される空気量のうち最初の一秒間に吐き出された量の割合である。したがって、慢性閉塞性肺疾患(COPD)は口すぼめ呼吸の指導をする。口すぼめ呼吸とは、呼気時に口をすぼめて抵抗を与えることにより気道内圧を高め、これにより末梢気管支の閉塞を防いで肺胞中の空気を出しやすくする方法である。鼻から息を吸い、呼気は吸気時の2倍以上の時間をかけて口をすぼめてゆっくりと息を吐く。
2.× 残気量は増加する。なぜなら、慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、呼気が不十分となるため。残気量とは、最大に呼出させた後、なおも肺内に残っている空気量のことをいう。
3.× 気道抵抗は増加する。なぜなら、慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、気道が狭くなるため。気道抵抗とは、気道を流れる空気の「通りにくさ」を意味し、気道内径の変化を伴う気道障害の指標となる。
4.× 全肺気量は増加する。なぜなら、慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、肺の過膨張が起こるため。全肺気量とは、肺活量と残気量の合計である。
5.× 肺コンプライアンスは増加する。肺コンプライアンスとは、簡単に言うと肺や胸郭系などの伸びやすさを表す。肺が線維化して固くなる疾患では肺コンプライアンスは低下し、逆に肺の過膨張をきたす肺気腫等の疾患では上昇する。
(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)
拘束性換気障害:肺結核、肺線維症など。
閉塞性換気障害:気管支喘息、気管支拡張症など。
混合性障害:肺気腫
(※写真・・・正常な肺)
4.Down症候群が示す特徴的な姿勢はどれか。
解答2
解説
1.図は、非対称性緊張性頸反射(ATNR)がみられる姿勢である。非対称性緊張性頸反射(ATNR)は、背臥位にした子どもの顔を他動的に一方に回すと、頸部筋の固有感覚受容器の反応により、顔面側の上下肢が伸展し、後頭側の上下肢が屈曲する反射のこと。生後から出現、生後4~6ヵ月までに消失する。
2.図は、蛙様肢位(蛙状肢位)で、Down症候群が示す特徴的な姿勢である。ダウン症乳児の場合、全身の筋緊張が低下しているため、背臥位では股関節外転・外旋した「蛙様肢位(蛙状肢位)」となり、足の持ち上げが難しくなる。読み方は、そのまま「カエルヨウ肢位、カエルジョウ肢位、カエル肢位」などと読む。
3.図は、ずりばいの姿勢である。生後8か月は、ハイハイが可能となるが、ハイハイを獲得する前、お腹を床にずったまま進む「ずりばい」をする赤ちゃんもいる。この原因は、異常や病気ではなく、まだ両手の力が弱い場合や両手と両足を交互に動かして前に進むということが難しい時期になりやすい。ちなみに、Down症候群が移動でみられる特徴的なものとして、シャフリングがあげられる。シャフリングとは、いざり(座ったままお尻で移動する)のことである。
4.図は、手で支える腹臥位(extension on hand)である。6か月程度で獲得できる。ダウン症候群の場合は、乳児期の特徴としては、全身の筋緊張が低く、発達の遅れを伴う。
5.図は、後ろに反り返った姿勢は、脳性麻痺(アテトーゼ型脳性麻痺)に見られやすい。アテトーゼ型は、麻痺の程度に関係なく四肢麻痺であるが上肢に麻痺が強い特徴を持つ。錐体外路障害により動揺性の筋緊張を示す。筋緊張は低緊張と過緊張のどちらにも変化する。他にも、特徴として不随意運動が主体であることや、原始反射・姿勢反射が残存しやすいことがあげられる。アテトーゼ型脳性麻痺の介助のポイントとして、体幹は包み込むようにして安定させ、四肢をフリーにしないことで安定させるとよい。また、上肢や体幹の極端な非対称性の体位は、体幹の側屈と短縮を引き起こすため避けるようにする。
ダウン症候群(Down症候群)とは、染色体異常が原因で知的障害が起こる病気である。常染色体異常疾患の中で最多である。Down症候群になりうる異常核型は、3種に大別される。①標準トリソミー型:21トリソミー(93%)、②転座型(5%)、③モザイク型(2%)である。発症率は、平均1/1000人である。しかし、35歳女性で1/300人、40歳女性1/100人、45歳女性1/30人と、出産年齢が上がるにつれて確率が高くなる。症状として、①特異な顔貌、②多発奇形、③筋緊張の低下、④成長障害、⑤発達遅滞を特徴とする。また、約半数は、先天性心疾患や消化管疾患などを合併する。特異顔貌として、眼瞼裂斜上・鼻根部平坦・内眼角贅皮・舌の突出などがみられる。
乳児期の特徴としては、全身の筋緊張が低く、発達の遅れを伴う。理学療法では、バランスボールなどダウン症児の興味関心を抱きやすい環境で筋緊張を高められる運動(主に体幹筋群)を提供する。スカーフ徴候陽性や、シャフリング移動がみられる。スカーフ徴候の正常(陰性)の場合、腕を首に巻きつけるようにすると抵抗するが、陽性の場合は抵抗がみられない。シャフリング移動とは、お座り姿勢のまま移動する(いざり)ことである。脚の動かし方、手の使い方のバリエーションが少なかったり、下半身の筋肉の張りが弱く、筋肉量も少ないために行うことがある。Down症候群の子供では、立位歩行の獲得が遅れるため、シャフリング移動がみられる。正常発達の乳児期前半では、背臥位にて手で足をつかむ動作を行うようになるが、ダウン症乳児の場合、全身の筋緊張が低下しているため、背臥位では股関節外転・外旋した「蛙様肢位(蛙状肢位)」となり、足の持ち上げが難しくなる。読み方は、そのまま「カエルヨウ肢位、カエルジョウ肢位、カエル肢位」などと読む。
5.左大腿義足歩行の右立脚中期に図のような現象が観察された。
原因はどれか。
1.義足が長すぎる。
2.後方バンパーが弱すぎる。
3.ソケットの初期内転角が大きすぎる。
4.切断側の股関節外転筋力が不足している。
5.切断側の股関節伸展可動域が制限されている。
解答1
解説
本症例は、左大腿義足歩行の右立脚中期において、「健側がつま先立ち」となっている。これを伸び上がり歩行という。原因として、義足が地面に引っかからないよう、地面との距離を稼ぐために起こる。つまり、要因として、①義足長が長い、②膝継ぎ手の摩擦が低いなど膝屈曲抵抗が弱いため、逆に屈曲抵抗が強すぎて膝が曲がらない時に起こる、③義足に対する不安により、心理的に膝関節を屈曲しないようにするためなどが考えられる。伸び上がりで代償するほかに、義足側立脚相では股関節外転で接地する外転歩行がみられる。
1.〇 正しい。義足が長すぎる。本症例は、左大腿義足歩行の右立脚中期において、「健側がつま先立ち」となっている。これを伸び上がり歩行という。原因として、義足が地面に引っかからないよう、地面との距離を稼ぐために起こる。つまり、要因として、①義足長が長い、②膝継ぎ手の摩擦が低いなど膝屈曲抵抗が弱いため、逆に屈曲抵抗が強すぎて膝が曲がらない時に起こる、③義足に対する不安により、心理的に膝関節を屈曲しないようにするためなどが考えられる。伸び上がりで代償するほかに、義足側立脚相では股関節外転で接地する外転歩行がみられる。
2.× 後方バンパーが弱すぎる場合、足底が床にたたきつけられる歩行(フットスラップ)が起こる。一方、足部の後方バンパーあるいは踵部が硬すぎる場合は、踵接地時の外旋の原因となる。
3.× ソケットの初期内転角が大きすぎる場合、静的立位で下腿義足の足部外側が床から浮き上がる。なぜなら、ソケットの外壁にゆるみが生じていることになるため。したがって、一般的に5°程度の生理的な内転角をつける。一方、ソケットの初期内転角が不足している場合、ソケットが外側に傾き足底の内側が床面から浮き上がるため外転歩行が生じる可能性がある。ちなみに、外転歩行の原因はほかにも、①陰部の圧痛や不快感からの回避、②股関節の外転拘縮、③義足が長すぎるなどがある。
4.× 切断側の股関節外転筋力が不足している場合、立脚中期において義足側に体幹側屈が起こる。なぜなら、股関節外転筋力不足により、ソケット外壁の支持が不足し、側方に不安定感が生じ、それを解消するために体幹を義足側に側屈して荷重する必要があるため。
5.× 切断側の股関節伸展可動域が制限されている場合、立位姿勢が体幹屈曲位、骨盤は前傾し、腰椎前弯が強調された姿勢になる。歩行時においても股関節伸展可動域を要求する立脚中期以降、股関節伸展を補うため骨盤の前傾が助長する。
第58回午後5問目
3ソケットの初期内転角が大きすぎるの解説で正しくは靴の外側が浮くではないでしょうか
内転角の不足で外転歩行は起こると思います
コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。