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11 75歳の男性。糖尿病により右下腿切断。義足歩行練習時に右膝の膝折れを起こしそうな不安定感を訴えた。
考えられる原因はどれか。2つ選べ。
1.初期屈曲角が過大である。
2.初期内転角が不足している。
3.右股関節の屈曲可動域制限がある。
4.右膝関節の伸展筋力が低下している。
5.ソケットが足部に対し後方に位置しすぎている。
解答1・4
解説
歩行練習時の膝折れ感の訴えであるため、矢状面のダイナミックアライメントが問題である。
【膝関節の膝折れの原因】
①断端後面末梢部の痛み
②ソケットが踵に対し前方
②足部が背屈位
③膝関節伸展筋の機能不全
④ソケットの初期屈曲角が過大
1.〇 正しい。初期屈曲角が過大であると右膝の膝折れを起こしそうな不安定感につながる。なぜなら、義足立脚期に膝が前方に押され、膝関節屈曲方向に促されるため。
2.× 初期内転角が不足していると、ソケットが外側に傾き足底の内側が床面から浮き上がる。言い換えると、ソケットの外壁にゆるみが生じている。そのため、5°程度の生理的な内転角をつける。義足の外側傾斜、靴底の内側が床面から浮き上がる、下腿内側近位部と外側遠位部の圧迫感などが観察される。
3.× 右股関節の屈曲可動域制限があると、骨盤の挙上やぶん回し歩行、健側の伸び上りなどが観察される。
4.〇 正しい。右膝関節の伸展筋力が低下していると右膝の膝折れを起こしそうな不安定感につながる。右膝関節の伸展筋力が低下している場合、立脚相初期の不安定性が生じるため膝折れ感を惹起する。したがって、安定感を得るために反張膝となる。
5.× ソケットが足部に対し後方に位置しすぎていると、反張膝を惹起する。ソケットが足部に対し前方に位置しすぎていると「右膝の膝折れを起こしそうな不安定感」につながる。また、ソケットの初期屈曲角が不足していても同様の不安定感が生じる。
12 図の前腕と手を支える肘関節屈筋の力Fはどれか。
ただし、Cos45°=0.71とする。
1.約20kgw
2.約25kgw
3.約30kgw
4.約35kgw
5.約40kgw
解答4
解説
三角比で使われるsin(サイン)・cos(コサイン)・tan(タンジェント)とは、三角比である。 直角三角形の直角とそれ以外の角度が1つわかると、三角形の辺の長さの比が決まる。 このときの三角形の辺の2つの辺の比のことを三角比と言う。
「力のモーメント=力×支点からの距離」で求められる。
支点を中心に見て、①右回りのモーメントと②左回りのモーメントが等しくなるように式を立てる。
①右回り(前腕側)のモーメント
4(kgw)× 25(cm)
= 100(kgw)
②左回り(上腕側)のモーメント
肘関節屈筋の力F(kgw)× 4(cm) × Cos45° = 100(kgw)
を満たせばよい。
F=100(kgw)÷ 4(cm)÷ Cos45°
=25(kgw)÷ 0.71
=35.211 …
=約35kgwとなる。
したがって、選択肢4.約35kgwが正しい。
13 76歳の女性。脛骨高原骨折。転倒して受傷し、人工骨を用いた手術を施行された。術後のエックス線写真を下に示す。
術後の理学療法で正しいのはどれか。
1.術後翌日から極超短波治療を行う。
2.術後翌日から足関節自動運動を行う。
3.術後翌日から膝関節伸展の等張性筋力増強練習を行う。
4.術後2週からCPMを行う。
5.術後2週から全荷重歩行を行う。
解答2
解説
脛骨高原骨折後の理学療法としては、術後2〜3週のギプス固定の後関節可動域練習を開始し、術後4〜6週から部分荷重練習を開始するのが一般的である。外固定が無い場合でも、骨折面に過剰な軸圧をかけないよう無理な関節可動域練習は実施しない。
1.× 術後翌日から極超短波治療を行う必要はない。なぜなら、温熱療法であり炎症部には禁忌であるため。
2.〇 正しい。術後翌日から足関節自動運動を行う。免荷期間での深部静脈血栓症予防のために術直後より積極的に実施すべきである。
3.× 術後翌日から膝関節伸展の等張性筋力増強練習を行う必要はない。等張性筋力増強練習は関節運動を伴うため。術後翌日から炎症症状に合わせて、膝関節伸展の等尺性筋力増強練習を行う。
4.× 術後2週からではなく「手術後1〜3日間程度」CPM(持続的他動運動)を行う。CPM(Continuous Passive Motio:持続的関節他動訓練器)の主な適応疾患として、人工膝関節置換術や人工股関節置換術、膝靭帯再建術、膝関節授動術、大腿骨骨折術といった手術後(手術後1~3日間程度)である。CPMで曲げる角度や速度、時間を設定し、荷重をかけずに関節の屈伸運動を行うことができる。手術後1~3日間程度、CPMを使用した関節の訓練を行い、段階的に、筋肉、歩行のリハビリへと移っていく。
5.× 術後2週からではなく「術後6週以降」にて全荷重歩行を行う。通常術後4〜6週の免荷期間を経て部分荷重歩行より開始し、荷重による再陥没が発生していないかレントゲン評価をしながら段階的に全荷重歩行へ移行する。
14 13歳の男子。7歳から野球を始め、中学生から投手となった。投球動作中に右肘に痛みを感じるようになり、病院を受診した。理学療法評価時、肘関節の外反ストレステストを実施したところ、肘関節の内側に疼痛が誘発された。
痛みが出現する動作はどれか。
解答4
解説
(図引用:『肩 その機能と臨床 第4版』より ※図中の丸は関係ない)
・13歳の男子。
・7歳から野球を始め、中学生から投手。
・投球動作中に右肘に痛み。
・肘関節の外反ストレステストを実施したところ、肘関節の内側に疼痛が誘発される。
→成長期の内側上顆障害(リトルリーグエルボー)を疑う。投球による過度な外反ストレスに発症する。内側上顆障害は投球の加速期に痛みを認め、多くは徐々に痛みが出現する。理学所見では内側上顆下端や上腕骨小頭の圧痛、外反ストレステストで障害部位の痛みを認める。
1.× Wind up(ワインドアップ期)である。ボールがグローブから離れるまでであり、特別な肩への負荷は加わらないのが特徴である。
2.× Wind up(ワインドアップ期)~Early Coking(初期コッキング期)である。
3.× Early Coking(初期コッキング期)である。【コッキング期】は、腕を体の後ろで肩の外転・外旋が強調される。したがって、肩後方の三角筋、棘上筋、棘下筋、小円筋が収縮し、前方関節包や肩甲下筋は引き伸ばされて肩前面痛の原因となりやすい。
4.〇 正しい。Acceleration期(Late Coking~Acceleration)において、本症例の痛みが出現する。なぜなら、肩関節が最大外転外旋(MER:maximum external rotation)となっており肘関節に外反ストレスが生じるため。手からボールが離れるまでの期間である。肩の外旋→内旋の動きが強調されボールが加速するため、広背筋、大胸筋、大円筋が収縮し、腕が前方に移動するときには、肘関節内側にも負荷が加わる。
5.× Follow through(フォロースルー期)である。ボールが手から離れて投球動作が終わるまでをいう。腕が振り抜けて肩甲骨の外転が強調され、手指は遠心力によって血行障害を起こすことがある。
15 脊髄損傷患者のトランスファーボードを用いたベッドから車椅子への移乗動作を図に示す。
この動作を獲得目標とする機能残存レベルはどれか。
1.C4
2.C5
3.C6
4.C7
5.C8
解答3
解説
①トランスファーボードを用いている
②肘関節伸展をロックしていること。
③前方移動である。
ベッドの側方移乗はC7残存レベルで可能となるが、図をよく観察するとトランスファーボードを使用し、患者も完全肘伸展位でロックした状態で移乗を行っている。したがって、本症例の移乗は、肘伸展筋を使用した純粋な側方移乗ではない。つまり、解答は、選択肢3. C6である。
1~2.× C5以下の機能残存レベルは、移乗には介助が必要である。
3.〇 正しい。C6機能残存レベルでは、上腕三頭筋が機能せず肘伸展位で肘をロックする必要がある。基本的には、前方移乗で行った方が安全に遂行できるが、側方移乗でもトランスファーボードを使用すれば可能である。
4.× C7以上の機能残存レベルは、トランスファーボードを使用せず側方移乗が行える。
座った姿勢を保持したままベッドから車椅子に移譲するための福祉用具である。介助者は少ない力で無理なく介助できる。
Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979
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