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次の文により11、12の問いに答えよ。
頚髄損傷者の立ち上がり動作を図に示す。
11. Zancolliの四肢麻痺上肢機能分類における機能残存レベルはどれか。
1. C5A
2. C5B
3. C6A
4. C6BⅡ
5. C7A
解答4
解説
C6残存レベルでの起き上がり方法は主に3種類あり、
①モノにつかまって起き上がる方法、
②「くの字」に体幹を屈曲してから起きる方法、
③一側ずつ肘伸展位でロックして起き上がる方法がある。
C6BⅠでの起き上がり動作は、柵を用いたベッド上での起き上がりでないと行えない。
C6BⅡでの起き上がり動作は、支持物のない状態では一側ずつ肘伸展位でロックして起き上がる方法で可能となる。
C7Aでの起き上がり動作は、肘関節伸展・手指伸展が可能となり、一側ずつ肘伸展位でロックして起き上がる必要はない。
よって、解答は、選択肢4. C6BⅡである。
ちなみに、他の選択肢の解説をする。
1.× C5Aでは、1人での起き上がりはできない。
2~3.× C5B/C6Aでは、ベッド柵や紐を利用した起き上がりが可能なケースがある。
類似問題です↓
【PT専門のみ】脊髄損傷についての問題「まとめ・解説」
次の文により11、12の問いに答えよ。
頚髄損傷者の立ち上がり動作を図に示す。
12. この患者において機能していると推測される筋はどれか。
1. 円回内筋
2. 深指屈筋
3. 上腕三頭筋
4. 長母指伸筋
5. 尺側手根伸筋
解答1
解説
C6BⅡは、基本機能は手関節背屈が可能であるが、BⅡは手関節背屈が強い。円回内筋は作用するが、橈側手根屈筋は作用しない。
つまり、選択肢1. 円回内筋が正解となる。
ちなみに、C6A は、円回内筋、橈側手根屈筋ともに作用しない。
C6BⅢは、円回内筋、橈側手根屈筋、上腕三頭筋と作用する。
2.× 深指屈筋は、C8で機能する。
4.× 長母指伸筋は、C8で機能する。
5.× 尺側手根伸筋は、C7で機能する。
類似問題です↓
【PT専門のみ】脊髄損傷についての問題「まとめ・解説」
13. 75歳の男性。脳梗塞による左片麻痺。発症後1か月で回復期リハビリテーション病棟に転棟した。平行棒内歩行にて立脚相で図のような状況を呈した。
立位歩行練習時の患側への対応で適切ではないのはどれか。
1. 踵部の補高
2. 短下肢装具の使用
3. 膝屈曲位での立位保持練習
4. 前脛骨筋の治療的電気刺激
5. 下腿三頭筋へのタッピング
解答5
解説
・75歳の男性(脳梗塞による左片麻痺)
・発症後1か月:平行棒内歩行の立脚相で図で麻痺側が反張膝であることが分かる。
【反張膝になる原因と対策】
①膝関節伸展筋の筋力低下→膝関節伸筋の筋力向上
②固有感覚障害による代償→足関節背屈筋群の活動強化
③足関節底屈筋の痙性→下腿三頭筋の緊張の軽減
④足関節底屈拘縮→足関節背屈可動域の向上
1. 〇:踵部の補高することで、下腿三頭筋はゆるみ下腿が前傾する方向にモーメントが働き、膝関節屈曲位(反張膝の予防)になりやすくなる。ただ膝折れには注意する。
2. 〇:短下肢装具の使用で、足関節底背屈の角度を調整でき、痙性に効果的であるため、反張膝のコントロールに有効である。
3. 〇:膝屈曲位での立位保持練習は、正しい固有感覚を入れ、分離運動獲得のため有効である。また、膝屈曲位での立位保持練習は、股関節屈曲位・足関節背屈位となるため、大腿四頭筋・前脛骨筋の促通が可能となる。さらに、腓腹筋は弛緩し、ヒラメ筋は伸張する。
4. 〇:前脛骨筋の治療的電気刺激は、下腿三頭筋の拮抗筋であり相反抑制によって下腿三頭筋の筋緊張を低下させる効果が期待できる。
5. ×:下腿三頭筋へのタッピングは、さらなる筋収縮を助長する。したがって、痙縮があると考えられる下腿三頭筋に行うと、筋収縮により更なる反張膝を助長するので不適切である。拮抗筋である前脛骨筋に対してタッピングは効果的である。
- 装具療法:①足関節底屈制動、②膝の安定化、③患側の補高。
- 運動療法:①筋力増強、②持続伸張、③立位体重支持運動。
14. 40歳の男性。長時間の立位により右下肢の疼痛が生じるようになったため受診し腰椎椎間板ヘルニアと診断された。右の片脚立位で踵の挙上ができなかった。
重度の感覚鈍麻が疑われる部位はどれか。
1. ①
2. ②
3. ③
4. ④
5. ⑤
解答4
解説
・40歳の男性(腰椎椎間板ヘルニア)
・長時間の立位により右下肢の疼痛が生じる。
・右の片脚立位で踵の挙上ができない(足関節底屈:S1)。
→本症例は、腰椎椎間板ヘルニアと診断され、右の片脚立位で踵の挙上(足関節底屈:S1)ができないことからS1が障害されていることが分かる。そこからデルマトームのS1領域を理解すると解答できる。
1. ×:L3領域である。
2. ×:L4領域である。
3. ×:L4領域である。L4神経根障害では、大腿四頭筋の筋力低下が生じる。伴って、膝蓋腱反射が低下する。
4. 〇:正しい。S1領域である。S1神経根障害では、下腿三頭筋・長母趾屈筋・長趾屈筋の筋力低下を生じる。伴って、アキレス腱反射が低下する。
5. ×:L5領域である。L5神経根障害では、前脛骨筋の筋力低下を生じる。また、下腿外側から足背にかけて知覚異常を伴う。
(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)
15. 脊髄損傷患者のトランスファーボードを用いた車いすからベッドへの移乗動作を図に示す。
この動作を獲得目標とする残存レベルはどれか。
1. C5
2. C6
3. C7
4. C8
5. T1
解答2
解説
・脊髄損傷患者
・トランスファーボードを用いた車いすからベッドへの移乗動作
→ベッドの側方移乗は、C7残存レベルで可能となるが、図をよく観察するとトランスファーボードを使用し、患者も完全肘伸展位でロックした状態で移乗を行っている。したがって、本症例の移乗は、肘伸展筋を使用した純粋な側方移乗ではない。つまり、解答は、選択肢2. C6である。C7残存レベルの側方移乗は、トランスファーを使用せず行うことが可能である。
1.× C5機能残存レベルでは、移乗には介助が必要である。
2.〇 正しい。C6機能残存レベルでは、上腕三頭筋が機能せず肘伸展位で肘をロックする必要がある。基本的には、前方移乗で行った方が安全に遂行できるが、側方移乗でもトランスファーボードを使用すれば可能である。
3~5.× C7~T1機能残存レベルでは、トランスファーボードを使用せず側方移乗が行える。
座った姿勢を保持したままベッドから車椅子に移譲するための福祉用具である。介助者は少ない力で無理なく介助できる。