第51回(H28) 理学療法士国家試験 解説【午後問題36~40】

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36 異常歩行とその原因の組合せで正しいのはどれか。

1. 酩酊歩行 : 総腓骨神経麻痺
2. 小刻み歩行 : 脊柱管狭窄症
3. 間欠性跛行 : Parkinson病
4. はさみ足歩行 : 脳卒中片麻痺
5. Trendelenburg 歩行 : 変形性股関節症

解答5

解説

1.× 酩酊歩行は、小脳や前庭の障害により生じる失調様歩行である。総腓骨神経麻痺は、鶏歩である。
2.× 小刻み歩行は、Parkinson病などで生じる。脊柱管狭窄症は、間欠的跛行である。
3.× 間欠性跛行は、脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症などで認める。Parkinson病は、小刻み歩行突進歩行である。
4.× はさみ足歩行は、痙性対麻痺などで認める。脳卒中片麻痺は、ぶん回し歩行となる。
5.〇 正しい。Trendelenburg歩行は、変形性股関節症なぜなら、変形性股関節症では中殿筋の筋力低下が起こるため。筋ジストロフィー症など近位筋(中殿筋)の障害でも出現する。ちなみに、Trendelenburg歩行とは、下肢を上げた側の骨盤が下がり、体幹が左右に動揺する歩行である。

 

 

 

 

 

 

37 スタティック・ストレッチングによる疼痛緩和について正しいのはどれか。

1. 高頻度に伸張する。
2. 素早く筋を伸張する。
3. 息を止めないで伸張する。
4. 強い痛みが生じるまで伸張する。
5. 伸張時間は5秒以内にとどめる。

解答3

解説

ストレッチの種類

・スタティック・ストレッチング(静的ストレッチ)とは、反動をつけずにゆっくりと静的に筋を伸張し、その肢位を数十秒間保持するストレッチ方法である。
・ダイナミック・ストレッチング(動的ストレッチ)とは、特定の競技や動作パターンに準じた動きの中で、その場で特定の筋群を動的に伸張する方法である。(例:ラジオ体操)
・バリスティックストレッチとは、反動をつけて行うストレッチである。(例:アキレス腱伸ばし)

1.× 高頻度に伸張するのは、バリスティックストレッチである。バリスティックストレッチとは、反動をつけて行うストレッチである。(例:アキレス腱伸ばし)
2.× 「素早く」ではなくゆっくり筋を伸張する。素早く筋を伸張するのは、バリスティックストレッチである。
3.〇 正しい。息を止めないで伸張する。スタティック・ストレッチングは、反動をつけずにゆっくり数十秒間伸張保持を行うものであるため、呼吸を続けながら行う。
4.× 強い痛みが生じるまで伸張は行わない。なぜなら、伸張反射が出現したり、さらに強い痛みを我慢して伸ばしすぎると、筋断裂の危険性があるため。
5.× 伸張時間は5秒以内ではなく、数十秒間行う。伸張反射が出現しないようにゆっくり伸ばすことが大切である。

伸張反射とは?

伸張反射は、筋紡錘に存在する一次終末からのIa線維を介してα運動ニューロンにシナプスを形成するもので、単シナプス性の反射経路をとる。筋を伸張すると筋紡錘も引き伸ばされ、感覚神経の終末が変形する。この機械的刺激が感覚神経に求心性発射活動を引き起こす。

 

 

 

 

 

38 水中運動療法の作用と効果について正しいのはどれか。

1. 静水圧は静脈還流を増大させる。
2. 動水圧の大きさは運動速度に反比例する。
3. 皮膚からの感覚フィードバックを受けにくい。
4. 水中での身体の熱喪失量は空気中に比べて小さい。
5. 静水圧は呼気時の胸郭運動には抵抗として作用する。

解答1

解説

水治療法の生理学的作用

温熱寒冷作用
浮力による作用
静水圧による作用
同水圧による作用
精神作用

1.〇 正しい。静水圧は静脈還流を増大させる。静水圧とは、静かな水の中における圧力である。静水圧は、水面から深いほど水圧がかかり、水中で立位をとると下肢に強い圧力がかかり、静脈血が押し出され、静脈還流量は増加する。
2.× 動水圧の大きさは、運動速度に「反比例」ではなく2乗に比例する。静水圧とは、水が静止している状態で働く圧のことをいう。動水圧とは、水が動いている状態で働く圧のことをいう。
3.× 皮膚からの感覚フィードバックを「受けにくい」のではなく受けやすい。なぜなら、空気中よりも水中の方が抵抗は大きいため。
4.× 水中での身体の熱喪失量は、空気中に比べて「小さい」のではなく大きい。空気中と比べて水中では、熱伝導が25倍以上大きい。水温が低いほど、水中にいる時間が長いほど熱喪失量は大きくなる。
5.× 静水圧は、呼気時の胸郭運動には「抵抗」ではなく補助として作用する。胸郭を拡げる吸気時に抵抗として作用する。

 

 

 

 

 

 

39 車椅子からベッドへの移乗動作の練習で離殿を繰り返すのはどれか。

1. 恒常練習
2. 多様練習
3. 部分練習
4. 分散練習
5. ランダム練習

解答3

解説

1.× 恒常練習とは、一連の動作の流れを繰り返し練習することである。(例、野球のバッドの素振り)
2.× 多様練習とは、一連の動作を多様な方法で練習することである。(例、リハ室のベッドや病棟のベッドなどベッドを変えての移乗練習)
3.〇 正しい。車椅子からベッドに移乗するという一連の動作の中で離殿のみを繰り返す練習は、部分練習である。部分練習とは、間違いやすい部分を徹底的に繰り返し練習することである。
4.× 分散練習とは、休憩時間を挟みながら行う練習法である。(例、朝・昼・夜30回ずつなど)
5.× ランダム練習とは、複数のスキルを交ぜて無作為に練習する方法である。

 

 

 

 

 

 

40 FIMの評定で修正自立となるのはどれか。2つ選べ。

1. 入れ歯の着脱が自立している。
2. シャワーのみで入浴が自立している。
3. スプーンを用いての食事が自立している。
4. パッドを用いての排尿管理が自立している。
5. 装具を装着して300m程度の歩行が自立している。

解答4/5

解説

修正自立とは?

修正自立とは、FIMレベル6で、「補助具の使用、通常以上の時間、安全性の配慮が必要」なレベルである。

1.× 入れ歯の着脱が自立しているだけでは、修正自立とはいえない。なぜなら、入れ歯の着脱は、整容の評価項目であるが、整容には他の評価項目(口腔ケア・整髪・手洗い・洗顔・そして髭剃りまたは化粧)もありそれらの項目の達成度や%で点数が決まるため。
2.× シャワーのみで入浴が自立しているのは、レベル7(完全自立)である。入浴は湯船につからなくてもよい。
3.× スプーンを用いての食事が自立しているのは、レベル7(完全自立)である。なぜなら、自助具を用いれば、レベル6であるが、スプーンは補助具ではないため。
4.〇 正しい。パッドを用いての排尿管理が自立しているのは、レベル6(修正自立)である。なぜなら、補助具(パット)を使用して自立しているため。
5.〇 正しい。装具を装着して300m程度の歩行が自立しているのは、レベル6(修正自立)である。なぜなら、装具を使用しているため。

 

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