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次の文により16、17の問いに答えよ。
21歳の女性。統合失調症。大学でグループ課題の実習中に錯乱状態となり入院した。入院後2週からベッドサイドでの作業療法が開始され、入院後7週で症状が落ち着いたため退院することになった。しかし、眠気やだるさ、疲労感があり、一方で復学への焦りが強い。
16 この時期の患者の回復状態はどれか。
1.急性期
2.亜急性期
3.回復期前期
4.回復期後期
5.維持期
解答3
解説
・21歳の女性(統合失調症)
・大学でグループ課題の実習中に錯乱状態。
・入院後2週:作業療法が開始。
・入院後7週:退院。
・眠気やだるさ、疲労感があり、一方で復学への焦りが強い。
1.× 急性期は、幻覚や妄想が活発で、興奮が強い時期である。落ち着いて話したり聞いたりすることが困難なことが多い。まず、興奮を抑え、幻覚妄想を軽減する治療法(薬物療法)が選択される。
2.× 亜急性期は、多少の精神症状は残存している。一方で、睡眠覚醒などの生活リズムは確立しているが、疲労感が強い時期である。
3.〇 正しい。回復期前期は、疲労感が軽減し、社会復帰の準備をしていこうとする時期である。本症例の「眠気やだるさ、疲労感があり、一方で復学への焦りが強い」時期に一致する。
4.× 回復期後期は、服薬や金銭の自己管理を支援し、学校や職場との連携を図る時期である。
5.× 維持期は、デイケア通所から就業まで、様々なレベルで社会復帰をしている患者の生活の質の維持や向上を図る時期である。
統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。
(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)
次の文により16、17の問いに答えよ。
21歳の女性。統合失調症。大学でグループ課題の実習中に錯乱状態となり入院した。入院後2週からベッドサイドでの作業療法が開始され、入院後7週で症状が落ち着いたため退院することになった。しかし、眠気やだるさ、疲労感があり、一方で復学への焦りが強い。
17 この時期の作業療法士の対応で適切でないのはどれか。
1.デイケアでの集団活動を促す。
2.自宅での過ごし方を指導する。
3.復学準備の開始時期を話し合う。
4.作業遂行の特徴を家族に伝える。
5.外来作業療法で支援を継続する。
解答1
解説
1.× デイケアでの集団活動を促す必要はない。なぜなら、回復期後期~維持期に至る作業療法士の対応であるため。ちなみに、回復期後期は、服薬や金銭の自己管理を支援し、学校や職場との連携を図る時期である。維持期は、デイケア通所から就業まで、様々なレベルで社会復帰をしている患者の生活の質の維持や向上を図る時期である。
2.〇 正しい。自宅での過ごし方を指導するのは、回復期前期における作業療法士の対応である。なぜなら、疲労感が残存している時期であるため。
3.〇 正しい。復学準備の開始時期を話し合うのは、本症例における作業療法士の対応である。なぜなら、本症例は設問から「復学への焦りが強い」ことが分かる。復学への焦りもあるので、復学準備をいつ始めるかを話し合うのは、焦りからくる疲弊を起こさないようにするために必要である。
4~5.〇 正しい。作業遂行の特徴を家族に伝える/外来作業療法で支援を継続するのは、回復期前期における作業療法士の対応である。今後、回復期後期は、服薬や金銭の自己管理を支援し、学校や職場との連携を図る時期である。周りの支援がまだ必要な時期であるといえる。
次の文により18、19の問いに答えよ。
35歳の女性。現在、6か月児の子育て中であるが、1か月前からテレビも新聞も見る気が起こらないほど周囲への興味・関心が低下し、子と触れ合うこともおっくうになった。物事の判断が鈍くなり、子育てに自信をなくし、自分を責め、ささいなことから不安になりやすくなったため、子を祖母に預けて精神科病院に入院した。入院翌日から不安の軽減を目的に作業療法が開始された。
18 この患者に対する作業療法士の対応で適切なのはどれか。
1.体力の増強を図る。
2.趣味をみつけるよう促す。
3.子育てへの関心を高める。
4.日中の過ごし方を話し合う。
5.共同作業で他者と役割を分担させる。
解答4
解説
・35歳の女性(6か月児の子育て中)。
・1か月前:周囲への興味・関心が低下、子と触れ合うこともおっくう。物事の判断が鈍く、子育ての自信喪失、自責、不安になりやすくなった。
・精神科病院に入院。
・入院翌日:不安の軽減を目的に作業療法が開始された。
→うつ病(産褥期うつ病)と考えられる。産褥期精神病の中でも産褥期発症の大うつ病(産褥期うつ病)は約半数を占める。産褥期の約3%にみられ、産褥1か月以内に発症することが多い。強い抑うつ症状を呈し、育児にも障害が出る。
1.× 体力の増強を図る優先度は低い。なぜなら、急性期のうつ病患者は疲労感の強いため。
2.× 趣味をみつけるよう促す必要はない。なぜなら、かえってその発言が患者に負担となるため。励ましや趣味など積極性を促すことは控える。
3.× 子育てへの関心を高める優先度は低い。なぜなら、急性期のうつ病は自信喪失しているため。本症例に子育てを話題にすることはかえって負担になる。
4.〇 正しい。日中の過ごし方を話し合う。日中の過ごし方を話し合い、生活リズムを獲得することが必要である。
5.× 共同作業で他者と役割を分担させる優先度は低い。なぜなら、共同作業による他者との交流自体がかえって負担となるため。また、他者と比較し、病前のようには作業ができないことから自責や自信を無くしてしまう可能性も考えられる。
次の文により18、19の問いに答えよ。
35歳の女性。現在、6か月児の子育て中であるが、1か月前からテレビも新聞も見る気が起こらないほど周囲への興味・関心が低下し、子と触れ合うこともおっくうになった。物事の判断が鈍くなり、子育てに自信をなくし、自分を責め、ささいなことから不安になりやすくなったため、子を祖母に預けて精神科病院に入院した。入院翌日から不安の軽減を目的に作業療法が開始された。
19 この患者に用いる作業活動で適切なのはどれか。
1.就労準備活動
2.会話を促す活動
3.創造力を要する活動
4.決断力を要する活動
5.短時間で完結する活動
解答5
解説
1.4.× 就労準備活動/決断力を要する活動は時期尚早である。回復期以降に行う。また、重要事項の決断(転職や退職)は関野橋にすることが原則である。
2~3.× 会話を促す活動/創造力を要する活動は時期尚早である。なぜなら、それら活動自体が負担となってしまうため。
5.〇 正しい。短時間で完結する活動は、この患者に用いる作業活動である。望ましい作業として、①工程がはっきりしたもの、②短期間で完成できるもの、③安全で受け身的で非競争的なもの、④軽い運動があげられる。
20 52歳の男性。統合失調症。精神科病院に5年間入院している。作業療法が開始され、作業遂行の特徴と問題解決技能とを評価する目的で、箱づくり法を行うことになった。
箱の作成過程で患者から見本提示の希望があった場合、見本を段階的に提示する順序で正しいのはどれか。
1.A→B→C→D
2.B→C→D→A
3.C→D→A→B
4.D→A→B→C
5.A→C→B→D
解答4
解説
箱づくり法とは、一枚の画用紙を使用し一辺が5cmの箱を作製す
見本を提示する順番と判定レベル(レベルが上がるほど難易度は下がる)
レベルⅠ:言語的な支持のみ
レベルⅡ:完成見本(図D)
レベルⅢ:完成見本と展開図見本(図A→図B)
レベルⅣ:展開図見本から直接展開図を書写→指示を受けながら裁断、組立(図C)
したがって、選択肢4.D→A→B→Cの順で見本を段階的に提示する。