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76 感染症について誤っているのはどれか。
1.飲食物を介する感染を経口感染という。
2.感染しても発症しないことを不顕性感染という。
3.母親から新生児に経母乳性に感染することを水平感染という。
4.2種類以上の病原体に同時に感染することを混合感染という。
5.弱毒菌にもかかわらず容易に感染症を起こすことを日和見感染という。
解答3
解説
1.〇 飲食物を介する感染を経口感染という。主な疾患として、①腸管出血性大腸菌(O-157)や、②A型肝炎などが挙げられる。
2.〇 感染しても発症しないことを不顕性感染という。主な疾患として、①幼少児期のEBウイルス感染症や、②健常成人のサイトメガロウイルス感染症などが挙げられる。
3.× 母親から新生児に経母乳性に感染することは、「水平感染」ではなく垂直感染という。水平感染とは、感染源から周囲に伝播する様式であり、接触感染、飛沫感染、空気感染などがある。
4.〇 2種類以上の病原体に同時に感染することを混合感染という。混合感染しやすい例として、HIVウイルスに感染している人があげられる。免疫不全のためクラミジアや梅毒に感染していることが多い。
5.〇 弱毒菌にもかかわらず容易に感染症を起こすことを日和見感染という。日和見感染しやすい例として、抗癌剤治療やHIVウイルスに感染している人があげられる。免疫不全のため、弱毒菌(結核やニューモシスチス肺炎など)に感染してしまう。
感染には、①接触感染、②空気感染、③飛沫感染がある。
①接触感染(例:流行性角結膜炎、疥癬、ノロウイルス感染症など)
(1)直接接触感染:感染者の皮膚粘膜との直接接触による伝播・感染する。
(2)間接接触感染:感染者の微生物で汚染された衣類、周囲の器物、環境などとの接触による伝播・感染する。
②飛沫感染(例:風疹、流行性耳下腺炎、 インフルエンザ、マイコプラズマ、百日咳など)
咳やくしゃみなどに伴って発生する飛沫(粒径5μm以上の粒子)が経気道的にヒトの粘膜に付着し感染する。飛散する範囲は1m以内であることが特徴。
③空気感染(例:結核、水痘、麻疹など)
飛沫核 (粒径5μm未満の粒子に付着した微生物)が長期間空中を浮遊し、これを吸い込むことで感染が伝播・感染する。
(※参考:「医療施設等における感染対策ガイドライン」厚生労働省様HPより)
77 頭部CTを下図に示す。
所見として考えられるのはどれか。
1.脳梗塞
2.被殻出血
3.尾状核出血
4.くも膜下出血
5.頭頂葉皮質下出血
解答2
解説
1.× 脳梗塞のCTの場合、低吸収を示す。
2.〇 正しい。被殻出血が所見として考えられる。なぜなら、CTで被殻の部分が高吸収域であるため。
3.× 尾状核出血は見られない。部位が異なる。
4.× くも膜下出血では、外側溝(シルビウス裂など)に高吸収域が見られる。
5.× 頭頂葉皮質下出血は見られない。部位が異なる。
78 20歳の男性。バスケットボールの選手である。交通事故で受傷し、両下肢に障害が残存している。
この患者の行動とその解釈の組合せで正しいのはどれか。
1.交通事故の加害者を恨む。:反動形成
2.リハビリテーションに熱心に取り組む。:合理化
3.バスケットボールの素質はなかったと考える。:投影
4.パラリンピック出場を目指す。:昇華
5.バスケットボール選手の応援を熱心に行う。:退行
解答4
解説
1.× 交通事故の加害者を恨むのは、「反動形成」ではなく置き換えである。置き換えとは、受け入れ難い自己の感情を、対象を別のものになすことで解消することである。ちなみに、反動形成は、満たされない欲求を正反対の欲動によって打ち消すことである。
2.× リハビリテーションに熱心に取り組むことは、「合理化」ではなく補償である。補償とは、劣等感を克服するため、それとは別の面で価値を実現したり、弱点そのものを克服したりすることである。合理化とは、欲求が満たされないとき、その耐え難い感情をかなり強引な理屈づけを行って処理しようとすることである。
3.× バスケットボールの素質はなかったと考えるのは、「投影」ではなく合理化である。合理化とは、欲求が満たされないとき、その耐え難い感情をかなり強引な理屈づけを行って処理しようとすることである。投影とは、自己の欠点や攻撃性を他人の中に見出し、他人を攻撃することで自己の劣等感、攻撃性をないものとすることである。例として「父を嫌っている」という自分の感情を抑えて、「父が自分を嫌っている」と思い込むこと。
4.〇 正しい。パラリンピック出場を目指すことは昇華である。昇華とは、性欲や支配欲などの基本的欲求を社会的に容認された方法で解消することである。他の例として、性欲を勉学にいそしむことで紛らわすことなど。
5.× バスケットボール選手の応援を熱心に行うことは、「退行」ではなく反動形成である。反動形成とは、満たされない欲求を正反対の欲動によって打ち消すことである。退行とは、ある程度の発達を遂げた者が、危機に際してより低い発達段階に「子どもがえり」して、未熟な行動により当面の困難を回避しようとするものである。
79 「30分後にベルが鳴ったら訓練を終了してください」という課題を遂行する際に活用する記憶はどれか。
1.意味記憶
2.展望記憶
3.手続き記憶
4.プライミング
5.エピソード記憶
解答2
解説
1.× 意味記憶とは、長期記憶のうち、言葉の意味や知識、概念に関する記憶。 「1年は12か月である」といった知識や情報の記憶である。
2.〇 正しい。展望記憶は、「30分後にベルが鳴ったら訓練を終了してください」という課題を遂行する際に活用する記憶である。つまり、これからしようとすることに関する未来についての記憶である。
3.× 手続き記憶とは、自転車走行や車椅子のキャスター上げなど、いわば「体で覚える」記憶をさす。
4.× プライミング(呼び水、入れ知恵記憶)とは、以前に入力された情報が無意識に記憶され、その後の認識などの脳機能に影響を与える記憶のことである。例えば、じゃんけんをした後や「じゃんけん」という文字を事前に見ていれば、「じ〇〇けん」という穴埋めを見たときに、「じゃんけん」と想起しすい。
5.× エピソード記憶とは、自分の生活史や思い出など、自分の過去の経験を伴う記憶のことである。「高校受験に失敗した」などである。
80 運動性失語があっても、目的とする機能を適切に評価できる検査はどれか。2つ選べ。
1.ベントン視覚記銘検査
2.田中・ビネー式知能検査
3.レーブン色彩マトリクス検査
4.MMSE(Mini Mental State Examination)
5.HDS-R(改訂版長谷川式簡易知能スケール)
解答1/3
解説
1.〇 正しい。ベントン視覚記銘検査は、運動性失語があっても、目的とする機能を適切に評価できる。ベントン視覚記銘検査は、短期記憶の検査で、10枚の視覚刺激図版を提示して短時間に再生させる。書写で回答できる。
2.× 田中・ビネー式知能検査は、2歳から成人までの一般知能を測定し、精神遅滞児によく用いられる。言語で回答する。
3.〇 正しい。レーブン色彩マトリクス検査は、運動性失語があっても、目的とする機能を適切に評価できる。レーブン色彩マトリクス検査は、図の欠如部に合致するものを6つの図から1つだけ選択させる検査である。36問あり、所要時間は10〜15分と短時間である、適用年齢は45歳以上、簡便かつ言語を介さずに回答できるため、失語症や認知症の検査として用いられる。
4〜5.× MMSE(Mini Mental State Examination)/HDS-R(改訂版長谷川式簡易知能スケール)は、認知機能のスクリーニング検査である。言葉で回答する。