第46回(H23) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題76~80】

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76.原発性脳腫瘍で最も予後が悪いのはどれか。

1.膠芽腫
2.上衣腫
3.下垂体腺腫
4.星状細胞腫
5.乏突起膠腫

解答1

解説

脳腫瘍について

2種類ある。
①脳内実質に発生するもの(グリオーマ:星状細胞腫、乏突起膠腫、膠芽腫など)
②実質外に発生するもの(膜腫、頭蓋咽頭腫、聴神経鞘腫など)

1.〇 正しい。膠芽腫は、原発性脳腫瘍で最も予後が悪い。膠芽腫は神経膠腫(グリオーマ)の中で成人に最も多く認められ、悪性で予後が最も悪い。手術後の平均余命は、1~2年といわれている。悪性度Ⅳである。
2.× 上衣腫の5年生存率85%で、成長は緩徐である。上衣腫とは脳室壁の扁平上皮由来の腫瘍である。脳室内に発生するため水頭症を合併しやすい。
3.× 下垂体腺腫の5年生存率98%で、成長は緩徐である。下垂体腺腫は良性腫瘍であり、視交叉上部に原発する。初発症状が視野欠損であることが多く、プロラクチン産生性腫瘍では乳汁分泌がみられることもある。
4.× 星状細胞腫の5年生存率50~70%であり、主な治療法は手術であり、腫瘍をできるだけ安全に摘出する。星状細胞腫は神経歴の中でも最も高分化で、異型の程度が少ない。ただし成人では再発が多い。症状は、痙攣(約30%)、頭痛(30%)などで、進行すると片麻痺などの局所症状が出現する。
5.× 乏突起膠腫の5年生存率70%で、成長は緩徐である。乏突起は成人に好発し、手術と化学療法、放射線を併用する。

 

 

 

 

 

 

77.痙縮の治療においてボツリヌス毒素の作用部位はどれか。

1.脊髄後根神経節
2.脊髄前角
3.脊髄前根
4.運動神経終末
5.筋小胞体

解答4

解説

ボツリヌス療法とは?

ボツリヌス療法は、脳・脊髄疾患などによる痙性麻痺に対して有効とされている。ボツリヌス毒素を筋肉内に数か所注射し、筋収縮を抑制する。効果持続は、3~6か月のため、数か月ごとに再投与が必要である。ボツリヌス毒素が神経終末の受容体に結合することで、アセチルコリンの放出を阻害し、アセチルコリンを介した筋収縮および発汗が阻害される。なお、アセチルコリンの合成や貯蔵、神経伝導には影響を及ぼさない特徴を持つ。

1~3.5.× 脊髄後根神経節/脊髄前角/脊髄前根/筋小胞体/は、痙縮の治療においてボツリヌス毒素の作用部位とはいえない
4.〇 正しい。運動神経終末は、痙縮の治療においてボツリヌス毒素の作用部位である。ボツリヌス療法は、脳・脊髄疾患などによる痙性麻痺に対して有効とされている。ボツリヌス毒素を筋肉内に数か所注射し、筋収縮を抑制する。効果持続は、3~6か月のため、数か月ごとに再投与が必要である。ボツリヌス毒素が神経終末の受容体に結合することで、アセチルコリンの放出を阻害し、アセチルコリンを介した筋収縮および発汗が阻害される。なお、アセチルコリンの合成や貯蔵、神経伝導には影響を及ぼさない特徴を持つ。

 

 

 

 

78.脳損傷後の出来事が思い出せないようになることはどれか。

1.作話
2.失認
3.前向健忘
4.逆向健忘
5.見当識障害

解答3

解説

記憶障害

①前向健忘:脳損傷後の出来事が思い出せない状態になること。
②逆向健忘:損傷する以前の記憶が抜け落ちた状態になること。

1.× 作話とは、記憶障害の一種であり、過去の出来事・事情・現在の状況についての誤った記憶に基づく発言や行動が認められる点が特徴的である。 作話は、「正直な嘘」と呼ぶべきものであり、通常において本人は騙すつもりは全く無く、自分の情報が誤りであるとは気がついていないので、この点で嘘とは区別される。
2.× 失認とは、1つまたは複数の感覚で物体を識別する能力が失われる障害である。視覚・聴覚・味覚・嗅覚・体性感覚などその感覚自体の異常がなく、注意や知能といった一般的な精神機能は保たれているが、対象を認知できないことである。
3.〇 正しい。前向健忘は、脳損傷後の出来事が思い出せないようになることである。
4.× 逆向健忘とは、損傷する以前の記憶が抜け落ちた状態になることである。
5.× 見当識障害とは、「今がいつか(時間)」「ここがどこか(場所)」がわからなくなる状態である。自分の周囲の状況や、 自分が置かれている状況(人や時間、 場所)が正しく理解できなくなる。

 

 

 

 

 

 

79.青年期の心理的発達課題に関連するのはどれか。2つ選べ。

1.自己中心性
2.第一反抗期
3.自我同一性
4.モラトリアム
5.ギャング・エイジ

解答3/4

解説
1.× 自己中心性は、幼児期の課題である。
2.× 第一反抗期、幼児期の課題である。
3~4.〇 正しい。自我同一性/モラトリアムは、青年期の課題である。モラトリアムは、エリクソンが青年の特性を表すのに用いた言葉。「大人にも子供にも属さない猶予期間」という思春期特有の特性を指す。自分があるべき姿が明確化されていない。この特性から思春期特有の情動が不安定な状態に陥ってしまうことも多い。
5.× ギャング・エイジは、児童期の課題である。ギャング・エイジとは、小学校後半から思春期の前までの時期をいう。同性同年代の閉鎖的集団をつくり、メンバーの間だけで通用する合い言葉や秘密の遊び場をつくったりする。それまでの親や教師への一方的依存関係から脱却して、より対等で相互的な人間関係を求めるようになる時期であるが、親や教師からは一見反逆集団のようにみえるため、ギャング・エイジと呼ばれる。

エリクソン発達理論

乳児期(0歳~1歳6ヶ月頃):基本的信頼感vs不信感
幼児前期(1歳6ヶ月頃~4歳):自律性vs恥・羞恥心
幼児後期(4歳~6歳):積極性(自発性)vs罪悪感
児童期・学童期(6歳~12歳):勤勉性vs劣等感
青年期(12歳~22歳):同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散
前成人期(就職して結婚するまでの時期):親密性vs孤立
成人期(結婚から子供が生まれる時期):生殖性vs自己没頭
壮年期(子供を産み育てる時期):世代性vs停滞性
老年期(子育てを終え、退職する時期~):自己統合(統合性)vs絶望

 

 

 

 

 

 

80.人格検査はどれか。2つ選べ。

1.WISC-III
2.文章完成テスト
3.ロールシャッハテスト
4.内田・クレベリンテスト
5.WCST(Wisconsin Card Sorting Test)

解答2/3

解説
1.× WISC-III(Wechsler Intelligence Scale for Children-Third Edition:児童用ウェクスラー式知能検査第3版)は、5~16歳11カ月までに適応可能な知能検査であり、学習障害の評価にも用いられる。
2.〇 正しい。文章完成テストは、人格検査である。SCT(sentence completion technique:文章完成テスト)は、投影法の心理検査(性格検査の1つ)である。用紙にはいくつかの単語や不完全な文章があり、それらの続きを患者が完成させてもらうことで、人格を検査する。対象は小学生以上で、用紙は3種類あり、小学生・中学生・高校生以上用である。
3.〇 正しい。ロールシャッハテスト(Rorschach テスト)は、人格検査である。投影法の性格検査である。10枚の図版を被験者に見せて、どのように見えるか答えさせ、そこから患者の知的側面と人格面を調べる。
4.× 内田・クレベリンテスト(内田・クレペリン精神テスト)は、性格検査・職業適性検査の一種である。被験者に一定時間計算させ続けることで、作業量・集中力・注意力などの作業能力と、性格傾向を知ることができる。
5.× WCST(Wisconsin Card Sorting Test:ウィスコンシンカード分類テスト)は、前頭葉の機能を調べる検査であり、主に高次脳機能障害の評価に用いられる。4つの色と形が描かれた4枚のカードがあらかじめ並べられていて、被験者が手元にあるカードを分類カテゴリーに従って順次並べていくものである。

 

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