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※問題の引用:厚生労働省より
※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。
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【OT/共通】MMTについての問題「まとめ・解説」
45回 午前1
1.Danielsらの徒手筋力テストで筋力5の測定法として正しいのはどれか。
ただし、関節拘縮はないものとし、矢印は検査者の抑止方向を示す。
1.肩関節外転
2.肩関節水平外転
3.肩関節内旋
4.肘関節屈曲
5.肘関節伸展
解答4
解説
1.× 肩関節外転の抵抗位置は、「前腕」ではなく上腕の遠位部(肘の直上)である。
2.× 肩関節水平外転は、「座位」ではなく腹臥位で行う。設問の図は、筋力2の測定方法である。
3.× 肩関節内旋は、「90°外旋位から抵抗をかける」のではなく、内・外旋0°(前腕を下垂させた状態)から抵抗を加える。
4.〇 正しい。設問の肘関節屈曲の図は、筋力5の測定法として正しい。
5.× 肘関節伸展は、「肘関節90°屈曲位」ではなく、ロックしない程度の肘関節軽度屈曲位から抵抗を加える。
45回 午前21
21.Danielsらの徒手筋力テストで筋力4を測定する際に肩関節を内転・内旋位にさせて行うのはどれか。
1.前鋸筋
2.棘下筋
3.肩甲下筋
4.大菱形筋
5.僧帽筋中部線維
解答4
解説
1.× 前鋸筋(肩甲骨外転と上方回旋)は、肩関節 130°屈曲位で行う(座位)。
2.× 棘下筋(肩関節外旋)は、肩関節90°外転・外旋位で行う(腹臥位)。
3.× 肩甲下筋(肩関節内旋)は、肩関節90° 外転・内旋位で行う(腹臥位)。
4.〇 正しい。大(小)菱形筋(肩関節内転と下方回旋)は、肩関節を内転・内旋位で行う。他遠位部は、肘関節は屈曲位にして手背部を背の上にのせて行う(腹臥位)。
5.× 僧帽筋中部線維(肩甲骨内転)は、肩関節90°外転位で行う(腹臥位)。
46回 午前21
21.Danielsらの徒手筋力テストで筋力2を腹臥位で測定するのはどれか。2つ選べ。
1.肘関節伸展
2.肩関節内旋
3.股関節内転
4.膝関節屈曲
5.足関節底屈
解答2/5
解説
1.× 肘関節伸展は、座位で行う。ちなみに、筋力3以上は腹臥位または座位 (別法)で行う。
2.〇 正しい。肩関節内旋は、腹臥位で行う。ちなみに、各段階全て腹臥位で行う。
3.× 股関節内転は、背臥位で行う。ちなみに、筋力3以上は側臥位で行う。
4.× 膝関節屈曲は、側臥位で行う。ちなみに、筋力3以上または筋力1以下は腹臥位で行う。
5.〇 正しい。足関節底屈は、腹臥位で行う。ちなみに、筋力3以上は立位で行う。
46回 午後2
2.Danielsらの徒手筋力テストで、広背筋の筋力を三角筋後部線維および大円筋の筋力から分離判別するテストはどれか。2つ選べ。
1.背臥位
2.座位
3.背臥位
4.側臥位
5.側臥位
解答2/3
解説
設問文【広背筋の筋力を三角筋後部線維および大円筋の筋力から分離判別するテスト】とは、肩関節の伸展(後方挙上)の広背筋分離テストのことである。
1.× 設問の図は、肩甲骨の前方突出方向への運動を行っている。
2.〇 正しい。座位で測定する方法は、広背筋分離テストの段階5の評価のための方法である。
3.△ 正しい。背臥位で測定する方法は、広背筋分離テストの段階4〜5の評価のための方法である。(※現在は、腹臥位になっている可能性が高いため各自確認しておいてほしい。)
4.× 設問の図は、肩関節外転方向への運動を行っている。
5.× 設問の図は、肩関節外旋方向への運動を行っている。
46回 午後3
3.Danielsらの徒手筋力テストで筋力4と5の測定法として正しいのはどれか。
ただし、図中の矢印は検査者が抵抗を加える方向を示している。
1.長母指外転筋
2.短母指伸筋
3.短母指屈筋
4.骨間筋および虫様筋
5.掌側骨間筋
解答5
解説
1.× 「長母指外転筋」ではなく、母指内転筋のテストである。
2.× 「短母指伸筋」ではなく、長母指屈筋のテストである。
3.× 「短母指屈筋」ではなく、母指対立筋のテストである。
4.× 「骨間筋および虫様筋」ではなく、指伸筋のテストである。ちなみに、虫様筋は【起始】4個ある。それぞれ深指屈筋腱から起こる。第1,2指:第2,3指に至る腱の橈側。第3,4指(それぞれ2頭をもつ):第3~5指に至る腱の相対する側、【停止】指背腱膜、【作用】第2~5指の基節骨の屈曲、中節骨、末節骨(DIP)の伸展である。
5.〇 正しい。掌側骨間筋のテストである。ちなみに、掌側骨間筋は【起始】4個ある。それぞれ2頭もつ。第1~5中手骨の相対する面、【停止】基節骨、指背腱膜、中節骨底、末節骨底、【作用】第2,4指の外転、第3指の橈・尺側外転。母指の内転。掌側骨間筋と共同しておのおのの基節骨の屈曲、中節・末節骨(DIP)の伸展である。
46回 午後21
21.Danielsらの徒手筋力テストを座位で行うのはどれか。2つ選べ。
1.肩関節水平外転の段階2
2.肩関節水平内転の段階3
3.肘関節屈曲の段階1
4.股関節外旋の段階2
5.膝関節伸展の段階3
解答1/5
解説
1.〇 正しい。肩関節水平外転の段階2は座位で行う。上肢は、検査台の上に載せて行う。ちなみに、肩関節水平内転の段階2も同様である。
2.× 肩関節水平内転の段階3は背臥位で行う。
3.× 肘関節屈曲の段階1は背臥位で行う。ちなみに、段階2〜5は座位で行う。
4.× 股関節外旋の段階2は背臥位で行う。ちなみに、段階3〜5は座位で行う。
5.〇 正しい。膝関節伸展の段階3は座位で行う。ちなみに、段階3の判定基準は、抵抗がなければ完全伸展ができ、その肢位を保持できる状態である。
47回 午前2
2 Danielsらの徒手筋力テストを図に示す。
テストしている筋で正しいのはどれか。2つ選べ。
ただし、図の矢印は抵抗の方向を示している。
1.側頭筋
2.広頸筋
3.顎舌骨筋
4.顎二腹筋
5.内側翼突筋
解答1/5
解説
上記の図は、咀嚼筋のテスト法である。下顎骨を挙上する運動(咬筋・側頭筋・内側翼突筋)の筋力テストである。
1.〇 正しい。側頭筋は下顎骨を挙上し、後方に移動させる作用を持ち、口を閉じる運動の主要筋として働く。
2.× 広頸筋は下唇や口角を下外側に引き、恐怖の表情を作る。また、頸部の皮膚を鎖骨から引き上げ浮き立たせる。
3~4.× 顎舌骨筋/顎二腹筋は舌骨上筋群の一つであり、舌骨が固定されている時は下顎骨を下方に引くのを助ける作用がある。口を開ける際の補助筋として働く。
5.〇 正しい。内側翼突筋は下顎骨を挙上する作用があり、口を閉じる運動の主要筋として働く。
47回 午前24
24 Danielsらの徒手筋力テストにおいて、筋力2を抗重力位で判定するのはどれか。2つ選べ。(※解1つ)
1.膝関節伸展
2.肩関節屈曲
3.股関節外転
4.肘関節伸展
5.体幹伸展
解答5
解説
1.× 膝関節伸展は、側臥位(検査側上)で重力の影響を最小限にして実施する。
2.× 肩関節屈曲は、側臥位(検査側上)で実施する(※第10版に更新)。
3.× 股関節外転は、背臥位で重力の影響を最小限にして実施する。
4.× 肘関節伸展は、座位(肩関節90°外転・内外旋中間位で上肢全体が床面に水平位)で重力の影響を最小限にして実施する。
5.〇 正しい。体幹伸展は、腹臥位(抗重力位)で実施する。
47回 午前25
25 心筋梗塞の既往と拘束性呼吸障害とを有する患者にDanielsらの徒手筋力テストを行う際に、呼吸や血圧への影響が少ないのはどれか。
ただし、検査は段階4以上とする。
1.肩関節屈曲
2.肘関節屈曲
3.股関節屈曲
4.股関節外転
5.膝関節屈曲
解答4
解説
拘束性換気障害は、%肺活量80%未満のことである。
設問の「呼吸や血圧への影響が少ない」ということは、「呼吸苦が生じるだけではなく、呼吸をしやすくなることも含まれる」。また、検査肢位になるまでの体位変換も考慮する。「呼吸や血圧への影響が少ない」=「呼吸や血圧が変わらない(影響がわずか)」選択肢を選ぶ。
1~2.× 肩関節屈曲/肘関節屈曲は、座位で測定する。座位への体位変換は、呼吸に関しては内臓の下降により呼吸しやすくなる。また、座位での腕を挙げる動作は、血中酸素飽和度が低下しやすい。血圧に関しては、心臓のポンプ機能の弱化により血圧低下しやすくなるが、上肢の等尺性収縮は下肢よりも血圧上昇させやすい。したがって、座位での測定は、呼吸・血圧とも影響が出やすいと考えられる。他の選択肢を優先する。
3.× 股関節屈曲は、座位で測定する。座位への体位変換は、呼吸に関しては内臓の下降により呼吸しやすくなるが、股関節屈曲は上肢で体を支え、腹圧もかかる測定となるため呼吸・血圧に変化の幅が大きいと考えられる。他の選択肢を優先する。
4.〇 正しい。股関節外転は、選択肢の中で最も呼吸・血圧への影響が少ない。なぜなら、側臥位での測定であり、体位変換が最も容易である。また、検査側の胸郭の動きは制限されないので呼吸への影響が少ない。
5.× 膝関節屈曲は、腹臥位で測定する。腹臥位は、医学的に呼吸しやすくなるとしても、心筋梗塞や拘束性呼吸障害(心臓部を下にすること)への心理的な負担がかかりやすい。また、体位変換の難易度を側臥位と比較すると呼吸苦を生じやすいといえる。
48回 午前1
1 Daniels らの徒手筋力テスト足関節底屈のテストを図1及び図2に示す。
正しいのはどれか。2つ選べ。(※現在:不適切問題)
1.図1で、最大可動範囲で踵持ち上げを15 回行えれば段階5である。
2.図1で、可動範囲の一部で踵持ち上げを1回以上行えれば段階4である。
3.図2で、完全な底屈運動ができて最大抵抗に負けずに保てれば段階3である。
4.図2で、完全な底屈運動ができるが抵抗に耐えられなければ段階2である。
5.図2で、可動範囲の一部分だけ動かせれば段階2-である。
解答4/5
解説
1.× 図1で、最大可動範囲で踵持ち上げを15回行えれば、段階5ではなく、段階4である。ちなみに段階5は、25回以上である。
2.× 図1で、可動範囲の一部で踵持ち上げを1回以上行えれば、段階4ではなく、段階3である。ちなみに段階4は、2~24回である。(第10版)
3.× 図2で、完全な底屈運動ができて最大抵抗に負けずに保てれば、段階3ではなく、段階2である。ちなみに段階3は、図1にて1回である。(第10版)
4.〇 正しい。図2で、完全な底屈運動ができるが抵抗に耐えられなければ段階2である。※問題出題時は、新・徒手筋力検査法第8版であった。第10版は、図2で、抵抗の有無にかかわらず、完全な底屈運動ができれば段階2である。
5.〇 正しい。図2で、可動範囲の一部分だけ動かせれば段階2-である。※問題出題時は、新・徒手筋力検査法第8版であった。第10版は、図2で、抵抗なく可動範囲の一部分だけ動かせれば段階1である。
48回 午前21
21 Danielsらの徒手筋力テストにおいて段階3の運動と測定肢位の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
1.足関節背屈ならびに内がえし:腹臥位
2.股関節伸展:側臥位
3.肩甲骨内転と下方回旋:座位
4.肩関節内旋:腹臥位
5.骨盤挙上:背臥位
解答4/5
解説
1.× 足関節背屈ならびに内がえしは、「腹臥位」ではなく座位または背臥位で行う。
2.× 股関節伸展は、「側臥位」ではなく腹臥位で行う。
3.× 肩甲骨内転と下方回旋は、「座位」ではなく腹臥位で行う。
4.〇 正しい。肩関節内旋は、腹臥位で行う。
5.〇 正しい。骨盤挙上は、背臥位で行う。
48回 午後1
1 Danielsらの徒手筋力テストで正しいのはどれか。2つ選べ。(不適切問題:解3つ)
1.肩関節屈曲
2.肩関節外転
3.肘関節屈曲
4.股関節伸展
5.膝関節伸展
解答1/3/4
解説
1.〇 正しい。肩関節屈曲(前方挙上)は、図のように患者は前腕回内位で、体幹が動かないよう行う。
2.× 肩関節外転(側方挙上)は、代償運動(体幹の反対側への側屈)が出ないように行う。
3.〇 正しい。肘関節屈曲は、図のように行える。前腕回内位(上腕筋)・中間位(腕橈骨筋)・回外位(上腕二頭筋)で行える。
4.〇 正しい。股関節伸展は、図のように腹臥位で、腸骨の上後腸骨棘の部分に当てて骨盤を固定する。
5.× 膝関節伸展は、膝関節屈筋群の緊張をゆるめるために、患者に身体を後ろに傾けさせるのが良い。
48回 午後21
21 Daniels らの徒手筋力テストで正しいのはどれか。2つ選べ。
1.痙縮筋に対して適用できる。
2.顔面の筋は4段階で評定する。
3.体幹の筋は6段階で評定する。
4.筋力3以下の段階付けの信頼性は高い。
5.筋力3は抑止(ブレーク)テストを用いる。
解答2/3
解説
1.× 痙縮筋に対しては適応とならない。なぜなら痙縮筋は、随意性の発揮が困難で代償運動が伴うため。
2.〇 正しい。顔面の筋は4段階で評定する。F、WF、NF、0の4段階である。
3.〇 正しい。体幹の筋は6段階で評定する。
4.× 筋力3以下の段階付けに限らず、MMTの信頼性は一概に高いとはいえない。なぜなら、MMTは検査者の主観を伴い、抵抗や固定、体位など様々な因子が絡むため。また、筋力3以下の検査でも足関節底屈のように検査者が抵抗をかけるものもあるため不適切といえる。
5.× 抑止(ブレーク)テストを用いるのは、「筋力3」ではなく筋力4~5である。抑止(ブレーク)テストとは、四肢やそのほかの身体の運動到達査収域で抵抗をかけることである。
49回 午前2
2 Danielsらの徒手筋力テストで三角筋後部線維のテストとして正しいのはどれか。2 つ選べ。
解答※2/3
解説
1.× 大・小菱形筋(筋肩甲骨内転と下方回旋)の段階5・4のテストである。
※2.〇 正しい。三角筋後部線維(肩関節水平外転)の段階5・4のテストである。(※新・徒手筋力検査法原著9版では,段階5,4のテストを肘伸展位で行うように変更となっている。)
3.〇 正しい。三角筋後部線維(肩関節水平外転)の段階2・1・0のテストの別法である。
4.× 抵抗の位置が不適切である。三角筋後部線維(肩関節水平外転)の5・4の判定テストでの抵抗は、肘の直上で上腕後方から抵抗を加える。図では手関節部に抵抗を加えているため不適切である。
5.× 僧帽筋中部線維(肩甲骨内転)の段階5・4のテストである。
49回 午前23
23 Danielsらの徒手筋力テストにおける段階2の検査で、検査する筋と測定肢位の組合せで正しいのはどれか。 2つ選べ。
1. 腸腰筋 ― 背臥位
2. 中殿筋 ― 背臥位
3. 大腿四頭筋 ― 腹臥位
4. 縫工筋 ― 背臥位
5. ヒラメ筋 ― 側臥位
解答2/4
解説
1.× 腸腰筋(股関節屈曲)は、「背臥位」ではなく側臥位で行う。
2.〇 正しい。中殿筋(股関節外転)は、背臥位で行う。
3.× 大腿四頭筋(膝関節伸展※大腿直筋は股関節屈曲も)は、「腹臥位」ではなく側臥位で行う。
4.〇 正しい。縫工筋(股関節屈曲、外転、および膝関節屈曲位での外旋)は、背臥位で行う。
5.× ヒラメ筋(足関節底屈)は、「側臥位」ではなく腹臥位で行う。
49回 午後2
2 Danielsらの徒手筋力テストで、体幹屈曲の段階2以下では判定のために3段階の操作が示されている。検査肢位を図に示す。
段階2が確定するのはどれか。2つ選べ。
1. 図1で頭を持ち上げるように教示したとき、頭は持ち上がったが肩甲骨が床から離れなかった。
2. 図1で頭を持ち上げるように教示したとき、頭を持ち上げることができなかった。
3. 図2で体幹前屈を教示したとき、胸郭に凹みが生じた。
4. 図2で体幹前屈を教示したとき、胸郭は凹まなかったが腹直筋の収縮を触知できた。
5. 図2で咳をするように教示し、咳はできなかったが腹直筋の収縮を触知できた。
解答1/3(※第9版)
解説
1.〇 正しい。図1で頭を持ち上げるように教示したとき、頭は持ち上がったが、肩甲骨が床から離れなかった場合、段階2である(第一操作)。
2.× 図1で頭を持ち上げるように教示したとき、頭を持ち上げることができなかった場合、段階2と判定できず、第2操作を行う。
3.〇 正しい。図2で体幹前屈を教示したとき、胸郭に凹みが生じた場合、段階2である(第二操作)。
4.× 図2で体幹前屈を教示したとき、胸郭は凹まなかったが腹直筋の収縮を触知できた場合、段階1である。
5.× 図2で咳をするように教示し、咳はできなかったが腹直筋の収縮を触知できた場合、段階1である(第三操作)。
【第一操作】
①段階2:頭部は持ち上げられるが、肩甲骨は台から離せない場合。
②第二操作へ:頭部を持ち上げられない場合。
【第二操作】
①段階2:自動介助運動により前屈させた際、胸部にへこみが起きる場合。
②段階1:胸部のへこみは見られないが、筋収縮が見れる・触れる場合。
③第三操作へ:収縮活動がみられない場合。
【第三操作】
①段階2:咳をさせると胸部にへこみが起こる場合。
②段階1:咳によるへこみは見られないが、筋収縮が見れる・触れる場合。
②段階0:収縮活動がみられない場合。
49回 午後23
23 Danielsらの徒手筋力テストにおける段階4の検査で、検査する運動と抵抗を加える部位の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 股関節伸展 ― 下腿遠位部後面
2. 股関節屈曲 ― 大腿近位部前面
3. 股関節屈曲位からの外転 ― 下腿遠位部外側面
4. 股関節内転 ― 大腿遠位部内側面
5. 股関節外旋 ― 下腿遠位部外側面
解答1/4
解説
1.〇 正しい。股関節伸展の抵抗を加える部位は、下腿遠位部後面である。ちなみに、大殿筋のみを評価する場合は、膝屈曲位をとらせて大腿遠位部後面である。
2.× 股関節屈曲の抵抗を加える部位は、「大腿近位部前面」ではなく大腿遠位部前面である。
3.× 股関節屈曲位からの外転の抵抗を加える部位は、「下腿遠位部外側面」ではなく大腿遠位部外側面である。
4.〇 正しい。股関節内転の抵抗を加える部位は、大腿遠位部内側面である。
5.× 股関節外旋の抵抗を加える部位は、「下腿遠位部外側面」ではなく大腿遠位部外側面と下腿遠位部内側面である。
49回 午後24
24 Danielsらの徒手筋力テストで正しいのはどれか。
1. 順序尺度である。
2. 5段階評価である。
3. 実施にあたって年齢は考慮しない。
4. 個々の筋の筋力が測定可能である。
5. 段階2は最大筋力の約40%に相当する。
解答1
解説
1.〇 正しい。順序尺度である。順序尺度とは、大小や強弱の意味がある一方、その間隔には意味がない数値を割り当てたものである。MMTの他にも、ADL評価尺度や各種の成績順位などがあげられる。
2.× 「5段階評価」ではなく、6段階評価(5:Normal~0:Zero)である。
3.× 実施にあたって、年齢や加齢、性別、筋疲労、痛み、拘縮による影響を考慮する。なぜなら、加齢によって筋力は低下していくため。また、年齢も考慮すべきで、学童期未満の小児や知的障害等がある場合は、正しく評価できないことが少なくないため。
4.× 個々の筋の筋力が測定可能で項目(肘関節屈曲など)もあるが、すべての項目が個々の筋力を個別に測定できない。また、運動動作を検査しているため、その運動動作に関与する複数の筋力の和を評価している。
5.× 段階2は、最大筋力の約40%に相当しているとはいえない。段階3でも正常筋の40%を超えないといわれている(大多数が段階5の5~20%の範囲)。
50回 午前3
3 Daniels らの徒手筋力テスト(股関節伸展の検査)を図に示す。正しいのはどれか。2 つ選べ。
1. 図1の肢位で段階2を検査できる。
2. 図1は大殿筋のみを分離して伸展力を検査している。
3. 図1は股関節屈曲拘縮がある場合のための変法である。
4. 図2の方法では両側同時に検査する。
5. 図2の方法では段階5〜段階2まで検査できる。
解答3/5
解説
1.× 図1の肢位で段階2検査はできず、段階3~5の検査である。段階2検査は側臥位にて行う。
2.× 図1は、大殿筋のみを分離して伸展力を検査しているのではなく、大殿筋とハムストリングスの両方を検査している。
3.〇 正しい。図1は股関節屈曲拘縮がある場合のための変法である。
4.× 図2の方法では両側同時ではなく、片方ずつ検査する。
5.〇 正しい。図2の方法では段階5〜段階2まで検査できる。段階2は、検査者が下肢の自重を超えてごくわずかに抵抗を感じる場合である。
50回 午前4
4 Danielsらの徒手筋力テストで右外腹斜筋と左内腹斜筋の検査を図に示す。右の肩甲骨下角を台から離すことができた。
判断できる最も低い段階はどれか。
1. 段階1
2. 段階2
3. 段階3
4. 段階4
5. 段階5
解答3
解説
1.× 段階1は、背臥位で股関節屈曲位とし、上肢を体幹に沿わせた状態で始め、検査者が内・外腹斜筋の収縮を視認または触知できた場合。ちなみに、段階0は、検査者が内・外腹斜筋の収縮がみられない場合である。
2.× 段階2は、上肢を身体の上で伸展した状態で始め、右側の肩甲骨下角が検査台から離れない場合である。
3.〇 正しい。段階3は、上肢を身体の上で伸展させた状態で始め、右側の肩甲骨下角が検査台から離れた場合である。
4.× 段階4は、上肢を胸の前で組んだ状態で行う。
5.× 段階5は、上肢を頭の後ろで組んだ状態で行う。
50回 午前23
23 Daniels らの徒手筋力テストで、腓腹筋の検査をする際に代償的に働く筋はどれか。
1. 後脛骨筋
2. 前脛骨筋
3. 長母指伸筋
4. 長指伸筋
5. 母指外転筋
解答1
解説
腓腹筋の作用は、膝関節屈曲・足関節底屈、踵の挙上である。
1.〇 正しい。後脛骨筋の作用は、足関節底屈、内返しである。
2.× 前脛骨筋の作用は、足関節背屈、内返しである。
3.× 長母指伸筋の作用は、足関節背屈、母趾の伸展である。
4.× 長指伸筋の作用は、第2~5趾の伸展、足関節背屈、外返しである。
5.× 母指外転筋の作用は、母趾基節骨の屈曲、外転である。
50回 午後2
2 Danielsらの徒手筋力テストにおける開始肢位を図に示す。
段階3の検査の対象として適切でないのはどれか。
1. 腸腰筋
2. 縫工筋
3. 前脛骨筋
4. 大腿四頭筋
5. 股関節内旋筋群
解答4
解説
体幹前傾した座位でも問題なく測定できる検査項目を選択する。言い換えると「体幹後傾位で指定されている検査=膝関節伸展検査」を選択する。
1.× 腸腰筋(股関節屈曲)は、体幹前傾した座位(段階3~5)でも問題なく測定できる。
2.× 縫工筋(股関節屈曲、外転および膝関節屈曲位での外旋)は、体幹前傾した座位(段階3~5)でも問題なく測定できる。
3.△ 厚生労働省の答えは4であるが、3も微妙なところである。なぜなら、前脛骨筋(足関節背屈と内返し)の検査の開始肢位は、被験者の腫を検査者の大腿の上に載せた肢位となっているため。
4.〇 正しい。大腿四頭筋(膝関節伸展)は、体幹を後ろに傾けた方が良い。なぜなら、体幹を後ろに傾けることにより膝屈筋群の緊張が緩み、最大筋力を測定しやすくなるため。
5.× 股関節内旋筋群(股関節内旋:小殿筋・中殿筋・大腿筋膜張筋)は、体幹前傾した座位(段階3~5)でも問題なく測定できる。
50回 午後3
3 Danielsらの徒手筋力テストで、段階2の測定肢位で正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 小殿筋
2. 縫工筋
3. 腸腰筋
4. 後脛骨筋
5. ハムストリングス
解答2/5
解説
1.× 小殿筋(股関節外転・股関節内旋)は、背臥位にて行う。図は、大腿筋膜張筋の検査である。
2.〇 正しい。縫工筋(股関節屈曲、外転および膝関節屈曲位での外旋)は、図のように背臥位にて行う。
3.× 腸腰筋(股関節屈曲)は、除重力の状態にした側臥位で行う。図は、大腿筋膜張筋の検査である。
4.× 後脛骨筋(足関節内返し)は、座位で行う。図は、背臥位であるため不適切である。
5.〇 正しい。ハムストリングス(膝関節屈曲)は、図のように除重力の状態にした側臥位で行う。
50回 午後4
4 Danielsらの徒手筋力テストの結果を表に示す。
考えられる疾患はどれか。
1. 被殻出血
2. Bell麻痺
3. 重症筋無力症
4. Ramsay Hunt症候群
5. 筋強直性ジストロフィー
解答1
解説
①右の顔面筋(口角挙筋、口輪筋、鼻筋)は障害されていない。
②両側とも眼輪筋と前頭筋は障害されていない。
→片側性で中枢性の顔面神経麻痺が疑われる。
(末梢性麻痺の場合、対側支配の補正もなくなり上顔面筋の麻痺もみられる。)
上顔面筋は対側支配である。
1.〇 正しい。被殻出血は片側性で中枢性の顔面神経麻痺が生じる。
2.4.× Bell麻痺/Ramsay Hunt症候群(ラムゼイ・ハント症候群:耳性帯状疱疹)は、末梢性顔面神経麻痺のため、障害側の眼輪筋と前頭筋の障害が生じる。
3.5.× 重症筋無力症/筋強直性ジストロフィーは、両側に表情筋の障害がみられる。重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。直ちに、気管内挿管・人工呼吸管理を行う。
膝神経節付近に潜伏感染していた水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化が原因と考えられている。
【3主徴】
①一側の耳介外耳道の疱疹
②同側の顔面神経麻痺
③第Ⅷ脳神経症状(めまい・感音難聴)
50回 午後22
22 Danielsらの徒手筋力テストにおける頸部屈曲の測定で正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 上位頸椎の運動を測定する。
2. 広頸筋による代償を抑制する。
3. 背臥位で両腕を胸の前で組ませて行う。
4. 段階2は下顎を頸部に引き付ける運動で判断する。
5. 段階5は2本の指で加えた中等度の抵抗で判断する。
解答2/5
解説
1.× 「上位頸椎」ではなく下位頸椎の運動を測定する。なぜなら、頸椎屈曲の動きの中心は下位頸椎にあるため。
2.〇 正しい。広頸筋による代償を抑制する。頸部屈曲の測定の代償は、広頸筋による頭部屈曲である。
3.× 背臥位で、「両腕を胸の前で組ませて行う」のではなく、両上肢は身体の両側に置く。両腕を胸の前で組ませて行うのは、体幹屈曲・回旋の段階4である。
4.× 段階2は下顎を頸部に引き付ける運動で判断するのは、頭部屈曲の説明である。頚部屈曲の段階2以下は、頭部を左右に向けさせ、胸鎖乳突筋の収縮を触知し判断する。
5.〇 正しい。段階5は、2本の指で加えた中等度の抵抗で判断する。
50回 午後23
23 Danielsらの徒手筋力テストで段階2における筋と測定肢位の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。(解1つ)
1. 棘上筋 — 腹臥位
2. 大菱形筋 — 側臥位
3. 肩甲下筋 — 腹臥位
4. 小円筋 — 背臥位
5. 前鋸筋 — 座位
解答5
解説
1.× 棘上筋(肩関節屈曲および外転)は、「腹臥位」ではなく肩関節屈曲は側臥位、肩関節外転は背臥位である(※第10版に更新)。
2.× 大菱形筋(肩甲骨内転と下方回旋)は、「側臥位」ではなく座位・腹臥位(別法)である。
3.× 肩甲下筋(肩関節内旋)は、座位である(※第10版に更新)。
4.× 小円筋(肩関節外旋)は、「背臥位」ではなく腹臥位である。
5.〇 正しい。前鋸筋(肩関節外転と上方回旋)は座位である。
51回 午前2
2 Daniels らの徒手筋力テストを図に示す。
段階5の抵抗を加える位置が正しいのはどれか。2つ選べ。(※第10版:解3つ)
解答4/5
(※第10版を参考にすると選択肢1も正答となりうる)
解説
1.〇(※第10版) 肩甲骨下制と内転の抵抗は、「前腕遠位部」に加える。第9版までは抵抗の位置が上腕骨遠位に加えていたが、第10版で変更となったため正解といえる。
2.× 肩関節外旋は、前腕遠位部で抵抗を与える。設問の図の抵抗は、上腕近位部に加えている。
3.× 肘関節伸展は、前腕遠位部で抵抗を与える。設問の図の抵抗は、前腕近位部に加えている。
4.〇 正しい。手関節背屈は、第2と第3中手骨(手の橈側の背面)に抵抗を加える。
5.〇 正しい。母指MP関節屈曲は、前腕回外位、手関節中間位、手根中手(CMC)関節およびIP関節は0°とし、母指は内転位で脱力させ第2中手骨の隣に置く。検査者は第1中手骨をしっかりと固定し、他方の手の1本の指で基節骨に対し、MP関節が伸展する方向に抵抗を加える。最大抵抗に抗して全可動域を動かせれば段階5である。
51回 午前3
3 Daniels らの徒手筋力テスト(足関節底屈の検査)を図に示す。
正しいのはどれか。
1. 図1で完全な底屈運動ができるが抵抗に耐えられなければ段階2-である。
2. 図1で完全な底屈運動ができて最大抵抗に負けずに保てれば段階2である。
3. 図2で疲れなしに完全な底屈運動が1回行えれば段階3である。
4. 図2で完全な底屈運動が20回行えれば段階5である。
5. 図3は腓腹筋単独のテスト肢位である。
解答3
解説
1.× 図1で完全な底屈運動ができるが抵抗に耐えられなければ「段階2-」ではなく、2である。可動域のー部だけ底屈を行うことができる場合、段階2-となる。
2.× 図1で完全な底屈運動ができて最大抵抗に負けずに保てれば「段階2」ではなく、2+である。
3.〇 正しい。図2で疲れなしに完全な底屈運動が1回行えれば段階3である。図2で完全な底屈が1回~9回行うことができれば、段階3である。
4.× 図2で完全な底屈運動が「20 回」ではなく、25回以上行えれば段階5である。
5.× 図3は「腓腹筋単独」のテストではなく、ヒラメ筋単独テストの肢位である。ヒラメ筋単独テストでは、膝関節は屈曲位にし、膝関節をまたぐ腓腹筋を弛緩させる必要がある。
51回 午後3
3 Danielsらの徒手筋力テストで各筋の筋力2のテストとして正しいのはどれか。2つ選べ。
解答3/4
解説
1.× 前鋸筋は、筋力3のテストである。ちなみに、筋力2は、検査者が患者の肘を支え、水平位より高く保ち検査を行う。
2.× 菱形筋群は、筋力3のテストである。ちなみに、筋力2は、座位で肩関節内旋・伸展し、背の後ろに肩関節内転する。もしくは、腹臥位で肩関節約45°外転、肘関節90°屈曲で、手を背に載せて検査を行う。
3/4.〇 正しい。僧帽筋下部線維/僧帽筋上部線維の筋力0~2における検査肢位である。
5.× 図は、「僧帽筋中部線維」ではなく、菱形筋群の筋力2~0における検査肢位を示している。僧帽筋中部線維の筋力2は、腹臥位で肩関節90°外転、肘関節90°屈曲にて、検査者が上肢を支持した状態で検査を行う。
51回 午後4
4 Danielsらの徒手筋力テストで股関節内転筋の段階3を測定する際、図のような代償動作がみられた。
代償動作を生じさせている筋はどれか。
1. 腸骨筋
2. 梨状筋
3. 中殿筋
4. 大腿二頭筋
5. 内側広筋
解答1
解説
図の代償動作は、右股関節内旋により、股関節屈筋群による内転筋の代償が行われている。
1.〇 正しい。腸骨筋は、股関節の屈曲・外旋に作用する。内転筋の代償に用いられる。
2.× 梨状筋の【起始】仙骨の前面で第2~4前仙骨孔の両側、【停止】大転子の先端の後縁、【作用】股関節外旋、外転である。
3.× 中殿筋の【起始】腸骨翼の外面で前および後殿筋線の間、腸骨稜外唇および殿筋筋膜、【停止】大転子の外側面、【作用】股関節外転、前部:内旋、後部:外旋である。
4.× 大腿二頭筋の【起始】長頭:坐骨結節、短頭:大腿骨体の粗線の外側唇、外側大腿筋間中隔、【停止】腓骨頭、【作用】股関節伸展・外旋、膝関節屈曲である。
5.× 内側広筋の【起始】大腿骨転子間線の下部、大腿骨粗線の内側唇、【停止】膝蓋骨、脛骨粗面、【作用】膝関節伸展である。単関節筋である。
51回 午後22
22 Danielsらの徒手筋力テストにおいて座位で筋力3を判定できるのはどれか。2つ選べ(※10版対応)。
1. 大胸筋
2. 肩甲下筋
3. 上腕三頭筋
4. 縫工筋
5. 下腿三頭筋
解答2/4
解説
1.× 大胸筋(肩関節水平内転)は、背臥位で行う。
2.〇 正しい。肩甲下筋(肩関節内旋)は、座位で行える。※9版までは腹臥位で行った。他にも変更箇所ありましたら、お気軽にコメント欄をご活用ください。
3.× 上腕三頭筋(肘関節伸展)は、腹臥位で行う。※9版までは座位で行った。他にも変更箇所ありましたら、お気軽にコメント欄をご活用ください。
4.〇 正しい。縫工筋(股関節の屈曲・外転および膝関節屈曲位での外旋)は、座位で行える。
5.× 下腿三頭筋(足関節底屈)は、立位で行う。
52回 午前2
2 Daniels らの徒手筋力テストについて正しいのはどれか。
1. 検査は段階5から実施する。
2. 徒手抵抗は検査する関節の近位部に加える。
3. 繰り返し実施することで筋持久力を評価する。
4. 段階2は重力の影響を最小限にした肢位で実施する。
5. 抑止(ブレーク)テストでは徐々に徒手抵抗を強くする。
解答:4
解説
1.× 検査は、「段階5から」ではなく段階3から実施する。なぜなら、検査者による抵抗を加えるまでに、関節の可動範囲が十分で、かつ重力に抗して動かせるかどうか確認するため。
2.× 徒手抵抗は、検査する関節の「近位部」ではなく遠位部に加える。
3.× 繰り返し実施することでは、筋持久力の評価にはならない。MMTとは、「個々の関節または筋群の筋力を徒手的に検査する方法」である。
4.〇 正しい。段階2は重力の影響を最小限にした肢位で実施する。
5.× 抑止テスト(ブレイク・テスト)とは、被験者に最終可動域で保持してもらい、検査者はその保持を「抑止」するように抵抗を加える検査である。つまり、抵抗のかけ方の規定はない。臨床では、MMTの抵抗は、「患者の関節・筋損傷を最小限にするため、徐々に徒手抵抗を強くするように」と習う方も多いかと思うが、抑止テスト(ブレイク・テスト)の定義は上記のようになっている。ちなみに、徒手抵抗を徐々に強くするのは、抗抵抗自動運動テストと呼ばれる。
52回 午前5
5 Danielsらの徒手筋力テストの結果を表に示す。表以外の筋に異常はみられない。関節可動域はすべて正常範囲である。
通常速度で直線歩行したときに予想されるのはどれか。
1. 左の踵足歩行
2. 右の尖足歩行
3. 左遊脚中期の分回し
4. 右のTrendelenburg徴候
5. 右遊脚後期の膝過伸展傾向
解答:5
解説
本症例は、右の下腿三頭筋とハムストリングスの筋力低下がみられる。
1.× 踵足は、足のつま先が宙に浮いた状態で、踵だけが接地し、直立と歩行を行う。前脛骨筋は機能残存するが下腿三頭筋が機能低下(麻痺)など障害されている場合に起こる。具体的疾患は、アキレス腱の機能欠落、小児脳性不全麻痺、小児麻痺、脛骨神経の損傷などが原因で起こる。
2.× 尖足とは、つま先立ちの状態の足で、踵を地面に着けようとしても可動域がなく、歩行時に踵が床に付かない状態である。つまり、足関節の背屈制限がある歩行状態である。具体的疾患は、脳卒中などからくる下腿後面の筋肉の痙縮、小児麻痺でみられる下腿前面の筋肉の麻痺などが原因で起こる。
3.× 左遊脚中期の分回しは、脳卒中などからくる下肢の麻痺などで起こる。
4.× 右のTrendelenburg徴候は、中殿筋の筋力低下で起こる。患側肢に荷重すると骨盤が対側に傾斜することをいう。両側の障害で、左右に体幹をゆすって歩く動揺性歩行となる。
5.〇 正しい。右遊脚後期の膝過伸展傾向がみられる。なぜなら、正常の場合、遊脚後期にハムストリングスは急激な過伸展(ターミナルインパクト)を防ぐが、本症例の場合ハムストリングスの筋力低下でそれが行えないため。
52回 午後5
5 Daniels らの徒手筋力テストで肩関節屈曲(前方挙上)の段階の測定をする際、図のような代償がみられた。
代償動作を生じさせている筋はどれか。
1. 回外筋
2. 上腕二頭筋
3. 前鋸筋
4. 肩甲下筋
5. 広背筋
解答:2
解説
①上腕二頭筋:肩関節外旋位での肩屈曲。
②僧帽筋上部線維:肩甲骨の挙上が目立つ。
③大胸筋の作用:肩関節の水平内転が目立つ。
④体幹の側屈、伸展運動など。
正しい運動は、「肘関節は軽度屈曲位、前腕を回内位にて肩関節90°まで屈曲する」ことである。図の患者は肩関節を外旋し、前腕回外にて上腕二頭筋長頭の作用で肩関節屈曲を試みている。よって、2. 上腕二頭筋が適当である。ちなみに、肩関節屈曲(前方挙上)の主動作筋は①三角筋と②烏口腕筋である。
1.× 回外筋の作用は、前腕回外である。
3.× 前鋸筋の作用は、全体:肩甲骨を前方に引く。下2/3:下角を前に引いて肩甲骨を外方に回旋し、上腕の屈曲と外転を補助。最上部:肩甲骨をやや引き上げる。
4.× 肩甲下筋の作用は、肩関節内旋である。
5.× 広背筋の作用は、肩関節内転、伸展、多少内旋である。
52回 午後28
28 Danielsらの徒手筋力テストで、検査する筋の段階と測定肢位の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 腸腰筋の段階3:側臥位
2. 中殿筋の段階1:腹臥位
3. 大腿四頭筋の段階3:座位
4. 前脛骨筋の段階4:立位
5. 下腿三頭筋の段階2:背臥位
解答:3,5
解説
1.× 腸腰筋(股関節屈曲)の段階3(~5)は、「側臥位」ではなく座位である。
2.× 中殿筋(股関節外転)の段階1は、「腹臥位」ではなく背臥位である。背臥位にて台との摩擦が起きないように検査者が下肢をしたから支えた状態で股関節外転を試み、筋の収縮を触知する。
3.〇 正しい。大腿四頭筋(膝関節伸展)の段階3(~5)は、座位である。
4.× 前脛骨筋(足関節背屈と内返し)の段階4は、「立位」ではなく座位である。(※「新・徒手筋力検査法第10版」では、背臥位の方法に変更されている。)
5.〇 正しい。下腿三頭筋(足関節底屈)の段階2は、背臥位である。段階2は腹臥位で行うが、腹臥位が取れない場合には背臥位で行ってもよい。
53回 午前4
4.Danielsらの徒手筋カテストにおける段階2の検査の開始肢位で正しいのはどれか。(※不適切問題:解なし)
1.頚部伸展
2.左肩関節内旋
3.左股関節内転
4.左股関節外旋
5.左股関節伸展
解答:なし
解説
1.× 頚部伸展の段階2は、腹臥位ではなく背臥位で行う。被験者は検者の手のひらに頭を乗せて押し付けることで測定する。ちなみに、腹臥位は段階3である。
2.× 左肩関節内旋の段階2以下は、腹臥位ではなく座位で肘関節90°屈曲、前腕中間位で計測する(第9版)。ちなみに、第8版の計測肢位としては正しい。第10版では全段階のテストを座位で行うようになった。
3.× 左股関節内転の段階2は、側臥位ではなく背臥位で行う。ちなみに、側臥位は段階3以上の検査の場合である。
4.× 左股関節外旋の段階2は、ベッド端から、下腿を下ろさないで背臥位で行う。つまり、一般的な背臥位で行う。
5.× 左股関節伸展の段階2は、腹臥位ではなく側臥位(検査者は検査側の下肢の膝を下から支え右ことで除重力肢位をとる)で行う。ちなみに、腹臥位は段階3以上の検査の場合である。
53回 午前27
27.Danielsらの肩関節の徒手筋カテストにおける段階と測定肢位の組合せで正しいのはどれか。
1.屈曲の段階2:背臥位
2.伸展の段階3:座位
3.外旋の段階4:座位
4.水平内転の段階2:腹臥位
5.水平外転の段階2:側臥位
解答:3
解説
1.× 屈曲の段階2は、「背臥位」ではなく側臥位(検査側が上)または座位で行う。ちなみに、第10版では座位のテストは削除されている。
2.× 伸展の段階3は、「座位」ではなく腹臥位で行う。
3.〇 正しい。外旋の段階4は、座位で行う。
4.× 水平内転の段階2は、「腹臥位」ではなく背臥位(肩関節90°外転位、肘関節90°屈曲位)または、座位(上肢は検査台で支えられる)で行う。
5.× 水平外転の段階2は、「側臥位」ではなく端坐位(90°外転位として、上肢は補助下または検査台に載せて)で行う。
53回 午後4
4.Danielsらの徒手筋カテストにおける触診部位として正しいのはどれか。2つ選べ(不適切問題:適切なものは1つ)。
1.腓腹筋
2.短腓骨筋
3.前脛骨筋
4.後脛骨筋
5.大腿筋膜張筋
解答:4(適切なものが一つしかない。)
解説
1.× 腓腹筋は、アキレス腱を触知する。設問の図は、膝関節屈筋腱を触知している。
2.× 短腓骨筋は、腓骨外果後面から第5中足骨底に向かう線上で触知する。設問の図は、長趾伸筋を触知している。
3.× 前脛骨筋は、脛骨と腓骨の中間で触知する。設問の図は、脛骨内側を触知している。
4.〇 正しい。後脛骨筋は、内果と舟状骨の間で後脛骨筋の腱を触知する。
5.× 大腿筋膜張筋は、長座位で行う。設問の図は、背臥位で触知している。
54回 午前25
25. 関節可動域が正常な患者に対し、Danielsらの徒手筋力テストの段階5の検査で、軽度屈曲位で抵抗を加えるのはどれか。
1. 肩関節伸展
2. 肘関節伸展
3. 手関節伸展
4. 股関節伸展
5. 頚部複合伸展
解答2
解説
1. ×:肩関節伸展は、腹臥位・肩関節内旋位・肘関節伸展位で行う。
2. 〇:肘関節伸展は、肘関節のロックを防ぐため軽度肘関節屈曲位で行う。
3. ×:手関節伸展は、手関節を偏位しないよう真上に伸展する。
4. ×:股関節伸展は、腹臥位・股関節中間位で行う。
5. ×:頚部複合伸展は、腹臥位で頭を検査台の外に出し行う。
54回 午後1
1. 可動域制限のない患者に図のような肢位をとらせたところ5秒間保持できた。Danielsらの徒手筋力テストにおける段階3以上と推測できる筋はどれか。
1. 左三角筋中部線維
2. 右上腕二頭筋
3. 左中殿筋
4. 右腸腰筋
5. 右前脛骨筋
解答3
解説
Danielsらの徒手筋力テストの3(Fair)は、「抵抗を加えなければ重力に抗して、運動域全体にわたって動かせる。」ことが必要になってくる。
1. ×:被験者の左上肢は、左腰を押さえている。これだけでは、左三角筋中部線維がMMT3以上と判断しにくい。
2. ×:被験者の右上肢の肘関節は0°である。ただ肘関節を伸展位でロックしてあるとも考えられるので、右上腕二頭筋のMMT3以上とは判断しにくい。
3. 〇:正しい。左股関節は内・外転中間位である。骨盤の傾斜はなく保持できている。被験者の重心線は、左股関節の内側に位置すると考えられる。左中殿筋は、体重を支えており(体重分の抵抗に抗している)、MMT3以上ではないと、体幹側屈(トレンデレンブルグ徴候)などのなんらかの変化がみられると考えられる。そのため、最もMMT3以上あると考えられるのは左中殿筋である。
4. ×:被験者の右股関節は軽度屈曲し、右腸腰筋が働いていると考えられる。Danielsらの徒手筋力テストの3(Fair)は、「抵抗を加えなければ重力に抗して、運動域全体にわたって動かせる。」ため、これだけの姿勢では、運動域全体にわたって動かせると断定しにくい。
5. ×:被験者の右足関節は、底・背屈中間位である。Danielsらの徒手筋力テストの3(Fair)は、「抵抗を加えなければ重力に抗して、運動域全体にわたって動かせる。」ため、これだけの姿勢では、運動域全体にわたって動かせると断定しにくい。
54回 午後2
2. Danielsらの徒手筋力テストにおける段階4の検査方法で正しいのはどれか。
解答4
解説
1. ×:肩関節屈曲の正しい抵抗の位置は、上腕の遠位である。図は前腕近位となっているため不正解。
2. ×:肩関節伸展の正しい抵抗の位置は、上腕の遠位である。図は前腕近位となっているため不正解。
3. ×:肘関節屈曲の正しい抵抗の位置は、前腕の遠位の掌側である。図は手掌となっているため不正解。
4. 〇:正しい。股関節屈曲の抵抗の位置は、大腿遠位である。検査者の強度から中等度の抵抗に抗しうる場合、段階4となる。
5. ×:膝関節屈曲の正しい抵抗の位置は、下腿の遠位の後面である。図は踵となっているため不正解。
54回 午後26
26. Danielsらの徒手筋力テストにおいて座位で筋力3を測定できるのはどれか。
1. 大胸筋
2. 肩甲下筋
3. 上腕三頭筋
4. 下腿三頭筋
5. ハムストリングス
解答3
解説
1. ×:大胸筋(肩関節水平内転)は、背臥位で測定する。
2. ×:肩甲下筋(肩関節内旋)は、腹臥位で測定する。ただ、第10版では、座位でのテストとなり、腹臥位は別法となった。
3. 〇:正しい。上腕三頭筋(肘関節伸展)は、別法で座位(段階3~5)にて測定できる。患者に座位をとってもらい、肩関節90°外転し肘関節90°屈曲した状態で測定する。基本的に、腹臥位(段階3~5)、座位(段階0~2)である。
4. ×:下腿三頭筋(足関節底屈)は、立位で測定する。
5. ×:ハムストリングス(股関節伸展・膝関節屈曲)は、腹臥位で測定する。
55回 午前4
4 Danielsらの徒手筋力テストによる検査方法を図に示す。
正しいのはどれか。
解答1
解説
1.〇 正しい。前鋸筋の段階3は、図のように行う。検査者の抵抗を加えず肩甲骨下角の内外側縁を触診した状態で、被験者は肘関節伸展指で肩関節約130度屈曲する。
2.× 肩関節外旋筋群の段階4の抵抗部位が違う。「手背」ではなく指二本で前腕遠位部に抵抗をかける。
3.× 大胸筋の段階3の肢位が違う。「肘関節伸展位」ではなく肘関節90°屈曲位で行う。ちなみに、肩関節も90°外転する。
4.× 腕橈骨筋の段階4の肢位が違う。「前腕回外位(上腕二頭筋)」ではなく前腕回内回外中間位で行う。ちなみに、前腕回内位は上腕筋である。
5.× 腸腰筋の段階3の上肢の肢位が違う。上肢は、台の縁につかみ上体を安定させる。もしくは、身体の両脇で台上に手を置くかして身体を支える必要がある。図では、上肢が体幹より後方にあり、上体が後方へ倒れやすく不安定になっている。
55回 午後3
3 Danielsらの徒手筋力テストによる検査方法を【図1】に、前腕中央部の断面図を【図2】に示す。
図1の方法で段階3を判定できる筋は図2のどれか。
1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤
解答1
解説
図1は、中指のPIP関節屈曲していることから、浅指屈筋の検査方法であることが分かる。よって選択肢1.①(浅指屈筋)を選択する。ちなみに、図2の断面図は、尺骨に比べ橈骨が比較的に小さいことから肘に近い断面図である。
2.× ②は、橈側手根屈筋である。
3.× ③は、円回内筋である。
4.× ④は、深指屈筋である。
5.× ⑤は、回外筋である。
55回 午後26
26 Danielsらの徒手筋力テストで、検査する筋の段階と開始肢位の組合せで正しいのはどれか。
1.菱形筋群の段階4:肘関節伸展位
2.上腕三頭筋の段階4:肩関節屈曲位
3.大殿筋の段階3:膝関節伸展位
4.大腿四頭筋の段階2:股関節屈曲位
5.後脛骨筋の段階2:足関節底屈位
解答5
解説
1.× 菱形筋群の段階4は、肘関節「伸展位」ではなく屈曲位で行う。腹臥位で、肩関節内転・内旋位、肘関節屈曲して手背部を背の上にのせて行う。
2.× 上腕三頭筋の段階4は、肩関節「屈曲位」ではなく外転90°で行う。腹臥位で肩関節90°外転、肘関節屈曲して前腕を検査台から垂直に下垂して行う。
3.× 大殿筋の段階3は、膝関節「伸展位」ではなく膝関節屈曲位で行う。二関節筋であるハムストリングスの影響を考慮する必要がある。「新・徒手筋力検査法第10版」では、大殿筋単独テストの開始肢位が膝関節90°屈曲位、股関節外転・外旋位に変更された。
4.× 大腿四頭筋の段階2は、股関節「屈曲位」ではなく伸展位で行う。検査側を上にした側臥位で、反対側下肢は安定のため屈曲位をとる。検査する下肢は膝関節を約90°屈曲位、股関節は完全伸展位に置く。
5.〇 後脛骨筋の段階2は、足関節軽度底屈位である。
56回 午後4
4 Danielsらの徒手筋力テストによる左股関節の検査方法を図に示す。
正しいのはどれか。2つ選べ。(不適切問題:解なし)
1.内転の段階3
2.伸展の段階4
3.外転の段階5
4.伸展の段階5
5.内旋の段階5
解答 なし(採点対象から除外する。)
理由:選択肢において正解を得ることが困難なため。
解説
1.〇 正しい。内転の段階3の方法では、検査側の下肢が重力に抗して持ち上がれば3と判断する。
2.× この股関節伸展測定は、股関節屈曲拘縮のある場合に使用される変法である。検査者の抵抗を加える手の位置は、大腿の「近位部」ではなく、遠位部が正しい。また、検査者の上前腸骨棘が検査台から離れすぎている。
3.△ 微妙・・・。外転の段階5の方法では、検査者の抵抗を位置は下腿の遠位部で正しい。ただ、下にした非検査肢位の股・膝関節が軽度屈曲位でないため、不適切である。
4.× 検査者は、右足の踵部を支える必要はないため不適切である。検査の対象となる左下肢の踵部を両手で支える必要がある。
5. × 被験者が両腕を腕の前で組んでいるため不適切である。両手は体幹の横において安定させる必要がある。内旋の段階5の方法では、検査者の抵抗を位置は下腿の遠位部である。ちなみに、「新・徒手筋力検査法第10版」では、検査肢位は股関節内外旋中間位である。
57回 午前5
5 Danielsらの徒手筋力テストによる頸筋・体幹筋のテストで正しいのはどれか。
1.頸部伸展:段階3
2.体幹回旋:段階4
3.体幹屈曲:段階3
4.体幹伸展:段階3
5.骨盤挙上:段階3
解答4
解説
1.× 設問の図は、「頸部伸展:段階3」ではなく、「頭部伸展:段階3」の検査である。ちなみに、頸部伸展:段階3の検査は、患者は上を見上げたり顎を突き出したりすることなく、頸部を伸展する必要がある。2.× 設問の図は、「体幹回旋:段階4」ではなく、「体幹回旋:段階3」の検査である。ちなみに、体幹回旋:段階4の検査は、背臥位で両腕を胸の上で交差する必要がある。
3.× 設問の図は、「体幹屈曲:段階3」ではなく、「体幹屈曲:段階4」の検査である。ちなみに、体幹屈曲:段階3の検査は、背臥位で腕は体の面より上方で伸ばす必要がある。
4.〇 正しい。体幹伸展:段階3は設問のように行う。ちなみに、体幹伸展:段階4〜5の検査は手を頭の側方に軽くタッチして体幹伸展する必要がある。また、体幹伸展:段階2の検査は、患者は可動域の一部を動かすことができている状態である。つまり、臍が検査台から離れているところまで持ち上げられるかが判断基準となる。
5.× 設問の図は、「骨盤挙上:段階3」ではなく、「骨盤挙上:段階4以上」の検査である。なぜなら、検査者は抵抗を加えているため。ちなみに、骨盤挙上:段階3の検査は、患者は可能な可動域全体を動かすことができているかが判断基準となる。
57回 午後4
4 Danielsらの徒手筋力テストによる手指筋のテストで正しいのはどれか。(※不適切問題:解2つ)
1.浅指屈筋
2.短母指屈筋
3.虫様筋
4.背側骨間筋
5.母指内転筋
解答2・5(複数の選択肢を正解として採点する)
理由:複数の正解があるため。
解説
1.× 浅指屈筋の作用は、近位指節間(PIP)関節の屈曲である。設問の図は、深指屈筋の作用である遠位指節間(DIP)関節の屈曲を行っている。
2.〇 正しい。短母指屈筋の検査である。
3.× 虫様筋と骨間筋の作用は、指の中手指節(MCP)関節屈曲である。設問の図は、指伸筋・示指伸筋・小指伸筋の作用である指の中手指節(MCP)関節の伸展を行っている。
4.× 背側骨間筋の作用は、指外転である。設問の図は掌側骨間筋の作用である指内転を行っている。
5.〇 正しい。母指内転筋の検査である。
57回 午後27
27 Danielsらの徒手筋力テストで正しいのはどれか。
1.測定に計測機器は用いない。
2.苦痛がないか確認しながら行う。
3.ベッドの表面は軟らかい方がよい。
4.ベッドの表面の摩擦は大きい方がよい。
5.ベッドは高さ固定式のものを使用する。
解答2
解説
1.× 測定に計測機器(ハンドヘルドダイナモメーター)を用いる。スコアは常にニュートンで記録する。標準的なkgで記録した場合、9.8をかけることによりニュートンに変換する。
2.〇 正しい。苦痛がないか確認しながら行う。なぜなら、痛みが発生すると最大筋力が測定できないため。
3~4.× ベッドの表面は、「軟らかい方」ではなく「ある程度の硬さがあった方」がよい。/ベッドの表面の摩擦は、「大きい方」ではなく、「小さい方」がよい。ベッドに沈み込みすぎると、狙った運動方向の正しい運動が行えない可能性があるため。また、ベッドの表面の摩擦が大きいと、重力を除した運動(MMT2)や自重のみの運動(MMT3)に支障をきたすため。
5.× ベッドは、「高さ固定式」より「高さ変動式」のものを使用する。なぜなら、検査の中で患者が端坐位になったとき、床から測定を浮かす場合があるため。身長が高い人にも対応できるようにする。また、抵抗を加える際にも高さが調整できることで、検者の腰の負担を減らすことができる。
58回 午前1
1.Danielsらの徒手筋力テストで股関節外転の段階3の測定をする際、図のような代償がみられた。
代償動作を生じさせている筋はどれか。2つ選べ。
1.大腰筋
2.中間広筋
3.腸骨筋
4.半腱様筋
5.半膜様筋
解答1・3
解説
1.〇 正しい。大腰筋が代償動作を生じさせている。大腰筋の作用は、股関節屈曲である。ちなみに、【起始】第12胸椎~第4腰椎の椎体と椎間円板、すべての腰椎の肋骨突起、第12肋骨、【停止】大腿骨の小転子である。腸腰筋は、腸骨筋と大腰筋の2筋からなる。
2.× 中間広筋の作用は、膝関節伸展である。ちなみに、【起始】大腿骨の前面と両側面、【停止】膝蓋骨、脛骨粗面である。
3.〇 正しい。腸骨筋が代償動作を生じさせている。腸骨筋の作用は、股関節屈曲、外旋である。ちなみに、【起始】腸骨窩全体、【停止】大腿骨の小転子である。腸腰筋は、腸骨筋と大腰筋の2筋からなる。
4.× 半腱様筋の作用は、股関節伸展、内転、内旋、膝関節屈曲である。ちなみに、【起始】坐骨結節(大腿二頭筋長頭の起始の内側でこれと融合)、【停止】脛骨粗面の内側(鵞足を形成)である。
5.× 半膜様筋の作用は、股関節伸展、内転、内旋、膝関節屈曲である。ちなみに、【起始】坐骨結節、【停止】脛骨粗面、脛骨内側顆の後部、斜膝窩靭帯、膝窩筋筋膜である。
代償動作とは、本来の動作や運動を行うのに必要な機能以外の機能で補って動作や運動を行うことである。ある運動を行うときに、動筋の筋力低下や麻痺からその作用を他の筋の運動によって補おうとする見せかけの運動をすることで、筋力検査をする場合には注意する必要がある。
例えば、肘関節伸展における代償動作として、
①肩関節外旋(棘下筋、小円筋)を使用し、重力で肘関節伸展する。
②肩関節水平内転(大胸筋)を使用し、重力で肘関節伸展する。
58回 午後1
1.Danielsらの徒手筋力テストにおける肩甲下筋のテストで正しいのはどれか。
解答3
解説
【起始】肩甲骨肋骨(肩甲下窩)と筋膜内面
【停止】上腕骨前面の小結節、小結節稜上端内側
【作用】肩関節内旋
【支配神経】肩甲下神経:C5,C6
1.× 図は、肩甲骨下制と内転の段階0~2のテストである。主な検査の筋は、僧帽筋(中部と下部線維)、広背筋である。
2.× 図は、肩関節水平内転の段階0~2のテストである。主な検査の筋は、三角筋後部線維である。
3.〇 正しい。肩甲下筋(肩関節内旋)のテストである。ちなみに、段階3のテストで、患者が座位を取れない場合に用いられる。
4.× 図は、肩関節外旋の段階3のテストである。主な検査の筋は、棘下筋、小円筋である。
5.× 図は、広背筋の段階のテストである。患者は検査台から離して、殿部を持ち上げることができれば段階3~5と判断できる。
58回 午後27
27.Danielsらの徒手筋力テストの検査肢位において、膝関節の伸展と屈曲が同じになる段階はどれか。
1.段階1
2.段階2
3.段階3
4.段階4
5.段階5
解答2
解説
【膝関節の伸展の肢位】
段階0:背臥位
段階1:背臥位
段階2:側臥位(テストする下肢を上側にして、股関節中間位、膝関節90°屈曲位に保つ。下側の下肢は安定のため屈曲位を取る。検査者は片方の腕でテストする下肢の大腿を抱きかかえる。患者は可能な可動域全体にわたって膝関節伸展する。)
段階3:坐位
段階4:坐位
段階5:坐位
【膝関節の屈曲の肢位】
段階0:腹臥位
段階1:腹臥位
段階2:側臥位(テストする下肢を上側にして、下側の下肢は安定のため屈曲位を取る。検査者は一方の腕で大腿と膝を抱え込み、もう一方の手で下腿遠位を支える。患者は可能な可動域全体にわたって膝関節屈曲する。)
段階3:腹臥位
段階4:腹臥位
段階5:腹臥位
したがって、選択肢2.段階2が、膝関節の伸展と屈曲の検査肢位が同じになる。
59回 午前8
8 イラストのようにDanielsらの徒手筋力テストを実施した。
正しいのはどれか。
1.骨盤を後傾させて行う。
2.検査対象は縫工筋である。
3.対象筋の段階2のテストは背臥位で行う。
4.検査者が抵抗を加える部位は大腿遠位部である。
5.股関節外転外旋を伴った際は大腿筋膜張筋の代償を疑う。
解答4
解説
設問の図は、股関節屈曲(大腰筋および腸骨筋)である。
1.× 骨盤を「後傾させて」ではなく中間位で行う。なぜなら、骨盤の位置が股関節屈筋の働きに影響を及ぼすため。骨盤の前・後傾は、股関節屈筋の長さ‐張力の関係に影響を及ぼす。骨盤による影響をなくすために、骨盤と脊椎が中間位になるように検査する。
2.× 検査対象は「縫工筋」ではなく大腰筋および腸骨筋である。ちなみに、縫工筋は、股関節屈曲・外転・外旋と膝屈曲で検査する。
3.× 対象筋の段階2のテストは「背臥位」ではなく側臥位で行う。テスト側の下肢を上にした側臥位をとり、検査者が検査側の下肢を支え持ち上げ、重力を取り除きながら検査する。患者は可動域を完全に動かすことができたら、段階2である。
4.〇 正しい。検査者が抵抗を加える部位は大腿遠位部である。抵抗は大腿をつかまないように気を付ける必要がある。抵抗は下方、床の方向へ加える。
5.× 股関節外転外旋を伴った際は、「大腿筋膜張筋」ではなく縫工筋の代償を疑う。なぜなら、縫工筋の作用は股関節屈曲、外転、外旋、膝関節屈曲、内旋であるため。一方、大腿筋膜張筋の作用は股関節屈曲、内旋、外転、膝関節伸展である。
59回 午後2
2 Danielsらの徒手筋力テストで肩関節屈曲の段階3を測定する際、図のような代償がみられた。
代償運動を生じさせている筋はどれか。
1.僧帽筋
2.棘上筋
3.大胸筋
4.上腕二頭筋
5.上腕三頭筋
解答4
解説
①上腕二頭筋:肩関節外旋位での肩屈曲。
②僧帽筋上部線維:肩甲骨の挙上が目立つ。
③大胸筋の作用:肩関節の水平内転が目立つ。
④体幹の側屈、伸展運動など。
正しい運動は、「肘関節は軽度屈曲位、前腕を回内位にて肩関節90°まで屈曲する」ことである。図の患者は肩関節を外旋し、前腕回外にて上腕二頭筋長頭の作用で肩関節屈曲を試みている。よって、選択肢4. 上腕二頭筋が適当である。ちなみに、肩関節屈曲(前方挙上)の主動作筋は①三角筋と②烏口腕筋である。
1.× 僧帽筋の作用は、上部:肩甲骨と鎖骨の肩峰端を内上方にあげる、中部:肩甲骨を内側に引く、下部:肩甲骨を内下方に引き下げると同時にその下角を外側に回旋する。
2.× 棘上筋の作用は、肩関節外転である。
3.× 大胸筋の作用は、肩関節内転、内旋、鎖骨部:肩甲骨屈曲。腹部:肩関節下制、である。
5.× 上腕三頭筋の作用は、肘関節伸展、肩関節伸展である。
類似問題です↓
【OT/共通】MMTについての問題「まとめ・解説」
肩関節屈曲の段階2は側臥位で行います(第10版)
コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。