【OT専門のみ】関節リウマチについての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

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【PT専門のみ】関節リウマチについての問題「まとめ・解説」

【共通のみ】関節リウマチについての問題「まとめ・解説」

目次 非表示

OT専門

45回 午後6-7

次の文により6、7の問いに答えよ。
 68歳の女性。関節リウマチ。右利き。夫との2人暮らし。肩関節と肘関節とに可動域制限はない。膝関節痛の鎮痛のために座薬を用いている。手関節痛が強いときには夫が家事を行っているが、できるだけ自分でやりたいという気持ちが強い。手指の写真(A)とエックス線写真(B)とを下図に示す。

6 この患者に対する作業療法で適切なのはどれか。

1.箸の使用を禁止する。
2.家事の量を減らすことを指導する。
3.上肢に対する筋力訓練は高負荷で行う。
4.左母指IP関節にサック型固定装具を作製する。
5.疼痛のある時期の手関節のROM訓練は他動で行う。

解答

解説

本症例のポイント

・68歳の女性(関節リウマチ)。
・夫との2人暮らし。
・肩関節と肘関節とに可動域制限はない。
・膝関節痛の鎮痛のために座薬を用いている。
・手関節痛が強いときには夫が家事を行っているが、できるだけ自分でやりたいという気持ちが強い。
・エックス線画像から、右はMP関節尺側偏位、母指のZ変形、示指のIP関節変形が認められる。一方、左は母指・示指・中指のIP関節変形がみられる。

→関節リウマチ患者に対する日常生活の指導は、関節保護の原則に基づき行う。関節保護の原則とは、疼痛を増強するものは避けること、安静と活動のバランスを考慮すること、人的・物的な環境を整備することがあげられる。変形の進みやすい向きでの荷重がかからないように手を使う諸動作において、手関節や手指への負担が小さくなるように工夫された自助具が求められる。

1.× 箸の使用を禁止するよりもほかの選択肢に優先度が高いものがある。箸の使用は手指巧緻性を要すが、できるだけ自分でやりたいという気持ちが強い。また、本症例は右利きで手指の変形も認められているため、箸に自助具をつけ「少しの力で上手に使えて、握っても使える箸」にしたり、状況に応じて太いグリップのスプーンやフォークに変更する。箸の使用を「禁止」にするまでの根拠は薄い。
2.× 家事の量を減らすことを指導するよりもほかの選択肢に優先度が高いものがある。家事の量を減らす場合、その分2人暮らしである旦那に負担がかかる。不慣れな家事や指導でより本症例や旦那のストレスとなる可能性も高い。また、設問から「できるだけ自分でやりたいという気持ちが強い」という記載もある。一方的に、「家事の量を減らすことを目的とする」のではなく、代替動作や手段を提案して本患者にできることを増やしていくべきである。
3.× 上肢に対する筋力訓練は高負荷で行う優先度は低い。なぜなら、高負荷での筋力トレーニングは関節に負担が大きいため。したがって、筋力強化は低負荷等尺性運動が望ましい。
4.〇 正しい。左母指IP関節にサック型固定装具を作製する。サック型固定装具は、母指Z変形に用いられる。
5.× 疼痛のある時期の手関節のROM訓練は、「他動」ではなく「行わない」方が良い。疼痛の強い関節へのROM訓練は「禁忌」とされているものもある。それでも実施する場合は、「自動運動」で痛みの増悪に注意を払う。

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

 

 

次の文により6、7の問いに答えよ。
 68歳の女性。関節リウマチ。右利き。夫との2人暮らし。肩関節と肘関節とに可動域制限はない。膝関節痛の鎮痛のために座薬を用いている。手関節痛が強いときには夫が家事を行っているが、できるだけ自分でやりたいという気持ちが強い。手指の写真(A)とエックス線写真(B)とを下図に示す。

7 この患者に対する自助具で適切なのはどれか。2つ選べ。

解答3・5

解説

本症例のポイント

・68歳の女性(関節リウマチ)。
・夫との2人暮らし。
・肩関節と肘関節とに可動域制限はない(リーチ制限なし)。
・膝関節痛の鎮痛のために座薬を用いている。
・手関節痛が強いときには夫が家事を行っているが、できるだけ自分でやりたいという気持ちが強い。
・エックス線画像から、右はMP関節尺側偏位、母指のZ変形、示指のIP関節変形が認められる。一方、左は母指・示指・中指のIP関節変形がみられる。

→関節リウマチ患者に対する日常生活の指導は、関節保護の原則に基づき行う。関節保護の原則とは、疼痛を増強するものは避けること、安静と活動のバランスを考慮すること、人的・物的な環境を整備することがあげられる。手を使う諸動作において、手関節や手指への負担が小さくなるように工夫された自助具が求められる。

1.× リーチ制限に対応した座薬挿入器は、主に脊髄損傷患者に適応となる。本症例には肩関節と肘関節の可動域制限がないため、リーチ制限は生じていないと考えられる。
2.× キーボードカバーは、主に小脳障害者など運動失調に適応となる。振戦があっても他のキーに触れずに目的のキーだけを押すことを補助するものである。
3.〇 正しい。ドアオープナーはこの患者に対する自助具で適切である。手指および手関節の負担軽減のために用いられる。
4.× 長柄ブラシは、リーチ制限を代償するための自助具である。
5.〇 正しい。柄に角度のついた包丁はこの患者に対する自助具で適切である。関節リウマチの生じる手の変形に対応する。

 

 

 

45回 午後28

28 関節リウマチ患者の上肢の筋力と関節運動とで正しいのはどれか。

1.鉄アレイを用いて抵抗をかける。
2、抵抗運動は関節内圧を下降させる。
3.等尺性運動によって筋力を維持する。
4.手関節伸展によって手内筋を強化する。
5.関節運動によって関節内温度は低下する。

解答

解説

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

関節保護の原則とは?

関節リウマチ患者に対する日常生活の指導は、関節保護の原則に基づき行う。関節保護の原則とは、疼痛を増強するものは避けること、安静と活動のバランスを考慮すること、人的・物的な環境を整備することがあげられる。変形の進みやすい向きでの荷重がかからないように手を使う諸動作において、手関節や手指への負担が小さくなるように工夫された自助具が求められる。

1.× 鉄アレイを用いて抵抗をかける優先度は低い。なぜなら、鉄アレイを把持すると手の関節に負担が大きいため。また、関節を保護するために低負荷等尺性運動を行う。
2、× 抵抗運動は、関節内圧を「下降させる」のではなく「上昇させる
3.〇 正しい。等尺性運動によって筋力を維持する。なぜなら、関節運動を伴わずに、筋力の維持向上を図れるため。等尺性運動は、関節運動を伴わない筋収縮である。
4.× 手関節伸展によって手内筋を強化する優先度は低い。なぜなら、小関節(手指関節など)は変形・痛みを伴うため。大関節(手・肘・肩関節など)を利用するよう日常生活の指導を実施する。
5.× 関節運動によって関節内温度は「低下する」のではなく「上昇する」。なぜなら、関節運動によって血行循環がよくなるため。

 

 

46回 午前25

25 関節リウマチの活動性を反映する血液検査項目はどれか。

1.CK
2.CRP
3.尿素窒素
4.アミラーゼ
5.アルブミン

解答

解説

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

1.× CK(血清クレアチンキナーゼ)は、筋肉の障害の評価として有用である。心筋炎、心外膜炎、進行性筋ジストロフィー、多発性筋炎などにより上昇する。
2.〇 正しい。CRPは、関節リウマチの活動性を反映する血液検査項目である。関節リウマチでは、赤沈・CRP・リウマトイド因子(RA-F)・抗CCP抗体などが高値となる。
3.× 尿素窒素(BUN)は、腎機能の評価として有用である。高値で急性腎臓病・慢性腎臓病・心不全などが疑われる。
4.× アミラーゼ(Amy)は、膵機能や唾液腺機能の評価として有用である。
5.× アルブミン(Alb)は、栄養状態の評価として有用である。アルブミンは肝臓で合成され、血漿中に最も多く含まれるたんぱく質である。血清アルブミンの血中半減期は、約15~21日であり、2~3週間前の静的栄養状態を示す。

 

 

 

 

 

 

46回 午後6

6 52歳の女性。関節リウマチ。SteinbrockerのステージⅡ、クラス2。日常生活上での手関節と手指との痛みを訴えている。観察された動作を図に示す。
 関節保護の指導をすべき動作はどれか。2つ選べ。

1.カップを持つ
2.茶碗を持つ
3.ビンの蓋をあける
4.フライバンを持つ
5.ポットでお湯を注ぐ

解答4・5

解説

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

関節保護の原則とは?

関節リウマチ患者に対する日常生活の指導は、関節保護の原則に基づき行う。関節保護の原則とは、疼痛を増強するものは避けること、安静と活動のバランスを考慮すること、人的・物的な環境を整備することがあげられる。変形の進みやすい向きでの荷重がかからないように手を使う諸動作において、手関節や手指への負担が小さくなるように工夫された自助具が求められる。

1.〇 両手でカップを持てている。手指関節への過度な負担が少なく行える。
2.〇 手掌全体で茶碗を持てている。手指関節への過度な負担が少なく行える。
3.〇 手掌全体でビンの蓋をあけている。また、左手でピンを支え、右手で蓋を回す(右手は橈側へ動かす)ため、尺側偏位の助長も少なくて済む。
4.× 図のようなフライバンを持つ動作は関節保護の指導をすべき動作である。なぜなら、手関節の尺側偏位の助長を促しているため。両手鍋や両手でフライパンを使用するよう指導する。
5.× 図のようなポットでお湯を注ぐ動作は関節保護の指導をすべき動作である。なぜなら、手関節の尺側偏位の助長を促しているため。両手鍋や両手でフライパンを使用するよう指導する。ポットは、取っ手が上についているものを使用し、両手掌で把持するように指導する。

Steinbrockerの病気分類

【ステージ分類:リウマチの病期】
ステージⅠ:X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態。
ステージⅡ:軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
ステージⅢ:骨・軟骨に破壊が生じた状態。
ステージⅣ:関節が破壊され、動かなくなってしまった状態。

【クラス分類:機能障害度】
クラスⅠ:健康な方とほぼ同様に不自由なく生活や仕事ができる状態。
クラスⅡ:多少の障害はあるが普通の生活ができる状態。
クラスⅢ:身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態。
クラスⅣ:ほとんど寝たきりあるいは車椅子生活で、身の回りのことが自分ではほとんどできない状態。

 

 

 

46回 午後27

27 関節リウマチで障害されにくいのはどれか。

1.手関節
2.肘関節
3.膝関節
4.環軸関節
5.遠位指節間関節

解答

解説

関節リウマチの関節破壊と変形

①環軸椎亜脱臼、②肩関節可動域制限、③肘関節屈曲拘縮、④手関節尺側偏位、⑤手指変形、⑥股関節屈曲拘縮、⑦膝関節内外反変形・屈曲拘縮、⑨足・足趾変形などがある。

1.× 手関節は、尺側偏位となりやすい。尺骨頭が背側脱臼し、疼痛や前腕回外障害、伸筋腱断裂の原因となる。
2.× 肘関節は、屈曲拘縮となりやすい。
3.× 膝関節は、内外反変形・屈曲拘縮となりやすい。
4.× 環軸関節は、亜脱臼となりやすい。関節リウマチの死因としても知られ、頚椎可動域運動を行わないほうが良い。特に、頸部の屈曲は禁忌である。
5.〇 正しい。遠位指節間関節(DIP関節)は、関節リウマチで障害されにくい。DIP関節の変形は、ヘバーデン結節を疑う。

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

 

 

47回 午前8

8 78歳の女性。関節リウマチ。SteinbrockerのステージⅣ、クラス3。右手の写真を下図に示す。中指は写真のような変形をきたしている。数年前、PIP関節の腫れと痛みがあったという。
 この変形の発生機序はどれか。

1.掌側板の緩み
2.手内筋の緊張亢進
3.側索の背側転移
4.中央索の断裂
5.終止腱の断裂

解答

解説

本症例のポイント

・78歳の女性(関節リウマチ)
・SteinbrockerのステージⅣ、クラス3。
ステージⅣ(関節が破壊され、動かなくなってしまった状態)
クラス3(身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態)
・中指:ボタン穴変形。
・数年前:PIP関節の腫れと痛み。

ボタン穴変形(ホール変形)は、MP関節過伸展、PIP関節屈曲、DIP過伸展、中央索の伸長・断裂が起こる。

1.× 掌側板の緩みにより槌指で起こる。槌指では掌側板の損傷が起き、緩みが出ることがある。ちなみに掌側板は、MP・PIP・DIP関節の掌側にある軟骨である。また、槌指変形(マレット指)とは、DIP関節が曲がったまま伸ばせなくなった状態である。手指にも足趾にも見られる。
2.× 手内筋の緊張亢進によりスワンネック変形で起こる。手内筋の緊張亢進によりMP屈曲、PIP過伸展、DIP屈曲位となる。ちなみに、他の要因としては、選択肢3.側索の背側転移やPIP関節の屈筋腱が断裂するなどでも起こる。
3.× 側索の背側転移によりスワンネック変形で起こる。手内筋の拘縮、中手指節(MP)関節掌屈脱臼などにより側索の背側転移が生じることによって、MP屈曲、PIP過伸展、DIP屈曲位となるスワンネック変形が生じる。
4.〇 正しい。中央索の断裂によりボタン穴変形が起こる。なぜなら、側索が掌側へ移動するため。ちなみに、ボタン穴変形は、DIP過伸展・PIP屈曲する変形である。したがって、手の母指には起こらない。
5.× 終止腱(側索の停止部)の断裂により槌指が起こる。槌指変形(マレット指)とは、DIP関節が曲がったまま伸ばせなくなった状態である。手指にも足趾にも見られる。

Steinbrockerの病気分類

Steinbrockerのステージ分類とは、関節リウマチ患者の関節破壊の程度を病期に合わせて分類する方法である。一方、クラス分類とは、関節リウマチの機能障害度をクラス別に分類する方法である。ステージ(クラス)ⅠからⅣの4段階に分類し、進行度を評価する。

【ステージ分類:リウマチの病期】
ステージⅠ:X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態。
ステージⅡ:軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
ステージⅢ:骨・軟骨に破壊が生じた状態。
ステージⅣ:関節が破壊され、動かなくなってしまった状態。

【クラス分類:機能障害度】
クラスⅠ:健康な方とほぼ同様に不自由なく生活や仕事ができる状態。
クラスⅡ:多少の障害はあるが普通の生活ができる状態。
クラスⅢ:身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態。
クラスⅣ:ほとんど寝たきりあるいは車椅子生活で、身の回りのことが自分ではほとんどできない状態。

 

 

 

47回 午前33

33 関節リウマチ患者に対する生活指導で正しいのはどれか。

1.枕は高くする。
2.歩幅は大きくする。
3.手関節は掌屈位を保つ。
4.本は眼の高さに置いて読む。
5.茶碗は指間を拡げて支える。

解答

解説

関節リウマチ患者に対する生活指導

関節リウマチ患者の日常生活・環境整備の指導の目的は、①家庭生活の自立度を向上させ、介助量の軽減を図ること、②関節にかかる過剰な負担をできるだけ避け、骨破壊の進行を防止することである。また、関節リウマチ患者の合併症の一つに、環軸椎亜脱臼がある。

1.× 枕は高くする優先度は低い。なぜなら、枕は高くすると頸椎が屈曲し環軸椎亜脱臼が誘発されやすいため。環軸椎亜脱臼は、頸髄圧迫症状を起こし、ときとして致命的となるため注意が必要である。
2.× あえて歩幅を大きくする必要はない。むしろ、歩幅を大きくすると下肢の関節への負担が増すため小さい方が良い。ちなみに、歩幅とは、一側の踵が接地してから他側の踵が接地するまでの距離を示す。
3.× あえて手関節を掌屈位に保つ必要はない。なぜなら、手関節は掌屈位を保つと、手関節の掌側脱臼を来しやすいため。
4.〇 正しい。本は眼の高さに置いて読む。なぜなら、頸部が中間位となり環軸椎亜脱臼を予防できるため。
5.× 茶碗は指間を拡げて支える必要はない。むしろ、指間を拡げると指の関節に負担がかかるだけでなく亜脱臼を招く恐れがあるため。したがって、茶碗は底を手掌全体で保持するよう指導する。

 

 

 

47回 午後27

27 関節リウマチで炎症が初発する部位はどれか。

1.滑膜
2.靱帯
3.骨膜
4.線維膜
5.関節軟骨

解答

解説

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

1.〇 正しい。滑膜は、関節リウマチで炎症が初発する部位である。関節リウマチは、関節の滑膜を障害する自己免疫性(自分の抗体が自分の滑膜を攻撃する)疾患である。合併症として、間接性肺炎、皮下結節(リウマトイド結節)、シェーグレン症候群(唾液・涙液の減少)が起こる。つまり、滑膜での炎症が主体である。滑膜が増殖し、周りの関節を破壊していく。
2.× 靱帯の炎症は初発部位とはいえない。進行に伴い、靭帯も損傷し亜脱臼や変形が生じる。
3.× 骨膜の炎症は初発部位とはいえない。進行に伴い、骨びらん(骨破壊)がみられる。
4.× 線維膜の炎症は初発部位とはいえない。線維膜は、関節包の外側面に存在する。進行に伴い、線維膜にも変性が生じる
5.× 関節軟骨の炎症は初発部位とはいえない。関節リウマチの組織学的な変化としては、滑膜増殖、血管新生、炎症細胞の浸潤、骨・軟骨の破壊が特徴的である。

Steinbrockerの病気分類

Steinbrockerのステージ分類とは、関節リウマチ患者の関節破壊の程度を病期に合わせて分類する方法である。一方、クラス分類とは、関節リウマチの機能障害度をクラス別に分類する方法である。ステージ(クラス)ⅠからⅣの4段階に分類し、進行度を評価する。

【ステージ分類:リウマチの病期】
ステージⅠ:X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態。
ステージⅡ:軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
ステージⅢ:骨・軟骨に破壊が生じた状態。
ステージⅣ:関節が破壊され、動かなくなってしまった状態。

【クラス分類:機能障害度】
クラスⅠ:健康な方とほぼ同様に不自由なく生活や仕事ができる状態。
クラスⅡ:多少の障害はあるが普通の生活ができる状態。
クラスⅢ:身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態。
クラスⅣ:ほとんど寝たきりあるいは車椅子生活で、身の回りのことが自分ではほとんどできない状態。

 

 

48回 午前8

8 68歳の女性。関節リウマチ。右利き。夫との2人暮らし。肩関節と肘関節に可動域制限はない。膝関節痛の鎮痛のために坐薬を用いている。手関節痛が強いときには夫が家事を行っているが、できるだけ自分でやりたいという気持ちが強い。手指の写真とエックス線写真とを別に示す。
 この患者に対する自助具で適切なのはどれか。2つ選べ。

解答1/5

解説

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

関節保護の原則とは?

関節リウマチ患者に対する日常生活の指導は、関節保護の原則に基づき行う。関節保護の原則とは、疼痛を増強するものは避けること、安静と活動のバランスを考慮すること、人的・物的な環境を整備することがあげられる。変形の進みやすい向きでの荷重がかからないように手を使う諸動作において、手関節や手指への負担が小さくなるように工夫された自助具が求められる。

1.〇 ドアオープナーは、手指および手関節の負担軽減のために用いられる。
2.× キーボードカバーは、運動失調のある患者に用いられる。
3.× リーチ制限に対応した座薬注入器である。本症例にはリーチ制限は生じていない。
4.× 長柄ブラシは、リーチ制限を代償するための自助具である。
5.〇 柄に角度のついた包丁は、関節リウマチの生じる手の変形に対応する。

 

 

 

48回 午後26

26 関節リウマチの検査所見で正しいのはどれか。

1.CRP陽性
2.血清鉄増加
3.赤沈値低値
4.白血球数減少
5.赤血球数増加

解答1

解説

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

1.〇 正しい。CRP陽性は、関節リウマチの検査所見である。関節リウマチの炎症反応によりCRPは上昇する。ちなみに、他にも結核などの感染症、膠原病、心筋梗塞、肝硬変、敗血症、悪性腫瘍などが考えられる。炎症性マーカー(赤沈やCRPなど)の他に、IgG-RFや関節病変で特異的に上昇するMMP-3のマーカーもある。
2.× 血清鉄は増加しない。血清鉄とは、血清中に含まれる鉄分のことである。鉄欠乏性貧血の時に低値となり、溶血性貧血などの赤血球が壊れた際に増加する。
3.× 赤沈値は、低値ではなく高値となる。赤沈は、炎症反応があると亢進する。ちなみに、赤沈(せきちん)とは、赤血球沈降速度のことで、赤血球が試薬内を沈んでいく速度をみる血液検査の1つである。
4.× 白血球数は、減少ではなく増加する。白血球は、体内に侵入してきた異物の侵入を防御する免疫機能を担っている。したがって、炎症があると白血球は上昇する。
5.× 赤血球数は、増加ではなく減少しやすい。なぜなら、関節リウマチでは、しばしば貧血がみられるため。

 

 

 

49回 午前35

35 関節リウマチ患者の日常生活の評価に用いられるのはどれか。

1.Larsen分類
2.Lansbury指数
3.Steinbrockerのclass分類
4.DAS28(disease activity score 28)
5.AIMS(arthritic impact measurement scale)

解答3

解説
1.× Larsen(ラーセン)分類は関節破壊に対するX線を用いたgrade分類であり、日常生活とは関係ない。
2.× Lansbury(ランスバリー)指数は関節リウマチの活動性の指標である。
3.〇 正しい。Steinbrocker(スタインブロッカー)のclass分類は日常生活における機能障害度分類であり、stage分類は病期の分類である。
4.× DAS28(disease activity score 28)は、ヨーロッパのリウマチ学会が作った疾患活動性の指標である。観察対象関節は、肩関節2、肘関節2、手関節2、手指(DIP除く)20、膝関節2で合計28関節を評価する。
5.× AIMS(arthritic impact measurement scale:関節炎影響測定尺度)は患者自身による運動機能評価をすることで健康状態の指標にしている。関節リウマチ患者のQOL評価法として国際的に用いられている。

 

 

49回 午後33

33 関節リウマチの関節保護で適切でないのはどれか。

1.コップの取っ手のみではなくコップ本体を持つ。
2.机の雑巾がけで尺側方向に拭く。
3.広口瓶は手掌で開ける。
4.食器をワゴンで運ぶ。
5.補高便座を使用する。

解答2

解説

 関節リウマチは関節の変形、疼痛をきたす疾患であるため、日常生活上で関節保護が重要になる。上肢では手関節の尺側変位やスワンネック変形などの手指変形が代表的であり、尺側への運動を避ける、手指の関節への負担を軽減させるなど工夫が必要である。 

1.〇 コップの取っ手のみではなくコップ本体を持つ。コップは取っ手の部分に指をかけたりせず、両手で本体を持つことで関節の保護につながる。
2.× 雑巾がけ、布巾がけ動作は、「尺側方向」ではなく橈側方向へ拭くように指導される。なぜなら、尺側方向への運動は手関節の尺側偏位を助長するため。
3.〇 広口瓶は手掌で開ける。こうすることで、指の関節の負担を軽減する。ボトルオープナーなどを用いるとなおよい。尺側変位の予防のため、右手で開け、左手で閉めることが望ましい。
4.〇 食器をワゴンで運ぶ。こうすることで、指先で食器を持つことなどによる関節への負担を軽減できる。
5.〇 補高便座を使用する(座面を高くする)ことで、膝関節などの下肢関節への負担が軽減できる。立ち上がりなど上肢で支持する際は、手指ではなく、前腕部を使う。

 

 

 

51回 午前6

6 52歳の女性。関節リウマチと診断されて3年が経過した。SteinbrockerのステージⅡ、クラス2。日常生活で両手関節の痛みを訴えている。観察された動作を図に示す。
 関節保護の指導が必要な動作はどれか。

解答4

解説

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

関節保護の原則とは?

関節リウマチ患者に対する日常生活の指導は、関節保護の原則に基づき行う。関節保護の原則とは、疼痛を増強するものは避けること、安静と活動のバランスを考慮すること、人的・物的な環境を整備することがあげられる。変形の進みやすい向きでの荷重がかからないように手を使う諸動作において、手関節や手指への負担が小さくなるように工夫された自助具が求められる。

1.× 図のような「カップを持つ」動作は、関節保護できている。なぜなら、両手でカップを持って、特定の関節への過度な負担がなく行えているため。
2.× 図のような「茶碗を持つ」動作は、関節保護できている。なぜなら、茶碗の底を手掌全体で保持し、関節への負担が少ないため。
3.× 図のような「テーブルを拭く」動作は、関節保護できている。なぜなら、手掌と手指全体でテーブルに圧をかけ、台拭きを前後に動かしているため。ちなみに、尺屈・橈屈方向に過度な力がかからないようにする。
4.〇 図のような「フライパンを持つ」動作は、関節保護の指導が必要である。なぜなら、片手でフライパンを持ち、手関節が尺屈している様子がみられるため。この動作は、手関節の尺側偏位を助長する。
5.× 図のような「ポットで水を注ぐ」動作は、関節保護できている。なぜなら、ポットを両手で保持し、特定の関節への負担がかからないため。

Steinbrockerの病気分類

Steinbrockerのステージ分類とは、関節リウマチ患者の関節破壊の程度を病期に合わせて分類する方法である。一方、クラス分類とは、関節リウマチの機能障害度をクラス別に分類する方法である。ステージ(クラス)ⅠからⅣの4段階に分類し、進行度を評価する。

【ステージ分類:リウマチの病期】
ステージⅠ:X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態。
ステージⅡ:軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
ステージⅢ:骨・軟骨に破壊が生じた状態。
ステージⅣ:関節が破壊され、動かなくなってしまった状態。

【クラス分類:機能障害度】
クラスⅠ:健康な方とほぼ同様に不自由なく生活や仕事ができる状態。
クラスⅡ:多少の障害はあるが普通の生活ができる状態。
クラスⅢ:身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態。
クラスⅣ:ほとんど寝たきりあるいは車椅子生活で、身の回りのことが自分ではほとんどできない状態。

 

 

 

53回 午前11

11 72歳の女性。関節リウマチ。SteinbrockerのステージⅢ、クラス3。訪問リハビリテーションを行なっている。最近、新たに後頸部痛と歩きにくさを訴えている。
 この患者への対応として適切でないのはどれか。

1.転倒予防の指導を行う。
2.頸部の可動域運動を行う。
3.調理の際に椅子の使用を勧める。
4.高い枕を用いないよう指導する。
5.柔らかいマットレスを避けるよう指導する。

解答2

解説

本症例のポイント

・72歳の女性(関節リウマチ)
・ステージⅢ:骨・軟骨に破壊が生じた状態。
・クラス3:身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態。
・訪問リハビリテーションを行なっている。
・最近、新たに後頸部痛と歩きにくさを訴えている。

1.〇 正しい。転倒予防の指導を行う。本症例は「新たに後頸部痛と歩きにくさ」を訴えている。転倒により環軸椎亜脱臼を引き起こす可能性が考えられる。環軸椎亜脱臼は、頸髄圧迫症状を起こし、ときとして致命的となるため注意が必要である。
2.× 頸部の可動域運動を行う必要はない(禁忌)。なぜなら、環軸椎亜脱臼を引き起こす可能性が考えられるため。関節可動域運動の目的とは、①非活動性によっておこる拘縮の予防、及び改善。②固有受容器を刺激することによる運動覚、位置覚の再教育。③関節を動かすことによる関節機能の正常化。④肢位の変化による血流の改善。⑤筋の短縮の予防、及び改善。⑥日常生活動作能力の改善(※引用:「ROMエクササイズ」熊本労災病院中央リハビリテーション部より)
3.〇 正しい。調理の際に椅子の使用を勧める。なぜなら、立位での調理は、下を向いての作業が多く、頸部屈曲を強め環軸椎亜脱臼を引き起こす可能性が考えられるため。また、転倒や疲労、関節保護の観点からも、椅子に座っての調理が適している。
4.〇 正しい。高い枕を用いないよう指導する。なぜなら、高めの枕の使用は、頸部屈曲を強め環軸椎亜脱臼を引き起こす可能性が考えられるため。
5.〇 正しい。柔らかいマットレスを避けるよう指導する。なぜなら、柔らかいマットレスは、体幹の沈み込み、頸部だけでなくその他の関節に負担がかかるため。関節リウマチ患者に対する日常生活の指導は、関節保護の原則に基づき行う。関節保護の原則とは、疼痛を増強するものは避けること、安静と活動のバランスを考慮すること、人的・物的な環境を整備することがあげられる。手を使う諸動作において、手関節や手指への負担が小さくなるように工夫された自助具が求められる。

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

Steinbrockerの病気分類

【ステージ分類:リウマチの病期】
ステージⅠ:X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態。
ステージⅡ:軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
ステージⅢ:骨・軟骨に破壊が生じた状態。
ステージⅣ:関節が破壊され、動かなくなってしまった状態。

【クラス分類:機能障害度】
クラスⅠ:健康な方とほぼ同様に不自由なく生活や仕事ができる状態。
クラスⅡ:多少の障害はあるが普通の生活ができる状態。
クラスⅢ:身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態。
クラスⅣ:ほとんど寝たきりあるいは車椅子生活で、身の回りのことが自分ではほとんどできない状態。

 

 

53回 午前33

33 関節リウマチ患者に対してスプリントを用いる目的で誤っているのはどれか。

1.筋力増強
2.動作の補助
3.痛みの軽減
4.炎症の改善
5.関節アライメントの矯正

解答1

解説

関節リウマチにおける一般的なスプリント療法の目的に、①関節を安定させ炎症を抑える(痛みや腫脹の軽減)、②関節のアライメントの矯正(変形の予防、筋出力の促進・効率化)、③術後の保護アプローチなどが挙げられる。

1.× 筋力増強は、スプリント療法の目的に含まれていない。
2~5.× 動作の補助・痛みの軽減・炎症の改善・関節アライメントの矯正は、スプリントを用いる目的である。

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

 

 

 

53回 午後3

3 関節リウマチ患者に選択する用具として適切でないのはどれか。

解答5

解説

関節保護の原則とは?

関節リウマチ患者に対する日常生活の指導は、関節保護の原則に基づき行う。関節保護の原則とは、疼痛を増強するものは避けること、安静と活動のバランスを考慮すること、人的・物的な環境を整備することがあげられる。変形の進みやすい向きでの荷重がかからないように手を使う諸動作において、手関節や手指への負担が小さくなるように工夫された自助具が求められる。

1.〇 長柄ブラシは、肩・肘関節などの可動域制限によるリーチ制限を代償するための自助具である。
2.〇 台付き爪切りは、関節リウマチによる手指変形の場合や握力低下時でも弱い力で切れる爪切りである。他にも、両側上肢の切断などの患者に適応となる。
3.〇 プラットフォーム杖とは、前腕支持部のついた杖のことである。リウマチなどの手指、手関節に大きな負荷がかけられない場合や肘関節に伸展制限がある場合などに使用する。
4.〇 グリップ包丁は、ユニバーサルデザインで作られたため、関節リウマチ患者でも使用できる。
5.× 適切ではない。マウススティックは、利用者の口腔機能に合わせてストレートの棒状のものや口に含む部分がU型になっているものがある。頸髄損傷などにより首から下の機能を失った場合、パソコン入力などができ、生活の質の向上につながる。関節リウマチ患者には一般に用いられない。

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

 

 

 

54回 午後7

7 63歳の女性。主婦。関節リウマチ。発症後半年が経過した。SteinbrockerのステージⅡ、クラス2。料理など家事全般を好み、熱心に行ってきた。立ち仕事が多く、最近膝痛が出現した。
 この患者に対する作業療法の留意点で適切なのはどれか。

1. 膝伸展固定装具を装着する。
2. 片手でフライパンを使うよう指導する。
3. 家事は一度にまとめて行うよう指導する。
4. 筋力強化は等尺性収縮運動を中心に行う。
5. 関節可動域訓練は最終域感を超えるようにする。

解答

解説

本症例のポイント

・63歳の女性(主婦、関節リウマチ)。
・発症後半年が経過:SteinbrockerのステージⅡ(軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態)、クラス2(多少の障害はあるが普通の生活ができる状態)。
・料理など家事全般を好み、熱心に行ってきた。
・立ち仕事が多く、最近膝痛が出現した。
→関節リウマチ患者に対する日常生活の指導は、関節保護の原則に基づき行う。関節保護の原則とは、疼痛を増強するものは避けること、安静と活動のバランスを考慮すること、人的・物的な環境を整備することがあげられる。手を使う諸動作において、手関節や手指への負担が小さくなるように工夫された自助具が求められる。

1.× 膝伸展固定装具を装着するのは、不適切である。膝伸展位で固定した場合、歩行中の接地の衝撃を膝で吸収できなくなり膝への負担が増す可能性がある。関節の負担軽減・保護を重要視するべきである。膝伸展固定装具を装着するのは、膝伸展筋力が低下し、膝折れが生じやすい場合である。
2.× 片手でフライパンを持つことは、手指や手関節に負担がかかる。 両手で持つのが適切で、両手鍋の利用が良い。
3.× 家事は一度にまとめて行うより、分けて行うよう指導する。関節の負担軽減や易疲労性を考慮するため。
4.〇 正しい。筋力強化は等尺性収縮運動を中心に行う。等尺性収縮運動は、関節運動がないため、関節にかかる負担が低く適している。
5.× 関節可動域訓練は最終域感を超えるようにすれば、関節に負担がかかるため不適当である。

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

Steinbrockerの病気分類

【ステージ分類:リウマチの病期】
ステージⅠ:X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態。
ステージⅡ:軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
ステージⅢ:骨・軟骨に破壊が生じた状態。
ステージⅣ:関節が破壊され、動かなくなってしまった状態。

【クラス分類:機能障害度】
クラスⅠ:健康な方とほぼ同様に不自由なく生活や仕事ができる状態。
クラスⅡ:多少の障害はあるが普通の生活ができる状態。
クラスⅢ:身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態。
クラスⅣ:ほとんど寝たきりあるいは車椅子生活で、身の回りのことが自分ではほとんどできない状態。

 

 

55回 午前5

5 関節リウマチにみられる手指関節の変形を図に示す。
 番号と変形の組合せで正しいのはどれか。

1. ①:ダックネック変形
2. ②:槌指変形
3. ③:鷲爪指変形
4. ④:ボタン穴変形
5. ⑤:スワンネック変形

解答1

解説
1.〇 正しい。①は、ダックネック変形(あひるのくび変形、Z変形)である。MP関節屈曲、IP関節が過伸展する。
2.× ②は、「槌指変形」ではなく鷲手(内在筋マイナス位)の手指様である。MP関節過伸展、PIP・DIP関節の屈曲がみられる。ちなみに、槌指変形(マレット指)とは、DIP関節が曲がったまま伸ばせなくなった状態である。手指にも足趾にも見られる。
3.× ③は、「鷲爪指変形」ではなくスワンネック変形である。MP関節屈曲、PIP関節過伸展、DIP関節が屈曲変形となる。ちなみに、鷲爪指変形は、MP関節過伸展、PIP・DIP関節の屈曲がみられる。
4.× ④は、「ボタン穴変形」ではなく槌指変形である。DIP関節の屈曲拘縮を来す。ちなみに、ボタン穴変形は、PIP関節が屈曲し、DIP関節が過伸展する。
5.× ⑤:「スワンネック変形」ではなくボタン穴変形(ホール変形)である。PIP関節が屈曲し、DIP関節が過伸展する。ちなみに、スワンネック変形は、MP関節屈曲、PIP関節過伸展、DIP関節が屈曲変形となる。

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

 

 

 

55回 午前29

29 関節リウマチ患者の動作と自助具の組合せで正しいのはどれか。

1. 靴下を脱ぐ:ソックスエイド
2. ドアの開閉:ドアノブレバー
3. タオルをしぼる:ループ付きタオル
4. 瓶の蓋を開ける:マジックハンド
5. キーボード操作:キーボードカバー

解答2

解説
1.× ソックスエイドは、靴下を「脱ぐため」ではなく靴下を履くために使用する。
2.〇 正しい。ドアノブレバーは、ドアの開閉に使用する。手指関節の負担を軽減するために軽い力でドアノブを回すことができる。
3.× ループ付きタオルは、「タオルをしぼる」のではなく、上肢・手指に可動域制限があっても洗体が容易になるものである。ループ付きタオルはタオルの両端に輪がついており、タオルを握ることが不要で使用できる。ちなみに、関節に負担がかからないようにタオルを絞るときは、蛇口にひっかけて行うよう指導することが多い。
4.× マジックハンドは、「瓶の蓋を開ける」のではなく、手の届かないところの物を取ったり、引き寄せたりするときに使用する。ちなみに、瓶の蓋を開けるときは、ボトルオープナーを使用する。 
5.× キーボードカバーは、キーボード操作に使用するが、対象疾患は「関節リウマチ」ではなく、運動失調患者に用いる。主に、目的のキーを(他のキーに触れてしまうなどで)正確に押せなかったり、キーボードに乗りかかってしまう人などがその適応となる。ちなみに、関節リウマチ(手関節の痛み・拘縮)には、キーボード用のリストレストが有用である。

 

 

 

 

55回 午後8

8 58歳の女性。関節リウマチ。SteinbrockerのステージⅣ、クラス3。左手の写真を下図に示す。
 使用する装具で正しいのはどれか。

1. ナックルベンダー
2. Oppenheimer型装具
3. IP関節伸展補助指装具
4. タウメル継手式手関節装具
5. PEライト製手関節軟性装具

解答5

解説

本症例のポイント

本症例は、①尺側偏位、②母指のZ変形、③中指から小指PIP関節の屈曲拘縮がみられる。
SteinbrockerステージⅣ(関節が破壊され、動かなくなってしまった状態)、クラス3(身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態)である。
→それら考慮しながらADLを維持するための装具を選択する。

1.× ナックルベンダー(MP関節屈曲装具)は、尺骨神経麻痺に適応となる。MP関節を屈曲位(背屈位)に矯正する。
2.× Oppenheimer 型装具(オッペンハイマー型装具)は、橈骨神経麻痺に適応となる。手関節背屈位、MP伸展位、母指外転位に保持する。
3.× IP関節伸展補助指装具は、ボタン穴変形の予防・矯正に用いられる。本症例では、ボタン穴変形が起こっておらず、母指IPは過伸展しており伸展補助は不要である。
4.× タウメル継手式手関節装具は適応ではない。なぜなら、本症例は、SteinbrockerのステージIV(関節が破壊され、動かなくなってしまった状態)であるため。タウメル継手は、関節可動域制限がある関節に利用される継手である。膝や肘などの関節拘縮の改善に利用される。
5.〇 正しい。PEライト製手関節軟性装具を使用する。PEライトとは、ポリエチレンフォームという比較的あたりの柔らかく変形力のある弾性樹脂である。手関節軟性装具により手関節の痛みや変形・動揺を予防する。

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

Steinbrockerの病気分類

【ステージ分類:リウマチの病期】
ステージⅠ:X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態。
ステージⅡ:軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
ステージⅢ:骨・軟骨に破壊が生じた状態。
ステージⅣ:関節が破壊され、動かなくなってしまった状態。

【クラス分類:機能障害度】
クラスⅠ:健康な方とほぼ同様に不自由なく生活や仕事ができる状態。
クラスⅡ:多少の障害はあるが普通の生活ができる状態。
クラスⅢ:身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態。
クラスⅣ:ほとんど寝たきりあるいは車椅子生活で、身の回りのことが自分ではほとんどできない状態。

 

 

56回 午後7

7 58歳の女性。関節リウマチ。SteinbrockerのstageⅡ、class2。この患者の日常生活活動を下図に示す。
 正しいのはどれか。

解答2

解説

本症例のポイント

①ステージⅡ:軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
②クラスⅡ:多少の障害はあるが普通の生活ができる状態。
③関節リウマチは、関節保護の原則を用い、手指など小さな関節に負荷をかけない、関節にかかる力を分散させる、変形の進みやすい向きでの荷重をかけない、などのように関節を保護した日常生活活動を送るように指導する。

1.× ①瓶の蓋の開閉する場合は、ボトルオープナーを使用する。ボトルオープナーがない場合は、手指関節に負担がかからないよう手掌全体を使い開ける。
2.〇 正しい。②椀を保持する場合は、手掌全体で保持する。関節の負担を最小限にできる。
3.× ③雑巾を絞る場合は、蛇口などにかけ、両手を使い絞る。
4.× ④はさみを開閉する場合は、カスタネットばさみなどを使用する。ちなみに、カスタネットばさみとは、テーブルの上に置いて上から押すだけで使えるはさみのことである。関節の負担を最小限にできる。
5.× ⑤ポットを持つ場合は、両手で保持し、特定の関節へ負担がかからないようにする。

Steinbrockerの病気分類

【ステージ分類:リウマチの病期】
ステージⅠ:X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態。
ステージⅡ:軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
ステージⅢ:骨・軟骨に破壊が生じた状態。
ステージⅣ:関節が破壊され、動かなくなってしまった状態。

【クラス分類:機能障害度】
クラスⅠ:健康な方とほぼ同様に不自由なく生活や仕事ができる状態。
クラスⅡ:多少の障害はあるが普通の生活ができる状態。
クラスⅢ:身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態。
クラスⅣ:ほとんど寝たきりあるいは車椅子生活で、身の回りのことが自分ではほとんどできない状態。

 

 

 

 

57回 午後7

7 60歳の女性。関節リウマチ。SteinbrockerのステージⅡ、クラス2。この患者の日常生活場面を下に示す。
 関節保護の指導をすべき動作はどれか。

1.①鍋を持つ
2.②お茶を注ぐ
3.③荷物を持つ
4.④材料をかき混ぜる
5.⑤椅子から立ち上がる

解答

解説

本症例のポイント

①ステージⅡ:軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
②クラスⅡ:多少の障害はあるが普通の生活ができる状態。
③関節リウマチは、関節保護の原則を用い、手指など小さな関節に負荷をかけない、関節にかかる力を分散させる、変形の進みやすい向きでの荷重をかけない、などのように関節を保護した日常生活活動を送るように指導する。

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

1.〇 ①鍋を持つ際は、写真のように両手鍋(両手)を使用する。片手でフライパンを持つことは、手指や手関節に負担がかかるため控えたほうが良い。 
2.〇 ②お茶を注ぐ際は、写真のように両手を使用する。片手で急須の蓋を押さえながら注ぐことは、手指や手関節に負担がかかるため控えたほうが良い。 
3.〇 ③荷物を持つ際は、写真のように前腕にかける。手指を握って行うことは、手指や手関節に負担がかかるため控えたほうが良い。 
4.〇 ④材料をかき混ぜる際は、写真のように電動ミキサーを使用する。手動は、手指や手関節に負担がかかるため控えたほうが良い。 
5.× 関節保護の指導をすべき動作である。写真の⑤椅子から立ち上がる動作(プッシュアップ動作)は、手指や手関節に負担がかかるため控えたほうが良い。 椅子から立ち上がる際は、座面を高くするため補高マットを敷く。

Steinbrockerの病気分類

【ステージ分類:リウマチの病期】
ステージⅠ:X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態。
ステージⅡ:軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
ステージⅢ:骨・軟骨に破壊が生じた状態。
ステージⅣ:関節が破壊され、動かなくなってしまった状態。

【クラス分類:機能障害度】
クラスⅠ:健康な方とほぼ同様に不自由なく生活や仕事ができる状態。
クラスⅡ:多少の障害はあるが普通の生活ができる状態。
クラスⅢ:身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態。
クラスⅣ:ほとんど寝たきりあるいは車椅子生活で、身の回りのことが自分ではほとんどできない状態。

 

 

 

 

57回 午前31

31 関節リウマチの手指にみられる変形のうち、足指にもみられるのはどれか。

1.Z変形
2.マレット指
3.ボタン穴変形
4.オペラグラス変形
5.スワンネック変形

解答

解説

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

1.× Z変形(ダックネック変形、あひるのくび変形)は、MP関節屈曲、IP関節が過伸展する。
2.〇 正しい。マレット指は、手指・足指にみられる。槌指変形(マレット指)とは、DIP関節が曲がったまま伸ばせなくなった状態である。
3.× ボタン穴変形(ホール変形)は、MP関節過伸展、PIP関節屈曲、DIP過伸展、中央索の伸長・断裂が起こる。
4.× オペラグラス変形(ムチランス変形)は、中手骨や指節骨の吸収により指が短縮する変形をいう。
5.× スワンネック変形は、MP関節屈曲、PIP関節過伸展、DIP関節屈曲する変形をいう。

 

 

57回 午後28

28 関節リウマチについて正しいのはどれか。

1.渦流浴は禁忌である。
2.家事の実施は午前中が良い。
3.疼痛の特徴として圧痛がある。
4.疼痛に対して装具は使用しない。
5.非ステロイド性抗炎症薬で疼痛は軽減しない。

解答

解説

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

1.× 渦流浴(温熱療法)は、禁忌ではない。温熱療法により、こわばりや心理的な安定を図り疼痛の軽減につながる。ちなみに、温熱療法の禁忌は、①急性炎症、②悪性腫瘍、③感覚障害と意識障害、④出血傾向、⑤循環障害・動脈硬化などである。
2.× 家事の実施は、午前中より「午後」が良い。なぜなら、朝、起きたとき(午前中)は、朝のこわばりがみられるため。この関節の動かしにくさを感じることが多い。
3.〇 正しい。疼痛の特徴として圧痛がある。関節リウマチの活動性の指標を評価するものとして、DAS28(disease activity score 28)があげられる。これは、①圧痛関節数、②腫脹関節数、③赤血球沈降速度、④全般的健康状態を評価する。観察対象関節は、肩関節2、肘関節2、手関節2、手指(DIP除く)20、膝関節2で、合計28関節を評価する。
4.× 疼痛に対して装具は使用する。なぜなら、関節保護の観点のため。手関節手指固定装具(オッペンハイマー型)の適応疾患は、関節リウマチや痙性麻痺手、橈骨神経麻痺の下垂手の際に用いる。オッペンハイマー型の特徴としては、MP関節の伸展補助機能がある。
5.× 非ステロイド性抗炎症薬で疼痛は軽減する。非ステロイド性抗炎症薬<NSAIDs>は、炎症などを引き起こすプロスタグランジンの生成を抑え、抗炎症作用や解熱、鎮痛に働く。副作用として、消化器症状(腹痛、吐き気、食欲不振、消化性潰瘍)、ぜんそく発作、腎機能障害が認められる。したがって、非ステロイド性抗炎症薬が効果的であるのは、侵害受容性疼痛である。

 

 

 

 

58回 午前37

37 関節リウマチ患者の日常生活の評価に用いられるのはどれか。

1.DAS28
2.Larsen分類
3.Lansbury指数
4.Steinbrockerのclass分類
5.AIMS(Arthritis Impact Measurement Scale)

解答

解説
1.× DAS28(disease activity score 28)は、関節リウマチの活動性の指標である。観察対象関節は、肩関節2、肘関節2、手関節2、手指(DIP除く)20、膝関節2で、合計28関節を評価する。
2.× Larsen分類(ラーセン分類)は、関節破壊に対するX線を用いたgrade分類である。
3.× Lansbury指数(ランスバリー指数)は、関節リウマチの活動性の指標である。
4.〇 正しい。Steinbrockerのclass分類は、関節リウマチ患者の日常生活の評価に用いられる。class分類は日常生活における機能障害度分類、stage分類は病期の分類である。
5.× AIMS(Arthritis Impact Measurement Scale:関節炎影響測定尺度)は、関節リウマチ患者自身による運動機能評価である。ADL関連6指標と社会活動、痛み、仕事など6指標の計12指標をアンケートでの自己記入により解答する。QOLの評価法として国際的に用いられている。

Steinbrockerの病気分類

【ステージ分類:リウマチの病期】
ステージⅠ:X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態。
ステージⅡ:軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
ステージⅢ:骨・軟骨に破壊が生じた状態。
ステージⅣ:関節が破壊され、動かなくなってしまった状態。

【クラス分類:機能障害度】
クラスⅠ:健康な方とほぼ同様に不自由なく生活や仕事ができる状態。
クラスⅡ:多少の障害はあるが普通の生活ができる状態。
クラスⅢ:身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態。
クラスⅣ:ほとんど寝たきりあるいは車椅子生活で、身の回りのことが自分ではほとんどできない状態。

 

 

 

 

59回 午前36

36 関節リウマチ患者の日常生活の評価に用いられるのはどれか。

1.Larsen分類
2.Lansbury指数
3.Steinbrockerのクラス分類
4.DAS28〈disease activity score 28〉
5.AIMS〈Arthritis Impact Measurement Scale〉

解答

解説
1.× Larsen分類(ラーセン分類)は、関節破壊に対するX線を用いたgrade分類である。
2.× Lansbury指数(ランスバリー指数)は、関節リウマチの活動性の指標である。
3.〇 正しい。Steinbrockerのクラス分類は、関節リウマチ患者の日常生活の評価に用いられる。class分類は日常生活における機能障害度分類、stage分類は病期の分類である。
4.× DAS28〈disease activity score 28〉は、関節リウマチの活動性の指標である。観察対象関節は、肩関節2、肘関節2、手関節2、手指(DIP除く)20、膝関節2で、合計28関節を評価する。
5.× AIMS〈Arthritis Impact Measurement Scale:関節炎影響測定尺度〉は、関節リウマチ患者自身による運動機能評価である。ADL関連6指標と社会活動、痛み、仕事など6指標の計12指標をアンケートでの自己記入により解答する。QOLの評価法として国際的に用いられている。

Steinbrockerの病気分類

【ステージ分類:リウマチの病期】
ステージⅠ:X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態。
ステージⅡ:軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
ステージⅢ:骨・軟骨に破壊が生じた状態。
ステージⅣ:関節が破壊され、動かなくなってしまった状態。

【クラス分類:機能障害度】
クラスⅠ:健康な方とほぼ同様に不自由なく生活や仕事ができる状態。
クラスⅡ:多少の障害はあるが普通の生活ができる状態。
クラスⅢ:身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態。
クラスⅣ:ほとんど寝たきりあるいは車椅子生活で、身の回りのことが自分ではほとんどできない状態。

 

 

59回 午後13

13 56歳の女性。4年前に関節リウマチと診断された。Steinbrockerのステージ3、クラス3。趣味は料理、手芸および絵画で活動への意欲は高い。両肩関節と両股関節の可動域制限は著明であり、起き上がりが困難である。後頸部と両膝の痛みを訴えている。
 作業療法で適切なのはどれか。

1.趣味活動の絵画は中止する。
2.柔らかいマットレスの導入を勧める。
3.高さのある枕を使用するように勧める。
4.等張性収縮を利用した上肢の筋力維持を図る。
5.料理の際は座面の高い椅子を使用するように勧める。

解答

解説

本症例のポイント

・56歳の女性(4年前:関節リウマチ)。
・Steinbrockerのステージ3、クラス3。
・趣味:料理、手芸、絵画(活動への意欲は高い)。
・両肩関節と両股関節の可動域制限:著明
・起き上がり:困難。
後頸部両膝の痛みを訴えている。
→関節リウマチ患者に対する日常生活の指導は、関節保護の原則に基づき行う。関節保護の原則とは、疼痛を増強するものは避けること、安静と活動のバランスを考慮すること、人的・物的な環境を整備することがあげられる。変形の進みやすい向きでの荷重がかからないように手を使う諸動作において、手関節や手指への負担が小さくなるように工夫された自助具が求められる。関節保護法の基本として「小さな関節より大きな関節を使う、小さな筋肉より大きな筋肉を使う」ことが挙げられる。大関節は、肩関節、肘関節、股関節、膝関節を指す。一方、小関節は、指やMP関節、足趾のことをいうことが多い。例えば、買い物袋であれば、指で握るよりは前腕にかけた方が良く、片手鍋よりも両手鍋を使用する方が望ましい。変形の進みやすい向きでの荷重がかからないように手を使う諸動作において、手関節や手指への負担が小さくなるように工夫された自助具が求められる。

1.× 趣味活動の絵画は中止する優先度は低い。なぜなら、活動への意欲は高いため。変形が進みやすく痛みがあるようなら、手関節や手指への負担が小さくなるように工夫された自助具を提供し、できる限り活動量の維持に努める。
2.× 柔らかいマットレスの導入を勧める優先度は低い。なぜなら、なぜなら、柔らかいマットレスは、体幹の沈み込み、頸部だけでなくその他の関節に負担がかかるため。
3.× 高さのある枕を使用するように勧める優先度は低い。なぜなら、高めの枕の使用は、頸部屈曲が強まり、環軸椎亜脱臼を引き起こす可能性が考えられるため。
4.× 「等張性収縮」ではなく等尺性収縮を利用した上肢の筋力維持を図る。等尺性収縮運動は、関節運動がないため、関節にかかる負担が低く適している。
5.〇 正しい。料理の際は座面の高い椅子を使用するように勧める。なぜなら、座面が高い椅子は、股・膝関節にも負担がかかりにくく、本症例の趣味である料理を続けられるきっかけともなるため。

Steinbrockerの病気分類

Steinbrockerのステージ分類とは、関節リウマチ患者の関節破壊の程度を病期に合わせて分類する方法である。一方、クラス分類とは、関節リウマチの機能障害度をクラス別に分類する方法である。ステージ(クラス)ⅠからⅣの4段階に分類し、進行度を評価する。

【ステージ分類:リウマチの病期】
ステージⅠ:X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態。
ステージⅡ:軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
ステージⅢ:骨・軟骨に破壊が生じた状態。
ステージⅣ:関節が破壊され、動かなくなってしまった状態。

【クラス分類:機能障害度】
クラスⅠ:健康な方とほぼ同様に不自由なく生活や仕事ができる状態。
クラスⅡ:多少の障害はあるが普通の生活ができる状態。
クラスⅢ:身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態。
クラスⅣ:ほとんど寝たきりあるいは車椅子生活で、身の回りのことが自分ではほとんどできない状態。

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

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