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96 アルコール依存症で正しいのはどれか。
1.抑うつが併存することが多い。
2.飲酒行動の多様性は維持される。
3.振戦せん妄では見当識は保たれる。
4.病気の進行に伴い、以前より少ない量で酩酊するようになる。
5.離脱の早期症候群は飲酒中止後72時間前後にみられることが多い。
解答1
解説
アルコール依存症とは、少量の飲酒でも、自分の意志では止めることができず、連続飲酒状態のことである。常にアルコールに酔った状態でないとすまなくなり、飲み始めると自分の意志で止めることができない状態である。最終飲酒後72時間頃までに症状が最も激しくなるのは、アルコール離脱症状である。
【合併しやすい病状】
①離脱症状
②アルコール幻覚症
③アルコール性妄想障害(アルコール性嫉妬妄想)
④健忘症候群(Korsakoff症候群)
⑤児遺性・遅発性精神病性障害 など
1.〇 正しい。抑うつが併存することが多い。なぜなら、アルコールは、脳の働きや睡眠を乱し、気分を調整する仕組みを弱めるため、抑うつを招きやすい。さらに、つらさを紛らわすために飲酒が増える悪循環が起こり、両者は併存しやすい。
2.× 飲酒行動の多様性は、「維持」ではなく減弱される。つまり、飲酒行動はむしろ常同化・固定化しやすい。なぜなら、自分の意志では止めることができないため。したがって、多様に行動を選べる状態とはいえない。
・飲酒行動とは、いつ、どこで、誰と、何を、どれだけ、どのような理由で飲むかという飲み方全体である。酒の種類、量、頻度、時間帯、場面、目的の選び方まで含む概念である。
3.× 振戦せん妄では見当識は、「保たれる」ではなく障害される。なぜなら、振戦せん妄は、せん妄(※解説下参照)であり、意識変容や見当識障害を伴うため。
・振戦せん妄とは、アルコール断酒後に起こる離脱症状の一つである。断酒2~3日後には、振戦せん妄が生じる。
4.× 病気の進行に伴い、以前より「少ない」ではなく多い量で酩酊するようになる。なぜなら、慢性的飲酒により耐性が形成されるため。慢性飲酒では中枢神経がアルコールに適応し、以前と同じ量では酔いにくくなる。
5.× 離脱の早期症候群は、飲酒中止後、「72時間前後」ではなく20時間前後にみられることが多い。
・離脱症状とは、飲酒中止後に生じ、精神的、肉体的な症状を呈する。最終飲酒から数時間後から出現し、20時間後にピークを迎える早期離脱症候群(振戦、自律神経症状、発汗、悪心・嘔吐、けいれん、一過性の幻覚)と最終飲酒後72時間頃から生じ数日間持続する後期離脱症候群(早期離脱症状に加え意識変容を呈したもの、振戦せん妄といわれる。小動物幻視や日頃やり慣れた動作、例えば運転動作を繰り返す、夜間に目立つ)に分けられる。
せん妄とは、疾患や全身疾患・外因性物質などによって出現する軽度~中等度の意識障害であり、睡眠障害や興奮・幻覚などが加わった状態をいう。高齢者は薬剤によってせん妄が引き起こされる場合も多い。
【原因】脳疾患、心疾患、脱水、感染症、手術などに伴って起こることが多い。他にも、心理的因子、薬物、環境にも起因する。
【症状】
①意識がぼんやりする。
②その場にそぐわない行動をする。
③夜間に起こることが多い。 (夜間せん妄)
④通常は数日から1週間でよくなる。
【主な予防方法】
①術前の十分な説明や家族との面会などで手術の不安を取り除く。
②昼間の働きかけを多くし、睡眠・覚醒リズムの調整をする。
③術後早期からの離床を促し、リハビリテーションを行う。
97 水俣病の原因物質はどれか。
1.カドミウム
2.鉛
3.マンガン
4.有機水銀
5.有機リン
解答4
解説
有機水銀は特に胎児の中枢神経の発達に影響を及ぼすとされている。妊婦、幼児、近く妊娠を予定されている方は、有機水銀濃度が高い水産物を主菜とする料理を週1回以内(合計で週におおむね50~100g程度以下)にすることをお勧めしている。主に多くの有機水銀が含まれるものとして、マグロ類(マグロ、カジキ)、サメ類、深海魚類(キンメダイ、ムツ、ウスメバルなど)、鯨類(鯨、イルカ)などがあげられる。ちなみに、サンマ、イワシ、サバなどは、一般的に有機水銀濃度が低い水産物であるため、控える必要はない。
①四日市喘息(三重県):主に亜硫酸ガスによる大気汚染を原因。
②新潟水俣病:有機水銀(メチル水銀)による水質汚染や底質汚染を原因。
③イタイイタイ病(富山県):カドミウムによる水質汚染を原因
④熊本水俣病:有機水銀(メチル水銀)による水質汚染や底質汚染を原因
1.× カドミウムは、イタイイタイ病の原因となる。水質汚染や土壌汚染が問題となった。腎機能障害を起こし、カルシウム吸収が障害されて、骨が脆くなり骨折しやすくなる。
2.× 鉛中毒は、神経障害や貧血、腹痛などを起こす。主な原因として、鉛を含む粉じんの吸い込みや鉛で汚染された水・土壌・塗料片などを口から取り込むことである。
3.× マンガン中毒は、錐体外路症状(パーキンソン様の症状)などを起こしうる。主な原因として、鉛を含む粉じんの吸い込み、特に鉱山、精錬、合金製造、溶接、電池製造などの職場で起こりやすい。
4.〇 正しい。有機水銀は、水俣病の原因物質である。
・水俣病とは、魚介類に蓄積された有機水銀を長期、大量に経口摂取することによって起こる神経系の疾患である。水俣病には、後天性と先天性(胎児性)があり、後天性水俣病の主要症状は、求心性視野狭さく、運動失調、難聴及び知覚障害である。また、胎児性水俣病は、知能発育障害、言語発育障害、咀嚼嚥下障害、運動機能障害、流涎等の脳性小児マヒ様の症状を呈する。
5.× 有機リン中毒は、アセチルコリンエステラーゼ阻害によって副交感神経症状(縮瞳、流涎、発汗、気管支分泌亢進、下痢、徐脈など)がみられる。主に、農薬中毒の原因物質である。
98 自閉スペクトラム症〈自閉症スペクトラム障害〉を強く示唆する患者の発言はどれか。
1.「発作が起こるのが心配で長距離の移動ができません」
2.「ガスの元栓を閉めたか、何度も確認しないと気がすみません」
3.「何をしても現実感がなく、まるで映画の中の世界にいるようです」
4.「突然の予定変更があると臨機応変に対応できず、感情が激しく乱れます」
5.「人前では緊張して思うように話せないので、親友に頼まれた結婚式のスピーチを断りました」
解答4
解説
自閉症スペクトラム障害とは、正常な社会的関係を構築することができず、言葉の使い方に異常がみられるか、まったく言葉を使おうとせず、強迫的な行動や儀式的な行動がみられる病気である。 自閉スペクトラム症の患者は、他者とコミュニケーションをとったり関係をもったりすることが苦手である特徴を持つ。
広汎性発達障害(自閉スペクトラム障害)とは、相互的な社会関係とコミュニケーションのパターンの障害、および限局・常同・反復的な行動パターンがあげられる。生後5年以内に明らかとなる一群の障害である。通常は精神遅滞を伴う。広汎性発達障害、およびその下位分類である自閉症、アスペルガー症候群、高機能自閉症は、「自閉スペクトラム症」とまとめられた。
【診断基準の要点】
①「社会及び感情の相互性の障害」「社会的相互作用で用いられる非言語的コミュニケーションの障害」「発達レベル相応の関係を築き維持することの障害」の3つがすべて込められること。
②行動、興味活動の、限局的で反復的な様式が認められること。
1.× 「発作が起こるのが心配で長距離の移動ができません」という発言は、パニック症や広場恐怖が疑われる。
・パニック障害とは、誘因なく突然予期せぬパニック発作(動悸、発汗、頻脈などの自律神経症状、狂乱・死に対する恐怖など)が反復して生じる状態をいう。また発作が起こるのではないかという予期不安を認め、しばしば広場恐怖を伴う。治療として、①SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、②抗不安薬、③認知行動療法(セルフコントロール)などである。
2.× 「ガスの元栓を閉めたか、何度も確認しないと気がすみません」という発言は、強迫性障害が疑われる。
・強迫性障害とは、自分の意志に反する不合理な観念(強迫観念)にとらわれ、それを打ち消すために不合理な行動(強迫行為)を繰り返す状態をいう。治療として、①SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、②森田療法、③認知行動療法などである。作業療法では、他のことに目を向けさせることによりこだわりを軽減することを目的とする。
3.× 「何をしても現実感がなく、まるで映画の中の世界にいるようです」という発言は、離人感である。離人は、①解離性障害、②パーソナリティ障害、③うつ病、④初期の統合失調症など広い範囲の疾患でみられる。
・離人感とは、自分の存在・身体感覚・行為に対する実感や、外界に対する現実感がなくなることをいう。「外の世界と自分との間にベールがあるような感じ」と表現されることが多い。
4.〇 正しい。「突然の予定変更があると臨機応変に対応できず、感情が激しく乱れます」と自閉スペクトラム症を強く示唆する患者の発言である。なぜなら、自閉スペクトラム症では、「同じであることへの強いこだわり」、予定変更への強い苦手さ、移行の困難、小さな変化への強い動揺が中核症状として重視されるため。
5.× 「人前では緊張して思うように話せないので、親友に頼まれた結婚式のスピーチを断りました」という発言は、社交不安障害が疑われる。
・社交不安障害とは、人から注目を浴びるような状況に対して、過度な恐怖や不安を感じてしまう病気である。
99 ACTで正しいのはどれか。2つ選べ。
1.日中に限定した支援を行う。
2.精神障害が軽度な患者が対象である。
3.チームでのケアマネジメントを行う。
4.短時間であっても頻回に利用者への訪問を行う。
5.スタッフ1人当たりの受持患者数を25人程度に抑えることが推奨される。
解答3・4
解説
ACT(Assertive Community Treatment:包括型地域生活支援プログラム)は、精神障害のある人が地域で生活できるように多職種で行う支援である。重い精神障害を抱えた人が住みなれた場所で安心して暮らしていけるように、様々な職種の専門家から構成されるチームが支援を提供するプログラムである。重度の精神障害をもった人が地域社会の中で生活を送ることができるよう精神科医・看護師・精神保健福祉士・作業療法士など多職種が医療チームをつくり、精神障害者が地域で生活できるように365日24時間体制で支援する仕組みである。訪問が支援活動の中心である。
1.× 「日中に限定した」ではなく365日24時間、支援を行う。
2.× 精神障害が、「軽度」ではなく比較的重度な患者が対象である。なぜなら、重度の精神障害の患者は、既存の地域精神保健サービスでは十分な恩恵を得ることが難しいため。
3.〇 正しい。チームでのケアマネジメントを行う。多職種によって構成されたチームによりサービスを提供する。
4.〇 正しい。短時間であっても頻回に利用者への訪問を行う。なぜなら、ACTは地域での頻回・柔軟・実地的な接触を重視するモデルであるため。必要に応じて、短い接触であっても重ねながら支援する。
5.× スタッフ1人当たりの受持患者数を「25人程度」ではなく10人程度に抑えることが推奨される。なぜなら、1人で25人を抱えると、ACTの特徴である頻回訪問、柔軟な危機介入、チーム全体での手厚い地域支援が難しくなるため。
100 不安階層表を作成するのはどれか。
1.家族療法
2.系統的脱感作法
3.行動活性化技法
4.内観療法
5.森田療法
解答2
解説
不安階層表を作成して、弱い不安から順に慣らしていくのは系統的脱感作法である。
・不安階層表とは、不安を感じる場面を「弱い不安」から「強い不安」へ段階的に並べた一覧である。治療では、この表をもとに負担の小さい場面から順に取り組み、リラクセーションを組み合わせながら不安に慣れていく。無理なく恐怖や緊張を軽減するための設計図のようなものである。
1.× 家族療法とは、家族を対象とした心理療法の総称である。摂食障害・アルコール依存症の治療などに用いられる。家族療法の効果として、①疾病の理解や、②家族内役割分担の確認、③家族での共同作業などの促進ができる。摂食障害の患者の特徴として、不安定な対人関係をもち、家族関係が混乱していることが多い。したがって、家族療法を行うことを勧められる。
2.〇 正しい。系統的脱感作法は、不安階層表を作成する。
・系統的脱感作法とは、患者に不安を引き起こす刺激を順に挙げてもらい(不安階層表の作成)、最小限の不安をまず想像してもらう。不安が生じなかったら徐々に階層を上げていき、最終的に源泉となる不安が消失する(脱感作)ことを目指す手法である。
3.× 行動活性化技法とは、主にうつ病に対して選択される新しい精神療法の一つで、本人の思考ではなく行動パターンを変えることを重視し、それにより気持ちを軽くして本来の自分を取り戻すことを目的としたアプローチ法である。つまり、本人の思考ではなく行動を修正することを重視する治療法である。
4.× 内観療法とは、吉本伊信の内観法(修養法の一種)を基にした精神療法で、「してもらったこと」、「して返したこと」、「迷惑をかけたこと」の3点に絞って具体的な事実を想起する。これを「見調べ」といい、自己洞察力を深める方法である。アルコールや薬物依存・適応障害の治療法として効果があるといわれている。
※解答の引用:第61回理学療法士国家試験及び第61回作業療法士国家試験の合格発表について(厚生労働省HPより)

