第61回(R8)理学療法士国家試験 解説【午後問題46~50】

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46 訪問リハビリテーションで正しいのはどれか。

1.18歳未満は診療報酬を算定できない。
2.最も多い原因対象疾患は認知症である。
3.家族を対象とした目標設定も可能である。
4.訪問リハビリテーション事業所の開設主体は介護老人保健施設が最も多い。
5.LIFE〈Long-term care Information system For Evidence〉への入力が必須である。

解答

解説

訪問リハビリテーションとは?

訪問リハビリテーションは、医師の指示書に基づき、リハビリテーション専門職が、通院困難な在宅療養者の居宅を訪問して機能訓練や日常動作に関わる訓練を行い、患者の心身の機能の維持回復を図り日常生活の自立を目指すものである。

1.× 18歳未満「」、診療報酬を「算定できる」。なぜなら、訪問リハビリテーションは、18歳未満の場合(介護保険対象外)の場合、医療保険を使用できるため。原則、要介護認定を受けている方は、介護保険が優先され、医療保険での利用はできない。ただし、65歳未満の方や、65歳以上でも要介護認定をまだ受けていない方は医療保険での利用が可能である。

2.× 最も多い原因対象疾患は、「認知症」ではなく脳血管疾患(31.4%)である。ついで、骨折(26.6%)、廃用症候群(18.6%)と続く(※参考「訪問リハビリテーション」厚生労働省HPより)。

3.〇 正しい。家族を対象とした目標設定も可能である。なぜなら、訪問リハビリテーションは、本人の機能改善だけでなく、在宅生活の継続を支えることが目的であるため。したがって、家族への介助指導や介護負担軽減も目標設定となる。例えば、脳卒中後片麻痺の利用者に対し、本人目標を「ベッドからトイレへ見守りで移動できる」、家族目標を「安全な移乗介助を習得し、腰痛なく介助できる」という形で設定することがある。

4.× 訪問リハビリテーション事業所の開設主体は、「介護老人保健施設(2位:19%)」ではなく病院・診療所(1位:81%)が最も多い。ちなみに、3位は介護医療院(0.001%)に過ぎない(※参考「訪問リハビリテーション」厚生労働省HPより)。一般的に、受傷→入院→退院後、医師の指示書に基づき、訪問リハビリテーションが始まる。
・介護老人保健施設とは、要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護・医学的管理のもと、介護および機能訓練その他必要な医療ならびに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設である。

5.× LIFE〈Long-term care Information system For Evidence〉への入力は「必須ではない」。ただし、加算対象であるため、基本の介護報酬に、LIFEへの入力をすることでプラスして上乗せされる(例えば、入浴もやってもいいしやらなくてもいいけど、やれば報酬がもらえるっていうイメージ)。
・LIFE〈Long-term care Information system For Evidence:科学的介護情報システム〉とは、介護サービスのデータを集めてエビデンスに基づく介護を進める仕組みである。

介護保険とは?

介護保険とは、平成12年4月から開始された介護を必要とする方に費用を給付し、適切なサービスを受けられるようにサポートする保険制度である。40歳以上の人は、介護保険の被保険者となり、①65歳以上の人(第1号被保険者)と、②40~64歳までの医療保険に加入している人(第2号被保険者)になる。

介護保険の主な給付には、①介護給付と、②予防給付がある。介護給付は、要介護1~5に認定された場合に介護サービスの利用額負担として行われ、予防給付は、要支援1~2に認定された場合に介護予防サービスの利用額負担として行われる。

 

 

 

 

 

47 介護保険法に規定される特定疾病はどれか。2つ選べ。

1.拡張型心筋症
2.間質性肺疾患
3.脊髄小脳変性症
4.閉塞性動脈硬化症
5.変形性肘関節症

解答

解説
1.× 拡張型心筋症は、介護保険法に規定される特定疾病ではない
・拡張型心筋症とは、心臓(特に左心室、時として両心室)の筋肉の収縮する能力が進行性に低下することにより左心室が通常よりも大きくなってしまい、血液を適切に全身に送ることができなくなって心不全や不整脈を生じる病気である。
「重い病気=特定疾病」と短絡せず、法定16疾病をそのまま覚えることが大切です。

2.× 間質性肺疾患は、介護保険法に規定される特定疾病ではない
・間質性肺疾患とは、肺の間質という部分に起こるさまざまな病気の総称である。例えば、原因不明の間質性肺炎(特発性間質性肺炎)、膠原病に伴う間質性肺疾患、過敏性肺炎などがあげられる(※参考:「肺線維症に関する総合情報サイト」)。したがって、間質性肺疾患の原因は多岐にわたるため、原因不明のこともある。

3.〇 正しい。脊髄小脳変性症は、介護保険法に規定される特定疾病である。
・脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)

4.〇 正しい。閉塞性動脈硬化症は、介護保険法に規定される特定疾病である。
・閉塞性動脈硬化症とは、手や足の血管の動脈硬化により、狭窄(血管が狭くなる)や閉塞(血管が詰まる)を起こして、血液の流れが悪くなり、手先や足先へ栄養や酸素を十分に送り届けることができなくなる病気である。下肢の慢性虚血による間欠性跛行が発症症状であることが多く、虚血が進行すると壊死に至る。50~70歳代の男性、糖尿病症例に多くみられる。太ももの付け根(大腿動脈)や足の甲(足背動脈)を触診し、脈が触れないことで診断し、確定診断には血管造影検査を行う(※参考:「閉塞性動脈硬化症」厚生労働省HPより)。

5.× 「変形性肘関節症」ではなく両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症が、介護保険法に規定される特定疾病である。つまり、「肘」は該当しない。

特定疾病(16種)

がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
関節リウマチ
筋萎縮性側索硬化症
後縦靭帯骨化症
骨折を伴う骨粗鬆症
初老期における認知症
進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
脊髄小脳変性症
脊柱管狭窄症
早老症
多系統萎縮症
糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
脳血管疾患
閉塞性動脈硬化症
慢性閉塞性肺疾患
両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

 

 

 

 

 

48 要介護者に対するケアプランで最も適切なのはどれか。

1.理学療法士が作成することが多い。
2.完成後は主治医がモニタリングする。
3.作成は全額が介護保険から給付される。
4.プラン作成に利用者の意見は不要である。
5.生活全般の解決すべきニーズは第一表に記載する。

解答

解説

(※引用:「居宅サービス計画書標準様式及び記載要領」厚生労働省様HPより)

ケアプランとは?

ケアプランとは、介護サービス計画書ともいい、介護を必要とする利用者やその家族の状況や希望をふまえ、利用者に対する支援の方針や解決すべき課題、提供される介護サービスの目標と内容をまとめた計画書のことである。要介護者・要支援者が介護保険サービスを利用したいときに使用される。

1.× 「理学療法士」ではなく介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成することが多い。
・介護支援専門員とは、ケアマネジャーともいい、介護保険法等を根拠に、ケアマネジメントを実施することのできる公用資格、また有資格者のことをいう。免許という位置づけではなく、要支援・要介護認定者およびその家族からの相談を受け、介護サービスの給付計画を作成し、自治体や他の介護サービス事業者との連絡、調整等を行う。他にも、介護サービスを受けられるようにケアプランの作成や、市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整を行う専門職である。

2.× 完成後は、「主治医」ではなく介護支援専門員(ケアマネジャー)がモニタリングする。なぜなら、モニタリングでは、利用者や家族との継続的な連絡、定期的な面接、結果の記録などが求められるため。
・医師とは、患者の容態・問診・検査データなどから病名と病状を確定する診断と、投薬や手術などにより病状を改善させる治療を行う専門職種である。これは医師法により定められている行為で、医師だけに許されている。

3.〇 正しい。作成は全額が介護保険から給付される。つまり、利用者はケアプランの作成にかかる費用の「負担はない」。ケアプランを作成する際には、利用者にかかる自己負担はないが、実際にはケアマネ―ジャーに対して介護保険の保険者から「居宅介護支援」という、ケアマネジメント費として約1万円が支払われている。ただ、ケアプラン作成は、被保険者自らが作成することも可能である。

4.× プラン作成に利用者の意見は、「必要」である。なぜなら、ケアプランは、利用者本人と家族の生活に対する意向を踏まえて作成するため。標準様式の第一表でも、「利用者及び家族の生活に対する意向」を記載することになっている(※上参考)。

5.× 生活全般の解決すべきニーズは、「第一表」ではなく第二表に記載する(※下図参照)。【生活全般の解決すべき課題〈ニーズ〉】には、利用者の自立を阻害する要因等であって、個々の解決すべき課題(ニーズ)についてその相互関係をも含めて明らかにし、それを解決するための要点がどこにあるかを分析し、その波及する効果を予測して原則として優先度合いが高いものから順に記載する(※引用:「居宅サービス計画書標準様式及び記載要領」厚生労働省様HPより)。

(※引用:「居宅サービス計画書標準様式及び記載要領」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

 

49 パソコン作業における筋骨格系障害の予防で最も適切なのはどれか。

1.3時間したら休憩を取る。
2.眼とディスプレイとの距離は30cmとする。
3.椅子の座面が高い場合は足置き用の台を使用する。
4.キーボードは肘関節が完全伸展する位置に設置する。
5.眼の高さはディスプレイの下端になるように調整する。

解答

解説

VDT作業とは?

VDT作業とは、ディスプレイを持つ画面表示装置(VDT:Visual Display Terminals) を用いた作業のこと。コンピュータや監視カメラを用いた作業を指す。 VDT作業はVDT症候群のように、心身の負担を感じさせることにつながるため、厚生労働省においても「VDT作業における労働衛生環境管理のためのガイドライン」を定めている。

【作業環境管理】
(1)照明及び採光
①室内は、できるだけ明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにすること。
②ディスプレイを用いる場合のディスプレイ画面上における照度は500ルクス以下、書類上及びキーボード上における照度は300ルクス以上とすること。また、ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすること。
③ディスプレイ画面に直接又は間接的に太陽光等が入射する場合は、必要に応じて窓にブラインド又はカーテン等を設け、適切な明るさとなるようにすること。

(2)一連続作業時間及び作業休止時間
一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分~15分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1回~2回程度の小休止を設けること。

(3)その他
換気、温度及び湿度の調整、空気調和、静電気除去、休憩等のための設備等について事務所
衛生基準規則に定める措置等を講じること。

(※一部引用:「VDT作業における労働衛生環境管理のためのガイドライン」厚生労働省HPより)

1.× 「3時間」ではなく1時間超えないぐらいしたら休憩を取る。なぜなら長時間連続作業は、頸肩腕障害や腰痛、眼精疲労を起こしやすいため。1時間超えないように、さらに、10~15分の作業休止時間を設けるとよい。一連続作業時間内において1回~2回程度の小休止を設けることが望ましい。

2.× 眼とディスプレイとの距離は、「30cm」ではなくおおむね40cm以上とする。なぜなら、目の負担を減らすためである。

3.〇 正しい。椅子の座面が高い場合は、足置き用の台を使用する。なぜなら、座面が高すぎて足が浮くと、大腿後面の圧迫、骨盤の不安定化、腰部負担の増大が起こりやすいため。

4.× キーボードは肘関節が、「完全伸展」ではなく90度屈曲する位置に設置する。なぜなら、肘関節を完全伸展位の場合、上肢の重さ(モーメントアーム)が大きくなり、肩・首に負担(重さ)が増し、筋緊張が高まりやすいため。

5.× 眼の高さは、ディスプレイの「下端」ではなく上端(上端からやや下)になるように調整する。なぜなら、画面をやや見下ろす位置に置くことで、頸部に負担がかかりにくい姿勢となるため。一方、ディスプレイが低すぎると頸部屈曲が強くなり、高すぎると頸部伸展が強くなり、負担がかかる

 

 

 

 

 

50 前向き臨床研究における倫理で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.研究実施後に同意を得る。
2.データは共用パソコンで保管する。
3.リスクに対する説明は不要である。
4.事前に取得するデータについて説明する。
5.対象者は研究を途中で中止しても不利益はない。

解答

解説

コホート研究と症例対照研究の比較

コホート研究とは、時間軸:前向き研究で、観察期間は長期間行う。信頼性は高いが費用・労力が大きい。

症例対照研究とは、時間軸:後ろ向き研究で、観察期間はない。信頼性は低いが費用・労力が小さい。症例群と対照群に分け、両群の過去の曝露状況を比較する方法である。曝露と疾患発症の関連を明らかにする。

1.× 研究実施「後」ではなくに同意を得る。なぜなら、前向き臨床研究では、研究内容を説明して、事前に理解したうえで、同意を得て、参加を決めることが原則であるため。
・前向き臨床研究とは、これから起こる経過や介入の結果を追っていく研究である。

2.× あえて、データは共用パソコンで保管する「必要はない」。むしろ、研究データには、個人情報や機微情報が含まれることがあるため、情報漏えい予防の観点から、厳重な管理が必要である。共用パソコンは、多人数がアクセスできるため、無断閲覧や誤操作、情報流出のリスクが高まる。

3.× リスクに対する説明は、「不要」ではなく必要である。なぜなら、対象者が研究参加を自己決定するためには、利益だけでなく予想される不利益や危険性についても事前に知る必要があるため。
・インフォームド・コンセントは、「十分な説明を受けたうえでの同意・承諾」を意味する。医療者側から診断結果を伝え、治療法の選択肢を提示し、予想される予後などについて説明したうえで、患者自らが治療方針を選択し、同意のもとで医療を行うことを指す。診断結果の伝達には「癌の告知」という重要な問題も含まれる。

4.〇 正しい。事前に取得するデータについて説明する。なぜなら、対象者には、どのような情報が研究で取得され、どのように利用されるのかを知る権利があるため。たとえば「歩行速度、筋力、既往歴、採血データを取得します」「結果は個人が特定されない形で解析します」と事前に説明することが必要で、これにより、対象者は研究参加の可否を適切に判断できる。

5.〇 正しい。対象者は、研究を途中で中止しても不利益はない。なぜなら、研究の参加は、あくまで自由意思に基づくものであるため。したがって、対象者にはいつでも同意を撤回し、参加を中止する権利が保障される。

 

 

※解答の引用:第61回理学療法士国家試験及び第61回作業療法士国家試験の合格発表について(厚生労働省HPより)

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