第60回(R7)作業療法士国家試験 解説【午前問題11~15】

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11 32歳の女性。右利き。運輸会社で10年間事務を担当している。1か月前に脳梗塞を発症したが、運動麻痺は認めないため退院し職場復帰した。与えられた仕事は意欲的に集中して行い、指示されたことを実行することはできていたが、上司からは自分で段取りを考えて行動ができないとの指摘を受けることが多くなった。
 この患者の高次脳機能障害の検査で最も優先されるのはどれか。

1.BADS
2.BIT
3.CAS
4.CAT
5.RBMT

解答

解説

本症例のポイント

・32歳の女性(右利き)。
・運輸会社で10年間事務を担当。
・1か月前:脳梗塞(運動麻痺は認めない)。
・職場復帰:与えられた仕事は意欲的に集中して行い、指示されたことを実行することはできていた。
・上司「自分で段取りを考えて行動ができない」との指摘を受ける。
→本症例は、脳梗塞により、遂行機能障害が疑われる。遂行機能障害を評価できるものを選択しよう。ちなみに、遂行機能障害とは、物事を計画し、順序立てて実行するという一連の作業が困難になる状態である。遂行機能障害に対する介入方法としては、解決方法や計画の立て方を一緒に考える問題解決・自己教示訓練が代表的である。

1.〇 正しい。BADSがこの患者の高次脳機能障害の検査で最も優先される。BADS(Behavioral Assessment of the Dysexecutive Syndrome:遂行機能障害症候群の行動評価)は、前頭葉の遂行機能を評価する検査であり、カードや道具を用いた6種類の下位検査と1つの質問紙で構成されている。質問紙には合計20の質問があり、①感情・人格、②動機付け、③行動、④認知の4カテゴリーが5段階で評価される。

2.× BIT(Behavioural inattention test)は、行動性無視検査(半側空間無視の検査)である。①通常検査(線分抹消試験・文字抹消試験・星印抹消試験・模写試験・線分二等分試験・描画試験)と、②行動検査(写真課題・電話課題・メニュー課題・音読課題・時計課題・硬貨課題・書写課題・地図課題・トランプ課題)がある。カットオフ点は、通常検査で131点/146点、行動検査で68点/81点である。

3.× CAS(Clinical Assessment for Spontaneity)は、標準意欲評価法である。面接、質問紙法、日常生活行動、自由時間の日常行動観察、臨床的総合評価の項目で評価する。他覚的、自覚的(主観的)、行動観察的な視点からの評価を統合して、意欲の低下や自発性欠乏のレベルの評価を可能な限り定量的に行うことを試みている。

4.× CAT〈Clinical Assessment for Attention〉とは、標準注意検査で注意機能全般を評価する検査である(検査項目は下参照)。

5.× RBMT(Rivermead behavioral memory test:リバーミード行動記憶検査)は、記憶障害の患者が日常的に遭遇する状況を想定して行う記憶障害検査である。1.氏名、2.持ち物、3.約束、4.絵、5.物語(直後・遅延)、6.顔写真、7.道順(直後・遅延)、8.用件、9.見当識で9つの項目を検査する。日常生活を想定した記憶検査である認知症を来す疾患をはじめ、多くの疾患に対して、その記憶障害の性質や程度、リハビリテーションの効果評価に用いられる。

CAT〈Clinical Assessment for Attention〉とは?

CAT〈Clinical Assessment for Attention〉とは、標準注意検査で注意機能全般を評価する検査である。7つの下位検査から成り立っている。

① Span
 1)Digit Span(数唱):聴覚性の短期記憶
 2)Tapping Span(視覚性スパン):視覚性の短期記憶
② Cancellation and Detection Test(抹消検出課題):選択性の注意機能を評価する
 1)Visual Cancellation Task(視覚性抹消検査)
 2)Auditory Detection Task(聴覚性検出課題)
③ Symbol Digit Modalities Test(SDMT):分配性注意機能を評価する
④ Memory Updating Test(記憶更新検査):作動記憶(ワーキングメモリー)を評価する
⑤ Paced Auditory Serial Addition Test(PASAT):分配性注意機能を評価する
⑥ Position Stroop Test(上中下検査):転換性注意機能を評価する
⑦ Continuous Performance Test (CPT):持続性注意、選択性注意機能を評価する

 

 

 

 

 

12 72歳の女性。慢性心不全。左室駆出率〈LVEF〉は35%、NYHA分類はⅢ度。今回、心不全の急性増悪で入院した。経過良好で退院に向けて作業療法が開始された。認知機能の低下を認める。入院前は平屋に独居で生活しており自宅退院に向けて不安が残る。介護保険の要介護認定は未申請である。
 退院に向けた作業療法で誤っているのはどれか。

1.要介護認定の申請を勧める。
2.入浴は半身浴とするよう指導する。
3.心電図モニター下で炊事動作訓練を行う。
4.Borg指数15~18の範囲での活動を指導する。
5.日常生活活動は最高心拍数の50~70%で行う。

解答

解説

本症例のポイント

・72歳の女性(慢性心不全)。
・左室駆出率:35%(NYHA分類はⅢ度)。
心不全の急性増悪で入院(経過良好)。
認知機能の低下を認める。
・入院前:平屋に独居(自宅退院に向けて不安)。
・介護保険の要介護認定:未申請
→それぞれの選択肢の理由も上げられるようにしよう。ちなみに、正常範囲内の左室駆出率55~90%である。

【NYHA心機能分類】
Ⅰ度:心疾患があるが、身体活動には特に制約がなく日常労作により、特に不当な呼吸困難、狭心痛、疲労、動悸などの愁訴が生じないもの。
Ⅱ度:心疾患があり、身体活動が軽度に制約されるもの。安静時または軽労作時には障害がないが、日常労作のうち、比較的強い労作(例えば、階段上昇、坂道歩行など)によって、上記の愁訴が発言するもの。
Ⅲ度:心疾患があり、身体活動が著しく制約されるもの。安静時には愁訴はないが、比較的軽い日常労作でも、上記の主訴が出現するもの。
Ⅳ度:心疾患があり、いかなる程度の身体労作の際にも上記愁訴が出現し、また、心不全症状、または、狭心症症候群が安静時においてもみられ、労作によりそれらが増強するもの。

(※参考:「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン P28」一般社団法人 日本循環器学会 様HPより)。

1.〇 正しい。要介護認定の申請を勧める。なぜなら、要介護認定を受けることで、在宅でのサービス(訪問看護・訪問介護など)や福祉用具の利用が可能になり、独居生活のサポートが充実するため。ちなみに、介護保険制度とは、寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態(要介護状態)になった場合や、家事や身支度等の日常生活に支援が必要であり、特に介護予防サービスが効果的な状態(要支援状態)になった場合に、介護の必要度合いに応じた介護サービスを受けることができる。

2.〇 正しい。入浴は半身浴とするよう指導する。なぜなら、浴槽に肩まで浸かることで、体温上昇や水圧により、心臓の負担増大や呼吸運動の妨げになるため。したがって、ややぬるめの湯温で、長時間(15分以上)の入浴は避けるように指導する。

3.〇 正しい。心電図モニター下で炊事動作訓練を行う。なぜなら、本症例は、左室駆出率:35%(NYHA分類はⅢ度)であるため。NYHA分類Ⅲ度は、比較的軽い日常労作でも症状がみられる。したがって、病棟内での訓練中に不整脈や血圧変動が起きないか、安全に配慮しながら、退院後に必要な家事動作(炊事など)の練習を実施する必要がある。

4.× Borg指数「15~18」ではなく12未満の範囲での活動を指導する。「自覚的運動強度(RPE)を評価指標とする場合には,Borg指数を用いる.一般的にBorg指数によるRPEの12未満はHRRの40%未満,12~13は40~59%,14~17は60~89%に相当する.」と記載されている(※引用:「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン P30」一般社団法人 日本循環器学会 様HPより)。

5.〇 正しい。日常生活活動は、最高心拍数の50~70%で行う。心不全のない急性心筋梗塞患者の退院後運動指導として、目標心拍数を予測最高心拍数の60~70%相当とした運動が検討される。

 

(※引用:「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン P30」一般社団法人 日本循環器学会 様HPより)

 

 

 

 

 

13 63歳の男性。アルコール依存症。就職直後より毎晩大量に飲酒していた。40歳代で入院し診断を受けた。以後は定職に就かず、連続飲酒による入退院を繰り返している。最近、気分の変動や失見当識が出現し、羽ばたき振戦も認められるようになった。
 最も考えられるのはどれか。

1.肝性脳症
2.進行麻痺
3.正常圧水頭症
4.尿毒症性脳症
5.Cushing症候群

解答

解説

本症例のポイント

・63歳の男性(40歳代からアルコール依存症)。
・就職直後より毎晩大量に飲酒していた。
・40歳代で入院し以後は定職に就かない。
連続飲酒による入退院を繰り返している。
・最近:気分の変動や失見当識が出現
羽ばたき振戦も認められる。
→アルコール依存症とは、少量の飲酒でも、自分の意志では止めることができず、連続飲酒状態のことである。常にアルコールに酔った状態でないとすまなくなり、飲み始めると自分の意志で止めることができない状態である。最終飲酒後72時間頃までに症状が最も激しくなるのは、アルコール離脱症状である。【合併しやすい病状】①離脱症状、②アルコール幻覚症、③アルコール性妄想障害(アルコール性嫉妬妄想)、④健忘症候群(Korsakoff症候群)⑤児遺性・遅発性精神病性障害 など。

→羽ばたき振戦とは、手関節を背屈させたまま手指と上肢を伸展させ、その姿勢を保持するように指示すると、「手関節及び中指関節が急激に掌屈し、同時に、元の位置に戻そうとして背屈する運動」が認められる。手関節や手指が速くゆれ、羽ばたいているようにみえるので、このように呼ばれる。肝性脳症やウィルソン病、呼吸不全(CO2ナルコーシス)など代謝性神経疾患で出現する。

1.〇 正しい。肝性脳症が最も考えられる。なぜなら、肝性脳症は、アルコール依存による肝障害や肝硬変に起因するため。ちなみに、肝性脳症とは、重度の肝疾患がある人において、正常なら肝臓で除去されるはずの有害物質が血液中に蓄積して脳に達することで、脳機能が低下する病気である。長期にわたる(慢性の)肝疾患がある患者に発生する。肝性脳症の症状として、脳機能障害の症状(特に覚醒レベルの低下や錯乱など)がみられる。発症初期には、論理的思考、人格や行動に微妙な変化が現れ、気分が変化したり、判断力が鈍ったりすることもある。また正常な睡眠パターンが崩れ、抑うつ、不安、または怒りっぽくなったり、集中力の低下がみられたりすることもある。

2.× 進行麻痺より考えられるものが他にある。なぜなら、進行麻痺は認知・精神症状(気分の変動や失見当識、羽ばたき振戦など)はみられにくいため。ちなみに、進行麻痺とは、梅毒に感染してからおよそ10年以降(梅毒第4期)に発症する脳疾患である。梅毒トレポネーマという細菌の一種で起こる。

3.× 正常圧水頭症より考えられるものが他にある。なぜなら、正常圧水頭症は羽ばたき振戦はみられにくいため。ちなみに、正常圧水頭症とは、脳脊髄液(髄液)の循環障害によって拡大した脳室が、頭蓋骨内面に大脳半球を押しつけることにより、数々の脳の障害を引き起こす一連の病態である。①認知症、②尿失禁、③歩行障害の三徴がみられる。脳外科的な手術であるシャント術で改善する。

4.× 尿毒症性脳症より考えられるものが他にある。なぜなら、尿毒症性脳症は羽ばたき振戦はみられにくいため。ちなみに、尿毒症性脳症とは、尿毒症(腎不全により、身体の中に老廃物が蓄積する状態)の影響が脳に出ているものである。症状として、集中力の低下や幻覚・錯覚・抑うつ状態・手足の震えが現れる。血液検査や脳波検査、画像検査(CT検査、MRI検査など)によって詳しく調べ、尿毒症性脳症の治療は透析(老廃物を身体の外に出すこと)と、可能であれば腎臓の機能を回復させることである。

5.× Cushing症候群より考えられるものが他にある。なぜなら、Cushing症候群は失見当識羽ばたき振戦はみられにくいため。ちなみに、Cushing症候群とは、副腎皮質ホルモンであるコルチゾールの過剰分泌により起こる内分泌系疾患である。満月様顔貌や中心性肥満などの特徴的な症状を呈する。主に、副腎腺腫、副腎癌、副腎過形成、ACTH産生下垂体腺腫などによりコルチゾールの過剰分泌が起こる。

梅毒とは?

梅毒とは、5類感染症の全数把握対象疾患であり、スピロヘータ(細菌)の一種である梅毒トロポネーマ感染により発症し、この梅毒トロポネーマが脳の実施まで至ると、進行性麻痺となる。性行為や胎盤を通じて感染する。梅毒に特徴的な症状として、陰茎・外陰部を中心に生じる無痛性の硬結(指で触れることのできる硬い丘疹)やバラ疹(全身にできる淡い紅斑)などがあり、進行すると神経系の病変を生じて死に至ることもある。

【臨床的特徴】
Ⅰ期梅毒:感染後3~6週間の潜伏期の後に、感染局所に初期硬結や硬性下疳、無痛性の鼠径部リンパ節腫脹がみられる。
Ⅱ期梅毒:感染後3か月を経過すると皮膚や粘膜に梅毒性バラ疹や丘疹性梅毒疹、扁平コンジローマなどの特有な発疹が見られる。
経過晩期:感染後3年以上を経過すると顕症梅毒としてゴム腫、梅毒によると考えられる心血管症状、神経症状、眼症状などが認められることがある。なお、感染していても臨床症状が認められないものもある。先天梅毒は、梅毒に罹患している母体から出生した児で、①胎内感染を示す検査所見のある症例、②Ⅱ期梅毒疹、骨軟骨炎など早期先天梅毒の症状を呈する症例、③乳幼児期は症状を示さずに経過し、学童期以後にHutchinson3徴候(実質性角膜炎、内耳性難聴、Hutchinson歯)などの晩期先天梅毒の症状を呈する症例がある。また、妊婦における梅毒感染は、先天梅毒のみならず、流産及び死産のリスクとなる。(※一部引用:「梅毒」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

次の文により、14、15の問いに答えよ。
 34歳の女性。中学校教諭。既婚で4歳と6歳の子どもがいる。半年前に学年主任になった頃から不眠が続き、欠勤が多くなった。3か月前から食欲不振、焦燥感および不安感が出現し、「死にたい」と訴えたため精神科を受診した。診察の結果、休職して入院治療を受けることになった。入院後、食欲は改善し、焦燥感と不安の訴えは少なくなったが、意欲低下の状態が続き、対人交流が苦痛であると訴えた。入院3週目に意欲の向上を目的に作業療法が開始された。

14 作業療法開始時に予想される症状はどれか。

1.感情鈍麻
2.強迫観念
3.思考制止
4.滅裂思考
5.両価性

解答

解説

本症例のポイント

・34歳の女性(中学校教諭)。
・半年前:学年主任になった頃から不眠が続き、欠勤が多くなった。
・3か月前:食欲不振、焦燥感および不安感が出現し、「死にたい」と訴えた。
・入院後:食欲改善、焦燥感と不安の訴えは少なくなった。
・「意欲低下の状態が続き、対人交流が苦痛である」と訴えた。
・入院3週目:意欲の向上を目的に作業療法が開始。
→本症例は、うつ病(回復前期)と考えられる。うつ病の症状を正確に覚えておこう。

1.× 感情鈍麻とは、感情を引き起こす刺激に対する感受性の低下により、感情やその表出が乏しくなることである。統合失調症の慢性期の症状である。陰性症状で、感情の平板化や意欲の減退、思考の低下など。

2.× 強迫観念とは、強迫性障害の症状である。自らは不合理だと思っている考えが繰り返し浮かび(強迫観念)、それを打ち消すためにやはり不合理な行為を繰り返してしまうこと(強迫行為)をいう。

3.〇 正しい。思考制止は、作業療法開始時に予想される症状である。なぜなら、うつ病の症状であるため。思考制止とは、観念が思うように浮かばず、思考がうまく進まない状態である。

4.× 滅裂思考は、統合失調症の症状である。話のつながりが悪く(連合弛緩)、これが高度になると支離滅裂な思考となる(滅裂思考)となる。

5.× 両価性(アンビバレンツ)とは、同一の対象に対して相反する感情、とくに愛と憎しみが同時に存在している状態である。患者が整理できずに悩んでいることの象徴と捉えることが多い。

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次の文により、14、15の問いに答えよ。
 34歳の女性。中学校教諭。既婚で4歳と6歳の子どもがいる。半年前に学年主任になった頃から不眠が続き、欠勤が多くなった。3か月前から食欲不振、焦燥感および不安感が出現し、「死にたい」と訴えたため精神科を受診した。診察の結果、休職して入院治療を受けることになった。入院後、食欲は改善し、焦燥感と不安の訴えは少なくなったが、意欲低下の状態が続き、対人交流が苦痛であると訴えた。入院3週目に意欲の向上を目的に作業療法が開始された。

15 作業療法開始から5週後、安定して作業療法に参加し意欲的に活動に取り組むようになったため、家庭復帰と職場復帰が検討された。しかし、本人は家事や育児などの日常生活に対する不安を訴えている。
 この時点での作業療法士の対応で適切でないのはどれか。

1.現職復帰にむけたOJTを計画する。
2.小グループでの家事訓練を計画する。
3.退院後の生活スケジュールを検討する。
4.退院後の外来作業療法での支援を検討する。
5.退院前訪問指導による生活場面の把握を行う。

解答

解説

本症例のポイント

・34歳の女性(中学校教諭、うつ病)。
・既婚、4歳と6歳の子どもがいる。
・入院3週目:意欲の向上を目的に作業療法が開始。
・作業療法開始から5週後:安定して作業療法に参加し意欲的に活動に取り組むようになった。
家庭復帰職場復帰が検討。
・本人は家事や育児などの日常生活に対する不安を訴えている。
→現在、本症例は、うつ病の回復期であると考えられる。回復時期によって作業活動が異なる。

1.× 現職復帰にむけたOJTを計画する優先度は低い(時期尚早)。なぜなら、本症例は、「家事や育児などの日常生活に対する不安」を訴えているため。病院では「家庭復帰職場復帰」の検討が進んでいるが、まずは家庭での日常生活の自立が優先される。

2.〇 正しい。小グループでの家事訓練を計画する。現在、本症例は、うつ病の回復期であると考えられる。集団の中で他者との体験や感情を共有しながら、家事や育児などの日常生活に対する不安に対してもアプローチできる方法である。同じような状況にある仲間と一緒に練習することで、安心感や成功体験を積むことができる。

3.〇 正しい。退院後の生活スケジュールを検討する。なぜなら、本症例の「家事や育児などの日常生活に対する不安」に対して、生活スケジュールを検討することで、安心感が得られ、自立への自信が高まることが期待できるため。たとえば、起床時間、家事の時間、育児や休憩の時間を具体的に決め、実際の生活シーンをシミュレーションする。

4.〇 正しい。退院後の外来作業療法での支援を検討する。なぜなら、自宅復帰後も、家庭や育児などで新たな課題に直面する可能性があるため。作業療法士は定期的に患者の様子や病状を確認できる。

5.〇 正しい。退院前訪問指導による生活場面の把握を行う。なぜなら、退院前訪問指導は、患者の生活環境を直接確認し、さらなる具体的な支援や環境調整の計画を立てることができるため。たとえば、訪問指導で実際の家事動作の困難な点やリスクを確認し、自宅の状況家事・育児の動線を把握することで、退院後の生活でどのような支援が必要か具体的に検討できる。

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