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6 60歳の男性。右利き。2か月前に右中大脳動脈領域の脳梗塞を発症。Brunnstrom法ステージは左上肢Ⅵ、手指Ⅴ、下肢Ⅵ。認知機能・言語機能・移動能力に著明な問題はない。現在は外来リハビリテーション治療を継続中であり、1か月後の職場復帰を希望している。発症前は会社勤務でパソコンによる経理作業に従事していた。
職場復帰に向けた対応で最も適切なのはどれか。
1.配置転換を求める。
2.通勤手段を確認する。
3.集中的なADL訓練を行う。
4.主治医の診断書があれば復職できると伝える。
5.左手の運動機能が改善してから復職を検討する。
解答2
解説
・60歳の男性(右利き)。
・2か月前に右中大脳動脈領域の脳梗塞を発症。
・Brs:左上肢Ⅵ、手指Ⅴ、下肢Ⅵ。
・認知機能、言語機能、移動能力:著明な問題はない。
・1か月後:職場復帰を希望。
・発症前:会社勤務でパソコンによる経理作業に従事。
→復職支援では「職務内容」の把握はもちろんであるが、「通勤・勤務環境・安全性・必要な配慮」も評価することが重要である。特に、本症例の場合、発症前の仕事はパソコンによる経理作業であり、身体的重労働には分類されない。したがって、復職支援の際、単に身体機能だけ(麻痺の程度だけ)を見るのではなく、実際に職場へ行けるか、業務が遂行できるか、どのような配慮が必要かを具体的に確認する。
1.× 配置転換を求める優先度は低い。なぜなら、元の業務(パソコンによる経理作業)への復帰が可能と考えられるため。本症例の認知機能・言語機能・移動能力に著明な問題はない。Brsは左上肢Ⅵ、手指Ⅴ、下肢Ⅵと、実用レベルと考えられる。
2.〇 正しい。通勤手段を確認する。なぜなら、職場復帰には、通勤手段の選択・変更も具体的に確認する必要があるため。
3.× 集中的なADL訓練を行う優先度は低い。なぜなら、本症例では、設問文にADLに著明な問題が示されておらず、1か月後の職場復帰を希望されているため。
4.× 「主治医の診断書があれば復職できる」と伝える必要はない(断言してはならない。なぜなら、復職の可否は診断書のみで決まるものではないため。例えば、事業所(職場)が、本人の能力、職場環境、産業医判断、事業所側の受け入れ体制などを総合して決まる。
5.× 左手の運動機能が改善してから復職を検討する必要はない。なぜなら、麻痺がみられていても、補助具や自助具を用い、現在の能力で復職につなげることも可能であるため。また、本症例のBrs手指Ⅴは、まだ完全ではないとしても、実用的動作が可能なことが多く、経理作業のようなデスクワークでは、工夫次第(右手主体でキーボード入力するなど)で十分に就労できると考えられる。
7 30歳の女性。右上腕切断標準断端。上腕義手は差し込み式ソケット、8字ハーネス、複式コントロールケーブルシステム、随意開き式能動フックで構成されている。適合判定の際、肘90度屈曲位で手先具が完全には開かなかった。
原因で最も考えられるのはどれか。
1.フックのゴムが弱い。
2.ケーブルハウジングが短すぎる。
3.残存肢の肩甲帯の筋力が低下している。
4.前腕支持部のトリミングが不良である。
5.切断肢の肩関節の回旋可動域に制限がある。
解答3
解説
・30歳の女性(右上腕切断標準断端)。
・上腕義手:差し込み式ソケット、8字ハーネス、複式コントロールケーブルシステム、随意開き式能動フックで構成されている。
・適合判定:肘90度屈曲位で手先具が完全には開かなかった。
→【肘90°屈曲位で手先具が完全に開かない原因】
①ケーブルシステムの不良(走行不良、またはケーブルハウジングが長すぎる場合が多い)
②ハーネスの調整不良。
③力源となる肩甲帯の問題。
1.× フックのゴムが弱い場合には問題とならない。フックのゴムの強弱は把持力を調整している。フックのゴムが強くて、力源の肩甲帯の力が弱い場合は問題となる。
2.× ケーブルハウジングが短すぎると、肘90°屈曲位にした時点で手先具が開く。
3.〇 正しい。残存肢の肩甲帯の筋力が低下している場合、肘90°屈曲位で手先具が完全には開かない。なぜなら、肩関節屈曲・外転と肩甲骨の外転の動きで手先具を操作するため。肩甲帯の筋力低下によって手先具の開きが制限される。
4.× 前腕支持部のトリミングが不良である場合、肘継手を最大屈曲させて135°以上確保できないことが多い。
5.× 切断肢の肩関節の回旋可動域に制限がある制限がある場合でも義手の手先具開閉操作に影響しない。コントロールケーブルシステムの操作効率で異常が起こりやすい。
(第55回作業療法士国家試験午後9と完全に同じ問題)
8 5歳の男児。重症心身障害児施設に入所している。四肢に強い筋緊張があり、重度の側弯症もある。言語による意思表示は困難であり、食事は経管栄養である。
作業療法士がこの児に対して最初にすべき日常生活の基盤づくりで最も適切なのはどれか。
1.飲水訓練を開始する。
2.複雑な課題を自力で行わせる。
3.座位ポジショニングを実施する。
4.言語訓練を中心にアプローチする。
5.他児との交流を通じて社会性を養う。
解答3
解説
・5歳の男児。
・重症心身障害児施設に入所している。
・四肢に強い筋緊張があり、重度の側弯症もある。
・言語による意思表示は困難であり、食事は経管栄養である。
→本症例は、脳性麻痺(特に痙直型四肢麻痺)や側弯症が疑われるが、病名を問われているのではなく、重症心身障害児に対する「最初にすべき日常生活の基盤づくり」のためのアプローチが求められている。まず「安定した姿勢の維持」が、呼吸・食事・覚醒・対人反応・活動、参加の土台になる。
1.× 飲水訓練を開始する必要はない。なぜなら、本症例の食事は経管栄養であり、言語表出が困難であるため。いきなり飲水訓練を始めると、誤嚥や呼吸状態の悪化を招く危険がある。したがって、摂食・嚥下の準備を整えるためにも、姿勢の安定を整える必要がある。
2.× 複雑な課題を自力で行わせる必要はない。なぜなら、本症例の言語による意思表示は困難であるため。また、本症例は、四肢に強い筋緊張があるため、複雑な課題(ここでいう複雑な課題が具体的に何を指すかは不明)を自力・自発的に行うことは困難であると考えられる。
3.〇 正しい。座位ポジショニングを実施する。なぜなら、「安定した姿勢の維持」が、呼吸・食事・覚醒・対人反応・活動、参加の土台になるため。
・ポジショニングとは、身体をできるだけ安定して、苦痛が少なく、機能を発揮しやすい姿勢を整えることを指す。
4.× 言語訓練を中心にアプローチするより優先されるものが他にある。なぜなら、言語訓練(発声)の土台となるものが、「安定した姿勢の維持」であるため。言語訓練を中心にアプローチするにも、本症例のように、四肢に強い筋緊張があり、重度の側弯症もある場合は、まずは土台となる適切な座位のポジショニングから実施することが望ましい。
5.× 他児との交流を通じて社会性を養うより優先されるものが他にある。なぜなら、本症例は、言語による意思表示は困難であるため。非言語的コミュニケーションに手の交流も可能とは考えられるが、同年代の他児(5歳前後)との交流を通じて社会性を養うのは困難であると考えられる。
9 70歳の男性。右利き。脳梗塞後の右片麻痺。歩行はできないが車椅子移動が自力でできる。車椅子への移乗は自立している。食事、整容動作は自助具を用いて自力で可能である。入浴動作は一部介助が必要である。
Barthel Indexの得点が10点と採点される項目はどれか。
1.食事
2.整容
3.入浴
4.移動
5.椅子とベッド間の移乗
解答1
解説
・70歳の男性(右利き、脳梗塞後の右片麻痺)。
・歩行はできないが車椅子移動が自力でできる(移動:5点以下)。
・車椅子への移乗:自立(15点)。
・食事:自助具を用いて自力可能(10点)。
・整容動作:自助具を用いて自力可能(5点)。
・入浴動作:一部介助が必要である(0点)。
→Barthel Indexについてしっかり覚えておこう。
1.〇 正しい。食事は、10点と採点される。なぜなら、本症例は、自助具を用いて自立であるため(食事は自立で10点)。
【食事】
自立(10点):皿やケーブルから自力で食物をとって、食べることができる。自助具を用いてもよい。食事を妥当な時間内に終える。
部分介助(5点):何らかの介助・監視が必要(食べ物を切り刻む等)。
2.× 整容は、5点と採点される。なぜなら、本症例は、自助具を用いて自立であるため(整容は自立で5点)。
自立(5点):手と顔を洗う。整髪する。歯を磨く。髭を剃る(道具はなんでもよいが、引出しからの出納も含めて道具の操作・管理が介助なしにできる。女性は化粧も含む(ただし、髪を編んだり、髪型を整えることは除く)
3.× 入浴は、0点と採点される。なぜなら、本症例は、一部介助が必要であるため(入浴は自立で5点)。
自立(5点):浴槽に入る、シャワーを使う、スポンジで洗う。このすべてがどんな方法でもよいが、他人の援助なしで可能。
4.× 移動は、5点以下であると考えられる(正確な評価困難)。なぜなら、本症例は、車椅子移動が自力でできるとは記載があるものの、何メートル可能化までの記載がなく、具体的な点数の評価は困難であるため。
【移動】
15点(自立):介助や監視なしに45m以上歩ける。義肢・装具や杖、歩行器(車つきを除く)を使用してよい。装具使用の場合には立位や坐位でロック操作が可能なこと。装着と取りはずしが可能なこと。
10点(部分介助):上記事項について、わずかの介助や監視があれば45m以上歩ける。
5点(車いす使用):歩くことはできないが「自力で車いすの操作ができる。角を曲がる、方向転換、テーブル、ベッド、トイレ等への操作等。45m以上移動できる。患者が歩行可能なときは採点しない。
5.× 椅子とベッド間の移乗は、15点と採点される。なぜなら、本症例は、自立であるため(移乗は自立で15点)。
15点(自立):すべての動作が可能(車いすを安全にベッドに近づける。ブレーキをかける。フットレストを持ち上げる。ベッドへ安全に移る。臥位になる。ベッドの縁に腰掛ける。車椅子の位置を変える。以上の動作の逆)。
10点(部分介助):上記動作(1つ以上)最小限の介助または安全のための指示や監視が必要。
5点(車いす使用):自力で臥位から起き上がって腰かけられるが、移乗に介助が必要。
10 実習前の初回面接のロールプレイである。
設定患者は76歳の女性。脳梗塞発症後3か月。右片麻痺。Brunnstrom法ステージは右上肢V、手指V、下肢Ⅵ。現在は回復期リハビリテーション病棟に入院中。杖歩行は可能。退院後は一人暮らしを予定している。
学生(あなた)は初回面接で、「どのような生活を送りたいか」、「日常生活で困っていること」、「最近の楽しみ」などを質問したが、対象者は「今は入院生活で退屈。早く帰りたい」とだけ答えた。
この面接場面から、次に行う作業療法評価で最も適切なのはどれか。
1.痛みの程度を確認する。
2.生活行為への関心を把握する。
3.他職種を同席させた面接を計画する。
4.言語機能に問題があるかどうかを確認する。
5.面接ではなくアンケートでの情報収集を検討する。
解答2
解説
【実習前の初回面接のロールプレイ】
・76歳の女性(脳梗塞発症後3か月、右片麻痺)。
・Brs:右上肢V、手指V、下肢Ⅵ。
・現在は回復期リハビリテーション病棟に入院中。
・杖歩行は可能。
・退院後は一人暮らしを予定している。
・学生(あなた)は初回面接で、「どのような生活を送りたいか」、「日常生活で困っていること」、「最近の楽しみ」などを質問したが、対象者は「今は入院生活で退屈。早く帰りたい」とだけ答えた。
→「入院生活が退屈」「早く帰りたい」がネガティブに聞き取られやすいが、「答えが少ない=評価不能」と考えることではなく、それらの発言の背景にある生活像・価値観・したい生活行為をさらに具体化することができる。例えば、入院が退屈→「入院前の生活は、活動的だった?趣味は?など」、早く帰りたい→「誰かに会いたい?、ご飯を作りたい?」など。
1.× 痛みの程度を確認する優先度は低い。なぜなら、本症例の設問文には、痛みを示唆する情報がないため。例えば、脳卒中後で、肩手症候群による肩関節痛や筋緊張に伴う疼痛などが疑われ、患者が「肩が痛くて何もしたくない」「夜も痛くて眠れない」と話していれば、痛みの評価は最優先になる。
2.〇 正しい。生活行為への関心を把握する。なぜなら、本症例の「入院生活が退屈」「早く帰りたい」という発言は、生活再開や趣味活動への希望、退院へのニードを示していると受け取れるため。例えば、入院が退屈→「入院前の生活は、活動的だった?趣味は?など」、早く帰りたい→「誰かに会いたい?、ご飯を作りたい?」など。
3.× 他職種を同席させた面接を計画する必要はない。なぜなら、初回面接で、「今は入院生活で退屈。早く帰りたい」とだけ答えた状態(情報が極端に乏しい)で、具体的に何の職種との連携を取るかも定まらないため。本症例と、会話が成立しており、質問の仕方や交流を介して、具体的に評価を進めていくことが望ましい。
4.× 言語機能に問題があるかどうかを確認する必要はない。なぜなら、本症例と、会話が成立しているため。患者が、退院生活が具体化できず、言葉が詰まることもある。聞き取りにくかっただけの可能性もある。一方的に、患者の「言語機能に問題あり」と評価し、それを患者に聞くことは、教科書的にも臨床の現場でもあまり行わない行為である。例えば、「患者が質問に対して的外れな返答を繰り返す」、「理解が乏しい」などであれば、医師や言語聴覚士に報告・相談し、言語機能の確認を優先することもある。
5.× 面接ではなくアンケートでの情報収集を検討する優先度は低い。なぜなら、本症例と、会話が成立しているため。初回面接で、「今は入院生活で退屈。早く帰りたい」とだけ答えた状態で、アンケートに変えるだけの理由がない。アンケートは、情報収集を効率化し、聞き漏れを防ぐ効果がある反面、記入に負担が生じ信頼関係づくりに支障をきたしかねない。
