第61回(R8)作業療法士国家試験 解説【午後問題26~30】

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26 知能指数が算出できるのはどれか。

1.MMSE
2.RBMT
3.SLTA
4.Rey複雑図形検査
5.Kohs立方体組み合わせテスト

解答

解説
1.× MMSE(Mini Mental State Examination)とは、認知障害(認知症・せん妄・健忘性障害)のスクリーニングとして国際的によく用いられている検査である。内容は、見当識・記銘力・注意と計算・想起・言語・組み立ての各項目があり、30点満点で評価する。26点以下で軽度認知障害の疑いを示し、23点以下では認知障害の可能性が高いことを示す。

2.× RBMT(Rivermead behavioral memory test:リバーミード行動記憶検査)は、記憶障害の患者が日常的に遭遇する状況を想定して行う記憶障害検査である。1.氏名、2.持ち物、3.約束、4.絵、5.物語(直後・遅延)、6.顔写真、7.道順(直後・遅延)、8.用件、9.見当識で9つの項目を評価する。特に展望記憶の検査項目が含まれているのが特徴である。
7点以上:病棟内の自室やトイレ、訓練室への道順を正しく覚えているレベル。
「9点以下」:日常生活上の行動に指示や見守りが必要。
15点以上:一人で通院が可能。
17点以上:計画的な買い物が可能。

3.× SLTA(Standard Language Test of Aphasia:標準失語症検査)は、成人の失語症の代表的な検査である。26項目の下位検査での構成で、「聴く」「話す」「読む」「書く」「計算」について6段階で評価する。

4.× Rey複雑図形検査(Rey-Osterrieth複雑図形検査:Rey-Osterrieth Complex Figure Test:レイ・オステオリートの複雑図形課題:ROCF)は、視覚性の記憶検査である。複雑な図形を模写することを求め、次に図形を取り去った直後、および20分後に思い出して描くように求める検査である。

5.〇 正しい。Kohs立方体組み合わせテストは、知能指数が算出できる。
・Kohs立方体組み合せテスト(コース立方体組み合せテスト)は、軽度認知機能障害(MCI)のスクリーニング検査である。各面が塗り分けられた立方体のブロックを使って、見本と同じ立体を作るという構成課題からなる知能検査である。

 

 

 

 

 

27 Guillain-Barré症候群で正しいのはどれか。

1.球麻痺は無い。
2.先行原虫感染が誘因となる。
3.髄液中のタンパク質が低下する。
4.運動神経と感覚神経の障害である。
5.末梢神経伝導検査で伝導速度が正常である。

解答

解説

”Guillain-Barré症候群とは?”

Guillain-Barré(ギラン・バレー)症候群は、先行感染による自己免疫的な機序により、炎症性脱髄性ニューロパチーをきたす疾患である。一般的には細菌・ウイルスなどの感染があり、1~3週後に両足の筋力低下(下位運動ニューロン障害)や異常感覚(痺れ)などで発症する。感覚障害も伴うが、運動障害に比べて軽度であることが多く、他覚的な感覚障害は一般に軽度である。初期症状として、歩行障害、両手・腕・両側の顔面筋の筋力低下、複視、嚥下障害などがあり、これらの症状はピークに達するまでは急速に悪化し、時には人工呼吸器が必要になる。症状が軽い場合は自然に回復するが、多くの場合は入院により適切な治療(免疫グロブリン静注療法や血液浄化療法など)を必要とする。症状は6か月から1年程度で寛解することが多い。臨床検査所見として、①髄液所見:蛋白細胞解離(蛋白は高値,細胞数は正常)を示す。②電気生理学的検査:末梢神経伝導検査にて、脱神経所見(伝導ブロック、時間的分散、神経伝導速度の遅延、複合筋活動電位の低下など)がみられる。複合筋活動電位が消失あるいは著明な低下し、早期から脱神経所見を示す症例は、一般に回復が悪く機能的予後も不良である。

(※参考:「重篤副作用疾患別対応マニュアル ギラン・バレー症候群」厚生労働省様HPより)

1.× 球麻痺は「起こりえる」。なぜなら、GBSは、末梢神経(脳神経を含む)に免疫性炎症が起こるため。延髄支配の脳神経(IX・Xなど)が障害され球麻痺が出ることがある。
・球麻痺とは、延髄にある神経核(Ⅸ:舌咽神経、Ⅹ:迷走神経、Ⅺ:副神経、Ⅻ:舌下神経)が障害された状態を指し、舌咽・迷走・舌下神経が障害される。したがって、嚥下・構音障害、舌萎縮、線維束攣縮などがみられる。

2.× 「先行原虫感染」ではなく細菌・ウイルスなどの先行感染が誘因となる。主に、カンピロバクターである。ちなみに、原虫感染はトキソプラズマ症である。
・トキソプラズマとは、原虫の一種のトキソプラズマによる人獣共通感染症で、経胎盤感染で、児に水頭症や脳内石灰化、知的能力障害などを起こすことがある。加熱処理の不十分な肉に生存するシスト、土壌中やネコの糞中に存在するオーシストから水平感染する。

3.× 髄液中のタンパク質が、「低下」ではなく上昇する。なぜなら、神経根の炎症で、血液-神経関門が障害され、髄液中の蛋白が増える一方、細胞数は増えにくい(蛋白細胞解離)ため。

4.〇 正しい。運動神経と感覚神経の障害である。なぜなら、末梢神経(運動線維・感覚線維)や神経根が免疫性に障害され、運動麻痺(主症状)に加え、しびれ・感覚鈍麻・神経痛など感覚症状も起こり得るため。

5.× 末梢神経伝導検査で伝導速度が「正常」ではなく低下する。なぜなら、脱随を呈するため。末梢神経伝導検査にて、脱神経所見(伝導ブロック、時間的分散、神経伝導速度の遅延、複合筋活動電位の低下など)がみられる。

 

 

 

 

 

28 作業療法プログラム立案で最も適切なのはどれか。

1.訓練内容は毎回変更する。
2.環境調整は退院してから行う。
3.IADL向上のために機能訓練を優先する。
4.作業療法士個人の経験に基づき決定する。
5.成功体験を得られやすいように設定する。

解答

解説
1.× 必ずしも、訓練内容は毎回変更する「必要はない」。なぜなら、運動学習やADLの改善には、反復練習による学習効果が重要であるため。毎回、内容を変えるとフィードバックがしにくく、習得が進みにくい可能性が高い。

2.× 環境調整は、「退院してから」ではなく退院前に行う。なぜなら、環境調整(手すり、滑り止めなどの設置)には、時間がかかるため。福祉用具選定・住宅改修・動線/手すりなど退院前に検討し、退院後に安全に生活できるように整える必要がある。

3.× 必ずしも、IADL向上のために、機能訓練を優先する「必要はない」。なぜなら、IADL(手段的日常生活動作)は、機能訓練のほかにも、代償の道具や環境調整などで難易度を下げられるため。例えば、買い物であれば、インターネットショッピングや同行支援などである。
・IADL(手段的日常生活動作)とは、日常生活を送るために必要な動作の中でも基本的なADLよりも複雑で高度な動作をいう。項目として、①電話を使用する能力、②買い物、③食事の準備、④家事、⑤洗濯、⑥移送の形式、⑦自分の服薬管理、⑧財産取り扱い能力である。

4.× 「作業療法士個人の経験」ではなく「根拠と本人の希望」に基づき決定する。なぜなら、作業療法は患者中心で、科学的根拠に基づく意思決定が求められるため。

5.〇 正しい。成功体験を得られやすいように設定する。なぜなら、達成可能な課題設定は成功体験を生み、自己効力感(自分はできるという感覚)と動機づけを高め、継続的な参加と機能回復につながるため。

 

 

 

 

 

29 糖尿病性低血糖の自律神経症状はどれか。

1.動悸
2.けいれん
3.意識障害
4.異常行動
5.集中力減退

解答

解説

低血糖症状とは?

血糖値が低下するとカテコラミン(インスリン拮抗ホルモン)の分泌が上昇し、交感神経刺激症状が出現する。さらに血糖値が低下すると脳・神経細胞の代謝が低下し、中枢神経症状が出現する。頭痛や空腹感などの比較的軽度な症状から始まるが血糖値が低下し続けると昏睡に至る。低血糖症状は、①自律神経症状と②中枢神経症状に分けられる。

自律神経症状は、冷感・顔面蒼白・頻脈・動悸・発汗・手の震え・空腹感などである。

②中枢神経症状は、頭痛・集中力低下・視力低下・痙攣・昏睡などである。予防法として、飴や角砂糖などを携帯してもらう。

1.〇 正しい。動悸は、糖尿病性低血糖の自律神経症状である。なぜなら、低血糖になると、アドレナリンなどの交感神経刺激物質が分泌され、心拍数が上昇し動悸を感じるようになるため。

2~5.× けいれん/意識障害は、糖尿病性低血糖の中枢神経症状である。なぜなら、ブドウ糖は、脳のエネルギー源であるため。したがって、低血糖に陥ると、脳機能が低下し神経細胞が障害され、けいれん/意識障害/異常行動/集中力減退が起こり得る。

 

 

 

 

 

30 OSCE〈客観的臨床能力試験〉で正しいのはどれか。

1.技能の到達度を評価する。
2.知識量の多さが重視される。
3.筆記試験の代替として実施される。
4.模擬患者への実施結果の提示は省略できる。
5.実施する内容は事前に模擬患者に説明しない。

解答

解説

OSCEとは?

OSCE〈客観的臨床能力試験〉とは、医療系学生や研修者の診察・面接・手技・説明などの臨床技能と態度を、模擬患者や課題場面を用いて客観的に評価する試験である。単なる知識量ではなく、実際の場面で安全かつ適切に対応できる力の到達度を確認することが目的である。

1.〇 正しい。技能の到達度を評価する。なぜなら、標準化された課題で、臨床技能(診察・面接・手技・態度など)を客観的に評価する仕組みであるため。

2.× 「知識量の多さ」ではなく臨床技能(診察・面接・手技・態度など)が重視される。なぜなら、OSCEは「知っているか(知識量の多さ)」ではなく「できるか(実践できるか)」を評価する試験であるため。ちなみに、知識量は、筆記試験で評価される。

3.× 筆記試験の「代替」ではなく補完として実施される。なぜなら、筆記試験は知識・判断の評価、OSCEは技能・態度の評価で、評価対象が異なるため。もちろん知識がゼロでは技能は成立しないが、医療者として必要な能力を多面的に測る。

4.× 模擬患者への実施結果の提示は省略「できない」。なぜなら、OSCEは、コミュニケーション能力や患者への説明(情報提供・配慮・理解確認)も臨床能力として評価し得るため。

5.× 実施する内容は、事前に模擬患者に「説明する」。説明→同意→実施が原則である。なぜなら、医療行為は、実施前に目的・方法・所要時間・注意点を説明し、同意を得る(インフォームド・コンセント)のが基本であるため。例えば、「これから血圧を測ります。腕をまくってよいですか?」と確認してから実施する、などが評価される。

 

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