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46 うつ病患者のリワークの説明で適切なのはどれか。
1.うつ病の治療初期よりリワークへの導入を行う。
2.医療機関のリワークでは積極的な訪問支援を行う。
3.対人技能の向上を目的に集団プログラムを実施する。
4.ストレスチェックで高ストレス者になったものを対象とする。
5.障害者職業センターのリワークでは病状の回復を目的としている。
解答3
解説
復職支援プログラムとは、リワークプログラムや職場復帰支援プログラムともいう。リワークとは、「return to work」の略語。気分障害などの精神疾患を原因として休職している労働者に対し、職場復帰に向けたリハビリテーション(リワーク)を実施する機関で行われているプログラムである。
【医療リワークプログラムの実施形態の定義】
(1)個人プログラム:文字や数字、文章を扱う。机上での作業を一人で行い、集中力や作業能力の確認、向上を図る
(2)特定の心理プログラム:認知行動療法やグループカウンセリングなど、特定の心理療法を実施
(3)教育プログラム:症状の自己理解を主目的とし、主に講義形式で病気について学ぶ
(4)集団プログラム:実際に役割分担をしての共同作業などを行い、対人スキルの向上などを目指す
(5)その他のプログラム:運動、個人面談等、(1)~(4)のいずれにも該当しないプログラム
(※引用:「リワークプログラムについて」日本うつ病リワーク協会様HPより)
1.× リワークへの導入を行うのは、「治療初期」ではなく回復後期ごろである。なぜなら、うつ病の治療初期は、休息(現実感の回復)や日常生活を取り戻すことに目標となるため。リワークは負担がかかりやすく、症状が落ち着いた回復後期に行われる。
2.× 医療機関のリワークでは、積極的な訪問支援は行われにくい。なぜなら、医療機関では集団療法として位置づけられるため。主な概要は、プログラムに応じて決まった時間に施設へ通うことで会社へ通勤することを想定した訓練を行う。また仕事に近い内容のオフィスワークや軽作業、復職後にうつ病を再発しないための疾病教育や認知行動療法などの心理療法が行われ、初期には久しぶりの集団生活になれるための軽スポーツやレクレーションが行われることがある。
3.〇 正しい。対人技能の向上を目的に集団プログラムを実施する。プログラムには、①個人プログラム、②特定の心理プログラム、③教育プログラム、④集団プログラム、⑤その他のプログラムなどがあげられる。集団プログラムとは、実際に役割分担をしての共同作業などを行い、対人スキルの向上などを目指す。
4.× 「ストレスチェックで高ストレス者になったものを対象とする」という説明は、メンタルヘルスの不調の予防(ストレスチェック制度)の説明である。心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック制度)は、労働者に対して行う心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)や、検査結果に基づく医師による面接指導の実施などを事業者に義務づける制度である。平成26(2014)年6月の法改正で、労働者50人以上の事業所で毎年1回、すべての労働者に対してストレスチェックを実施することが義務づけられた。ストレスチェック後に「高ストレス判定」が出た場合、会社の対応が義務つけられている。①検査の結果「高ストレス者」と判定された労働者から申し出があった場合、産業医などの医師による面談(面接指導)を実施すること。②面接指導の結果に基づき、医師の意見を聞き、必要に応じ就業上の措置を講じることも義務となる。
5.× 障害者職業センターのリワークでは、「病状の回復」ではなく職場復帰を目的とする。なぜなら、あくまでもリワーク支援とは、「return to work」の略語で、気分障害などの精神疾患を原因として休職している労働者に対し、職場復帰に向けたリハビリテーション(リワーク)を実施する機関で行われているプログラムであるため。
【地域障害者職業センターの主な業務】
障害者に対し、
①職業相談・職業評価
②職業指導(ジョブガイダンス)
③職業準備支援
④職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援
⑤リワーク支援 など。
かかりやすい:几帳面で完璧主義、責任感が強い人が多い。
うつ病の特徴:意欲低下、精神運動抑制などの症状のため、自己評価が低く、疲労感が強い。
①調子が悪いのは病気のせいであり、治療を行えば必ず改善すること。
②重要事項の判断・決定は先延ばしにする。
③自殺しないように約束してもらうことなど。
【作業基準】
①工程がはっきりしている。
②短期間で完成できる。
③安全で受身的で非競争的である。
④軽い運動(いつでも休憩できる)
【対応】
①気持ちを受け入れる。
②共感的な態度を示す。
③心理的な負担となるため、激励はしない。
④無理をしなくてよいことを伝える。
⑤必ず回復することを繰り返し伝えていく。
⑥静かな場所を提供する。
47 統合失調症の行動特性に合わせた作業療法士の対応で正しいのはどれか。
1.緊張度を高める。
2.まとめて指示する。
3.作業環境を一定にする。
4.状況に応じて判断させる。
5.指示の前後に無関係な話をする。
解答3
解説
統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。
(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)
1.× 緊張度を高める必要はない。なぜなら、統合失調症では、すでに精神的な不安定さや過敏さが見られるため。したがって、さらに緊張を高めると不安や混乱が増し、症状が悪化する可能性がある。
2.× まとめて指示する必要はない。なぜなら、統合失調症では、情報処理や集中力・判断力に課題を抱えていることが多いため。一度に多くの情報を受けると混乱しやすい。したがって、指示は分かりやすく段階的に行う。
3.〇 正しい。作業環境を一定にする。なぜなら、一定の環境(例えば、毎回同じ場所、同じ時間帯での作業)は、安心感を与え、集中しやすくなるため。したがって、結果的に症状の安定化や効果的な治療につながる。
4.× 状況に応じて判断させる必要はない。なぜなら、統合失調症では、情報処理や集中力・判断力に課題を抱えていることが多いため。したがって、臨機応変な対応・判断はさらなる混乱や不安を引き起こす可能性がある。
5.× 指示の前後に無関係な話をする必要はない。なぜなら、無関係な話題は注意散漫を招くため。作業の流れを阻害する恐れがある。
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48 BPSD〈Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia〉はどれか。2つ選べ。
1.失認
2.徘徊
3.記憶障害
4.不潔行為
5.実行機能障害
解答2・4
解説
(※図引用:「SOMPO笑顔倶楽部」様HPより)
①中核症状:神経細胞の障害で起こる症状
(例:記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、失語・失行など)
②周辺症状:中核症状+(環境要因や身体要因や心理要因)などの相互作用で起こる様々な症状
(例:徘徊、幻覚、異食、せん妄、妄想、不安など)
1.× 失認は、認知症の中核症状である。失認とは、1つまたは複数の感覚で物体を識別する能力が失われる障害である。視覚・聴覚・味覚・嗅覚・体性感覚などその感覚自体の異常がなく、注意や知能といった一般的な精神機能は保たれているが、対象を認知できないことである。
2.〇 正しい。徘徊は、BPSD(周辺症状)である。徘徊とは、家から外に出て、あてもなくうろうろと歩き回る行動のことを指す。夜中の徘徊の原因として、記憶障害や見当識障害によるものとされている。
3.× 記憶障害は、認知症の中核症状である。記憶障害とは、事故や病気の前に経験したことが思い出せなくなったり、新しい経験や情報を覚えられなくなった状態のこと。自分のしたことを忘れてしまったり、作業中に声をかけられると、何をしていたか忘れてしまう。
4.〇 正しい。不潔行為は、BPSDである。不潔行為とは、トイレの失敗や排泄物で衣類や部屋を汚す行為を指す。背景として、汚物やトイレの方法を認識できないことが原因で、見当識障害や実行機能障害などの影響とされている。
5.× 実行機能障害は、認知症の中核症状である。実行機能障害とは、遂行機能障害ともいわれ、論理的・計画的な行動ができなくなることである。例えば、料理を作る、洗濯をするなどの段取りのことをいい、前頭葉の障害で出現する。
認知症の人の不潔行為として、弄便(※読み:ろうべん)がある。弄便とは、下着やおむつの中に排泄した便を素手でいじったり、便を取り出して、自分の着ている衣類や寝具、周辺の壁などになすりつけることである。
49 心神喪失者等医療観察法で対象者の処遇を決める機関はどれか。
1.検察庁
2.指定入院医療機関
3.保健福祉センター
4.地方裁判所
5.保護観察所
解答4
解説
医療観察法とは、重大な他害行為を行った精神障害者に医療を受けさせ、犯罪の再発を防ぎ社会復帰の促進が目的である。平成15年に制定され、平成17年施行した。「重大な他害行為」とは、①殺人、②放火、③強盗、④強姦、⑤強制わいせつ、⑥傷害の6つである。鑑定入院の後で、裁判官と精神保健審判員からなる合議体(裁判官と精神保健審判員からなる)が処罰の審判を下す。
(※引用:「心神喪失者等医療観察法」厚生労働省様HPより)
1.× 検察庁とは、検察官・検察事務官などが執務している機関である。検察官とは、刑事事件や告訴のあった事件の捜査を行い、犯罪や違法行為をした人や法人(被告人)を裁判所に訴える(起訴する)職種である。
2.× 指定入院医療機関とは、心神喪失者等医療観察法に基づき、触法精神障害者に対する入院処遇を担当させるため、厚生労働大臣が指定した医療機関である。
3.× 保健福祉センターとは、幅広い年齢層のすべてのライフサイクルでの健康づくりのための各種事業を実施するとともに、保健、福祉、医療に係る総合相談を行い、必要に応じて他の機関と連携を図った支援を行っている機関である。
4.〇 正しい。地方裁判所は、心神喪失者等医療観察法で対象者の処遇を決める機関である。心神喪失又は心神耗弱の状態で重大な他害行為を行い、不起訴処分となるか無罪等が確定した人に対して、検察官は、医療観察法による医療及び観察を受けさせるべきかどうかを地方裁判所に申立てを行う(上図、HP参照)。
5.× 保護観察所とは、犯罪をした人または非行のある少年が、社会の中で更生するように保護観察官及び保護司による指導と支援を行う場所である。
50 1000人の高齢者に質問紙を用いたうつ病のスクリーニングを施行したところ、以下のような結果が得られた。
この検査法の感度はどれか。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
1.20%
2.25%
3.75%
4.80%
5.98%
解答4
解説
敏感度(sensitivity):実際に疾病にかかっている者が検査で陽性となる割合で、検査による疾病発見の能力を表す(医学検査においては一般的に「感度」という用語がよく使われる)。値が高いほど良いものと考える。同一集団に対するスクリーニング検査にて、敏感度が上がると、検査結果は①陽性・陰性と判定される人数(割合)は変わる。しかし、②本当に疾病を有しているかどうかの事実は変わらない。
敏感度=検査で正しく発見された罹患者/全罹患者
=a/(a+c)×100(%)
(参考:「スクリーニング検査の効果指標」神谷町駅前クリニック様HPより)
1~3.5.× 20%/25%/75%/98%は、敏感度(感度)に該当しない
4.〇 正しい。80%が感度である。
敏感度=検査で正しく発見された罹患者/全罹患者
=16 ÷ (16+4)×100(%)
=16 ÷ 20 × 100(%)
=0.8 × 100(%)
=80(%)