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96 自殺危険率の高いうつ病患者の特徴でないのはどれか。
1.女性
2.精神科入院歴
3.自殺企図の既往
4.不安障害の合併
5.薬物依存の合併
解答1
解説
【基本的特徴】①男性(女性に比べ5~10倍)、②65歳以上、③単身者(特に子どもがいない)
【病歴・家族歴】①自殺企図の既往あり、精神科入院歴あり、②自殺の家族歴あり
【合併疾患】①アルコール・薬物依存の併発、②パニック障害の併発・不安の強さ、③重症身体疾患の併発、④薬物による自殺の25%が飲まずにためていた抗うつ薬による。
(※引用:「うつ病と自殺」愛知県様HPより)
1.× 女性は、自殺危険率の高いうつ病患者の特徴でない。
うつ病自体は女性(男女比は1:2)に多く見られるが、実際に自殺を完遂するリスクは男性(5倍以上)に高い。これは、女性の方がホルモンや妊娠、出産の影響と考えられているが、自殺は男性特有の要因(例:社会的圧力、自己表現の制限など)が影響しているため。
2~3.〇 精神科入院歴/自殺企図の既往、自殺危険率の高いうつ病患者の特徴である。なぜなら、精神科入院歴がある患者は、そもそも症状が重篤な可能性が高く、再発性のリスクが高いといえるため。心理的苦痛や絶望感が強いことが多い。
・自殺企図とは、自殺を実行して失敗した場合を「自殺未遂」、結果的に死に至った場合を「自殺既遂」といい、自殺企図は「自殺既遂」と「自殺未遂」の両方を指す語である。
4.〇 不安障害の合併は、自殺危険率の高いうつ病患者の特徴である。なぜなら、不安障害が合併すると、患者のストレス耐性が低下し、抑うつ状態が悪化するため。
・全般性不安障害は、様々な出来事や活動に対する過剰な不安および心配がほぼ毎日6か月以上慢性的に続き、生活に支障を来す。
5.〇 薬物依存の合併は、自殺危険率の高いうつ病患者の特徴である。なぜなら、薬物依存は、情緒不安定や衝動性を増強し、うつ病の治療効果を低減させることが報告されているため。
かかりやすい:几帳面で完璧主義、責任感が強い人が多い。
うつ病の特徴:意欲低下、精神運動抑制などの症状のため、自己評価が低く、疲労感が強い。
①調子が悪いのは病気のせいであり、治療を行えば必ず改善すること。
②重要事項の判断・決定は先延ばしにする。
③自殺しないように約束してもらうことなど。
【作業基準】
①工程がはっきりしている。
②短期間で完成できる。
③安全で受身的で非競争的である。
④軽い運動(いつでも休憩できる)
【対応】
①気持ちを受け入れる。
②共感的な態度を示す。
③心理的な負担となるため、激励はしない。
④無理をしなくてよいことを伝える。
⑤必ず回復することを繰り返し伝えていく。
⑥静かな場所を提供する。
97 常染色体のトリソミーで引き起こされる疾患はどれか。
1.Down症候群
2.Kleinfelter症候群
3.Turner症候群
4.von Recklinghausen病
5.フェニルケトン尿症
解答1
解説
1.〇 正しい。Down症候群は、常染色体のトリソミーで引き起こされる。Down症候群とは、染色体異常が原因で知的障害が起こる病気である。常染色体異常疾患の中で最多である。Down症候群になりうる異常核型は、3種に大別される。①標準トリソミー型:21トリソミー(93%)、②転座型(5%)、③モザイク型(2%)である。発症率は、平均1/1000人である。しかし、35歳女性で1/300人、40歳女性1/100人、45歳女性1/30人と、出産年齢が上がるにつれて確率が高くなる。症状として、①特異な顔貌、②多発奇形、③筋緊張の低下、④成長障害、⑤発達遅滞を特徴とする。また、約半数は、先天性心疾患や消化管疾患などを合併する。特異顔貌として、眼瞼裂斜上・鼻根部平坦・内眼角贅皮・舌の突出などがみられる。
2.× Kleinefelter症候群(クラインフェルター症候群)は、男性の性染色体にX染色体が一つ以上多いことで生じる一連の症候群で性染色体異常ある。高身長、やせ型、長い手足になることが多い。
3.× Turner症候群(ターナー)とは、典型的には身長が低く、首の後ろに皮膚のたるみがあり、学習障害がみられ、思春期が始まらないのが特徴である。2本のX染色体のうち1本の部分的または完全な欠失によって引き起こされる性染色体異常である。つまり、女性特有の染色体異常である。
4.× von Recklinghausen病(フォン・レックリングハウゼン病)は、神経線維腫症Ⅰ型ともいい、カフェ・オ・レ斑と神経線維腫を主徴とし、その他骨、眼、神経系、(副腎、消化管)などに多彩な症候を呈する母斑症であり、常染色体性優性の遺伝性疾患である。カフェオレ斑は楕円形のものが多く、子供では5mm以上、大人では15mm以上もある。重症合併症を有する割合は少ないが、健常人と比べて悪性腫瘍を合併する割合がやや高いと言われている。原因は17番染色体異常(17番染色体長腕)であり遺伝子疾患であるが、患者の半数以上は無症状の両親から生まれている。他の症状としては、脊柱側弯や長管骨の狭細化・弯曲・偽関節である。
5.× フェニルケトン尿症とは、指定難病の一つの遺伝性疾患(常染色体劣性遺伝疾患)で、症状は、通常生後数か月から2歳頃までに脳の発達障害を来す。小頭症、てんかん、重度の精神発達遅滞、行動上の問題などの徴候と症状を示す。特有の尿臭(ネズミ尿臭、カビ臭)、赤毛、色白、湿疹がみられることがある。したがって、血液中にフェニルアラニンの高値が続くと、知的能力の発達が同年代の人に比べて低い水準となる知的障害の原因となる。
98 統合失調症の陽性症状はどれか。2つ選べ。(※不適切問題:採点除外)
1.快感消失
2.会話の貧困
3.幻覚
4.注意の障害
5.連合弛緩
解答(※不適切問題:採点除外)
理由:選択肢に不適切があるため。
解説
統合失調症には、①陽性症状、②陰性症状、③認知機能障害(※)の3つの症状がある。
陽性徴候(陽性症状)とは、普段出ていないけど病気になることで出現する症状のことである。
例えば、クローヌス、痙縮、バビンスキー反射、連合反応などである。統合失調症でいうと幻覚、妄想、緊張病症状などである。陽性症状の方が薬物反応はよく、予後良好といえる。
陰性徴候(陰性症状)とは、普段持っている能力(健常者が持っている能力)が失われることである。
例えば、筋力低下、巧緻性の低下、疲労感などである。統合失調症でいうと感情平板化、自発性低下、思考の貧困化など。
認知機能障害は、情報処理や注意、社会性、記憶があげられる。
1~2.× 快感消失/会話の貧困は、陰性症状である(※上参照)。
3.5.〇 正しい。幻覚/連合弛緩は、統合失調症の陽性症状である。連合弛緩とは、個々の話の間の関連性が弱く、話のまとまりが悪い状態をいう。
4.△ 注意の障害は、統合失調症では通常、「認知機能障害」に分類される症状であり、直接的に陽性症状や陰性症状に含まれることはない。しかし実際には、幻覚や妄想(陽性症状)あるいは意欲低下(陰性症状)が強く現れた場合、二次的に注意散漫や集中困難が生じることもあるため、受験者が「注意障害」を陽性症状と誤解する可能性があったと考えられる。この「注意障害」の選択肢が受験者に混乱を与える恐れがあると判断され、不適切問題として採点対象から除外されたと推察される。
統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。
(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)
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99 うつ病の症状はどれか。
1.観念奔逸
2.誇大妄想
3.思考奪取
4.思考途絶
5.無価値感
解答5
解説
①感情面:抑うつ、不安、焦燥。
②意欲面:意欲低下(日内変動があり特に朝が悪い)、自殺念慮。
③思考面:微小妄想(罪業、貧困、心気)、思考抑止、離人。
④身体面:不眠(早期覚醒が多い)、頭重感、めまい、倦怠感。
1.× 観念奔逸は、躁病にみられる。観念奔逸とは、考えが次から次へとほとばしり出てくるが、考え全体としてのまとまりがなくなるものをいう。
【躁病の特徴】①異常に高揚した、開放的な、または怒りっぽい気分の持続、②過度の自尊心・誇大的思考、③睡眠欲求の減少、④多弁、⑤観念奔逸(考えが次から次へとほとばしり出ること)、⑥注意散漫、⑦目標指向性の異常亢進、⑧快楽的活動への没頭
2.× 誇大妄想は、主に躁病や統合失調症などにみられる。誇大妄想とは、自分を過大評価する妄想のことである。素晴らしい発明をしたという内容の発明妄想であり、誇大妄想の一つである。ほかにも、血統妄想、恋愛妄想などがある。
3.× 思考奪取は、統合失調症でみられる。思考奪取とは、自分の考えを誰かに抜き取られるというものである。統合失調症の思考・自我意識の異常の一種である。
4.× 思考途絶は、統合失調症でみられる。思考途絶とは、思考が途中で急に停止することをいう。ちなみに、うつ病でみられるのは、思考制止(思考がなかなか前に進まない状態)である。
5.〇 正しい。無価値感は、うつ病の症状である。うつ病では、自分自身を過小評価し、価値がないと感じる無価値感や罪悪感が頻繁に見られる。うつ病エピソードの診断基準(下図参照)にも該当する。
(※図引用:一般社団法人日本健康倶楽部HP様)
統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。
(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)
100 強迫症〈強迫性障害〉の症状で正しいのはどれか。
1.強迫行為中の記憶は残らない。
2.家族を巻き込むことは稀である。
3.強迫観念は睡眠中も持続している。
4.強迫行為を命令する幻聴に怯えている。
5.強迫観念を不合理であると認識している。
解答5
解説
強迫性障害とは、自分の意志に反する不合理な観念(強迫観念)にとらわれ、それを打ち消すために不合理な行動(強迫行為)を繰り返す状態をいう。治療として、①SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、②森田療法、③認知行動療法などである。作業療法では、他のことに目を向けさせることによりこだわりを軽減することを目的とする。
1.× 強迫行為中の記憶は「残っている」。強迫性障害の患者は、強迫行為(反復する行動)を自覚している。
2.× 必ずしも、家族を巻き込むことは「稀である」とはいえない。患者の強迫的な行動(例:物を特定の順番で並べる、過剰な確認行為など)が家庭内で影響を及ぼす。家族がその行動を助長してしまうこともある(※参考:「2-1.家族への巻き込みと対処」OCDサポート様HPより)。
3.× 強迫観念の睡眠中に「持続していることはとんどない」。なぜなら、強迫観念は通常、覚醒時に顕著に現れるものであるため。患者は目が覚めると不合理な恐怖や不安に悩まされる一方、睡眠中はそのような強迫観念の影響は軽減または消失する。
4.× 強迫行為は、「命令する幻聴に怯えている」状態ではない。幻聴に関連するのは統合失調症である。強迫行為とは、不合理な観念(手を洗っても汚いままなど)を解消するために繰り返し行ってしまう行為のことをいう。
5.〇 正しい。強迫観念を不合理であると認識している。強迫行為とは、不合理な観念(手を洗っても汚いままなど)を解消するために繰り返し行ってしまう行為のことをいう。自分でもおかしいとわかっていながら、その行為を繰り返し、それが日常生活に障害をもたらしていることを強迫性障害という。
統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。
(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)
※解答の引用:第60回理学療法士国家試験及び第60回作業療法士国家試験の合格発表について(厚生労働省HPより)