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26.内反変形のある変形性膝関節症患者の歩行の特徴はどれか。2つ選べ。
1.立脚相:外側スラスト
2.立脚相:立脚側への体幹傾斜
3.立脚相:立脚肢の反張膝
4.遊脚相:分回し
5.遊脚相:遊脚側の骨盤下制
解答1.2
解説
変形性膝関節症は、①疼痛、②可動域制限、③腫脹、④関節変形などがみられる。進行度にかかわらず、保存療法が第一選択となる。減量や膝に負荷のかかる動作を回避するような日常生活動作指導、筋力トレーニングやストレッチなどの運動療法、装具や足底板などの装具療法、鎮痛薬や関節内注射などの薬物療法が行われる。
1.〇 正しい。立脚相に外側スラスト(外方動揺)が起きやすい。原因として、①変形による骨自体の安定性低下、②膝関節の支持組織(筋や靭帯)の機能障害による影響が強いとされている。ちなみに、外側スラスト(外方動揺)とは、踵接地直後に膝が急激に外側へ動揺するものである。
2.〇 正しい。立脚相に立脚側への体幹傾斜が起きやすい。なぜなら、内反変形(O脚)となると立脚側下肢へのスムーズな重心移動が困難であるため。内反変形(O脚)が増強すれば、外側への重心移動が困難になる分、体幹の側屈(傾斜)で代償している。
3.× 立脚相に立脚肢の反張膝が起きやすいのは、片麻痺や膝周囲筋の筋力低下などである。
4.× 遊脚相に分回しが起きやすいのは、片麻痺である。
5.× 遊脚相に遊脚側の骨盤下制が起きやすいのは、主に変形性股関節症である。原因として、対側下肢(中殿筋)や体幹筋の筋力低下などである。トレンデレンブルグ歩行ともいう。
27.関節運動とそれを制限する靱帯との組合せで正しいのはどれか。
1.肩鎖関節回旋:烏口肩峰靱帯
2.脊椎の伸展:後縦靱帯
3.股関節伸展:大腿骨頭靱帯
4.膝関節伸展:膝前十字靱帯
5.足関節内がえし:三角靱帯
解答4
解説
1.× 肩鎖関節回旋の制限は、「烏口肩峰靱帯」ではなく烏口鎖骨靭帯である。ちなみに、鳥口肩峰靭帯は、烏口突起と肩峰を連結している。働きとして、肩関節を保護すると共に、上腕骨が水平より上方にあがることを抑制する。
2.× 脊椎の伸展の制限は、「後縦靱帯」ではなく前縦靱帯である。後縦靭帯は、椎体の後方を連結しているため脊椎の屈曲を制限する。
3.× 股関節伸展の制限は、「大腿骨頭靱帯」ではなく主に腸骨大腿靭帯(下部)である。ちなみに、大腿骨頭靱帯は、大腿骨頭と臼蓋を連結しているため股関節内転を制限し、脱臼の予防に働く。また、腸骨大腿靭帯(上部)も股関節内転を制限する。
4.〇 正しい。膝関節伸展の制限は、膝前十字靱帯である。大腿骨顆間窩の後側外方から脛骨顆間隆起に付着している。
5.× 足関節内がえしの制限は、「三角靱帯」ではなく外側靭帯である。外側靭帯は、前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯を合わせていう。ちなみに、三角靭帯は、外がえしを制限する。
28.疾患と治療体操との組合せで誤っているのはどれか。
1.慢性閉塞性動脈疾患:Buerger-Allen体操
2.脊椎圧迫骨折:Böhler体操
3.肩関節周囲炎:Codman体操
4.運動失調症:Frenkel体操
5.腰痛症:Klapp体操
解答5
解説
1.〇 Buerger-Allen体操(バージャー・アレン体操)は、閉塞性動脈硬化症などの末梢循環障害に対する運動療法として考案された。下肢の挙上と下垂を繰り返して反射性充血を促し、側副血行路の形成を促進する体操である。慢性閉塞性動脈硬化症(ASO)は四肢末梢の主幹動脈において、徐々に動脈硬化性変化に由来して、末梢動脈の狭窄・閉塞により循環障害の症状(下肢疼痛、冷感、しびれ感、壊疽など)をきたす疾患をいう。
2.〇 Böhler体操(ベーラー体操)は、脊椎圧迫骨折患者の背筋強化に使用する。脊椎伸展運動によって背筋の筋力強化を目的とした体操である。
3.〇 Codman体操(コッドマン体操)は、肩関節周囲炎の炎症期に使用する運動であり、肩関節回旋筋腱板の強化や肩関節可動域拡大を目的に使用する。患側の手に1~1.5㎏の重錘を持ち、振り子運動を行う。
4.〇 Frenkel体操(フランクル体操)は、視覚で代償して運動制御を促通する運動療法であり、脊髄性運動失調などに対して行われる。多発性硬化症(MS)による視覚障害は、球後視神経炎を初発症状として呈することが多い。
5.× Klapp体操(クラップ体操)は、側弯体操のひとつで、匍匐(ほふく)運動を行うものである。つまり、「腰痛症」ではなく側弯症に対する運動療法である。
多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。
(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
29.関節リウマチの足部の変形で起こりにくいのはどれか。
1.外反母指
2.槌指変形
3.中足指節間関節の背側脱臼
4.凹足変形
5.踵骨の外反変形
解答4
解説
足部:扁平足、扁平三角状変形、開張足、踵骨の外反変形、尖足など。
足趾:外反母趾、槌趾など。
1.〇 外反母指(趾)は起こりやすい。外反母趾とは、足の親指(母趾)が小指側に曲がり、「く」の字のように変形することである。
2.〇 槌指変形(マレット変形)は起こりやすい。槌指変形(マレット変形)とは、DIP関節が曲がったまま伸ばせなくなった状態である。手指にも足趾にも見られる。
3.〇 中足指(趾)節間関節の背側脱臼は起こりやすい。
4.× 凹足変形は起こりにくい。関節リウマチでは、外反扁平変形が起こりやすい。ちなみに、凹足変形とは、足底の縦アーチが高い状態の変形である。先天性の内反足などで起こやすい。
5.〇 踵骨の外反変形は起こりやすい。踵骨の外反変形とは、下腿に対して踵骨が外反する変形である。
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。
(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)
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30.脳卒中片麻痺患者の左半側空間無視に対する導入時の理学療法で誤っているのはどれか。
1.理学療法士は左側に位置する。
2.左側身体へ触覚刺激を高める。
3.左側への体軸内回旋を加える。
4.鏡による視覚刺激を利用する。
5.右方から左方へ注意を移動させる。
解答4
解説
劣位半球頭頂葉が障害されると、①対側の半側空無視、②着衣失行、③病態失認が起こる。半側空間無視とは、障害側の対側への注意力が低下し、その空間が存在しないかのように振る舞う状態のことである。半盲のように左半分が見えないわけではなく、注意力が低下している。したがって、①左側への注意喚起、②左側身体への触覚刺激、③左側方向への体軸回旋運動、④左側からの声かけなどが挙げられる。
1~3.5.〇 理学療法士は左側に位置する/左側身体へ触覚刺激を高める/左側への体軸内回旋を加える/右方から左方へ注意を移動させる。なぜなら、左側への注意を喚起するため。
4.× 鏡による視覚刺激を利用する優先度は低い。なぜなら、鏡による刺激は左右が逆転し、左右の混乱を招くため。また、半側空間無視は、半盲のように左半分が見えないわけではなく、注意力が低下している。