【PT/OT/共通】加齢に伴う生理学的変化についての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

MEMO

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目次 非表示

PT専門

第51回PT 午前24問

24 加齢に伴う生理的変化について正しいのはどれか。

1. 胸腺が肥大する。
2. 筋の収縮速度が速くなる。
3. 視覚の明順応時間は変化しない。
4. 筋量は下肢より上肢の方が減少する。
5. 低音域より高音域が聞こえにくくなる。

解答5

解説

1.× 胸腺が「肥大」ではなく萎縮する。なぜなら、加齢に伴い免疫力が低下するため。T細胞を作る役割を担う胸腺が年齢とともに退縮し、T細胞を増やす能力が低下する。 T細胞を産生する能力は、40歳代で新生児の100分の1まで低下するといわれている。
2.× 筋の収縮速度が「速くなる」のではなく遅くなる。筋の収縮速度(白筋)の特徴は、素早く収縮し大きな力の発揮することである。加齢に伴い、動作がゆっくりとなり、筋力の弱くなることが挙げられるが、その要因の一つに白筋の加齢に伴う減少が関係している。
3.× 視覚の明順応時間は「変化しない」のではなく、変化する(長くなる)。加齢に伴い、暗いところでも瞳孔がスムーズに動かなくなる。これを老人性縮瞳という。つまり、光を取り込みづらくなる場合があるため、暗いところでは若年層よりもさらにものが見えにくくなる。ちなみに、瞳孔は、暗いところでは、少ない光をできるだけ効率良く取り込めるようが開き、よりよく見えるように働いている。
4.× 逆である。筋量の減少は、「上肢」より「下肢」の方が大きい。なぜなら、下肢の方が筋肉量そのものが多いため。
5.〇 正しい。低音域より高音域が聞こえにくくなる。加齢性難聴は『感音性難聴』という種類の難聴に分類され、『感音性難聴』は鼓膜より内側の「内耳」や内耳以降の神経回路の部分による障害によって発生する難聴をさす。そのため、高齢者には低めの声で話しかけるとよい。また、生理的老化による感音性難聴により、弁別能の低下や高音域の聞き取りにくさがみられ、人との会話が聞き取りづらくなる。これにより、人と会ったり、外出したりすることを避けるようになり、外部との交流が途絶え、孤立につながるため、この状態が続くと社会的フレイルを招きやすい。

 

 

 

第53回PT 午後24問

加齢に伴う生理的変化について正しいのはどれか。

1.肝重量の増加
2.自己抗体形成の低下
3.抗原抗体反応の低下
4.血繫アルブミン量の増加
5.クレアチニンクリアランスの増加

解答:3

解説

1.× 肝重量の「増加」ではなく、低下する。肝臓の他にも、腎臓・精巣・卵巣といった臓器は加齢とともに重量は低下する。なぜなら、加齢とともに組織を構成する細胞が徐々に死滅し、新しい細胞で置き換わることがないため。
2.× 自己抗体形成(自己の細胞ないし組織に対して産生される抗体のこと)は、「低下」ではなく、増加する。なぜなら、加齢とともに、慢性炎症や自己免疫疾患への罹患が増えることにも関連するため。
3.〇 正しい。抗原抗体反応(抗原と抗体間に起こる結合のこと)の低下する。
4.× 血繫アルブミン量は、「増加」ではなく低下する。血繫アルブミン量は、栄養状態の評価にも用いられる。
5.× クレアチニンクリアランスは、「増加」ではなく低下する。クレアチニンクリアランスとは、血漿中の特定成分を1分間に腎から尿中に排泄されるのに必要な血漿量で示される。

 

OT専門

第51回OT 午後29問

29 加齢によって生じる嚥下機能の変化はどれか。

1. 咳反射の亢進
2. 嚥下反射の遅延
3. 喉頭位置の上昇
4. 唾液分泌量の増加
5. 咽頭通過時間の短縮

解答2

解説

1.× 咳反射の「亢進」ではなく低下する。そのため、誤嚥を起こしやすくなる。ちなみに、咳反射とは、いわゆる「せき・くしゃみ」である。鼻腔や気道に異物が入り込んだとき、その異物を排除するための反射である。
2.〇 正しい。嚥下反射の遅延が加齢に伴い起こる。加齢に伴う嚥下機能に関連した変化としては、①歯の欠損、②舌運動の機能低下、③咀嚼力低下、④唾液分泌の低下、⑤口腔感覚の鈍化、⑥咽頭の食物通過時間の延長などが挙げられる。喉頭位置の下降も認められ、喉頭挙上や喉頭閉鎖が不十分となることに加え、咽頭収縮筋の筋力低下に伴って咽頭に唾液や食物が残留しやすくなることにより誤嚥を来しやすくなる。
3.× 喉頭位置の「上昇」ではなく下降する。
4.× 唾液分泌量の「増加」ではなく低下する。そのため、口腔内は乾燥しやすくなる。
5.× 咽頭通過時間の「短縮」ではなく延長する。そのため、誤嚥しやすくなる。

 

共通問題

第45回 午後75問

75.生理的加齢によって脳の容積が縮小しているときの細胞の状態はどれか。

1.壊死
2.化生
3.萎縮
4.変性
5.異形成

解答3

解説
1.× 壊死(ネクローシス)とは、自己融解によって生物の組織の一部分が死んでいく様、または死んだ細胞の痕跡のことである。細胞傷害が高度で細胞死に至る場合にみられる。
2.× 化生(かせい)とは、いったん形成された生物の器官が、全く異なった形状・機能のものに変わることである。喫煙者の気管支にみられる扁平上皮化生、子宮頸部における扁平上皮化生、胃炎に伴う腸上皮化生などがよく知られている。
3.〇 正しい。萎縮は、生理的加齢によって脳の容積が縮小しているときの細胞の状態である。萎縮とは、組織や臓器を構成する細胞の個々の容積が減少する①単純萎縮と、構成細胞の数が減少する②数的萎縮にわけられる。その他の原因としては、血流の低下、機械的圧迫、低栄養老化などがある。
4.× 変性とは、細胞傷害によって起きた不可逆的な病理形態像のことをいう。
5.× 異形成とは、良性・悪性の判定不能な病変のことをいう。細胞が「現状ではがんとは言えないががんに進行する確率が高い状態(前がん病変)」や「悪性・良性の境界にある状態(境界悪性)」であることを指す。

 

 

 

第45回 午後95問

95.加齢によって増加するのはどれか。

1.夜間尿量
2.腰椎骨密度
3.左室駆出率
4.動脈血酸素分圧
5.最大酸素摂取量

解答1

解説

1.〇 正しい。夜間尿量は、加齢によって増加する。原因として、加齢により膀胱が萎縮し、さらに夜間、臥床すると心臓への還流血流量が増えるため腎血流量も増え夜間尿量が増加する。
2.× 腰椎骨密度は、加齢によって低下する。したがって、圧迫骨折や骨粗鬆症が生じる。
3.× 左室駆出率は、加齢によって低下する。左室駆出率とは、心臓の収縮力を示す値である。心臓の拡張時の左室容積から収縮時の左室容積を差し引いたもの(駆出量)の拡張期の左室容積に対する割合である。駆出率/左室容積×100で求められる。
4.× 動脈血酸素分圧は、加齢によって低下する。動脈血酸素分圧(PaO2)は、肺における血液酸素化能力の指標である。肺機能が低下するため起こる。
5.× 最大酸素摂取量は、加齢によって低下する。肺機能が低下するため起こる。

 

 

 

 

 

第46回 午後68問

高齢者で減少するのはどれか。2つ選べ。

1.心拍出量
2.腎血流量
3.体脂肪率
4.末梢血管抵抗
5.機能的残気量

解答1,2

解説
1〜2.〇 正しい。心拍出量/腎血流量は、加齢により減少する。加齢により心機能が低下するとともに、血液量が低下するため心拍出量は低下する。
3.× 体脂肪率は、加齢により増加する。なぜなら、加齢により筋肉量・基礎代謝が低下するため。
4.× 末梢血管抵抗は、加齢により増加する。加齢により動脈硬化が起こるため。血圧は、心拍出量と末梢血管抵抗に比例するため、末梢血管抵抗が増えると血圧は上がる。ちなみに、末梢血管抵抗とは、末梢の血管の血液の流れにくさを表す。
5.× 機能的残気量は、加齢により増加する。加齢により呼吸機能は低下し残気量も増加する。

 

 

 

 

 

第47回 午後95問

高齢者にみられる加齢に伴う変化で誤っているのはどれか。

1.関節軟骨の変性
2.高音域の聴力低下
3.収縮期血圧の上昇
4.唾液分泌量の増加
5.食塊の消化管通過時間の延長

解説

解答

1.〇 関節軟骨の変性は、高齢者にみられる加齢に伴う変化である。なぜなら、加齢に伴い、関節が変形したり軟骨が摩耗したりするため。
2.〇 高音域の聴力低下は、高齢者にみられる加齢に伴う変化である。したがって、低い声で話すと聞き取りやすい。
3.〇 収縮期血圧の上昇は、高齢者にみられる加齢に伴う変化である。なぜなら、動脈硬化によって血管抵抗が増大するため。
4.× 唾液分泌量は加齢に伴い、「増加」ではなく低下する。その結果、細菌が増殖しやすくなり口臭が目立つようになる。
5.〇 食塊の消化管通過時間の延長は、高齢者にみられる加齢に伴う変化である。なぜなら、消化管の蠕動運動が低下するため。

 

 

 

 

 

第48回 午後68問

生理的老化について誤っているのはどれか。

1.残気量が増加する。
2.骨塩量が減少する。
3.水晶体の蛋白変性が起こる。
4.筋持久力より瞬発力が先に低下する。
5.低い声より高い声の方が聞き取りやすい。

解答

解説

1.〇 残気量が増加する。一方、肺活量、一秒率、拡散能は低下する。
2.〇 骨塩量が減少する。そのため、骨粗鬆症になりやすくなる。
3.〇 水晶体の蛋白変性が起こる。これにより白内障となる。
4.〇 筋持久力より瞬発力が先に低下する。持久力の低下は緩やかである。
5.× 逆である。高い声より低い声の方が聞き取りやすい。老人性難聴は、高音域の聴力から障害される。

 

 

 

 

第48回 午後95問

高齢者にみられる特徴はどれか。

1.男性における前立腺の萎縮
2.卵胞刺激ホルモンの低下
3.歩行開始時の心拍数減少
4.前角細胞数の減少
5.立位時の骨盤前傾

解答

解説

1.× 加齢により、男性における前立腺は、「萎縮」ではなく肥大する傾向である。
2.× 加齢により、卵胞刺激ホルモンは、「低下」ではなく増加する。女性ホルモンの分泌の低下により、代償的にゴナドトロピン(LH、FSH)が増加する。
3.× 加齢により、歩行開始時の心拍数は、「減少」ではなく増加しやすい。なぜなら、運動耐容能が低下するため、軽い運動によっても心拍数の増加がみられるため。
4.〇 正しい。加齢により、前角細胞数は減少する。
5.× 加齢により、立位時の骨盤「前傾」ではなく後傾することが多い。なぜなら、円背などを伴うため。

 

 

 

第51回 午前91問

91 加齢による身体構成成分の変化において若年時と比べて体重比が増加するのはどれか。

1. 骨塩
2. 脂肪
3. 細胞外液
4. 細胞内液
5. 細胞性固形物

解答2

解説

1.× 骨塩は減少する。それに伴い、骨粗鬆症を発症しやすくなる。
2.〇 正しい。脂肪は上昇する。筋肉量・基礎代謝ともに低下し、それに伴い体脂肪は増加する。
3~4.× 細胞外液は一定、細胞内液は減少する。体水分の約2/3が細胞内液(筋などに貯留)、1/3が細胞外液(血液などの体液)に存在する。主に加齢に伴う細胞数の減少により細胞内液は減少するが、細胞外液は成人期以降ではほぼ一定である。
5.× 細胞性固形物の重量は低下する。細胞性固形物とは、タンパク質のほかに細胞膜の成分の脂質、エネルギー源の炭水化物、代謝に必要な無機イオン、遺伝にかかわる核酸などである。

 

 

 

 

 

第52回 午前68問

老化に伴う生理機能の変化で正しいのはどれか。

1. 血管抵抗は低下する。
2. 残気量は減少する。
3. 心拍出量は増加する。
4. 肺活量は増加する。
5. 予備呼気量は減少する。

解答:5

解説

1.× 血管抵抗は、「低下」ではなく増加する。なぜなら、加齢による動脈硬化が起こるため。血管抵抗量と収縮期血圧が上昇する。
2.4.× 残気量は、「減少」ではなく増加する。肺活量は、「増加」ではなく減少する。なぜなら、加齢によって呼吸筋の筋力が低下し、呼気を出しにくくなるため。一方で、肺活量・一秒率・拡散能は低下する。
3.× 心拍出量は、「増加」ではなく減少する。
5.〇 正しい。予備呼気量は減少する。残気量が上昇し、肺活量は低下するため。

 

 

 

第55回 午前80問

80 加齢によっても保たれる精神機能はどれか。

1.記銘力
2.計算力
3.注意力
4.言語理解力
5.情報処理速度

解答
解説

(※図引用:知能の複数の下位側面(佐藤眞一(2006)2)より)

 知能の最も大きな分類は、結晶性知能と流動性知能である。結晶性知能は、個人が長年にわたる経験、教育や学習などから獲得していく知能であり、言語能力理解力洞察力などを含み低下しにくい。よって、選択肢4.言語理解力が正しい。

加齢による精神機能の変化

①流動性知能は、加齢とともに低下する。
②結晶性知能は、加齢でもあまり低下しない。
③機械的記憶能力は、加齢とともに低下する。
④論理的記憶能力は、加齢でもあまり低下しない。
④意欲・行動力は、加齢により低下する。

 

 

 

第58回 午前75問

75.退行性病変はどれか。

1.萎縮
2.化生
3.肥大
4.異形成
5.過形成

解答

解説

退行性病変とは?

量的、質的に異常物質の過剰な沈着が細胞内や間質に認められる。 生体内の組織の局所的な死のこと。大きな分類として、①萎縮、②変性、③壊死と死があげられる。

1.〇 正しい。萎縮は、退行性病変である。萎縮は、生理的加齢によって脳の容積が縮小しているときの細胞の状態である。萎縮とは、組織や臓器を構成する細胞の個々の容積が減少する①単純萎縮と、構成細胞の数が減少する②数的萎縮にわけられる。その他の原因としては、血流の低下、機械的圧迫、低栄養老化などがある。
2.× 化生(かせい)とは、いったん形成された生物の器官が、全く異なった形状・機能のものに変わることである。喫煙者の気管支にみられる扁平上皮化生、子宮頸部における扁平上皮化生、胃炎に伴う腸上皮化生などがよく知られている。
3.× 肥大とは、細胞や組織・臓器の大きさが増して容量が増大する事である。病的肥大には、高血圧症や弁膜症に伴う心肥大、前立腺肥 大に伴う膀胱壁の筋肥大などがある。
4.× 異形成とは、良性・悪性の判定不能な病変のことをいう。細胞が「現状ではがんとは言えないががんに進行する確率が高い状態(前がん病変)」や「悪性・良性の境界にある状態(境界悪性)」であることを指す。
5.× 過形成とは、外来の刺激に対する正常細胞の応答として細胞増殖が起こることによって、組織の体積が増加することである。外部からの刺激は生理的なものも異常なものも含む。

 

2 COMMENTS

いつもありがとうございます。
再び失礼します。
第48回午後68問の解説はあってるのですが答えが違っていました。

返信する
大川 純一

こちらこそ毎回コメント・ご教授ありがとうございます。
確認したところ、第48回午後68問の答えも解説も違っておりました。
修正いたしましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

返信する

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