理学療法士が選ぶ【おすすめ漫画10選】

理学療法士監修:高齢者の歩くと転ぶを防ごう!転倒のタイプ・予防・運動方法

転倒の原因を探ろう!!

いきなりですが、10個質問します。
メモとペンのご準備をお願いします。
〇の数とどこが当てはまるかメモしながら質問に答えてください。

 

質問

  1. 椅子から立つときは、どこかにつかまっている。
  2. 横断歩道で間に合わなくなってきた。
  3. お尻を左右に揺らすように歩いていることを誰かに指摘された。
  4. 杖や歩行補助具(シルバーカー)を使用している。
  5. 腰やひざの関節に痛みがある。
  6. 階段の上り下りが怖い。
  7. 自宅やベランダでスリッパやサンダルを愛用している。
  8. 複数の薬を愛用している。
  9. 転ぶのが怖いから、外に出ない。
  10. 片足立ちは怖くてできない。

 

解答

さて、〇の数は何個だってでしょうか?

0個     【立派】
アドバイス:これからもしっかり運動して、0個を維持していきましょう。

1~3個   【不安】
アドバイス:自分の体について勉強するといいかもしれませんね。専門家に相談してもいいかもしれませんね。

4~6個   【注意】
アドバイス:歩行する際に注意が必要です。歩行練習や運動が必要です。専門家に相談してみましょう。

7~10個 【危険】
アドバイス:転倒する前に何か手を打ちましょう。必ず専門家に相談しましょう。

 

解説

大雑把に課題を上げておきました。
〇が付いた項目は、その課題を意識してみましょう。
立ち上がり動作の間でも、さらに細分化することができます。

1「立ち上がりが課題」
2「歩行スピードが課題」
3「歩行する姿勢が課題」
4「バランスや体力が課題」
5「痛みが課題」
6「バランスや足腰の筋力が課題」
7「生活環境が課題」
8「服薬が課題」
9「精神面が課題」
10「バランス能力低下が課題」

解決方法

簡単に解決方法を書いておきました。
1つずつ順番に説明してありますので、当てはまるところまで飛ばしちゃってください。

1,5,6,10→「体を支える重要な筋肉3選」(すぐ下の項目)
2,3,4→「歩行能力向上」(二番目の項目)
7,8,9→「高齢者の転倒の理由」(三番目の項目)

 

 

体を支える重要な筋肉3選

中殿筋(お尻の筋肉 ※図①)

歩いているときに、背中が丸まってしまったり、骨盤が動揺してしまうのを解消するために鍛えたいのが、お尻の筋肉(中殿筋)です。
骨盤をしっかり固定して、上半身が前に傾きすぎないように支えてくれる筋肉です。

試しにやってみてください。
背中を丸めると、お尻が後方に突き出すような姿勢になります。
そうなると、たとえ筋力が低下していなくても物理的に足を上げにくくなってしまうのです。
その結果、すり足になり歩幅も狭くなり、疲れやすい歩き方になってしますのです。

 

鍛え方
「中殿筋 トレーニング」と調べると、実にたくさんの方法が見られます。
「ヒップアップやお尻上げ」、「横になって足上げ」など。。。
どれも間違いではありません。
今は写真付きで分かりやすく載せてあるのもあります。
参考にしてみるのもいいでしょう。

私が、おすすめするのは、「横歩き」です。
体を一直線にして、両足のつま先は平行のまま、やっていただけるだけで十分です。

転ばないように、壁の近くでやってくださいね。

 

大腿四頭筋(膝上あたりで太もも前面の筋肉 ※図②)

太ももの前面の筋肉(大腿四頭筋)も重要な筋力です。
名前の通り、大腿四頭筋は4つの筋肉からなっています。

大腿直筋、内側広筋、外側広筋、内側広筋。
それらバランスよく収縮することによって、膝を伸ばしたり、股関節を曲げたりすることができます。
この筋肉は、筋力を鍛えることも大切ですし、柔軟性を鍛えることも大切です。

柔軟性が低下すると歩行中に、後ろに足が伸ばしにくくなり歩行の効率が落ちてしまうのです。
「体が硬い人」「膝を曲げると痛みがある人」「片足立ちは不安定で怖い」というかたは是非、筋力と柔軟性を鍛えてみてください。

 

柔軟性がない人は、専門家に相談してみてください。
関節が曲がらない理由は、さまざまあります。
無理に曲げようとすると逆効果で、痛みが慢性化してしまう恐れがあるからです。

筋力を鍛えたい人におすすめなのは、「スクワット」です。
▢ 両足を肩幅に広げて立ち、手を胸で組んでおきましょう。

▢ 上半身をまっすぐに保ったまま、ゆっくりとしゃがみます。

 

ポイント
①しゃがんだときに、両膝が両つま先より前に行かないように注意します。
②常に、「」と「つま先」の向きは並行のままで行います。
後ろに椅子を置いて、椅子から立ち座りを何度も行っても同じ効果が見込めますよ。

 

腸腰筋(鼠径部あたりの筋肉 ※図③)

足先を上げて歩行するためには、股関節の筋肉(腸腰筋)を鍛えることも大切です。
この筋肉は、股関節を持ち上げる働きのある筋肉です

また歩行時に大活躍しています。
後ろに足が引っ張られることで、次の一歩のパワーを貯めているのです。
歩いたり、立ったりする機会が少ないと、腸腰筋が縮んで硬くなり、歩行が非効率になってしまいます。

 

鍛え方
これも柔軟性がない人は、専門家に相談してみてください。
関節が曲がらない理由は、さまざまあります。
また股関節に人工関節を入れていると、脱臼する場合も十分考えられます。
無理に曲げようとすると逆効果なので、焦らず専門家に相談してみてください。

 

筋力の鍛え方は簡単です。
できるだけたくさんやっていきましょう。

方法
▢椅子に背もたれを使用せずに座ります。

▢背筋を伸ばし、片足ずつ交互にもも上げをします。(上げるときは、真上に上げるイメージ)

 

余談「バランス能力も大切!!」

転ばないためには、重心をしっかり支え制御する筋力が欠かせません。
でも、もっと大切なのが、バランス能力です。
私たちは、無意識のうちに重心の位置をコントロールしバランスをとっていますが、年齢とともに低下していきます。
筋肉については、別記事に詳しく書いてあるため、ここでは、バランス能力を少し解説していきたいと思います。
バランス能力の構成要素は、①視力 ②平衡感覚(三半規管) ③位置感覚(関節の動き)などによって制御されています。

その中で、バランス能力の7割を「視力」でまかなっています。
開眼した状態での片脚立位と、閉眼状態での片脚立位では、難易度が格段に違います。

筋力に目を向けることも大切ですが、視力によるバランスにも目を向けてほしいです。
こんなケースがあります。
夜間トイレに目覚めて転倒が起きている方がいました。
その人の筋力やバランス能力は、いたって正常でした。
何が、問題だったかというと、トイレまでの廊下に、モノが散乱し真っ暗な状態だったのです。
数日後、夜間照明点灯のリモコンと眼鏡を用意し、廊下にモノを置かないことを約束したところ、転倒はピタリと止まりました。

 

まとめ~体を支える筋肉~

  • 中殿筋
  • 大腿四頭筋
  • 腸腰筋

以上が、体を支える重要な筋肉3選となります。
筋肉をすべて暗記した理学療法士からすると、まだまだ大切な筋肉はありますが・・・。
最低限、鍛えてほしい筋肉はこの3つです。

 

 

 

歩行能力向上

歩行と言っても①速度 ②姿勢 ③耐久性とそれぞれ課題が違います。
それぞれ歩行の課題やアドバイスを説明したいと思います。

歩行スピードを上げたい。

歩行スピードを上げるにはどうすればいいと思いますか?
その前に、あんたはなぜ歩行スピードを上げたいのでしょうか?
「早く歩けるに越したことはない?」
確かにそうかもしれませんね
でも、そもそも、1mを1秒、10m10秒以内で歩けたら合格なんです。
この10m10秒とは、横断歩道の信号機が青色から赤色になっても渡り切れないことを意味します。
私は、それ以上早く歩けても日常生活ではあまり苦労はしないと思います。
なので、ここでは、横断歩道を渡るのにギリギリの人走ると転んでしまう人を対象に書いていきたいと思います。

具体的なアドバイスを、一つあげます。
歩行補助具を使ってみましょう。
歩行補助具は、杖や歩行器、シルバーカーといったものです。
歩行補助具を使用し10秒以内で歩ける場合は、その歩行補助具は効果的だと判断することができます。

 


最初は、歩行補助具を使用して歩く練習をこなし、だんだん補助具なしで歩く距離や頻度を増やしていくのも立派なトレーニングです。
また全身運動でもあるので、大半の筋肉を活動することができます。
杖がいいのかシルバーカーがいいのか迷っていたら、ぜひ理学療法士や医者などの専門家に相談してみることをおすすめします。

 

歩行の姿勢を良くしたい。

歩行の姿勢が悪いと言われている方も様々な種類があります。

 

  1. 背中が丸まって、すり足になっているタイプ(円背・亀背)。
  2. お尻や体を左右に振りながら、歩行するタイプ(トレンデレンブルグ徴候・デュシェンヌ歩行)。
  3. 体重がかかった膝が、外側に動揺するタイプ(外側スラスト)
  4. つま先が上がらず、股関節を異常に上げて歩行するタイプ(鶏歩)
  5. 最初の一歩がなかなか前に進まず、小刻みになるタイプ(小刻み歩行)
  6. 歩いているとだんだん早くなって、止まるのが大変なタイプ(突進歩行)
  7. 麻痺があり、振り出す足が外側に大きく振り出すタイプ(ぶん回し歩行)
  8. 歩いていると、足が重くなってきて長距離歩けないタイプ(間欠的跛行)

 

などなど、もっとたくさんあります。
歩行の違いは、それぞれ原因も違います。

 

自分で調べて、自分の思った通りにやってみるのも止めはしません。
よく専門家でない人が、「背筋伸ばして!」「足上げて!!」といった場面を目にしますが・・・。
しかし、効果のないことを一生懸命やっている可能性もなきにしもあらずです・・・。
私は、歩行時の姿勢を治したいというのであれば、直接専門家に相談するのが一番だと思っています。

 

なぜなら、あなたのからだは、世界中探してもまったく同じものはないのだから。
ネットにある一般的な方法では、遠回りかもしれません。

体力を上げたい。

「健康のためには歩くことが大切」「1日5000歩以上歩きなさい」とよく言われています。
健康のために歩くとき、効果を得るためには、ある程度の距離を歩く必要があります。
違う記事に歩く距離を基準化しました。
1日4000歩以上早歩きで歩いてもらいたいのです。

 

ただ、そんな距離歩けない人もいるでしょう。
そもそもその距離を歩ける人は、健康そのものじゃないか!と反論も聞こえます。

 

少し歩いただけで疲れてしまうという人は、杖など歩行補助具を使うことをおすすめします。
それで、より長い距離歩き続けられれば、筋力や心肺機能などの体力を維持しやすくなります
たとえば、過去に転倒して怪我をした経験がある人は、また転ぶことへの不安から、外出に消極的になるケースが少なくありません。
転倒」→「不安」→「活動減少」→「筋力低下」→「転倒」と悪循環に陥るのです。

 

もし杖や歩行補助具を使って楽に、安全に歩くことができれば、転倒への不安が軽減され活動の低下も防げるでしょう。
生活の質の向上にもつながるのです。

 

まとめ~歩行能力を上げる方法~

歩行スピードや体力を上げたいかたは、杖や歩行補助具を使ってみましょう。
もし、杖や歩行補助具を使って楽に、安全に長い距離を歩くことができれば、まずそれを使用し練習していきます。
徐々に歩くことに慣れてくれば、杖を外していけばいいのです。

 

杖を使うことは「年より臭い」「格好悪い」「リハビリにならない」と抵抗を示す人もいます。
しかし、杖の使用が悪循環を抜け出すきっかけの一つになることも知っていただければと思います。

 

 

他の高齢者転倒の理由

転倒の理由が「年齢」のせいなら、ご高齢者全員が転んでいることになってしまします。
確かに、加齢に伴い、身体機能は低下していきます。
が、それだけでもないのです。

 

環境的因子(絨毯、敷居につまずくなど)

ご高齢者の転倒の半分以上は自宅内で起きています。
それだけ、家の中には転倒となるものが多いのです。

 

 

例えば、絨毯やマットの端が浮き上がっていたり、畳も滑りやすいです。
こたつのふとんや電気こたつの電気線(コード)が通路に横切っていたり・・・。
照明電気をつけるたびに、踏み台に上らないといけなかったり・・・。
他にも浴室やトイレ、階段なども転倒事故が起きやすい場所です。

 

同時にこれらの転倒は、簡単に防ぐことができます。
手すりを取り付けてみたり、滑りにくい床材に変えてみたりなど、転倒しないための自宅の環境整備をしていくのです。
お金の問題もあるとは思いますが、転倒して入院して手術して痛い思いするぐらいなら安すぎると思っています。

 

内服状況(めまい、ふらつきなど)

何らかの薬を日常的に複数服用する人もいるでしょう。
薬には必ず副作用があり、「服用する薬剤の影響」も転倒のリスクになります。
たとえば、睡眠剤や筋弛緩作用のある薬を服用していると、朝目が覚めても、体が思うように動かず、転びやすくなります。
薬を処方される際も、「ふらつきや転倒」に注意するよう言われるはずです。
起きた直後急な動作をしない、転ばないように歩くなどの配慮が必要でしょう。
また基本的なことですが、副作用があるからと言って、自己判断で薬の調整はやめてください。
用法・容量をよく守り、異変を感じたら専門家に相談するようにしてください。

 

医者に言われるがまま薬を飲んでいませんか?
薬もメリットがある反面、必ずデメリットがあるのです。
例えば、睡眠剤や筋弛緩作用のある薬を服用していると、朝、目覚めても体がすぐには言うことを聞かず、転びやすくなります。

薬を処方される際も、「起床後のふらつきや転倒」に注意するよう言われますが、質問もできない速さで説明されます(笑)
でも、転んで痛い思いをするのは、自分の体なんです。
「説明がおろそかだった」なんて言っても、もう取り返しがつかないのです。
なので、自分が今何の薬を飲んでいるかしっかり把握しておくことが大切です。

起きた直後には、急な動作をしない、転ばないように注意して歩くなどの配慮が必要でしょう。

 

また、基本的なことですが、指導された用法・容量を守り、自己判断で服用しないこと、異変を感じたら専門家に相談することも大事です。
服用管理に不安がある場合は、家族やヘルパーさんなどに、注意してみてもらう必要があるかもしれません。
服用する薬の数が増えると、副作用が起きやすくなります。
複数の医療機関で薬を処方されている場合は、「お薬手帳」などで服用中の薬を医師や薬剤師に伝え、歩行への影響も視野に入れて相談しましょう。

 

一応、注意が必要な一部の薬を上げておきました。
これだけではないので、必ず薬の作用と副作用を調べてみてくださいね。

転倒リスクに注意したい薬とその副作用

①高血圧治療薬(ループ利尿薬)

 電解質異常(脱力感、吐き気、嘔吐、けいれんなど)、めまい、頭痛、聴覚障害、腎機能低下など

②高血圧治療薬(α遮断薬)
 立ち眩み、めまい、頭痛、眠気、不眠など

③非ベンゾジアゼピン系睡眠薬:(睡眠薬)
 めまい、ふらつき、頭痛

④ベンゾジアゼピン睡眠薬:(睡眠薬)
 めまい、ふらつき、頭痛、せん妄、運動機能の低下、健忘など

⑤ベンゾジアゼピン系抗不安薬:(精神安定剤)
 眠気、ふらつき、頭痛、吐き気など

⑥スルピリド(抗精神病薬)
 手足の震え、こわばり、歩行障害などパーキンソン症状

 

まとめ~他の高齢者転倒の理由~

  • 環境因子、内服薬には転倒リスクが隠されている。
  • 半数以上が自宅で転倒が起こっている。
  • 自分が飲んでいる薬の作用を理解しておく。

 

睡眠薬や血圧のコントロール剤、精神安定剤などは転倒リスクが高まると言われています。
自分が何に効く薬を飲んでいるかは、把握しておきたいですね。

 

また少し専門的知識になってしまいますが、パーキンソン病という病気があります。
この病気は、薬の効果が突然切れたり(オンオフ現象)、薬が効きにくくなったり(ウェアリング・オフ 現象)する症状があります。効きにくくなったなと思っても、自己判断で薬の服用をやめることはせず、必ず専門家に相談してくださいね。