日本では、国民の死亡原因のうち一番多いのが「悪性新生物(がん)」です。
そのうちの3割強の患者が、治療の甲斐なく命を落としています。

 

そんな中、がん治療には様々な先進医療が出てきています。
その中でもこの記事では、『副作用なしの抗がん剤』について紹介します。

 

それでは見ていきましょう。

 

これまでの抗がん剤の特徴

風邪薬を飲んだあと、眠くなってしまったことはありませんか?
これは風邪薬に含まれる抗ヒスタミン剤の影響なんです。
くしゃみや鼻水を抑える主作用がある一方で、眠くなる副作用もあるのです。
主作用とは、薬の服用で期待されている効能のことですが、期待されていない効能が副作用です。
必ず、薬には副作用が存在しています。

 

風邪薬では眠くなる程度で済みますが、抗がん剤になると副作用は深刻な場合が多いです。
抗がん剤は、活発に増殖するがん細胞に対して攻撃を加えるため、がん細胞だけでなく皮膚や骨髄、腸管、毛根など、分裂・増殖が活発な組織に影響が出ます。
それにより、髪の毛や爪が伸びなくなり、脱毛などの症状が現われ、吐き気や下痢・倦怠感などの症状で患者自身が苦しい思いをすることが多いのです。

 

そんな抗がん剤の深刻な副作用が、解決されようとしています。

 

それは狙った患部だけに薬の影響を与える『ドラッグ·デリバリー·システム (以下、DDS)と、ナノテクノロジーを組み合わせた技術です。

 

どのような技術なのか見ていきましょう。

 

革命を起こした副作用0の仕組み「DDSとは??

 

ポイント

  • 抗がん剤の副作用をゼロに。
  • 高分子を用いてがん細胞へ直接薬を運ぶ技術。
  • がん細胞の壁だけを通る技術。
  • 治療の難しい膵臓がんにも効果あり。

 

従来の抗がん剤は、毛細血管にある1nm(ナノメートル)ほどの隙間から漏れ出て周囲の細胞に影響を与えてきました。
しかし、それではがん細胞以外の細胞にも浸透し、副作用が起きてしまいます。

 

そこで、がん組織の特性を活かした技術が考案されました。

 

がん組織で、つくられる血管には数百㎚ほどの大きな隙間があります。
この隙間だけを透過する大きさの粒子であれば、通常の血管からは漏れ出ないのです。
そこで、1995年に100ナノメートルほどのリポソームという粒子に抗がん剤を封入してがん細胞まで送る技術が確立されました。

 

しかし、一部のがんに対しては、この方法は効力をもたなかったのです。

 

膵臓がんなどの場合、がん細胞の周囲が間質(かんしつ)という膜で覆われています。
リポソームは、ここで足止めを食らい、がん細胞に抗がん剤を届けることができないのです。

 

その問題点を解決した技術が開発されています。
ナノテクノロジーを用いて、ひも状の人工高分子「ミセル」に薬剤を封入する技術です。

ミセルは、約30㎚ほどの大きさであり、リポソームが通り抜けられない間質を、容易に透過できます。
※ミセルとは、ひも状の人工高分子のこと。膵臓などに直接抗がん剤を届ける。

 

現在はアジア各国で臨床試験が実施されています。
また、間質にたどり着いたら、抗がん剤を放出する抗体を用いた技術も開発が進められています。

 

一般的な抗がん剤・・・毛細血管に空いた1㎚以下の小さな隙間から漏れ出て正常な細胞を傷つける。
リポソーム(1995年開発)・・・100㎚の大きな隙間を通り抜けられるため、がん細胞だけ抗がん剤を届ける。(一部不可)
ミセル(2020年実用化予定)・・・30㎚の人工高分子。間質をも透過できる。(リボゾームでできなかった膵臓にも可能)

 

この技術は2020年に実用化予定です
実用化されれば、がん細胞以外に副作用たらさず、がんを治療できるようになるかもしれないので、期待が膨らみます。

 

まとめ

 

  • リボゾーム(100nm)1995年実用化している。
  • ミセル(30nm)2020年実用化予定。

 

いかがだったでしょうか。
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