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がんの民間療法について医療職の本音。「なぜ騙されるのか?」

 がんの民間療法について、あなたはどんなイメージを持っていますか?インチキ?ぼったくり?信じていいもの?様々な意見があるでしょう。こんなデータもあるのです。がん患者さんのうち、約40%以上もの人が代替医療つまり民間療法に手を出しています。さらに、月5万以上費やしているというデータがあります。(詳しくは、また取り上げます。)

 

 結論から申し上げますと民間療法自体辞める必要はないと思います。詳しくその理由を説明していきたいと思います。くれぐれも、もしあなたの周りに民間療法をやっている人がいても、頭ごなしに辞めるように説得するのは控えてくださいね。

 

がん患者さんの40%以上は、「民間療法」をやっている!!

 私が病院でリハビリを提供している頃の話になりますが、がんを既往歴に記載してある患者さんを担当したことがあります。その患者さんは、入院中も〇〇療法を信じて行っていました。〇〇は、実に様々で、「免疫」だったり「温熱」だったり、高価な「水(水素水)や卵」だったり「気功」だったりします。これらの治療法はまとめて「代替医療」と呼ばれ、ほかにもサプリや健康食品、ビタミン療法などがあります。

 

 これらの治療法にどれくらいの効果があるのでしょうか。そして、患者さんに「〇〇療法をやりたい」と言われたときに、我々医療職や医者はどう感じるのでしょう。その本音を病院で働いていた身分としてお話ししたいと思います。まず、下記のデータをご覧ください。

こんなデータが・・・
「がん患者3100人のうち1382人(45%)が1種類以上の補完代替医療を利用している」。
そして「平均して月に5万7000円を出費している」のだそうです。
※引用データ:厚生労働省がん研究助成金による研究班が行った調査

 これを初めて知ったとき、私は衝撃を受けました。というのも、民間療法は有名人や芸能人がやっているイメージが強かったからです。そして、時折、民間療法を受けているがんの入院患者さんに自慢されるわけです。「この水は500mlで2万円するんだ。」「これを食べれば、なんでも病気なんて治っちまうんだ。」と・・・。では、実際に我々医療職は、民間医療について、本音はどう思っているのか語っていきたいと思います。

科学的根拠がないとはどういうことか?

 まず、病院で行うがんの治療の多くは、「科学的な根拠」があるものが多いのです。「科学的な根拠」という言葉の意味を説明したいと思います。日本の病院で処方されている薬は、かなり基準が厳しく設けられており、何度も実験され、正確かつ安全に効果が証明された薬のみ提供されています。

MEMO
たとえば、大腸がんの患者さんに昔から使われているAという抗がん剤があり、新薬Bが開発された場合、「BはAよりも優れている」という証明がされないと使えるようになりません。証明とは「臨床試験」といわれる研究のこと。大腸がんの患者さん1000人を集めて、500人には従来のAを、そして残りの500人には新薬Bを使い、5年後に何人の患者さんが生存しているかを調べ、どちらの薬が優れているかを判断します。こういった大規模な研究をやって初めて新薬Bは市販されるのです。

 試験は多くの人が監視していて、新薬を売りたい製薬会社がズルをすることは滅多にできません。(以前、血圧の薬でズルをした「ディオバン事件」が起きましたが・・・)。手術という治療法でも、かつては偉い外科医が開発した方法でやっていましたが、ここ十数年は、科学的に検証された方法が増えてきました。
 ※「ディオバン事件」について詳しく知りたい方用リンク

 

 一方、代替医療はこういった科学的な検証がない治療がほとんどです。(なかには証明されてきたものもあります)。代替医療の多くは、経験的な積み重ねで行われてきました。根拠に基づく医療であれば、病院で処方されてもおかしくないのです。まとめますと科学的データに基づいた医療を提供するのが病院であり、経験に基づいた方法を提供するのが民間療法と言ってもいいでしょう。

代替医療を選ぶ人とは?

 この「代替医療」について、先日米国の研究者からこんな研究報告がありました。それは、「代替医療のがん治療は、病院の標準治療より生存を延長させない」というものです。(※引用:日本補完代替医療学会)簡単に紹介します。

MEMO
対象になったのは乳がん、大腸がん、前立腺がん、肺がんの患者さん。このなかで、「代替医療を受けた280人」と「病院の従来の標準治療を受けた560人」の5年後の生存率を比べると、従来の標準治療を受けた人たちのほうが生存率が高かったという結果が出ました。代替医療を受けた人は、従来の標準治療を受けた人よりも2.5倍もの高い死亡のリスクがあったのです。そして驚くべきことには、代替医療を選ぶ人は高学歴や経済的に恵まれた人々であったのです。

 言われてみれば、最近の報道を思い返すと、がんで亡くなった有名人の多くが代替医療を一度は選んでいました。川島なお美さんが「金の棒でこする」などという信じがたいものでがん治療をしたという報道を覚えている方もいるでしょう。※参考HP:HuffPost Newsより

なぜ高学歴や有名人は民間医療を選ぶのか?

理由の1つとして、「病院で受けられる治療は誰でも同じ額である」という点があげられます。いいサービスを受けるためには高いお金を払う。これは、一般的なサービス業であれば、当然のようですが、日本国内の病院で受ける治療に限っていえば、当てはまりません。日本では「標準治療」という名前で、日本中ほとんどどこの病院でも、ほぼ同じ治療が受られるのです。大金持ちの人も生活保護を受給していて医療費を支払わない人も同じです。すべての診断や検査、手術やリハビリまでも一回いくらと額が決められているのです。また地方でも都会でも変わりません。負担額は収入に応じて少しずつ変わりますが、治療内容は変わりません。そのことが、判断を誤らせている可能性があります。「治療の効果は、お金を出せばもっといいものになるに違いない」そう思った人が、高額ながんの代替医療を選んでいるのかもしれません。

 

医療職は、民間医療をどう思っているのか?

 では、患者さんから「代替医療を受けたい」と言われた場合、我々医療職はどのように考えているのでしょうか?ここからは、私見として聞いてください。私自身、民間療法は、「がんに効くかどうかわからないので、なんとも言えない」と思っています。なぜなら、代替医療の多くが、効果の検証をされていませんので、正確に言うと「効くとも効かないとも言えず、効果はわからない」のです。ですから、先ほど引用した「筋の棒でこする」治療法も、「効かないと断言できないのです。」私たちが言えることとしましては、研究の結果などとこれまでの医学常識から、「効かないのではないかな・・・・」と思うことぐらいなのです。

 

 なので、私は、高額ではなく生活に圧迫しない程度に自分の思った通りの治療を思う存分やってみてもいいと思うのです。がん患者さんの生活の質(QOL)を改善したり、精神的なストレスを軽減させたり、免疫機能を活性化させたりする効果がある可能性もあります。ただお願いがあるのです。

民間療法を行っている人へのお願い

 それは、代替医療をやっていることを医師に伝えて欲しいのです。サプリから健康食品、漢方、気功などなんでも結構です。教えていただきたい理由は二つあり、

  • その代替医療(民間医療)が病院で行っている治療に影響がある可能性があるから。
  • あまりに高額な医療で、生活そのものが脅かされてしまうから。

現状では、患者さんはほとんど代替医療をやっていることを医者に伝えていないようです。「補完代替医療を利用している患者の61%は、主治医に相談していない」という結果もあります。患者さんが民間医療に手を出していることを言うと、「そんなことを主治医に、言って怒られるのではないか?」と患者さん自身で心配している人もいます。

 

 しかし、もはやそんな時代ではないのです。医者が患者さんを怒る、叱る時代は過去はあったでしょう。今は、すでに終わりました。医者の一番のやりがいは、患者さんが良くなることです。ですから、患者さんの健康に関する情報は把握したいのです。医者に言いにくかったら、病院の事務でも看護師やリハビリ職の人でも誰でもいいです。一緒に治療について悩み、良くしていきましょう。

まとめ

  • 約40%以上のがん患者さんが代替医療をし、月5万以上費やしている。
  • 代替医療を受けた人は、従来の標準治療を受けた人よりも2.5倍もの高い死亡のリスクがある。
  • 医療職は、民間医療を「多分、効かないんじゃないかな」ぐらいしか言えない。
  • 代替医療を利用している患者の61%は、主治医に相談していない。
  • 代替医療をしている人は、必ず医者に伝えてほしい。

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