第52回(H29) 理学療法士国家試験 解説【午前問題1~5】

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※問題の引用:第52回理学療法士国家試験、第52回作業療法士国家試験の問題および正答について

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

 

 

1 スパイログラムを図に示す。予備呼気量はどれか。

1. ①
2. ②
3. ③
4. ④
5. ⑤

解答:

解説

(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)

1.× ①は、肺活量である。
2.× ②は、最大吸気量である。
3.× ③は、機能的残気量である。
4.〇 正しい。④は、予備呼気量である
5. × ⑤は、残気量である。

 

 

 

 

 

2 Daniels らの徒手筋力テストについて正しいのはどれか。

1. 検査は段階5から実施する。
2. 徒手抵抗は検査する関節の近位部に加える。
3. 繰り返し実施することで筋持久力を評価する。
4. 段階2は重力の影響を最小限にした肢位で実施する。
5. 抑止(ブレーク)テストでは徐々に徒手抵抗を強くする。

解答:

解説

1.× 検査は、「段階5から」ではなく段階3から実施する。なぜなら、検査者による抵抗を加えるまでに、関節の可動範囲が十分で、かつ重力に抗して動かせるかどうか確認するため。
2.× 徒手抵抗は、検査する関節の「近位部」ではなく遠位部に加える。
3.× 繰り返し実施することでは、筋持久力の評価にはならない。MMTとは、「個々の関節または筋群の筋力を徒手的に検査する方法」である。
4.〇 正しい。段階2は重力の影響を最小限にした肢位で実施する。
5.× 抑止テスト(ブレイク・テスト)とは、被験者に最終可動域で保持してもらい、検査者はその保持を「抑止」するように抵抗を加える検査である。つまり、抵抗のかけ方の規定はない。臨床では、MMTの抵抗は、「患者の関節・筋損傷を最小限にするため、徐々に徒手抵抗を強くするように」と習う方も多いかと思うが、抑止テスト(ブレイク・テスト)の定義は上記のようになっている。ちなみに、徒手抵抗を徐々に強くするのは、抗抵抗自動運動テストと呼ばれる。

 

 

 

 

3 動脈血ガス分析の結果を表に示す。
 正しいのはどれか。

1. 呼吸性アシドーシス
2. 代謝性アルカローシス
3. 共用基準範囲
4. 代謝性アシドーシス
5. 呼吸性アルカローシス

解答:

解説

動脈血ガス分析の基準値

【基準値】
・pH:7.4 ± 0.05
・PaCO2:35~45 mmHg
・PaO2:90~95 mmHg
・HCO3−:24 ± 2mEq/l

※ PaCO2:肺胞換気量の指標である。高値であれば、肺胞換気量は不十分。低値であれば、過剰換気状態となる。

本症例は、
・pH:7.473 →高値
・PaCO2:33.4mmHg →低値
・PaO2:60.2mmHg →低値
・HCO3−:22.8 mEq/l →正常

したがって、過剰換気状態であるとされ、選択肢5.呼吸性アルカローシスと断定できる。

 

1.× 呼吸性アシドーシスは、PaCO2が高値となるのが特徴である。呼吸不全、CO2ナルコーシス、睡眠時無呼吸症候群など。
2.× 代謝性アルカローシスは、HCO3−が高値となるのが特徴である。嘔吐、利尿薬投与など。
3.× 基準範囲には収まっていない。
4.× 代謝性アシドーシスは、HCO3−が低値となるのが特徴である。腎不全、下痢、糖尿病ケトアシドーシスなど。
5.〇 正しい。 呼吸性アルカローシスである。

 

 

 

 

 

4 関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.肩甲帯挙上
2.肩伸展
3.前腕回外
4.手尺屈
5.母指橈側外転

解答:2,5

解説

1.× 肩甲帯挙上の【基本軸】両側の肩峰を結ぶ線、【移動軸】肩峰と胸骨上縁を結ぶ線、【測定部位及び注意点】背面から測定する。設問の図は、基本軸が両側の肩峰を通っていないため不適切である。
2.〇 正しい。肩伸展の【基本軸】肩峰を通る床への垂直線、【移動軸】上腕骨、【測定部位及び注意点】①前腕は中間位とする。②体幹が動かないように固定する。③脊柱が前後屈しないように注意する。
3.× 前腕回外の【基本軸】上腕骨、【移動軸】手指を伸展した手掌面、【測定部位及び注意点】肩の回旋が入らないように肘を90°に屈曲する。設問の図は、基本軸が上腕骨を通っていないため不適切である。
4.× 手尺屈の【基本軸】前腕中央線、【移動軸】第3中手骨、【測定部位及び注意点】前腕を回内位で行う。設問の図は、移動軸が第3中手骨を通っていないため不適切である。
5.〇 正しい。母指橈側外転の【基本軸】示指、【移動軸】母指、【測定部位及び注意点】運動は手掌面とする以下の手指の運動は、原則として手指の背側に角度計を当てる。

 

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5 Danielsらの徒手筋力テストの結果を表に示す。表以外の筋に異常はみられない。関節可動域はすべて正常範囲である。
 通常速度で直線歩行したときに予想されるのはどれか。

1. 左の踵足歩行
2. 右の尖足歩行
3. 左遊脚中期の分回し
4. 右のTrendelenburg徴候
5. 右遊脚後期の膝過伸展傾向

解答:

解説

本症例のポイント

本症例は、右の下腿三頭筋ハムストリングスの筋力低下がみられる。

1.× 踵足は、足のつま先が宙に浮いた状態で、踵だけが接地し、直立と歩行を行う。前脛骨筋は機能残存するが下腿三頭筋が機能低下(麻痺)など障害されている場合に起こる。具体的疾患は、アキレス腱の機能欠落、小児脳性不全麻痺、小児麻痺、脛骨神経の損傷などが原因で起こる。
2.× 尖足とは、つま先立ちの状態の足で、踵を地面に着けようとしても可動域がなく、歩行時に踵が床に付かない状態である。つまり、足関節の背屈制限がある歩行状態である。具体的疾患は、脳卒中などからくる下腿後面の筋肉の痙縮、小児麻痺でみられる下腿前面の筋肉の麻痺などが原因で起こる。
3.× 左遊脚中期の分回しは、脳卒中などからくる下肢の麻痺などで起こる。
4.× 右のTrendelenburg徴候は、中殿筋の筋力低下で起こる。患側肢に荷重すると骨盤が対側に傾斜することをいう。両側の障害で、左右に体幹をゆすって歩く動揺性歩行となる。
5.〇 正しい。右遊脚後期の膝過伸展傾向がみられる。なぜなら、正常の場合、遊脚後期にハムストリングスは急激な過伸展(ターミナルインパクト)を防ぐが、本症例の場合ハムストリングスの筋力低下でそれが行えないため。

 

2 COMMENTS

大川 純一

コメントありがとうございます。
申し訳ありません。
もう少し詳しく書いてくださると、読むほうも理解しやすいのですが・・・。
今後ともよろしくお願いいたします。

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