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第31回(H30) 介護福祉士国家試験 解説【問題96~100】

問題96 右利きのCさん(73 歳,男性)は脳梗塞(cerebral infarction)を発症して,回復期リハビリテーション病棟に入院中である。左片麻痺のため,歩行は困難である。他の患者とも交流せず,病室に閉じこもりがちであったため,多職種チームによるカンファレンス(conference)が開かれた。
 現時点のCさんへの対応として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 利き手の交換
2 階段昇降訓練
3 義足の製作
4 プッシュアップ訓練
5 心理カウンセリング

 

解答

解説
 回復期リハビリテーション病棟(リハビリテーションの必要性が高い脳血管疾患(cerebrovascular disease) などによる心身機能の低下をきたした患者が8割以上入院する)では、理学療法士などの身体機能回復の専門家だけでなく、臨床心理士や栄養士など、心理・栄養面の専門家が配置され、チームで支援する体制がとられている。

1.× 利き手が麻痺側となった場合、ADL (Activities of Daily Living :日常生活動作)向上のため利き手の交換のリハビリテーションが実施されることはある。しかし、問題文から本症例の利き手がどちらかの記載がなく、またその必要性について書かれていないため、改めて多職種チームによるカンファレンスが必要なレベルとは判断しがたい。
2.× 階段昇降訓練は、文字通り階段の上り下りを獲得するための訓練である。歩行が困難であるCさんの歩行能力の向上のために実施されていると推察されるが、改めて多職種チームによるカンファレンスが必要なレベルとは判断しがたい。
3.× 義足とは、切断された下肢の補充を目的として使用されるものであり、片麻痺の適応ではない。片麻陣の場合の歩行補助具としては、Cさんの麻痺の状態を考慮して、下肢装具(短下肢装具や長下肢装具)が義肢装具士等によって作製される。
4.× プッシュアップ訓練とは、座位や長座位の状態から両上肢の肘を伸ばした状態で手掌全体を床につき、そのまま体幹を垂直方向に引き上げる一連の動作訓練のことである。主に、脊髄損傷者の移動や車いすへの移乗能力向上のための筋力増強や、褥瘡予防のために実施されるため、適切ではない。
5.〇 脳梗塞の後遺症により片麻痺等の運動機能面だけでなく、抑うつ状態など精神・心理面も低下することがある。今回のカンファレンスは、Cさんの今の生活状況が今後の生活に影響を及ぼしかねないため、心理的状態をカウンセリングにより把握し、多職種チーム全体が共通認識をもち配慮を行いながら、ケアを実施するためである。

 

 

こころとからだのしくみ

問題97 ライチャード(Reichard, S.)による老年期の性格類型において,円熟型に該当するものとして,適切なものを1 つ選びなさい。

1 自分の過去に対して自責の念を抱く。
2 年を取ることをありのまま受け入れていく。
3 若いときの積極的な活動を維持する。
4 他者の援助に依存する。
5 責任から解放されることを好む。

 

解答

解説
 ライチャードらの老年期の性格類型は、引退後の生活への適応といいう観点から、「円熟型」「依存型」「防衛型」 「他罰的憤慨型」「自責型」の5つに分類される。このうち、「円熟型」「依存型」「防衛型」を適応的なタイプ、 「他罰的憤慨型」「自責型」を不適応的なタイプとしている。

1.× 過去の自分の失敗や不幸を自分の責任としてとらえ、自分を責める人格タイプは「自責型」の特徴である。 
2.〇 正しい。過去と現在の自分を受容し、こころの葛藤が少なく、満足感をもって生活する人格タイプが「円熟型」の特徴である。
3.× 若いときの活動水準を維持しようとするのは「防衛型」の特徴である。このため、若いときの活動が維持できている間は適応的であるが、これまでの活動水準を維持できなくなった場合には不適応になるおそれがある。
4.× 何事にも受け身、消極的な態度で、他者に依存する人格タイプは「依存型」の特徴である。
5.× 「依存型」は、社会的役割や責任から引退することを受容し、安楽に老後を暮らそうとする適応的なタイプである。

 

 

問題98 臓器とその機能の組合せとして,正しいものを1 つ選びなさい。

1 肝臓———グリコーゲン(glycogen)の貯蔵
2 膀胱———尿の濃縮
3 小脳———呼吸中枢
4 副腎———インスリン(insulin)の分泌
5 心臓———ガス交換

 

解答

解説

1.〇 正しい。肝臓の機能の1つとして、グリコーゲンの貯蔵がある。ほかには、栄養素の代謝・貯蔵胆汁の生成血液中の有害物質の分解(解毒作用)血液凝固たんばく質の合成血液量の調節などを行う。
2.× 膀胱は、尿を蓄える機能をもつ。尿を濃縮するのは、腎臓である。膀胱は、 約200~500mlの容量をもつ平滑筋(不随意筋)でできた袋である。
3.× 小脳は、運動の調整平衡感覚に関係する。呼吸中枢は延髄にある。
4.× 副腎の皮質からはステロイドホルモン、髄質からは、アドレナリンやノルアドレナリンなどのホルモンの産生と分必を行っている。インスリンの分泌は、膵臓のランゲルハンス島が行う。
5.× 心臓は、血液循環のボンプ機能をもつ臓器である。ガス交換は、が行う。

 

 

問題99 唾液腺と唾液に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。

1 副交感神経は唾液分泌を抑制する。
2 唾液分泌は食事摂取時に限られる。
3 耳下腺の導管は口腔底に開口する。
4 唾液には抗菌作用がある。
5 舌下腺は小唾液腺である。

 

解答

解説

1.× 副交感神経は、唾液分泌を抑制するのではなく、促進する。唾液分泌を抑制するのは、交感神経である。自立神経は、交感神経と副交感神経に分類され、拮抗的なはたらきをしている。副交感神経が優位な状態での睡液は、サラサラして粘りが弱く、量も多く分泌される。一方、交感神経が優位な状態での唾液は、粘りが強く量も少なく分泌される。
2.× 睡液分泌は、食事摂取時に限定されない。唾液が特に多くなるのは、食べ物を口にしたときであるが、唾液は1日に1ℓほど分泌されており、口腔内の湿潤がなされている。唾液は夜間も分泌されている。人は意識しないで分泌された唾液を飲み込んでいるが、嚥下が困難になると夜間、 就寝中の飲み込みが困難になり、咳き込むようになる。
3.× 耳下腺の導管は、口腔内の上あごの第2臼歯の位置に開口する。口腔底に開口するのは、舌下腺と顎下腺である。
4.〇 唾液には抗菌作用がある。睡液成分の約99 %以上が水分であり、食物残渣を洗い流す自浄作用、消化に関係する消化作用、食べ物の口腔内の衝撃を和らげる緩衝作用、細菌の侵入を防ぐ抗菌作用などがある。
5.× 舌下腺は大唾液腺の1つである。唾液を分泌するのが唾液腺で、唾液腺は袋状の器官である。さらに唾液腺は大唾液腺小唾液腺に分類される。大唾液腺は、耳下腺・舌下腺・顎下腺の3つである。小唾液腺は、口唇・頬・舌の粘膜組織にある。

 

 

問題100 良肢位に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)に最も支障が少ない姿勢である。
2 肘関節を伸ばした姿勢である。
3 つま先が下を向いた姿勢である。
4 拘縮を起こしやすい姿勢である。
5 クッションを用いた保持は避ける。

 

解答

解説

介護roo!:良肢位のイラスト」
 

1.〇 正しい。良肢位は、自分で身体を動かすことができない場合などに、関節拘縮をつくらないような予防的な姿勢、もし関節が動かなくなった場合でも、ADLに最も支障が少ない関節角度となる変勢である。ADLに最も支障が少ない姿勢である。良肢位と比べられる姿勢に基本肢位がある。これは、立位姿勢で基本の角度が0となっており、関節可動域測定時の基本となる肢位である。
2.× 良肢位は、肘関節を約90°屈曲した姿勢である。
3.× つま先は、底背屈0°である。下を向けると尖足になる。尖足になると常につま先が立った姿勢となり、立位が困難になる。
4.× 良肢位だからといって、拘縮が起こりやすい・起こりにくいとは言いにくい。どの姿勢でも不動により関節拘縮は起こりえる可能性がある。
5.× クッションなどを用いて、角度を保持する必要がある。

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