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第31回(H30) 介護福祉士国家試験 解説【問題86~90】

問題86 認知症(dementia)の母親を献身的に介護している息子が,母親に怒鳴られてたたきそうになった。それを見ていた介護福祉職の息子への対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 「孝行息子のあなたが手を上げるなんて…」と注意する。
2 「行政に通報します」と告げる。
3 「認知症(dementia)だから怒鳴るのは仕方がない」と慰める。
4 「地域にある認知症(dementia)の人と家族の会を紹介します」と伝える。
5 「懸命に介護をして疲れていませんか」と話を聴く。

 

解答

解説

1.× たたきそうになった場面だけをみて、息子を注意するのは適切ではない。息子が日頃献身的に介護をしていることを認め、母親から怒鳴られたことなどをまず、共感する必要がある
2.× この時点では、まだたたいていないため、通報するのは適切ではない。また、「高齢者虚待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」は、養護者、つまり家族介護者への支援も重視しており、介護福祉職は、息子に対してどのような支援をしていくのかを考える必要がある。
3.× 認知症の人にも怒鳴る理由がある。その原因を探ろうとせず、「仕方がない」と慰めるのは適切な支援方法とはいえない。
4.× 家族会の紹介は必要性が高いが、この時点では即効性がない。まずは、母親をたたきそうになった息子の気持ちを受け止めていく必要がある。
5.〇 まずは、息子が献身的に母親を介護していることを支持し、息子の話を聴くことでたたきそうになった原因を一緒に考える必要がある。

 

 

 

障害の理解

問題87 ノーマライゼーション(normalization)の理念を8 つの原理にまとめた人物として,正しいものを1 つ選びなさい。

1 ニィリエ(Nirje, B.)
2 バンク-ミケルセン(Bank-Mikkelsen, N.)
3 ヴォルフェンスベルガー(Wolfensberger, W.)
4 ロバーツ(Roberts, E.)
5 ソロモン(Solomon, B.)

 

解答

解説
 ノーマライゼーションの意味は、障害のある人の生活状態を、障害のない人が普通に生活している状態と可能な限り同じにすることである。ノーマライゼーションは、国連の「知的障害者の権利宣言」(1971年)のなかで紹介され、国際的思潮となった。その後、「国際障害者年」(1981年)、「国連障害者の十年」(1983~1992年)が続いた。

1.〇 バンク-ミケルセンの影響を受けた、スウェーデンのニィリエが、人間の1日のリズム、一週間のリズム、ライフサイクルでのノーマルな経験などを、ノーマライゼーション(normalization)の理念を8 つの原理にまとめ、通常の暮らしにできるだけ近い生活を実現しようとした。
2.× バンク-ミケルセンは、デンマークで、ノーマライゼーションの理念を最初に理論化し、ノーマライゼーションの父と呼ばれた。その考えは、障害そのものをなくすことではなく、障害者が当たり前の生活を送れるように、その生活条件をノーマルにしていく環境を提供することにあった。
3.× アメリカのヴォルフェンスベルガーは、知的障害者を社会から逸脱している人とみるのではなく、知的障害者の価値を高めることや、その社会的役割の実現を重視した。
4.× ロバーツは、1855年、イギリスで婦人団体を創立した。その後、ほかの婦人団体と合同し、1877年にキリスト教の信仰に基づく女子青年の人間教育と社会奉仕を目的とする世界的な団体であるYWCA(Young Women’s Christian Association:キリスト教女子青年会)となった。YWCAは、欧米諸国に広まって世界的組織となり、世界平和のための反戦・反核運動に取り組んでいる。
5.× ソロモンは、1976年に「黒人のエンパワメント」を著し、ソーシャルワーク分野でのエンパワメントの重要性を指摘した。個人がもっている素質や能力によってではなく、差別的・抑圧的な環境によって、人々は無力な状態に追いやられるのだと主張し、問題解決の主体者になれるよう、パワーの欠如状態を減らすことを目指して支援するアプローチを主張した。

 

 

 

 

問題88 世界保健機関(WHO)によるリハビリテーションの定義で,「利き手の交換」が該当するものとして,適切なものを1 つ選びなさい。

1 職業的リハビリテーション
2 医学的リハビリテーション
3 経済的リハビリテーション
4 教育的リハビリテーション
5 社会的リハビリテーション

 

解答

解説
 1969年のWHOの定義によって、リハビリテーションの主な分野としては、医学的リハビリテーション、社会的リハビリテーション、教育的リハビリテーション、職業的リハビリテーションの4つが示された。

1.× 職業的リハビリテーションは、職業訓練、職業適応、適職への就職などにより、障害者が望む雇用を確保し、その職業能力の向上を目指すものである。利き手の交換のための訓練は実施されない。
2.〇 医学的リハビリテーションは、理学療法、作業療法等により、個人の身体的機能や心理的能力、補償的な機能の回復を目指し、病院などの医療機関で行われる。利き手の交換のための訓練が実施される。
3.× WHOの定義では、経済的リハビリテーションの分野については明確にはされていない。
4.× 教育的リハビリテーションは、心身に障害がある児童に対して、その能力を向上し、潜在的な能力を開発し、自己実現を図ることを目指し、特別支援学校や障害者関連施設などで行われる。利き手の交換のための訓練は実施されない。
5.× 社会的リハビリテーションは、障害者が社会のなかで活用できる諸サービスを自ら活用して社会参加し、自らの人生を主体的に生きていくための社会生活力を満めること目指す。利き手の交換のための訓練は実施されない。

 

 

 

 

問題89 対麻痺を生じる疾患として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)
2 腰髄損傷(lumbar spinal cord injury)
3 悪性関節リウマチ(malignant rheumatoid arthritis)
4 パーキンソン病(Parkinson disease)
5 脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration)

 

解答

解説

1.× 筋委縮性側素硬化症は、運動神経系の難病である。手・指など上肢の筋委縮から始まることが多い。全身の筋委指が進行し、言語障害、嚥下障害、歩行障害により、寝たきりとなる。呼吸筋の筋力低下では、呼吸障害のため人工呼吸器が必要になる場合もあるが、症状の個人差が大きい。対麻痺はみられない。
2.〇 対麻痺とは、下肢の左右対称の麻痺であり、歩行障害を示す。交通事故や高所からの転落、転倒による脊髄損傷 などによるものが多いが、まれに主要や血行障害などによる大脳病変や末梢神経障害によって起こることもある。

「写真引用:グラクソ・スミスクライン様~麻痺の種類~」

 脊髄と呼ばれる脳と身体をつなぐ神経の束が通っている脊椎は、頚髄、胸髄、腰髄、仙髄に分けられる。 このうち、胸髄や腰髄は胸から下の部分をつかさどる神経である。これらの脊髄が損傷されると、首から下の筋肉が麻痺したり、感覚を失ったりするため、腰髄損傷では対麻痺が生じる。
3.× 悪性関節リウマチは、既存の関節リウマチに加えて、血管炎、心筋炎なとの関節外の症状がある、難治性もしくは重篤な症状を伴う場合をいう。関節の腫脹、関節変形のこわばり、痛みがあるが対麻痺はみられない。
4.× パーキンソン病は、神経の伝達物質の1つであるドーバミンが減少することで起きるとされる、運動神経系の疾患である。筋強剛(筋固縮)、無動(動作緩慢)、振戦(安静時の両手のふるえ)、前かがみの姿勢や小刻み歩行、突進現象、すくみ足などの姿勢反射障害がある。ゆっくりと進行し、50~70歳の発症が多い。対麻痺はみられない。
5.× 脊髄小脳変性症は難病である。運動失調を主症状とし、小脳、脊髄に関連した神経路に病変がみられる原因不明の変性疾患の総称である。運動失調以外に、自律神経障害として、起立性低血圧、排尿障書、発汗障害などがみられる。対麻痺はみられない。

 

 

 

 

問題90 統合失調症(schizophrenia)の特徴的な症状として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 妄想
2 躁うつ
3 強迫観念
4 振戦せん妄
5 見捨てられ不安

 

解答

解説
 統合失調症は、さまざまな刺激を伝え合う、脳をはじめとした神経系が障害される慢性の疾患である。思考や行動、感情を1つの目的に向かって統合する能力が、長期にわたり低下し、幻覚や妄想、ひどくまとまりがない行動がみられる。確定診断は幻覚、妄想などの症状によってされる。

1.〇 統合失調症の症状には、陽性症状、陰性症状、認知機能障害、抑うつ・不安がある。妄想は、幻覚、支離減裂な言動などといった陽性症状の1つに含まれ、不適切な感情を伴う知覚の障害が目立つ。
2.× 躁うつは気分障害の主症状である。気分障害には、憂うつな気分が強く現れ、睡眠障害や食欲の減退または増進、易疲労性など、さまざまな身体症状を伴ううつ病と、爽快気分の逸脱行為を特徴とする躁病がある。再発を繰り返したり、慢性化したりするものもある。
3.× 強迫観念は、強迫神経症の主症状である。ある考えが、自分では不合理であると自覚しているのに、自分の意思では払いのけることができず、絶えず頭に浮かんで日常生活にも支障をきたすほど悩む状態である。
4.× 振戦せん妄は、アルコールの急激な中断による離脱症状である。精神運動興奮、身体のふるえと意識混濁や錯視、発熱、発汗、不眠などがみられる状態をいう。
5.× 見捨てられ不安の症状は、境界性パーソナリティ障害の主な症状である。精神的に不安定になり、些細なことで不安な気持ちが強くなり、相手に対してその気持ちをぶつけてしまう。ちょっとすると落ち込み、また相手に甘えるようになる。これを線り返しているうちに自分も相手も憔悴しきってしまう。

 

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