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第31回(H30) 介護福祉士国家試験 解説【問題76~80】

問題76 Bさん(68 歳,女性)は, 3 か月前から,自宅の階段を昇り降りするときに,両膝の痛みが強くなってきた。整形外科を受診したところ,変形性膝関節症と診断された。Bさんの身長は153 cm,体重は75 kg である。
 Bさんの日常生活の留意点として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 歩行を控える。
2 正座で座る。
3 膝を冷やす。
4 体重を減らす。
5 杖は使わない。

 

解答

解説

 変形性膝関節症は中高年者の多くが確患する疾患で、女性に多くみられ、一次性と二次性に分類される。一次性は原因疾病はなく、加齢に伴い関節軟骨が摩耗、変性して発症する。代表的な発症要因は肥満とされる。二次性はさまざまな疾病が原因となる。主な症状は、膝関節の運動制限、膝関節痛、腫脹、関節変形などである。

1.× 歩行を控えさせるのではなく、推奨させる。変形性膝関節症の患者には、大腿四頭筋の萎縮など膝関節周囲筋の筋力低下を認めやすいため、歩行を控えると、さらに筋力低下を助長させる。また、運動量減少は体重増加につながるなど悪循環に陥りやすいため、歩行は控えるべきではない。
2.× 変形性膝関節症の患者は、膝関節の運動制限によって正座が難しくなる。また、一般的に和式生活を避け洋式生活が推奨される。和式生活は、正座やあぐら、和式便器の使用など膝関節への負担が大きい生活のことであり、適切ではない。
3.× 変形性膝関節症の患者の膝への寒冷刺激は痛みや運動制限を助長し、日常生活へ悪影響を与えやすい。なお、Bさんは慢性疼痛を抱えていると判断されるため、温かい刺激によって血行を促進し、リラクゼーション効果によって痛みや筋のこわばりを軽減させるよう対処する。
4.〇 Bさんは肥満と判断できる。(適正体重を推測するために、体格指数(Body Mass Index: BMI) を活用する。BMIは、「体重kg /(身長m) 」で計算する。Bさんの場合は、「75kg/ (1.53m) = 32.04」となる。一般にBMI 25以上は肥満と判定される。)肥満傾向は、膝関節にかける負担が大きいため、適切である。
5.× 変形性膝関節症の患者は、関節痛、筋力低下、関節変形などの影響により、歩行が不安定となりやすいため、歩行時の膝関節への負担を極力軽減するために杖を使用することが望ましい。重い荷物を持って歩いたり、長距離を歩いたりする場合はシルバーカー(歩行車)を使用することも推奨される。

 

 

 

認知症の理解

問題77 介護老人保健施設に入所した認知症高齢者が,夜中に荷物を持って部屋から出てきて,介護福祉職に,「出口はどこか」と聞いてきた。介護福祉職の対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 「今日はここにお泊りになることになっています」と伝える。
2 「もうすぐご家族が迎えに来るので,お部屋で待っていましょう」と居室に誘う。
3 「トイレですよね」と手を取って案内する。
4 「どちらに行きたいのですか」と声をかけて並んで歩く。
5 「部屋に戻って寝ましょう」と荷物を持って腕を取る。

 

解答

解説

 認知症の中核症状によって、場所・時間・人物の見当識が得にくくなる。しかし、行動には理由がある。「出口はどこか?」と聞いて歩いているのも、なぜそのような行動になっているのか?その目的は何か?の把握を試みることが大切である。

1.× 認知症高齢者の心情や言動に至る経緯を全く踏まえず、現実を伝えるのみのかかわり方は、利用者の立場に立って考える支援の原則に反している。
2.× 選択肢のような事実ではない発言によって出口を探す行為を一時的に止められる可能性はあるが、出口を探そうと考えた根本の原因は解決されていない。介護福祉職にとって都合のよい状況にするために、事実ではない内容を伝えることは、ケアの倫理に反する。
3.× 出口を探した理由に、本当は「トイレに行きたかった」という可能性も完全に否定はできないが、認知症高齢者との会話が成り立っていない。
4.〇 出口を探すために歩くという言動をすぐに制止せず、「どこに行きたいのか」「なぜそこに行こうとしているのか」といった理由等の把握を試みているため、 適切である。
5.× 認知症の中核症状によって、場所・時間・人物の見当識が得にくくなる。そのため、施設にいる理由や、今すぐに寝なくてはいけない理由、自分の部屋の場所がわからない可能性が高い認知症高齢者にとって、自分の荷物を持たれ、腕を取られて連れて行かれそうになるという状況は恐怖そのものと考えられる。

 

 

 

問題78 図は,2016 年(平成28 年)「国民生活基礎調査」(厚生労働省)を基に,介護
保険制度における要介護者と要支援者の介護が必要となった主な原因の構成割合を
作図したものである。

AからEには,
・「関節疾患(joint disease)」
・「高齢による衰弱」
・「骨折(fracture)・転倒」
・「認知症(dementia)」
・「脳血管疾患(cerebrovascular disease)(脳卒中(stroke))」
のいずれかが該当する。
 「認知症(dementia)」に該当するものとして,正しいものを1 つ選びなさい。
1 A
2 B
3 C
4 D
5 E

 

解答

解説

 要支援状態になった主な原因は、順に「関節疾患」「高齢による衰弱」「骨折・転倒」「脳血管疾患」「心疾患」である。要介護状態になった主な要因は、これらの原因よりも「認知症」の割合が高い傾向にある。
したがって、1.× 2.× 3.〇 4.× 5.× となる。

 

 

問題79 認知症(dementia)の人を支援する施策に関する次の記述のうち,適切なものを1 つ選びなさい。

1 認知症サポーターは,認知症(dementia)に対する正しい知識と理解を持ち,認知症(dementia)の人を支援する。
2 介護保険制度では,認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は,居宅サービスに位置づけられている。
3 認知症(dementia)と診断された39 歳の人は,介護保険制度を利用できる。
4 介護保険制度では,認知症対応型通所介護は施設サービスに位置づけられている。
5 成年後見制度では,地域包括支援センターの社会福祉士が補助人,保佐人,成年後見人を選定する。

 

解答

解説

 認知症の有無にかかわらず、地域包括ケアシステムでは、重度の要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供することを目指している。

解説
1.〇 正しい。認知症サポーターは、認知症について理解し、認知症の人やその家族を温かく見守り、支援する応援者のことである。
2.× 介護保険制度によって利用できるサービスは、①居宅サービス(訪問介護(ホームへルプサービス)、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)など)、②施設サービス(介護老人福祉施設、介護老人保健施設など)、③地域密型サービス(認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、小規模多機能型居宅介護など) である。
3.× 介護保険制度を利用できる被保険者は、65歳以上の「第1号被保険者」と、40歳~64歳までの「第2号被保険者」である。第2号被保険者が介護保険制度のサービスを利用できるのは、関節リウマチや初老期の認知症など16種の特定疾病により、要介護・要支援認定を受けたときのみである。39歳の人は若年性認知症支援相談窓口などの支援を受けることができる。
4.× 認知症対応型通所介護は地域密着型サービスに位置づけられる。
5.× 成年後見制度とは、認知機能の低下などにより自分で判断することが難しい人に対し、成年後見人等が身の回りに配慮しながら財産の管理や福祉サービス等の契約を行い、本人の権利を守り生活を支援する制度である。家庭裁判所が成年後見人等を選任する法定後見」と、あらかじめ本人が任意後見人を選ぶ「任意後見」の2つの制度があり、法定後見には、本人の判断能力に応じて「後見」「保佐」「補助」の3つの類型がある。

 

 

問題80 加齢による物忘れと比べたときの,認知症(dementia)による物忘れの特徴として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 見当識障害はない。
2 物忘れの自覚はない。
3 物忘れが進行しない。
4 日常生活に明らかな支障はない。
5 体験の一部分だけを思い出せない。

解答

解説
 この問題は、加齢による物忘れと認知症の記憶障害の差を問うものである。

加齢による物忘れと認知症による物忘れには下図のような差がある。

加齢に伴う物忘れ認知症の物忘れ

・一部の物忘れ。

・物忘れの自覚がある。

・物忘れが進行しない。

・日常生活に支障がない。

・全部の物忘れ。

・物忘れの自覚がない。

・物忘れが進行する。

・日常生活に支障がある。

1.× 見当識障害は、時間・場所・人物について、状況や関係性を認識することが難しくなることをいい、認知症の中核症状である。アルツハイマー型認知症では、時間・場所・人物の順に見当識が障害されていく。
2.〇 前頭側頭型認知症は記憶障害がさほど目立たないこと興味や関心が偏ることから、物忘れは自覚しにくい可能性がある。また、アルツハイマー型認知症は進行とともに病識が低下する。
3.× 認知症の症状は持続的に進行し、不可逆的とされる。
4.× 認知症の各診断基準では、日常生活や社会生活を営むのに支障が生じる程度まで認知機能などの低下が認められることが共通してあげられている。
5.× 記憶を内容で分類すると、言葉で内容を説明できる「陳述記憶」とからだを使って表すことができる「非陳述記憶」に分かれる。陳述記憶のうち個人的な体験に関する「エビソード記憶」への認知症の影響の1つに、エピソードの一部ではなく、全体を忘れるという特徴がある。

 

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