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第31回(H30) 介護福祉士国家試験 解説【問題71~75】

問題71 加齢に伴う身体機能の変化として,適切なものを1 つ選びなさい。

1 周辺視野が広くなる。
2 低周波の音から聞こえにくくなる。
3 味覚の感受性が低下する。
4 振動に敏感になる。
5 嗅覚が敏感になる。

 

解答

解説

 加齢の影響を受けやすい身体機能と受けにくい身体機能を整理し、日常生活にどのように影響するか関連づけて理解しておく。

1.× 周辺視野とは視野の中心ではなく周辺部を指す。若年者に比べ高齢者は、上方の視野が狭くなる。また、高齢者は加齢に伴い、緑内障など周辺の視野欠損を生じる病気の権患率も上昇するため、視野障害が進行する傾向が高い。
2.× 加齢による動脈硬化などの影響により、内耳にある蝸牛の有毛細胞の萎縮などがおこり、高齢者は音が小さく感じ、高い音が聞こえづらくなる。このような難聴を感音性難聴という。
3.〇 加齢により味を感じる味蕾の細胞数や唾液の分泌量が減少するため、味覚の感受性は低下する。ほかにも亜鉛不足や病気、薬剤の副作用、口腔内の清潔状態の悪化などが原因となる。
4.× 振動は皮膚の深部感覚の振動覚によってその刺激を受容する。加齢により神経線維が減少し、伝達速度などが遅くなり、深部感覚は機能が低下する。
5.× 嗅覚は徐々に低下し、70歳頃から急速に衰える。加齢により嗅細胞が減少し、機能低下がおこるが、嗅覚の低下を自覚することはほとんどない。嗅覚の低下により日常生活ではガス漏れや食物の腐敗に気づかない、食事に対する意欲低下などの影響がある。

 

 

 

問題72 尿失禁に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。

1 認知症(dementia)で尿を漏らすのを,腹圧性尿失禁という。
2 トイレまで我慢できずに尿を漏らすのを,切迫性尿失禁という。
3 重い物を持った時に尿を漏らすのを,混合性尿失禁という。
4 いろいろな原因が重なって尿を漏らすのを,溢流性尿失禁という。
5 前立腺肥大症(prostatic hypertrophy)で尿を漏らすのを,機能性尿失禁という。

 

解説

解答
 尿失禁とは、排尿の我慢やコントロールなどが疾患や身体の機能低下によりできなくなって、尿が漏れ出てしまうことをいう。高齢者はさまざまな要因により尿失禁を起こしやすい。 尿失禁があると社会参加に困難をきたして、QOL (Quality of Life: 生活の質)の低下や自尊心の低下、皮膚トラブル等を招く。

1.× 認知症で尿を漏らすのは、機能性尿失禁である。機能性尿失禁とは、認知症、視覚機能の低下や歩行困難など、排尿機能以外の原因により起こる尿失禁である。そのため、トイレに目印を付けるなど生活環境や介護方法の見直し、工夫などが必要となる。
2.〇 正しい。切迫性尿失禁とは、急に尿意を感じると同時に、または展意を感した直後に、トイレまで我慢ができず尿が漏れ出てしまう状態である。脳の排尿コントロールがうまくいかない場合や膀胱が過敏になることで起こる。 高齢者に多いタイプの失禁で、骨盤底筋群の訓練と薬物療法による改善が期待できる。
3.× 重い物を持った時に尿を漏らすのは、腹圧性尿失禁である。女性に多く、加齢や出産等で骨盤底筋群が緩むと、重い荷物を持った時やくしゃみなど腹圧がかかった時に尿が漂れ出る。薬物療法は有効とはいえないが、骨盤底筋群を鍛えることで改善が期待できる。
4.× いろいるな原因が重なって尿を漏らすのは、混合性尿失禁である。混合性尿失禁とは、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の合併した状態である。強い尿意を感じるだけではなく、重い荷物を持つなど腹圧がかかる動作をした時に尿が漏れる。
5.× 前立腺肥大症で尿を漏らすのは、溢流性尿失禁である。膀胱内に尿がたまり排尿しよううとしても排尿ができず、尿があふれ出る状態である。原因は尿道の通過障害、周囲の神経の機能低下などがある。女性よりも男性に多く、薬剤の副作用で症状が出ることもある。

 

 

問題73 Aさん(95 歳,女性,要介護3 )は,介護老人福祉施設に入所して6 か月になる。入所間もない頃は,「買物に行きたい」「友達に会いに行きたい」と,いろいろ介護福祉職に要望したが,それらの要望には応えてもらえなかった。現在Aさんは,認知機能障害はなく,身体的にも大きな変化や異常は認められない。しかし,ほとんどの時間をベッドで過ごしていて,「どこか行きたいところはないですか」と介護福祉職が聞いても,「ない」と答えるだけである。
 Aさんの現在の状態を説明するものとして,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 学習性無力感
2 反動形成
3 統合失調症(schizophrenia)の陰性症状
4 せん妄(delirium)
5 パーソナリティの変化

 

解答

解説
 入所後、Aさんは介護福祉職とのかかわりを通して、意欲的な状態から無気力な状態へと変化している。

1.〇 正しい。学習性無力感とは、ある対処不可能な状況に陥り、それを打破するためのあらゆる努力も効果がないため「何をしても無駄」と学習され、解決への意欲を失い、無気力状態となることをいう。
2.× 反動形成とは、防衛機制のひとつである。防衛機制とは、受け入れがたい状況、または潜在的な危険な状況に晒された時に、それによる不安を軽減しようとする無意識的な心理的メカニズムである。そのなかの反動形成とは、無意識的に抱く衝動を意図的に抑え込む言動・行動のことである。例えば「好きな異性にいたずらする」など、しばしば他人には不自然でわざとらしいふるまいにみえる。Aさんの様子は反動形成の特徴ではないため、適切ではない。
3.× 統合失調症とは、器質的な異常を認める精神障害である。陰性症状とは、正常な精神活動が欠落する症状であり、感情純麻、自閉などが該当する。Aさんの心身機能に異常は認められないため、適切ではない。
4.× せん妄とは、アルツハイマー型認知症等の症状として現れる。複雑な意識障書の一種で、意識混濁の程度が短時間に変動する。錯覚、幻覚などもみられる。Aさんの様子は、せん妄の特徴と合致しないため、適切ではない。
5.× パーソナリティとは、心理学で「性格」や「人格」を表し、その人らしさの根源的な特徴を意味する。従来、このような意味でのパーソナリティが変化する場合、人格障害やパーソナリティ障害と呼ばれ、精神障害に含まれる。 Aさんには心身機能の異常が認められないため、適切ではない。

 

 

 

問題74 高齢者の疾患と治療に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 複数の慢性疾患を持つことは,まれである。
2 服用する薬剤の種類は,若年者より少ない。
3 服用する薬剤の種類が増えると,薬の副作用は出にくくなる。
4 高血圧症(hypertension)の治療目標は,若年者と同じにする。
5 薬剤の効果が強く出ることがある。

 

解答

解説

 高齢者には生理的・病的な老化現象(身体が成熱したあと、加齢に伴って各属器の機能が低下し、多種多様な疾病に罹患しやすくなり、最後は死に至る過程) がみられる。問題では薬剤の服用方法なども問われている。高齢者は何かしらの薬剤を服用している可能性があり、支援には欠かせない知識である。

1.× 老化現象は、時間をかけて発生する現象であるため、複数の臓器に慢性的な疾病を罹患している可能性が高いことが考えられる。
2.× 一般に、高齢期は老化現象による影響で複合的な疾病に羅患する可能性が高く、若年者より回復が遅くなるため、病気と共存する生活を余儀なくされる。つまり、複数の慢性疾病に対処するために多くの薬剤を長期間服用する可能性が高い
3.× 老化現象は進展していくため、疾病に罹患している場合は、長期的には薬剤の種類は増えていきやすい。また、複数の慢性病に羅患し、多種類の薬剤を長期間服用すれば、少なからず臓器への負担を強めてしまう。長期間、多くの薬剤の影響を受けるため、高齢者の身体機能は、薬の副作用が出やすい状態と考えられる。
4.× 高齢者の高血圧症は、収縮期血圧のみが上昇する収縮期高血圧症が特徴である。若年者の一般的な高血圧症とは特徴が違い、身体的特徴にも違いがあるため、治療目標は同一にはならないと考えられる。
5.〇 適切である。老化現象によって、薬を分解する肝臓や濾過機能のある腎識の機能が落ちることで、血液中の薬剤の分解が遅れたり、排出されずに体内に蓄積されたりするため、血液中の薬剤の濃度が高まりやすかったりもする。つまり、高齢者は薬剤の効果や副作作用が強く長く続きやすい場合もある

 

 

 

問題75 高齢者の便秘に関する次の記述のうち,適切なものを1 つ選びなさい。

1 1 日に1 回,排便がない状態をいう。
2 病気が原因となることは,まれである。
3 腹筋の筋力低下は,原因となる。
4 薬剤が原因となることは,まれである。
5 下剤の服用を優先する。

 

解答

解説

1.× 便秘とは、排便困難になり、頻度が2~3日に1回程度に減少することである。
2.× 急性の便秘では、環境変化や薬剤の一時的な影響のほかに、腸閉塞などの疾病が疑われる。慢性の便秘でも、がんや手術後の癒着などによって腸管が狭くなり、通過障害となって排便が困難となった状態もある。よって急性、慢性によらず、疾病が原因となっていることが疑われる場合があるため、適切ではない。
3.〇 慢性の便秘は、機能性便秘器質性便秘に分類される。機能性便秘のうち、高齢者に多いのは、弛緩性便秘直腸性(習慣性)便秘である。弛緩性便秘とは、寝たきりなどで運動量が減少すると、腸の運動も減少して大腸内で便が長く停滞し、便が硬くなり排便困難となる便秘である。また、直陽性(習慣性)便秘とは、直腸の排便反射が鈍くなり、直腸に便が来ても便意を感じない、または老化現象による筋力低下によって便を押し出すことができない便秘である。腹筋の筋力低下が原因となる場合もあり、選切である。
4.× 咳止めなどの抗コリン作用薬(副交感神経のはたらきを抑える)で、副作用として起こる薬剤性便秘がある。また、降圧薬など高齢者が常用する薬剤の副作用としても便秘は起こり得るため、適切ではない。
5.× 慢性便秘への対処で優先されるのは、生活習慣や食習慣を工夫し改善することである。日頃から適度な運動を心がける、排便を我慢しない、腸内環境を整える食品を増やすなど、高齢者が自律して習慣を変えるように促す。そのうえで便秘が改善されない場合は、専門家との相談のうえ下剤を使用することが推奨されることがある。

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