リハビリ特化型通所サービス 明日へ【施設案内】

第31回(H30) 介護福祉士国家試験 解説【問題56~60】

問題56 杖歩行している高齢者の寝室の環境整備に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 足元灯を用意する。
2 ベッドの高さは60~65 cm にする。
3 マットレスは柔らかいものにする。
4 布団は床に敷く。
5 特殊寝台(介護ベッド)に変更する。

 

解答

解説

 杖は、歩行能カを改善することを目的とした歩行補助具である。脳梗塞後遺症による片麻能やパーキンソン病、
膝関節や股関節などの変形性関節症による関節の変形や疼痛の出現など、杖を必要とする身体状態はさまざまである。杖を使用すれば歩行が可能なレベルであることから、高齢者がその能力を維持し、かつ安全に活かすことができる環境を整える対策が間われている。

1.〇 足元灯は足元に設置する小型の照明器具であり、足元を照らしてくれるので夜間でも灯を頼りに安心して歩行することができる。室内に灯のない暗い状態では、わずかな段差につますいたり、物にぶつかることもあり危険である。足元に灯があることで、安全を確認しながら歩行することができる。
2.× ベッドの最大のメリットは高さがあることであるが、60~65cmは高すぎる。高さがあることで、起き上がり動作が容易となり、座位の姿勢が安定する。ベッドの高さは使用する個人の身長に合わせて設定することが望ましいが、一般的には35~40cm程度がよく、足底が床につき、膝関節が直角になる高さに調整すると端座位は安定する。
3.× 適度な硬さがあるマットレスが好ましい。硬さがある方が、身動きのしやすさ、寝返りの容易さ、起き上がりや起居が容易となる。杖を使用し立ち上がる際にも、端坐位が安定していると動作をスムーズに行うことができる。
4.× 床に敷いてある布団からの起き上がり、立ち上がりの動作は、杖を必要とする運動機能の状態にある高齢者にとっては負担である。床からの立ち上がり動作、立位から床への臥床といった起居動作は、その過程でしゃがむ動作も含まれ、下肢筋力、バランス力を必要とし、動作が完結するまでにバランスを崩し倒れる可能性もある。
5.× 特殊寝台(介護ベッド)に変更するのは時期尚早である。特殊寝台には、背上げ・膝上げ、体位変換機能など便利な機能が備わっているが、日常的に自カでの起き上がりが、寝返りが困難なレベルの人には有効な機能である。身体状態に適した用具や機器を選択することが自立度を高め、身体機能の維持・向上につながる。

 

 

 

問題57 Eさん(78 歳,女性)は,30 年前に夫を亡くした。姑の介護を8 年間一人で行い, 1 年前に自宅で看取った。隣県に住む息子に促されて介護付有料老人ホームに入居した。入居して間もないEさんは,「何をしてよいかわからない」と日中は部屋で一人で過ごしている。
 ホームでの暮らしに戸惑っているEさんへの介護福祉職の対応として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 規則正しい生活を送るように話す。
2 入居前の生活の様子を聞く。
3 ホームの日課を伝える。
4 介護福祉職がホームでの役割を決める。
5 長男に面会に来てもらえるように,生活相談員に依頼する。

解答

解説
 介護付有料老人ホームは、介護保険サービスを利用できる65歳以上の人が対象であり、食事、緊急時の対応、施設が提供する介護サービスを受けることができる。新しい環境で慣れない生活に戸惑うEさんに対し、介護付有料老人ホームの特徴を踏まえ、介護福祉職としての望ましいかかわり方が問われている。

1.× Eさんが長年培ってきた生活スタイルを知ることが肝心である。そこにはEさんが大切にしている習慣や価値観があるはずである。介護者側の一方的な押し付けとならないよう、Eさんが望む生活を尊重する姿勢が大切である。
2.〇 ホームはEさんにとって新しい住まいである。入居前の生活を可能な限り継続できるよう支援することが大切である。入居前までのEさん自身の生活の様子を知ることは、今後の生活のあり方を考える機会となる。
3.× 日課を決めるのはEさんである。ホームには共有スペースとして食堂、お風呂場、レクリエーションなどの場が設置されている。身体機能の維持や、気の合う人との出会いやつながりの場となるよう、介護福祉職は利用可能な設備や環境などの情報を提供し、Eさんがこれからの生活を考えるきっかけをつくるようにする。
4.× Eさんが興味や関心をもてそうな情報を提供したり、アドバイスするのが介護福祉職の役割である。Eさん自身が、情報をもとに、自分は何がしたいのかと考え、選択したり決定できるよう支援することが望ましい。
5.× Eさんはホームでの生活に戸惑い、部屋で一人で過ごしている。まずは、 Eさんが一人で悩むのではなく、 不安や困りごとなどをホームの職員に話してくれるように、介護福祉職はEさんとの信頼関係をつくることができるよう、かかわりをもつことが大切である。

 

 

 

 

問題58 介護老人福祉施設で最期まで過ごすことを希望する利用者への対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 終末期の介護方針を伝えて,意思確認を行う。
2 入所後に意思が変わっても,入所時の意思を優先する。
3 本人の意思よりも家族の意向を優先する。
4 本人の意思確認ができないときは,医師に任せる。
5 意思確認の合意内容は,介護福祉職間で口頭で共有する。

 

解答

解説

 意思決定に関するさまざまなパターンが考えられるが、利用者本人の決定が基本であることを踏まえ、そうでない場合の対応についても学習しておくことが求められている。

1.〇 介護老人福祉施設における終末期の介護方針について伝えることは、やがて訪れる死について考える機会となり、そのために必要な情報を提供するものである。その際、利用者の死生観を尊重する姿勢でかかわり、入所後はどのような生活をし、どのような最期を迎えたいと考えているのか、意思の確認をしておくことは大事なことである。
2.× 入所時に確認した利用者の意思は決定事項ではない。入所後の生活や身体状態の変化により、利用者の意思が変化することは当然のことである。利用者の意志はいつでも変更できることを伝えておくことも重要である。
3.× 利用者本人の意思が優先される。利用者と家族の死に対する考えは必ずしも同じではない。
4.× 利用者本人に意思確認ができない場合は、キーバーソンや家族の意向を尊重することとなる。
5.× 意思確認の合意内容は書面等の記録を活用し共有することが重要である。終末期の支援は、家族も含めたチームで行うものである。記録は、医師、看護師、介護福祉職、介護支援専門員、生活相談員等、多職種による連携を図るうえでも重要である。

 

 

 

 

問題59 終末期で終日臥床している利用者への便秘予防の対応として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 水分摂取量を減らす。
2 腹部に冷罨法を行う。
3 下剤を用いて直腸を定期的に刺激する。
4 座位姿勢を保持する機会を作る。
5 小腸に沿って腹部マッサージを行う。

 

解答

解説

 終末期ケアにおいて大切なのは、利用者がこれまで生きてきた人生を大切にし、その最期の時まで尊厳と権利が保たれ、その人らしい人生が歩めるように支えていくことである。

1.× 体内の水分量が低下すると便秘になりやすい。また、終末期になると食事や飲み物の摂取量も徐々に少なくなるため、脱水症状にも気をつける必要がある。
2.× 冷罨法ではなく温罨法が便秘の予防に効果があると考えられている。腰背部を蒸しタオルやホットパックで温めると、腸の蠕動運動が促進される。
3.× 便秘の状態が長期間続く場合には、医療関係者と連携して下剤の使用によるアプローチを行うこともあるが、定期的に使用すると習慣化し、腸の機能回復が困難になることがある。すぐに下剤に頼るのではなく、まずは、食事内容や水分摂取量の検討、顔部マッサージ、規則的な排便習慣を身につける支援等を試みることが大切である。
4.〇 便秘予防に腹圧をかけやすい座位姿勢をとることは効果的である。体調が落ち着いている時には本人の意思を確認したうえで座位姿勢をとり、排便習慣が身につくよう支援することが大切である。めまい等、気分が悪くないかを確認し、安定した座位姿勢が保てるよう十分に注意する必要がある。
5.× 腹部マッサージは開の場動運動を促進させ便秘予防に効果があるが、小腸だけではなく大腸も含め、腸の走行に沿って時計の進行方向に、平仮名の「の」の宇を描くようにマッサージを行う。

 

 

 

 

問題60 Fさん(80 歳,女性)は,認知症(dementia)で高齢者施設に10 年間入所していたが,死去した。夫(85 歳)はFさんが入所中,毎日面会して,Fさんと共通の趣味である詩吟を楽しみ,時間を共に過ごしていた。夫はFさんが亡くなって1 週間後,施設にお礼に訪れて,「毎日通うのは大変だったが,今は話し相手もいなくなり寂しい。自分で料理をする気もなくなり眠れない」と涙を流しながら話をした。
 Fさんの夫に対する介護福祉職の対応として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 気遣いの言葉をかけて,話を聴く。
2 良眠できる方法を助言する。
3 外食を勧める。
4 趣味に打ち込むように勧める。
5 元気を出すように励ます。

 

解答

解説
 大切な人を失った家族への支援としての対応が問われている。利用者の死後、 残された家族への支援といったグリーフケアについて学習し知識を深めておくとよい。

解説
 死別を経験すると、亡くなった人のことを思いさまざまな感情に押しつぶされそうになる。ー方で、このままではいけないと、その状態から立ち直ることを試みようともする。この両者の揺れ動く感情が、不安定な心身状態をもたらすことになる。このような状態にある人にそっと寄り添い悲しみを癒す支援をすることをグリーフケアという。
 Fさんと死別した喪失感は深い悲しみとなり、夫の不調をもたらすストレスとなっている。その結果、眠ることができない、食事をつくる気力がわかない、話し相手のいない寂しさ、 涙が流れる、という心身症状が現れている。夫が十分に悲しみを表出できるように話を聴き、 気持ちを受け止めることが必要である。この支えが、夫の立ち直りを助けることにもつながる。
したがって、1〇 2.× 3.× 4.× 5.× である。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)