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第31回(H30) 介護福祉士国家試験 解説【問題41~45】

問題41 選択肢1 から5 の順で,ベッドから車いすへ全介助で移乗するときの,利用者の動作と,介護福祉職の身体の使い方の組合せとして,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 上半身を起こす———手首で持ち上げる
2 ベッドの端に座る———踵を浮かせて,低くかがむ
3 立ち上がる———前腕で真上に引き上げる
4 車いすに移る———重心を安定させて,車いすへ足先と身体を向ける
5 深く座り直す———座り直す方向に向けて,上下の重心移動をする

解答

解説
 座ったり、立ち上がったりする際に、頭部、体幹、四肢が自然に動くメカニズムを理解し、この身体の自然な動きを妨げないように介護することが重要となる。介護におけるボディメカニクスを活用することで、利用者・介助者双方の負担を軽減できる。

1.× 全介助で上半身を起こす場合は、仰臥位から側臥位にし、利用者の足をベッド端に寄せ、利用者の肩甲骨と腰に手を当て重心移動で上体を起こす。また、電動ベッドの場合、背上げ機能を利用することで、人力に頼らない支援となり腰痛を子防できる。
2.× 利用者の前方に位置し、支持基底面積を広く、重心を低くし利用者の腎部を手前に引き寄せ両足底が床につく高さにベッドの高さを調整する。踵を浮かせ、低くかがむ姿勢は、支持基底面積が狭くなりバランスを崩す可能性が高い。
3.× 立ち上がり動作は、「浅く座る→足を引く→身体を前傾姿勢にさせる」が基本となる。全介助の場合は介護福祉職が利用者を腰や脇をしっかりと抱えることが大切となる。前腕を把持した場合、急な膝折れに対応できない。また力の方向も真上ではなく、まず足部に重心が乗るように引く
4.〇 重心は低くなるほど安定性が増すため、足幅をベッドから車いすまで広げ、身体と足先は車いす方向に向けることで腰をひねらず移乗ができ、腰痛予防になる。
5.× 座り直しは上下ではなく、前後の重心移動を利用する。利用者の両足を引き、前傾姿勢にし、前方に重心が移動することで、腎部が浮き、座り直しが可能となる。

 

 

 

 

問題42 Bさん(84 歳,男性)は,生活全般に介護を必要としている。ベッド上に仰臥位でいるBさんは,喘息があり,咳込みが続き呼吸が苦しくなり,「楽な姿勢にしてほしい」と訴えた。
 介護福祉職の対応として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 枕を外して,顔を横に向けて腹臥位にする。
2 枕を重ねて,頭を高くする。
3 左側臥位にして,背中にクッションを当てる。
4 半座位(ファーラー位)にする。
5 オーバーベッドテーブルの上に枕を置いて,上半身を伏せる。

解答

解説
 喘息とは、気管支粘膜の浮腫により気道が狭くなり、呼吸がしにくい状態となる疾患である。喘息の発作時には、本人がリラックスできる一番呼吸のしやすい姿勢をとることが大切になってくる。また、呼吸時に「ゼーゼー、 ヒューヒュー」と音を立てる喘鳴、せき込み、痰 、呼吸因難等の症状が見られるため、日頃からの観察と症状が発生した場合には医療関係者との運携を図るとともに、適切な援助を行うことが求められる。

1.× 腹臥位になると、胸郭が圧迫され、胸腔を拡大・縮小することによって行われる呼吸運動が妨げられる姿勢になってしまうため、適切ではない。
2.× 枕を重ね、頭を高くし過ぎると、顎を引いた状態になり、気道が圧迫されしまって呼吸がしにくくなるため、適切ではない。
3.× 本人が呼吸をしやすく苦しくない向きで姿勢を安定させることが大切である。そのため左側臥位にすると呼吸がしやすくなるとは言い難い。また、クッションを使用する場合は抱えるようにし、手足の力を抜きリラックスした姿勢をとる。
4.× 半座位(ファーラー位)になると横隔膜が下がり、肺への圧迫が減少することで呼吸がしやすくなることもある。しかし、ぜんそく発作時は、呼吸が困難になることで、恐怖感や不安を抱き、精神的に不安定になりやすい。そのため、5の姿勢の方が望ましい。

(図引用:看護roo![カンゴルー]様)
※・・・半坐位とは、坐位の一種で、上半身を45度起こした姿勢のこと。

5.〇 座位で上半身を伏せる姿勢のほうが臥位よりも肺活量が増え、呼吸がしやすい。恐怖感や不安を和らげる声かけをしながら、できるだけ腹式呼吸を促すようにする。

(図引用:看護roo![カンゴルー]様)

 

 

 

問題43 手首に変形や痛みがみられる関節リウマチ(rheumatoid arthritis)の利用者が,歩行時に使用する杖として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 前腕固定型杖(ロフストランドクラッチ(Lofstrand crutch))
2 前腕支持型杖(プラットホームクラッチ(Platform crutch))
3 松葉杖
4 多点杖
5 歩行器型杖

 

解答

解説

(図引用:アビリティーズ・ケアネット株式会社様)

1.× 前腕固定型杖(ロフストランドクラッチ)は、握力の弱い人や、手首に力が入りにくい人に適している。1本の脚と、体重を支える握りと、前腕院を支えるカフを備えた杖である。手関節の固定や支持性に欠けるため、適切ではない。
2.〇 前腕支持型杖 (プラットホームクラッチ)は、別名「リウマチ杖」と呼ばれる。リウマチの患者さんは、関節の破壊が主症状としてみられ、関節の保護が重要となる。腕で体重を支えるため、手指・手関節に強い負荷をかけられない場合や、肘関節に伸展制限のある場合など、手首、肘に障害があり自由に伸ばせない人に向いている。
3.× 松葉杖は、脇支え杖とも呼ばれ、重い荷重に耐えることができ、ロフストランドクラッチより安定性がある下半身麻痺骨折捻挫・股関節症などの下半身に障害のある人に用いられる。
4.× 多点杖は、T字杖よりも安定性を求めてつくられている。脚が4本(3本)に分かれていることで、着地面積が広く、安定性が高くなっている。しかし、持ち手を握らなければならず、手首に負担がかかるため、本症例には適切ではない。
5.× 歩行器型杖は、4点杖より安定性に優れ、立ち上がり補助にも利用できるが、重量があり、持ち手を握るのは手首に負担がかかるため適切ではない。

 

 

 

 

 

問題44 身体機能の変化に応じた食事の提供と対応方法として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 咀嚼力の低下に対しては,麺類を中心とした食事で栄養を補う。
2 味覚の低下に対しては,塩分を増やして味付けを濃くする。
3 腸の蠕動運動の低下に対しては,食物繊維の多い食品を取り入れる。
4 口渇感の低下に対しては,脱水予防のために酸味のある味付けにする。
5 唾液分泌の低下に対しては,食後にアイスマッサージをする。

 

解答

解説
 食事は、栄養素を摂取し、身体の健康を維持・増進することが大きな目的となる。疾患や障害、加齢に伴う身体機能の低下に応じた食事の提供が必要となるが、食事を楽しめることも生活の質といった観点からは重要である。 

1.× 咀嚼機能維持は、適正な栄養状態を維持するのに重要である。咀嚼機能の低下は、全身の運動機能低下から口腔の運動機能低下を生じているため、麺類を中心とした食事をする必要性が少なく、かえって口腔内の筋力低下につながり、悪循環となる。
2.× 味覚は舌の表面や口腔内の粘膜に存在する味蕾という部分で感知され、脳に信号が伝達されることより味を感じている。味蕾の数は加齢に伴い減少し、高齢者では新生児期の半分から3分の1になるといわれている。味付けを濃くすることは、糖分や塩分を過剰に摂取することになり、かえって生活習慣病の発症につながる。
3.〇 便秘のタイプには、腸の働きに問題がある機能性便秘(弛緩性・直腸性・痙攣性)がある。弛緩性便秘は、大腸の緊張が緩んで蠕動運動が弱くなっている状態で、高齢者に多い便秘の種類である。膳を動かすには食事による刺激が必要であるが、食生活の変化に伴って食物繊維(野菜、きのこ類、海藻、こんにゃく等)が不足し、これが弛緩性の便秘の原因であるといわれている。
4.× 脱水の予防には、こまめな水分補給と電解質の補給が重要である。酸味やからみのある味付けは、むせ込みの原因となる。脱水予防としての関係はなく適切ではない。
5.× アイスマッサージは、嚥下障害のある人に対して、食事前に冷水を含ませ凍らせた綿棒で口腔内の粘膜を押したりなでたりして嚥下反射を誘発する方法である。嚥下の頻度が低下している人に有効とされている。睡液分泌低下への対応として、耳下腺、顎下線、舌下腺の唾液腺マッサージ口腔体操がある。

 

 

 

 

問題45 いすに座っている右片麻痺の利用者の食事介護時の留意点として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 口の右側に食物を入れる。
2 利用者の左腕はテーブルの上にのせたままにしておく。
3 刻み食にする。
4 上唇にスプーンを運ぶ。
5 一口ごとに,飲み込みを確認する。

 

解説

解説
 食事は、疾患や障害、加齢によって、さまざまな影響が生じる。身体における変化を正しく理解し、その人に合った食事の提供が必要となる。

1.× 右片麻痺がある人の場合、食べ物は健側(左)口腔内に入れることが必要である。
2.× 安全な食事姿勢は、いすに深く腰かけ、足の裏が床につき、上半身が少し前傾となり頭が引けている状態が理想的である。右片麻痺の場合は、右上肢をテープルの上に置くことが大切である。
3.× 刻み食は、咀嚼機能が低下した人や歯が無い人が、かまなくても済むように刻んだ食事である。刻んだ食事は口腔内でバラバラしてしまうため、睡液分泌が悪く食塊形成が困離な場合は誤嚥の原因となる。右片麻痺であっても、咀嚼機能に問題がなければ刻み食を提供する必要はない。
4.× 食事介助のスフーン操作は、下唇にスプーンの背を当て軽く下方に向かって圧を加え、上唇が丸くなり食塊をとり込んだらスプーンを水平に抜く。
5.〇 食べ物が口腔内を覆ってしまうと、飲み込みがスムーズにできなくなり、食べ物が口腔内に残って誤嚥しやすい。少なすぎても嚥下が起こりにくいため、適量を見きわめ、一口ごとに動きを観察し飲み込みの確認を行う。

 

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